◆ 診療所ライブラリー 83 ◆


医療否定自宅で穏やかに死を迎えたいという希望が日増しに高まってきています。
理想的な在宅・終末期医療を充実させるためには、行政・医療・そして患者とその家族の三者の連携が大変重要です。
しかし仕組みを構築しようとする行政も医療費削減が主眼のように思えますし、医療側も積極的に病気に介入する現状を変えられないでいます。

そして最も大切なのは、皆さんが普段から自分や家族で死を含めた人生を真剣に考えたり話し合ったりしておくことなのですが、平穏死なる言葉が一人踊りして、終末期に何もしないことが理想なんだと何となく思っているだけの方が増えているような気がします。
病院で死を迎えるのが当たり前になって家庭から死の存在が遠くなったと言われており、もしもの事態を想定できないのはやむを得ないのかも知れませんが、未熟な理想は時に現実の大きな妨げとなります。
過渡期ゆえ医療現場でスタッフと患者さんサイドとの間で軋轢が生じてしまうのでしょうが、我々にとっては理解に苦しむ場面が確実に増えてきています。

その現状を憂えたのがこの本なのですが、評判は芳しくないのだとか。
在宅・終末期医療の将来のあるべき姿についてコンセンサスを得るためにも、今の医療体制下の現場で働く医師の立場や考えをこの本から汲み取っていただきたいと思います。
次の新しい医療を形成していく上で、意見を出し合いお互いの立場を理解しあうことが何より大切です。

ちなみに、この本の著者は私の先輩。
既に『「スーパー名医」が医療を壊す』、『親孝考』を紹介してきましたけれど、今回の本では私のブログも引用されています。


 →  「医療否定」は患者にとって幸せか