k4r7cxax.gif今日の朝のテレビ小説「芋たこなんきん」で
「腹腔鏡で胆嚢結石を・・・」というセリフがありました。
この「腹腔鏡」を「フクコウキョウ」と言っていましたが、
医者はこれを通常「フックウキョウ (またはフククウキョウ)」と呼びます。

「腔」の字は漢和辞典で調べると「コウ」という音読みしかありません。
しかし医学用語では鼻腔、口腔、胸腔、腹腔などすべて「クウ」と読んでいます。
なぜ医学の分野でそのように読むことが慣例化しているのかわかりません。
一説に、「鼻孔」と「鼻腔」を区別するために読み分けされ始めた、というのがありますが真相はいかに。

ただ、元来ない漢字の読み方がいつの間にか定着して正式に認められることも多々あるようです。
例えば消耗の「耗」。これは元々「コウ」としか読まなかったそうです。
体力を「ショウコウ」した、と言ったら誰にも通じないと思いますが、
それと同じように「ビコウ」だの「コウコウ」だの言われても医者にはピンと来ないくらい
「腔」は「クウ」としてこの業界に定着しています。

解剖学用語のいくつかは約 230年前に刊行された「解体新書」の時代に作られています。
杉田玄白や前野良沢など、学生時代に歴史で名前を覚えたことのある人たちが、
オランダ語で書かれた「ターヘルアナトミア」を苦労して和訳する一方で、
「神経」「軟骨」といったそれまで存在しなかった日本語をひねり出し、それが現代でも使用されているのです。
その当時は「腔」が何と読まれていたのか興味あるところです。