◆ 診療所ライブラリー 114 ◆


検査値健康診断が終わって渡されるたくさんの結果。
意味がよくわからないけれども、すべて基準範囲内なので一安心という場合もあるでしょう。
また、医者にはこの程度なら心配いらないと説明を受けたけど、基準範囲をちょっと超えているのはやはり気になるという場合もあるでしょう。

今回紹介する「健康診断の検査値がとことんわかる事典」は、健康診断や人間ドックなどでよく行われる採血項目や検査を取り上げて、その意味や疾患との繋がり、次にどのような精密検査を受けるべきかなどが非常にコンパクトにまとめてあります。

ただ、正確でない記載もあるのがちょっと残念です。
例えば、便潜血反応検査を解説した部分に「陽性が出た場合は、再度便潜血反応検査を行なって」とあります。
これはとんでもない間違いです。
便潜血反応検査では、一回でも陽性となった場合は、次に大腸がんの有無を調べる検査 ( 主に大腸内視鏡 ) を受けていただくことになります。
もう一度調べてみましょう、と便潜血検査を繰り返す医師が現実に少なからずいるのは悲しいことです。( →便潜血反応検査について )

任意型検診などで、がんがわかります、という触れ込みで行われるものに腫瘍マーカー検査があります。
しかし、この検査には個人的には賛成しかねます。
本来、腫瘍マーカーとは実際に癌がある時に、病状の変化や治療効果をみるためのものなのです。
勧められるがままに調べてみたら、ちょっと高めだったけれども体中をくまなく調べて何もなし、というケースもかなり多いのも事実。
無駄な検査を強いられるだけですので、私は健康診断で腫瘍マーカーを調べるのはお勧めしていません。
ほとんどの場合はオプション扱いですし、選ぶのはご自身の判断になりますけれども。

  → 健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版