試験管先日、群馬で教授をやっている大学時代の同級生が鹿児島で講演するためにやって来ました。
皆さんの計らいで、当日座長を務めた地元大学の教授を交えていろいろな話をすることができました。

思い出話や近況について話が盛りあがりましたが、その中で気になったのは、医学部の卒業生のほとんどが臨床医になってしまい基礎系の講座が人集めにかなり苦労しているという件。
このままだと日本の医学の基礎研究レベルが中国や韓国に数年のうちに抜かれてしまうだろう、と同級生が危惧していました。
学生時代、神戸大学にはノーベル賞候補の生化学の教授がいて、希望すれば学生であっても実験の手伝いをすることができました。
世界の最先端の研究の一端に触れることができるとあって、実際に何名かの同級生も教室に出入りしていましたし、基礎研究は恰好いいというイメージが学生の間にありました。
大学の同級生のうち4人が大学教授の職に就いていますが、いずれも臨床系ではなく基礎医学系であるのも大学のそういう風潮があったからこそでしょう。

病気に苦しむ方々を救う臨床医を目指して医学部に入る学生がほとんどですが、臨床は基礎研究の成果を実践しているに過ぎません。
これはこれで重要なことですが、治療法未確立の疾患にはただ手をこまねくだけ。
そういう歯がゆさから研究の道を選んだノーベル医学生理学賞の山中伸弥先生も神戸大学の出身です。
臨床に身を置く人間が言うのは説得力ないかもしれませんが、基礎研究の世界に踏み込んでみるのも悪くはない選択です。