Erin-Bode-Here-&-Now【診察室のBGM 146】


Erin Bode という人の歌声が大好きで、診察室にBGMを導入した早い段階から彼女の曲を流しています。
頰をなでるそよ風のような力の抜けた自然な優しい声に、いつも癒されています。


昨年リリースされたアルバム
「HERE & NOW」は、その彼女の声の肌触りを大切にしたのでしょうか、演奏の構成がとてもシンプル。
アコギにベースにチェロなど、ほとんどがアコースティクな弦楽器のみなんです。
簡素だけれども、彼女の魅力が最大限に引き出された贅沢さを味わえる一枚に仕上がっています。
内容は、ジャズスタンダードの曲に加え、
ポール・サイモンリッキー・リー・ジョーンズなどのアメリカンミュージックをカバーした全12曲。
その中から数曲を選んで診察室で流しています。

ジャズスタンダード曲として有名な「Someone To Watch Over Me」は、ジョージ・ガーシュウィンがミュージカル「Oh, Kay !」のために書き下ろした1926年の作品。
この曲をアコースティクギターだけをバックに唄っています。
ジャズっぽくなくて、フォークソングのようなテイストに仕上がってますね。
アルバムジャケットの裏には、使用された楽器名がわざわざ記してあるというこだわり。
全部で5本のギターが使われていますが、この曲で使われているのは「1953 MARTIN 0-18」だそうです。
使い分けているのには何か理由があるのでしょうね。

さて、この「Someone To Watch Over Me」は
「In a Sentimental Mood」( 1935年 デューク・エリントン )とは最初の7音が全く同じですよね。
あと、「P. S. I Love You」( 1934年 ゴードン・ジェンキンス ) とも最初の6音が全く一緒です。
パクリだ、いやオマージュだ、なんて今の世の中だったら論争が起こるのかも知れませんが、それぞれの曲が今でもしっかり息づいてみんなに親しまれているのは素晴らしいことだと思います。


Erin Bodeに関しては【診察室のBGM 56】で一度取り上げています。 
また、「In a Sentimental Mood」は 【診察室のBGM 33】で
シェリル・ベンティーンの作品についてコメントしています。