野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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 薬・注射の話

2010082514073811596.gif先月、ランソプラゾールという胃薬が「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の目的で使えるようになったことを当ブログで話題にしたばかりでしたが、今度は同じランソプラゾールが「非ステロイド性抗炎症薬 ( NSAIDs ) 投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」という目的でも使えるようになりました。

特にご高齢の方で体のあちこちの痛みのために NSAIDs を連用せざるを得ない方にはビッグニュースです。
ただ、肩に痛みには H2ブロッカーと呼ばれるタイプの胃薬との併用がいい場合もあるでしょうが。(→ こちら)

それにしてもアスピリンだって NSAIDs の一種。
効能追加はまとめてやっちゃえばいいのにと思いますが、国の許認可を得るって一筋縄ではいかないのでしょうね。

201007252223199784.gif胃酸分泌抑制薬の一つで PPI (proton pump inhibitor)と呼ばれる薬について、日本では使用期限が厳しく設定されていることを以前このブログで嘆いたことがありました。( → こちら )

しかし7月23日、PPI の一種ランソプラゾールが「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の目的で使えるようになりました。
低用量アスピリンを服用している限り、潰瘍の再発予防目的で期間の制限なく継続して使えるわけです。
ピロリ菌除菌の適応拡大に続いて、消化器分野においての朗報です。

起こる確率は高くないものの、アスピリンに起因する消化管出血は簡単に止めることができないため、酸分泌抑制薬が併用可となる時が待ち望まれていました。
処方する方も飲む方も低用量という言葉に妙な安堵を感じるかも知れませんが、アスピリンの抗血小板作用は強力ですから是非 PPI を合わせて飲んで下さい。

2010060613031415353.gif子供手当ての支給が鹿児島でも始まりました。

使われ方も様々でしょうが、使い道の一つとして念頭に置いて欲しいのが子宮頸がんワクチン接種です。
これまでのワクチンは感染症を防ぐ目的のものばかりでしたが、このワクチンはがんを予防する画期的なものです。
厳密にはウイルス感染を防ぐのですが、子宮頸癌はウイルスが引き起こすのものなので結果としてがんになる可能性をうんと減らすことができるわけです。

詳しくはこちらのサイトをご覧下さい。  http://allwomen.jp/


世界的に10代前半の女性への接種が行なわれていますが、日本では始まったばかり。
3回接種する必要がありますが、金額が大きなネックになっています。
接種費用の助成が行なわれる自治体もあるようですが、鹿児島市はまだ。
1回当たりの費用がちょうど子供手当て一月分程度なので、お子様の将来のために是非ご検討してみてはいかがでしょうか。

花粉症の季節真っ最中。
私自身も花粉症ですし、通院中の患者さんの中にも結構いらっしゃるので、それに関連したお薬を処方する機会の多い時期です。
アレルギー性結膜炎に対す目薬も処方しますが、上手に点眼できない方もおられるようです。
専門外ながら、今回は目薬の差し方のポイントを。

2010030611402910968.gif① 容器を不潔にしないようにまず手を洗います。

② 顔を上向きにしたら、下まぶたを指で軽く引き下げます。アッカンベーをする要領です。眼球よりもむしろ下まぶたに落とし込むように差してみると、溶液が確実に目に入りこぼれることもほとんどありません。

③ 容器の先を直接目やまつ毛につけないようにして下さい。

④ 目をしばらく閉じておきます。まばたきすると涙と一緒に溶液が目頭から鼻へ逃げていってしまうからなので、目頭を押さえておくのも効果的です。

なお、抜けたまつ毛が目に入った時、まばたきを繰り返していると涙の流れに乗ってまつ毛が目頭の方へ移動してきます。
そうすると除去しやすくなりますので、これもお試しください。

2009121121095930527.gif全国的にも武岡周辺も新型インフルエンザの勢いは落ち着きつつあるようです。
この間、いろいろな物が品薄となりました。
治療薬、検査診断キットはもちろんのことですが、市販もされている消毒薬はポンプが不足したそうです。
また、圧倒的に子どもの感染が多かったので子供用のタミフルが不足し、大人用のタミフルカプセルの中身を取り出して使わざるを得ない状態。
タミフルは賄えても苦味を緩和するために使用する乳糖が底をついてしまったようです。
タミフルの苦味はココアの粉末で紛れるらしいので一つの方法かと思います。


インフルエンザにかかったときに肺炎を併発しては大変と、どこかのマスコミが紹介したようで、この結果「肺炎球菌ワクチン」も不足しています。
この肺炎球菌ワクチンに関してはかなり多くの方が誤解しておられるようです。
以前にもこのブログで書いたことがあるのですが、改めていくつかのポイントを説明しておきます。

このワクチンは肺炎全てを予防するものではないこと。
肺炎球菌は肺炎を引き起こす原因菌としては第1位で、肺炎全体のおよそ2~3割を占めます。
残りの肺炎は他の原因菌によるものということになります。
ただ、肺炎球菌は抗生物質に対して抵抗性を持つものが大部分を占めるようになってきました。
すなわち肺炎球菌が原因の肺炎にかかってしまうと治療に窮することになります。
ワクチンで予防することはこのあたりに意味があるのです。

細菌の名前に肺炎の文字があるのが勘違いの元になっていると思いますが、以上をご理解いただいた上で接種をお願いします。
しかし、現在も品薄状態が続いていますので予約してしばらくお時間をいただきます。

肺炎球菌ワクチンは1回の接種でおよそ5年は有効とされていますが、日本においてはどういうわけか同じ人には2度接種してはならぬという決まりがありました。
つい最近のことですが、2度目も大丈夫と方針転換がなされました。
ワクチン後進国・日本、ですけれど、このように少しでも世界の標準に近づいてもらいたいものです。

200911261847372473.gif当院ではインフルエンザワクチン接種の際に、注射部位は揉まないこと、注射して 1時間くらいはおとなしくして経過をみること、入浴は差し支えないこと等を説明しております。
特に入浴に関してはよく聞かれる項目です。
当ブログでは 3年前に記事にしているのですが、よろしければご参考にして下さい。

 → 予防接種後の入浴
 → うがい
 → インフルエンザに効く薬

2009102021484919249.gifニュースでご存知の通り、鹿児島では19日から各医療機関に新型インフルエンザワクチンが納入されるということで当院でも待っておりましたが、来たのは今日20日になってから。

先週末には問屋にワクチンが入荷していたものの、行政機関がゴーサインを出すまで待て、の指示があったとの情報はキャッチしていました。
19日になって、各問屋に対してどこそこの病院には何人分納入しなさい、との一覧表が回ってきたそうです。
しかし、急に言われても滞りなく配送できるわけもなく、当院へは今日にずれ込んだようです。
医療関係者の間で問題視されている10 ml バイアル ( 一瓶で18人分 ) は今日の配送分には含まれておらず、スタッフ全員を賄う分は届いておりません。
そこでスタッフ間でも優先順位を決め、本日早速接種を行ないました。
私自身、特に体調の変化はありません。

一般の方への接種開始は、鹿児島県においては11月20日からを予定しているようです。
まず、優先的に接種していただくのは妊婦さんと基礎疾患を有する方。
優先接種の対象とする基礎疾患の基準については、こちらのホームページに詳しく載っていますので参考になさって下さい。
( http://www.cminc.ne.jp/pub/H1N1vaccine091005b.htm )

ワクチンをどのくらい納入してくれるのかなどさっぱり分からない状況ですので、当院では新型インフルエンザワクチンの予約はまだ受け付けておりません。
予約がとれる状況になればすぐにお知らせ致しますので今しばらくお待ち下さい。

なお、当ブログの左側 menu 欄に「インフルエンザワクチンについて」を設けました。
新しく手に入れた情報は、そちらの方でも随時お届けしていきます。

2009081306544326095.gif今年の夏の甲子園の鹿児島県代表は樟南高校です。
当ブログのシリーズ「武岡の端っこを歩く」にも何回か登場していますが、樟南高校は武岡にあります。

以前にも書いたのですが、神戸に住んでいた時代の1994年、樟南高校が決勝に進んだ試合を私は観戦に行きました。
結果は準優勝に終わりましたが、非常に思い出に残っています。
もう15年も前のことですが、試合の決まった場面はYouTubeで見ることが出来ますね。( →こちら )

今年も、勝敗に関わらず存分に持てる力を発揮して欲しいものです。

さて、昨年から中学1年生と高校3年生は2回目の麻疹予防接種を受けることになっています。
樟南高校の野球部の 3年生の皆さんは地方大会の前に、まとまって麻疹の予防接種を受けに当院に来られています。
組織としてやるべきことをきっちりやっているのは素晴らしいことです。
該当される方は夏休みの時間のあるうちに必ず受けてくださいね。

そんな事情もあって、樟南高校の応援には力が入ります。

2009070316150518387.gif先日、当院馴染みの患者さんに蕁麻疹が出ました。
最初は蕁麻疹に対する一般的な治療をしていたのですが、徐々に悪化。
そのためいろいろ尋ねてみたところ、肩の痛みにいいと思ってサプリメントを飲み始めたことがわかりました。
それが蕁麻疹の出始める数日前からだったので服用をやめてもらったところ、たちまち良くなりました。

当院では、初診の方には問診票にサプリメント服用の有無まで書いていただくようにしています。
この患者さんのように体にマイナスに働いている可能性もあるからです。
蕁麻疹はともかく、サプリメントや健康食品で様々な健康被害が報告されています。
効果や副作用が十分に検証されないまま出回っていたり、売らんがために何種類も成分を混ぜ込んでいたり。
製造工程は安全なのか、製造ロットによるばらつきはないのか。
そういうことを考えると、とても恐ろしくて私は口にするなんてことは出来ないのですけどね。

多くの方が使っておられ、無視することができないのでサプリメントの効用などのチェックもできるだけ勉強するようにしていますが、そもそも飲む必要性がどれほどあるのでしょうか。
よく考えていただくために、下記ホームページなども是非参考にして下さい。


  □参考  健康食品の安全性有効性情報
       怪しい健康情報の見抜き方
       検証! がんと健康食品

200905181744548443.gif新型インフルエンザがいよいよ身近な存在となってきました。
このインフルエンザにどのように対処していくべきかは、今後の状況に応じて変化していくものと思います。
今のところタミフル、リレンザが有効ですからパニックにならないことです。

さて、週刊誌などでインフルエンザにこれらの薬剤以外に漢方薬が有効であることが報じられました。
当診療所では、10代の患者にタミフルを使うなという通達以降はこの世代には麻黄湯を基本にした処方を行なっており、かなり有効である感触を得ています。

漢方薬以外にも注目すべきものがあります。
それはコレステロールを下げるスタチンと呼ばれる薬剤。
米国のおよそ7万6000人を対象にした研究で、スタチンを使用している人はインフルエンザ、肺炎、慢性閉塞性肺疾患での死亡率がかなり低いことが示されています。( Chest. 2007 Apr;131(4):1006-12 )
また、スタチンとカフェインの複合薬が鳥インフルエンザに有効であることも発表されています。( http://www.gclew.com/modules/press_release/index.php?page=article&storyid=77 )

インフルエンザだけでなくC型肝炎に対しても、既存の治療法にスタチンを加えることでウイルスの抑制効果が更に高まることがわかってきています。

細菌に効く抗生物質はアオカビから単離されたペニシリンが最初です。
スタチンもアオカビから見いだされた物質。
これがコレステロールを下げる作用だけでなく、ウイルスの増殖を抑える作用があるとしても不思議ではないと私は考えます。

kafun6.gif私が花粉症となって10年以上経ちます。
思えば、神戸の郊外に位置する病院に勤務していたときのことでした。
その病院のすぐ裏手が杉林。
間近に大量の花粉を浴びたのがきっかけだったのでしょう。

以来シーズンともなると涙はぼろぼろで両鼻は詰まり、夜は全く眠ることができないこともしばしば。
様々な抗アレルギー薬を試してみましたが、鼻水が垂れるのは落ち着くものの鼻詰まりは悪化し、夜間の不眠と相まって副作用の眠気が仕事に支障をきたす始末。
そんな中で一か八かで試したのが小青竜湯という漢方薬。
素晴らしい出会いでした。
症状を完璧に抑えこむわけではありませんが、眠気は来ないし何より鼻の通りが良くなることには驚きです。

このことをきっかけに、漢方薬を日常の診療に役立てる機会がぐっと増えました。
漢方薬は作用機序がわからん、と毛嫌いする医師も多いのですが、治療手段の幅が拡がり患者さんに喜ばれることも随分経験しています。

ちなみに小青竜湯は花粉症の 3人に 2人位の割合で有効な印象です。
これが効かない方には別の漢方薬を組み合わせて処方しています。
鼻詰まりや薬による眠気に悩まれている方は漢方薬を一度試してみてはいかがでしょうか。

agml.gif先日、漢方薬の葛根湯が原因ではないかと考えられる胃炎の症例に遭遇しました。
前庭部を中心にしてびらんが目立っていました。

以前、葛根湯により急性胃粘膜病変 (AGML) を生じたとする文献を読んだことがあります。
葛根湯に含まれる麻黄
この中にプソイドエフェドリンという物質が存在します。
これに解熱鎮痛薬 (NSAIDs) 様の作用があるとされているのです。

このため私は麻黄を含有する漢方薬に関しては食後の服用を勧めています。
私自身花粉症なのですが、この時期お世話になる小青竜湯にも含まれています。
漢方薬は食前または食間に服用することとなっていますが、私の経験上食後に飲んでも十分に効いてくれています。

先の症例の方、検査の少し前に風邪気味で薬局で葛根湯を購入し食前に飲んでおられたようです。
漢方医に言わせると、症を間違えて処方するからだ、となるのでしょうが、薬局でも市販されている薬。
薬剤師さんや購入者自身が葛根湯に適した「実証」であるかどうかまで判断するのはむずかしいと思います。
漢方薬にも副作用があることは十分留意してください。

ちなみに、プソイドエフェドリンはオリンピックで禁止薬物に指定されています。
シドニー五輪の際、16歳の女子体操選手から検出され金メダルを剥奪されるという事件もありました。

(なお、写真と症例は関係ありません)

syotgv1p.gif風邪のシーズン。
予防のためにとうがいをなさっている方も多いと思います。

そのうがいについて、3年前ですがこんな研究結果が出ています。
「ヨード系のうがい薬で風邪の予防効果なし」

右のグラフは、ボランティアを「うがいをしない群」「ヨード液を用いたうがい群」「水道水でのうがい群」の三つのグループに分けて60日間にわたり風邪の発症率をみたものです。
見ての通り、一番効果があったのが水でのうがい。
ヨード液を使ってもうがいしない人と有意差が認められなかったのです。
理由として普段のどに住み着いている細菌 (常在細菌叢) や口腔粘膜の細胞がダメージを受けることなどが考えられています。
 (Satomura K. Am J Prev Med. 2005;29:302-7)

ヨード系消毒薬は最近傷口には用いない傾向にあることは以前述べました。(→ 傷は消毒しない )
風邪の際にうがい薬も処方して欲しいと希望される方もいらっしゃいます。
私はアズレン系のうがい薬を基本的に処方します。
予防的に使うならいざ知らず、炎症を起こしているのどに粘膜保護作用のある薬を使うのは当然と考えるからです。
どうしてもヨード系を希望される人には、かえって粘膜のダメージになることを説明し、最小限の使用にとどめて後は水だけでうがいするように指導しています。

さて、この研究で見逃せないこと。
それはうがいに風邪の予防効果があるとはっきり示したことです。
上を向いてガラガラ、とやるのは日本独特なんだそうですが、こんな簡便な方法で風邪になるのを 4割も少なくできるとは素晴らしいことではないでしょうか。


ksvdvqfc.gif消化器分野で最もよく使う胃薬の一つにH2ブロッカーと呼ばれる酸分泌抑制薬があります。
PPIが出てくるまでは胃潰瘍の治療薬として主役の座にありました。

そのH2ブロッカーについて以前から気になっていたことがあります。
それは肩が痛くなる病気である五十肩 (肩関節周囲炎) や石灰沈着性腱板炎に効果があるということです。
腱板とは上腕骨に付着する四つの筋腱で構成されるもので、そこにカルシウムを含むハイドロキシアパタイトが沈着すると、普段はレントゲンでは見えない腱板が白く写されるようになります。

内科ではこのような使い方をあまり試すことがありませんので、先日、島根で整形外科をやっている従兄弟と話す機会があった際に聞いてみました。
解熱鎮痛薬 (NSAIDs) と一緒にH2ブロッカーを投与していると、肩の痛みも軽減し、レントゲン上も腱板の石灰化が消えてくるんだそうです。
但し、H2ブロッカー単独で治療することはないですよ、とのこと。

なぜ石灰化が改善するのかはっきりしませんが、副甲状腺 (上皮小体) に働きかけ、PTHという血液中のカルシウム濃度を増やすホルモンを抑制するからではないかと考えられているようです。
となると、副甲状腺の疾患に応用できたりするのかな・・・?


g7mnaxzl.gif我々消化器内科で最もよく使う薬の一つに PPI (proton pump inhibitor) と呼ばれる強力な胃酸分泌抑制薬があります。
胃酸を作る壁細胞の水素イオン (プロトン) の出口の働きを阻害します。
日本において1991年から使えるようになり、以降胃や十二指腸潰瘍、胃食道逆流症 (逆流性食道炎) 等の治療に大いに貢献しています。

その PPI に関して 8月に二つほど気になる話題がありましたので紹介しておきます。



● PPI を長期にわたって使用していると骨折のリスクが高くなるという話。 (CMAJ 2008 179: 319-326)
以前にも似たような報告があったのですが、今回のレポートの特徴は薬の使用期間との関連に言及していること。
6年以下だと関連は薄いが、7年以上使い続けると骨粗鬆症絡みの骨折のリスクが約 2倍に。
股関節の骨折に限定すると 5年で 6割増し、7年で 4倍になるとのこと。
理由は不明としながらも、胃酸の抑制によりカルシウムの吸収が悪くなるからではと推測しています。


ちなみに、破骨細胞にもプロトンポンプが存在しているため骨代謝に何らかの影響を及ぼしているのでは、とも言われていますが原因はよくわかっていません。
消化器医として酸分泌抑制薬を長期に投与するケースが当たり前のように多いのですが、一方で食べ物を消化するのに必要な胃酸を無理やり押さえ込んでデメリットはないものなのかという疑問を私は持っています。
しかし、消化器の専門家の間でそのことが論議されることがないのも事実。
酸分泌を抑制することで様々な消化器疾患に打ち勝ち、人類に大いに貢献していることは紛れもないことです。
でも、胃食道逆流症を中心に今後 PPI 長期投与の症例はどんどん増えてくるはずですので、問題点が出てくればしっかり対処していかなくてはなりません。



● 低用量アスピリン療法を行なっている冠動脈性心疾患の患者に PPI を用いて上部消化管出血を予防することの費用効果を調べた研究。 (Arch Intern Med. 2008;168:1684-1690, 2543-2544)
OTC薬ならば費用効果が高いけれども、処方箋を用いると費用効果が良いのは出血リスクの高い人だけに限られると結論づけています。


医療システムの異なる国のデータであり当然医療コストにも違いがあるので、そのまま日本の現場にあてはめることはできません。
PPI に関して日本では、十二指腸潰瘍なら 6週間迄、胃潰瘍なら 8週間迄等、厳しい使用期限が設けられています。
対して米国では、医師の処方箋がなくともそこらへんの店で大衆薬として簡単に手に入るものなのです。
OTCとは over the counter の略で、一般用医薬品のことを指します。

循環器や脳外科などでアスピリンは使用頻度の高いものですが、消化管出血のリスクに対して無頓着なケースを見受けることがあります。
先ほど述べたように PPI に使用期限があって使いづらいことも一因かと思います。
ひとたびアスピリンが原因で消化管出血をきたすと簡単には止まらず、内視鏡医泣かせであります。
「低用量」という言葉に安心感を抱いているかもしれませんが、血小板に対するアスピリンの作用は非可逆的なものであることは肝に銘じてもらいたいところです。


         □ 関連記事  潰瘍にまつわる話題


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