出血性潰瘍  ○○ 学会レポート2011 その1 ○○


循環器科や脳外科では、心筋梗塞や脳梗塞の再発予防に低用量アスピリン ( LDA ) を処方することが当たり前になってきています。
正式に保険適応となったのが2002年からですが、それ以降内視鏡医を悩ませているのが消化管粘膜障害です。
アスピリンを処方する際に、Proton Pump Inhibitor ( PPI ) と呼ばれる胃薬、せめて H2 blocker と呼ばれる胃薬でも併せて処方してもらっていると有り難いのですが、粘膜障害の予防に役立たない防御因子増強剤が処方されているケースがかなり目立ちます。
PPI には「非ステロイド系抗炎症薬 ( NSAIDs ) 投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制」という目的で昨年から使用可能となったのですが、まだまだ消化器医以外の認識が不足しています。

そういう事情を踏まえてのシンポジウムが先日開かれた DDW であったのですが、その中で興味あるものをご紹介します。

まず、胃粘膜障害低減を目的として、アスピリン腸溶剤 ( バイアスピリン ) という薬がアスピリン緩衝剤 ( バファリン81 ) よりも処方される割合が高くなってきています。
しかし、胃粘膜障害には両者に差はなく、逆に小腸粘膜障害 ( 疑い例も含む ) が腸溶剤で圧倒的に多いという報告がありました。
カプセル内視鏡やダブルバールーン内視鏡で小腸を画像診断できるようになったことが大きいと思いますが、これまで副作用が少ないとして腸溶剤が普及してきたことに警鐘が鳴らされるものでした。

また、大腸憩室出血患者の症例が2004年ごろから急速に増えてきていて、その中で LDA を原因とするものが 38.7% もあったとする報告もありました。

LDA を内服している人で内視鏡的止血操作を必要とする頻度はそれほど多くはないのですが、LDA 療法が定着して以降確実に増加していますし、LDA を内服していることで止血に難渋します。
大腸憩室出血に至っては出血部位の同定に苦労し、内視鏡医は1時間も2時間もその処置のために拘束されることになります。
ですから、LDA  や NSAIDs を処方する際は PPI を躊躇なく使うようにしていただきたいものです。