野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡にある野口内科です。
  医療に関することはもちろん、近隣の話題や音楽・本のことなどについて綴ってまいります。
    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
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受動喫煙の防止対策を強化・実現するための署名に400名を超える方のご賛同をいただきました。ありがとうございました。

 続いているアニサキスの話題  


ここ数日、アニサキスに関するニュースが続いています。
5月8日にアニサキスによる食中毒の報告がここ10年程で20倍以上に激増していること ( → こちら ) が報道されました。
これを受けて、5月10日には芸能人もアニサキス症に罹っていたというもの ( → こちら ) が続きました。
朝のワイドショーでもこのことを報道していましたね。
そしてCNNもアニサキスのことを取り上げています ( → こちら )。


 アニサキスとは 


アニサキスアニサキスはサバやアジ、イカなどの魚介類に寄生している長さが1~3cm台の白っぽく細長い虫で、我々が刺身などで生食することが発症の原因になります。
最も多くアニサキスを抱えているのは最終宿主のクジラですが、さすがに刺身を食べることはないでしょう。
学生時代の医動物学の実習で、買ってきたサバのアニサキスをチェックしたことがありますけど、結構いるんです。
右のイラストは決して大袈裟なものではありません。
あるレストランで出されたサーモンのマリネに1匹見つけたことがあります。
だいぶ弱ってましたけど。

鹿児島では首折れサバの旬の時期にアニサキス症が多い印象です。
私にとって最も印象的だったのは、魚市場から直接買ってきたサバを自分で捌いて生じたアニサキス症で、元気なアニサキスが7匹もいた症例です。
中には体を1cmくらい胃の壁に潜り込ませて尾をグルグル振り回しているものもいました。

でも、ニュースにあるようにアニサキス症が激増している印象は全くありません。
2013年からアニサキス症も保健所への届出対象となったことが大きな要因だと思います。


 アニサキス症の症状は ?


生きたアニサキスが胃壁に食らいつくことで激しい腹痛が起こるものを胃アニサキス症と言います。
飲み込んでも食いつかれなかったり、既に死んでいるものであったりすれば症状が出ないと考えられます。

ただし、過去にアニサキスが消化管に入ってきた既往がある場合、アレルギー症状が出ることがあります。
サバにあたる、という原因の一つがこのアニサキスアレルギーです。
なお、サバにはヒスチジンという成分が多く、これが体内でヒスタミンに変化することで生じるヒスタミン中毒が多いです。

また、胃を通り越して小腸や大腸の壁に食らいつくことがありますが、この場合は診断や治療に難渋するケースが多いです。
私の記憶に間違いがなければ、森繁久彌は腹痛で手術し、その結果小腸アニサキス症と診断されたはずです。


 アニサキス症の治療は ?  


私は内視鏡医なので、アニサキス症を疑った場合は内視鏡を行い、虫体を確認して除去します。
手技としてはそれほど難しいものではありません。
除去した途端に症状は全く消えてしまいます。
これが手っ取り早い治療法ですが、いつでも内視鏡ができるとは限りません。

最近注目されているのは、ステロイドと抗炎症薬による治療。
アニサキス症による腹痛は虫体からの分泌物による局所のアレルギーだと考え、薬の投与で症状緩和がみられたという報告があり、実績を上げています。
病歴からアニサキス症が疑われ、直ちに内視鏡検査ができない場合にはこの方法もありだと思います。

また、漢方薬の安中散の液をアニサキスに振りかけると3時間ほどで死んだり動けなくなったりするという報告があります。
安中散の成分の一つ、茴香 ( ウイキョウ ) にこの作用があることがわかっていますが、キャベジンコーワなど市販の胃薬にも茴香が含まれるものがあります。
でも、市販薬ではアニサキスに対する効果は調べられていないと思いますのであしからず。


 アニサキスの対策やアニサキスの絡んだ話題  


アニサキス対策として刺身などを冷凍するのはとても有効な手段です。
また、2014年に当時の高校生が、サバをワサビやショウガ、料理酒、ウイスキー、醤油に漬け込んだらほぼ100%防虫効果があったという報告を日本寄生虫学会で行い話題を呼びました。
刺身を食べる時のワサビやショウガって案外大事なものなのですね。

生の魚介類を提供する現場では、毛抜きなどを使ってアニサキスを除去するのは日常的だと思います。
肉眼ではちょっとわかりづらいアニサキスを簡単に検出できる装置が開発されていますので、食中毒予防に一役買うのではないかと思います。( → こちら )。

2015年には線虫ががん患者の尿の臭いに集まる習性が発見され、簡便ながんの早期発見法として期待されていましたが、2年後をめどに装置が開発される見込みです。( → こちら )
アニサキスが胃がん部分に食らいついていたのを観察したのがきっかけで線虫の嗅覚に着目し、この検査法の研究につながったとか。
先に紹介した7匹のアニサキス症例でも、ちょっと出血していた場所に何匹かが集中していたように記憶しています。
でもこういう研究の発想に繋げることができないのは、凡人の証しですね。 

じゃぱ【診察室のBGM 133】


先月の診察室のBGM132で紹介した
Jazz Lady Project の筝の音が気になって、参加メンバーで"kotist" を名乗っている 宮西希 のアルバムを買っちゃいました。

オリジナルばかり10曲を収録した
「じゃぱねすけ」は2013年の発売。
半数はソロですが、いろんな楽器とのコラボした演奏も聴き応えがあります。
特に、アルバムをプロデュースしている私の大好きなギタリスト
天野清継との掛け合いは情熱的で圧巻です。
下のYouTubeでも聴いていただける「GOMA」は、昵懇の写真家が好きだというウサギの子「ゴマ」を題材にして作られた筝のソロ。
筝の音色は硬くて減衰が速いと勝手に思い込んでいましたが、この曲でそのイメージがぶっ飛んでしまいました。
仔ウサギの写真とマッチしたうっとりするようなメロディで始まりますが、途中から彼女独特のテクニックもふんだんに堪能できますよ。


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名称未ゴールデンウィークも終わり、本日から平常通りの外来診療が始まります。

お気付きだと思いますが、当ブログのデザインをPC版もスマホ版も変更しています。
ここ1~2年、スマホからのアクセスが半数以上を占め、7割を超える日も目立つようになってきました。
この時代の流れに対応すべく、スマホ版を中心に利便性と読みやすさを改善していこうと着手しました。
元々がブログなので自在な意匠が組めるわけではないのですが、ホームページとしての役割もより一層果たせるように知恵を絞ってあれこれいじり倒しています。
まだまだ完成形とは言えないので、更に変化すると思いますのであしからず。
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本年度から鹿児島県で高校1年生を対象にピロリ検診開始するという話は先月もお伝えしました。
その事業内容についての説明が先週ありました。

大雑把な流れですが、
① 通常行われる学校での健康診断の尿を活用して、県の費用負担でピロリ抗体を調べる。
② この検査で陽性または判定不能であった場合、希望者は自己負担で二次検査を受ける。
③ 二次検査でも陽性であった場合、希望者は自己負担で治療を受ける。

当院も二次検査以降について受託医療機関として登録予定です。
詳細はまた改めて書こうと思います。


除菌説明を聞いて、ちょっと引っかかることがありました。
ピロリ菌除菌を行う理由は、将来の胃・十二指腸潰瘍や胃がんの発生を極力避けることができる可能性が大きいからです。

二次検査や除菌療法を受けたかどうかや、その後の胃の疾患の発生具合などを追跡調査して、この検診は意義があるものなのかを検証する必要があると思います。

しかし、鹿児島県としては一次検査で陽性または判定不能であった生徒に通知するだけで、それ以降は一切関与しないという立場なのです。
そのあたりについて様々な質問が出たのですが、担当者の歯切れの悪いこと。
これはどうやら予算の付き方にありそうだな、と推測しました。
担当者の口から出た「子育て支援、がん教育の一環」というキーワードをヒントにしてみました。

恐らく、国から子育て支援関係の補助金が下りることが決まり、その使途について知恵を絞り、各地で普及しつつある中高生のピロリ検診に活用しようとなったのでしょう。
子育て支援の主旨を逸脱しないように、がん教育の一環という理由付けをして予算が使えるようになったものの、その後のデータ収集までは予算も理由付けもできなかった、ということではないでしょうか。

でも、一次検査での陽性率くらいはデータとして公表すべきでしょう。
高校一年生でのピロリ菌の陽性率を知ることは、がん教育の一環としても大事だと思いますので。

 ● 薬の説明書のイラスト 258 ●


鹿児島では端午の節句にもち米から「ちまき ( あく巻き ) 」が作られます。
竹皮に包まれた重みのあるカラメル色をした見てくれの悪い物体を凧糸で切り分けます。
もち米のつぶつぶが残っていて、ちょっぴり苦味があり、そしてねっちりとした独特の食感。
砂糖をまぶしたきな粉で食べるのですが、正直あまり好きではありませんでした。

甘党ではない私が、この時期はちまきを避けて手を出すのが柏餅。
で、5月前半のイラストには柏餅
にを選びました。

しかし、ちまきのことを調べてみると、保存食としては大変優秀で、西南戦争の時には薩摩藩士は腹ごしらえのために持参していたのですね。
昨日、知り合いからちまきをいただいたので、食材として見直しつつ味わってみようと思います。


柏餅
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カエル〖 今月のつぶやきから 64 〗


毎日のように医療関係のニュースをチェックしていますが、今月は興味を引くものがたくさんある日とそうでない日が極端で、それに応じてツイートの数も偏在しています。
しかし、つぶやきを通して幅広い情報を皆様にお伝えできたのではないかと思います。

今月は11の話題を振り返ります。
最初は認知症に絡むものを6つ。






次は、個人的に非常に興味がある話題をまとめてみました。
皆様は、気になるものがあるでしょうか。





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 ◆ 診療所ライブラリー 133 ◆


失敗内科医は、患者さんの症状から診察や検査結果を基に診断を下して薬を処方する、というのが主な仕事です。
薬は正しく使ってこそ薬になるのですが、患者さんが想定外の判断をしてしまうことが多々あります。
これまでで一番驚いたのは、友人に処方されたインスリンを試しに打ってみた、という糖尿病の患者さんの行動でした。

今回紹介する本は、自己判断での減量・中断、他人に薬を譲るなど、日常でよく遭遇する事例を12個挙げ、それを通して薬の基本的知識や適正使用の大切さが楽しく学べる構成になっています。
イラストが多く平易な文章が心がけられているので、小学生でも読めるのではないかと思います。

我々もこの本に書かれているような事態が起きる可能性も考慮しつつ、処方がややこしくならないように心がけたいですね。
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今月、ピロリ菌についての大きなニュースが続きましたのでまとめてみました。

◆ 本年度から鹿児島県で高校1年生を対象にピロリ検診開始

本年度から、鹿児島県の高校1年生を対象としたピロリ菌検査事業が始まります。
医療関係者に対しての説明が近々行われる予定ですので、詳細がわかり次第お知らせします。

日本人の胃がんの9割はピロリ菌感染が原因とされており、早期に除菌を行うと胃がん発症が防げると考えられています。
中高生を対象にしたピロリ菌検診は、市町村単位では2013年に岡山県の真庭市、都道府県単位では2016年に佐賀県が最初に始め、現在では複数の自治体が取り組んでいます。
今回、地元でも始まるわけですが、微力ながらこの検診には積極的に関わって行こうと思っています。

◆ ピロリ菌除菌を妨げる意外な因子

ピロピロリ菌除菌では酸分泌抑制薬と2種類の抗菌薬を組み合わせて服用してもらいますが、全ての人で除菌が成功するわけではありません。
胃酸の分泌抑制が不十分であったり、ピロリ菌自体が抗菌薬に耐性を持っていたりすることがうまくいかない原因と考えられてきました。

しかしつい最近、別の因子が大きく関与していると報告されました。
それは何と食事中のコレステロールやω3多価不飽和脂肪酸。
除菌した人の食事摂取状況を背景因子として解析したらこの2つが浮き上がってきたのです。
これらの摂取量が多いほどピロリ菌の除菌率が低下するという関連性がみられたようですから、今後は除菌の際の食事指導も大事になってくるでしょうね。
日本感染症学会での九州大学からの発表演題なので、論文にまとめていただくことを期待します。

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