<< 宿便について考える 第六回 >>


♦♦ 研究が進み始めた IBS

これまで消化管において癌や潰瘍などの生死に関わる疾患に医者の目が向けられ、診断や治療法が進歩してきました。
しかし最近では、このストレスの多い社会において増加傾向にある消化管の機能性障害にスポットが当てられ研究が進んできています。

その中で最も最先端の研究がなされているのが過敏性腸症候群 ( Irritable Bowel Syndrome ; IBS )。
現代日本において5人に1人が罹っているとされる頻度の高い疾患です。
どんな病気か簡単に言ってしまうと「腹痛とそれに関連した便通異常を伴う疾患」。
急に便意を催したり、排便するのに苦しんだりしておられる方、ご自身も含め周囲にたくさんおられるのではないでしょうか。

♦♦ 生活の質に関わる IBS

医者になりたての頃、非常に印象的な下痢型 IBS の患者さんがおられました。
休日は症状がないのに出勤しようとするとおなかが痛くなりトイレに駆け込んでしまうという若い男性でした。
某私鉄の特急電車だと速く行けるのに、途中で便意が我慢出来なくなったら大変と、各駅停車に乗っての出勤。
「今日は会社まであと2駅という所まで行けたのに、症状が強くて引き返してきました」・・・。

また、5月末の「アメトーク」という番組で「ピーピー芸人」と称してピーピー体質のお笑い芸人のトークがあり、悩ましいエピソードを面白おかしく語っていたのをご覧になった方もおられると思います。

命に関わる病気ではありませんが、日常生活に大きく支障を来すこともある IBS。
最初の患者さんをきっかけに、私は IBS に非常に興味を持って臨床にあたってきました。

♦♦ IBS の診断基準・分類

IBS には、世界的な統一診断を目指したROME-III 基準というのがあるのでそれを見てみましょう。

IBS-1.gif


この診断基準を読んでもわかりにくいかと思いますが、話を続けます。
IBSはいくつかのタイプに別れます。

IBS-2.gif



IBS-3.gifここで前回紹介した便の分類が使われてるわけですね。
改めて、Bristol 便形状スケールの図のみ右に示しておきます。

さて、下痢型や混合型の方は上述のエピソードなどがいい例でしょうが、診断は比較的つけやすいものです。
では、通常の便秘と便秘型の IBS、これはどう違うのでしょうか。
IBSをもう少しやさしく解説しながら次回にお話しします。


宿便について考える 第五回 「ウンチの種類」
宿便について考える 第七回 「過敏性腸症候群 その2」