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一般の人向けに内視鏡の開発の歴史や内視鏡による治療法などを総合的に紹介する本は意外にもほとんどないので期待していた本です。

まず、現在に至るまでの内視鏡の歴史が語られ、ここ数年で登場した経鼻内視鏡やカプセル内視鏡、小腸内視鏡などにも触れています。
そして画像強調観察や内視鏡を用いた早期胃癌の切除法も解説。
と、まあここまではいいのですが、最後は日本における薬や医療機器の審査・承認システムの問題に言及しています。

一つの本の中で二つの内容をやってしまっては焦点がぼけてしまいます。
前半部分だけをもっと一般の人も分かりやすい文章でたくさんの図版を使って解説すれば、とてもいい本になっていたと思うのですが。
ただ、内視鏡の歴史の部分は外来での待ち時間でサッと読めてしまうのと思いますので、是非目を通してみて下さいね。

ちなみに内視鏡の開発秘話については、このブログを書き始めてすぐの頃に紹介した吉村昭の「光る壁画」( → 内視鏡を題材にした小説 )という作品がお勧めです。


   → 最新内視鏡医学