きのこ雲先日、診察室で広島で被爆された方と話す機会がありました。
爆心地から1.9kmの地点で爆風に一瞬にして吹き飛ばされたそうですが、その後の行動が当時10代半ばとは思えません。
きのこ雲が呉方面に流れ始めたのを見て、その逆へ逃げ出したそうです。
また中心地に川の多い市街地ですが、火の手の上がるのを見ながら延焼を予測し、川を渡って被害の少なそうな対岸を目指したそうです。

最近、御岳山で大きな災害がありました。
報道で登山者が撮影した噴煙の上がる動画が公開されていましたが、周囲の人達がしばらくの間その様子をただ立ちつくして眺めているだけでしたね。
そして誰かが、逃げましょう、と声を発してから皆が下山行動を開始していました。
正常性バイアスという専門用語があるようですが、大きな危機が近づいていることにとっさに反応できず、回避行動をとるのに時間がかかってしまうのです。

一瞬の判断の遅れが生死を分けることがあります。
日々流される様々な事故や災害の報道をただ眺めているだけでなく、心構えを常に新しくしていく必要があります。
そして、状況に応じて適切な判断を自分で下しながら行動することも大切になってきます。