吐き気吐き気や嘔吐に対してよく処方される、ドンペリドン ( domperidone ; 商品名ナウゼリン ) という薬があります。
近年、特に高齢者において心電図上みられるQT延長という変化から心室性不整脈や心停止を起こすことが相次いで報告されていて、そういった論文を基に推計するとフランスで年間25人から120人がドンペリドン内服で突然死していると考えられるので販売を中止すべきだ、ということが「Prescrire」誌に掲載されたのです。( → こちら )

以前から指摘されていたようなのですが、厳しい注意喚起をしている国もあれば薬局で医師の処方箋なしに購入できる国もあり、対応はバラバラです。
古くからメトクロプラミド ( metoclopramide ; 商品名プリンペラン ) と並んで制吐剤の代名詞的に使われてきましたが、肝心の制吐作用があまり強くないという話もあります。
私はこういった点を踏まえた上で、やむを得ず使う場合は頓服かごく短期間に留めているのですが、漫然と1日3回長期間服用しているケースなどに出会い、びっくりすることもあります。

ドン・ペリニョン ( Don Pérignon ) で悪酔いしてドンペリドン、といった冗談も通用しなくなるかも知れません。
( 私なら二日酔いには五苓散を服用しますが  → こちら )

今後、日本も含めて使用可能な国がどういう対応に出るか注視していきたいと思います。

なお、ドンペリドンもメトクロプラミドも薬剤性パーキンソニズムを起こすことが知られています。

動作が遅くなる・声が小さくなる・表情が乏しくなる・歩き方がふらふらして歩幅が狭くなる・手が震えるなどの症状が出るようであれば、中止して医療機関を受診して下さい。