◆ 診療所ライブラリー 98 ◆


痛いところに誰でも経験する不快な感覚、痛み。
一口に痛みと言っても、頭痛、歯痛、関節痛、腹痛など様々なものがあります。

8年間にわたり新聞に連載された痛みとペインクリニックに関する117の話題をまとめた本。
痛みを伴う多彩な疾患の解説や治療法が丁寧になされているので、慢性的に痛みに苦しんでおられる方には役に立つ情報に巡り合うことが出来ると思います。
それだけでなく、歴史上の人物と痛みにまつわるエピソードや、文学作品の中に出てくる痛み、芸術作品にみる痛みなど、多岐にわたる雑学的な知識が文章のあちこちにふんだんにちりばめられているのが読んでいて楽しい点。
医療関係者以外の一般の方にはやや難解な用語が多いかなという気もしますが、ホットドッグを食べて起こる頭痛とか、古代エジプトでは脛骨を縦笛の材料にしていたとか、知らなかった情報に出会え、知識が増えるのは本を読む醍醐味です。

ご存知の通り「痛」の字は「疒」に「甬」。
単に形声文字だとする辞書もありますが、「甬」には突き通すという意味があるとするものもあります。(「甬」は鐘を吊るすための棒をさしこむ鐘柄の輪とするものもあり。 )
白川静説では「疒」は床の上に病気で伏している人の形、「甬」は桶の元字で筒型の空洞をを表し、痛みが全身を通り抜けていくのを表しているとしています。
漢字の字源にも色々な説があるのですね。

 → 痛いところに手が届く本-117の痛みの話