◆ 診療所ライブラリー 115 ◆


漢方今回紹介するのは、日本で独自の発展を遂げた漢方の歴史を中国との交流や古くから伝わる医書などを紹介しながらまとめてある「新版 漢方の歴史」。

医学の発達した現代社会であっても、健康や病については多くの人の関心事です。
事実、世の中に出回っている情報で最も多いのは医学に関わるものだとされています。
古代においても我々と病との戦いは重要な地位を占め、薬草の蒐集や蓄積された知識の書籍化などが国家レベルで行なわれていたことが本書にてわかります。
随所にちりばめられたエピソードも興味深いものが多数掲載されています。
戦国武将を次々と治療した医家の話など、歴史の教科書や小説を読んでもまずお目にかかることはありません。
また、徳川家康が健康マニアで薬草を栽培させ、自ら薬を調合していたなんて初めて知りましたし、よく耳にする「毒をもって毒を制す」という言葉の由来がどこにあるのかも知ることができました。

日本の歴史を医学という面から眺めるのもまた面白いものだな、と思いながらあっという間に読み進めることのできる一冊でした。

  → 新版 漢方の歴史