<< ジェネリック薬品を考える 第4回 >>


喘息発作は明け方に起こることが多く、かつては内服薬や吸入薬を寝る前に使っても薬の効果が明け方まで持続せず、コントロールに苦労する例がありました。
そんな中、1998年に登場したのが「ホクナリンテープ」という貼付剤。
とても工夫がなされていて、気管支拡張作用のある成分が、皮膚に貼ってから4時間ほどしてから吸収され始め、11~13時間ほどで血中濃度がピークに達します。
夜貼ると明け方によく効いてくれるわけです。

ツロブテロール・沢井ところが、各社から数多く出ている後発品「ツロブテロールテープ」の血中濃度の推移は異なります。
それが大きく影響していると思いますが、「ホクナリンテープ」を後発品に変えた途端、喘息発作が増悪したというケースを臨床医が経験することは少なくありません。

今回提示した3社 ( 沢井製薬・ファイザー製薬・久光製薬 ) のグラフをご覧下さい。
多くは1時間ほどして血中濃度が上がり始め、ピークに到達するのもその分早くなっていますし、その後の濃度も高く維持できないのです。 
これは、先発品の徐放技術が特許を持っているためで、後発品メーカーなりに工夫はしているのでしょうが、同じような製品が作れないのです。
ファイザーのものはかなり先発品に近いですが、2時間値が省略されているのはなぜでしょうか。
それにマルホのホクナリンテープの添付文書と比較するとファイザーのグラフの標準製剤の濃度の数値は明らかに低いですね。
( 久光製薬のグラフは2mg製剤ではなく0.5mg製剤の比較ですのでご注意下さい。)

ツロブテロール・ファイザー問題は、これだけ血中濃度の推移が大きく異なる後発品に対し、厚生労働省が先発品と同等であるというお墨付きを与えていることです。
最大血中濃度と血中濃度曲線下面積に大差がなければOKなのです。
米国だと先発品との二重盲検比較試験を行って安全性・有効性の同等性を示さなければ認可されないのですが、治験を行う必要のない日本はこのあたりがとてもいい加減と言えます。

インスリン製剤は、血中濃度の立ち上がりや作用持続時間によって複数に分類されていて、我々は使い分けをしているのですが、それと同様、私は「ホクナリンテープ」と「ツロブテロールテープ」は別物として使い分けています。
ツロブテロール・久光 先発品でコントロールできている人は基本的に後発品に変更しません。
後発品の「ツロブテロールテープ」も各社バラバラの血中動態ですので、その特性を把握した上で、初めて処方する場合には、入浴や就寝時間と発作のよく起きる時間を聴取してその患者さんに合うと思われるものを選択しています。
ただ、血中濃度ばかり気にしていてもダメで、中には剥がれやすい製品もあり注意を要します。

ジェネリック医薬品が先発品と必ずしも同等と言いきれないし、ジェネリック間でもかなり異なるのだと理解して頂けたのではないでしょうか。
特にこの「ホクナリンテープ」「ツロブテロール」は、調剤薬局において薬剤師の判断で勝手に変えられてしまうと本当に困ってしまう薬剤の一つです。