野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
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2月7日(金) 14時30分~16時00分は学校保健委員会のため休診です。



 診療所ライブラリー

 ◆ 診療所ライブラリー 164 ◆


旅行用心集江戸時代は庶民の間で旅行ブームがあり、特に伊勢参りでは多い時に年間500万人が訪れたとという記録があるそうです。
一日当たり1万4千人が歩いていた計算になり、途中の宿場町がそれだけの人数を収容できたのか少々疑問ですが…。


1810年に刊行されたという「旅行用心集」を現代語訳したのが今回紹介する本です。
旅行に際しての注意事項がまとめられているのですが、当時の旅ならではの項目もあれば、現代にも十分通用する心得も書かれています。

船酔いした時の対処法にはとんでもないことが書いてありますし、ハンミョウは毒虫と断定していたり、五岳と白澤の絵札を忍ばせていれば災難を免れると真剣に語っている文もあります。
逆に、雨天時は土砂崩れや川を渡る際の増水に気をつけることが記されています。
渡河場所の降雨が大したことなくても、上流域の天候次第で増水があり得るという説明は、現代人も心得ておかなくてはならないことですよね。

また、旅の常備薬として五苓散が挙げられているのには驚きました。
以前「旅行に持っていくと重宝する漢方薬」と題して当ブログの記事を書きましたが、その中で私が真っ先に取り上げたのが五苓散なのです。
私自身、必ず携行して出かけるのですが、昔の方々も持っていたのですね。


なお、絵札については、「華麗なる薩摩焼」で麻疹除けるなるという
鍾馗の錦絵について書いていますのでそちらも併せてお読み下さい

 ◆ 診療所ライブラリー 163 ◆


仮病の見抜きかた
「総合診療医ドクターG」というNHKの番組があります。
登場する医師が実際に経験した症例がドラマで再現され、それを見ながら研修医が診断を絞り込んでいく過程が非常にワクワクしますよね。

今回紹介するのは、その「ドクターG」の小説版とでも言えそうな内容の本です。
タイトルから、この本の内容は、病気とは言えない仮病をどうやって嗅ぎ出すのか、という風なものと思われるかも知れませんが、全く違います。

不可解な訴えや症状で、なかなか診断がつかず、仮病として片づけられていた10のエピソード。
マイナーな疾患を解説する医学的な専門書なのに、小説という形態をとっているのが面白い趣向です。
病気のヒントになるような情報だけではなく、患者さんや医療スタッフとのさりげないやり取りも描かれていて、そこから学ぶことも多くあります。
先入観を持たずに患者さんの訴えを理解することの大切さも伝わってくる、新しい形の医学書です。

 ◆ 診療所ライブラリー 162 ◆


病院は東京から今朝の地元紙にこんな記事が載っていました。

看護職 最大27万人不足

医療の世界では2025年問題というものが以前から指摘されています。
団塊の世代が、後期高齢者となり社会保障費の急増が懸念されているのです。
今日の記事では、その2025年に看護職が都市部を中心に最大27万人も不足してしまうという推計が載っていました。
実は、既に不足は明らかで、看護師が比較的多いとされる鹿児島でも、多くの病院が定員を満たすのに苦労しています。

一方、医師不足も深刻なのですが、国は定員を減らそうとしています。
医学部の定員を1万2000人まで増やすと決め、ここ数年で医学部を2つも新設しておきながら、現在の定員は9400人程度に留まっています。
一般勤労者の倍を超える、医師の献身的な残業で医療現場は成り立っています。
働き方改革が叫ばれる中、地方の勤務医に関しては残業上限を年間2000時間にしましょう、なんてことを当の厚労省が案を出してくるなんて、ちゃんちゃらおかしいことです。

興味のある方は、今回紹介する本を是非読んでみて下さい。
関東エリアで始まっている病院崩壊の実態、それが地方に及んでくるのもそう遠くないと思います。

 ◆ 診療所ライブラリー 161 ◆


隠れぜんそく風邪をひいた後に、いつまでも咳だけが続く…。
こういう方を診る機会は案外多いのですが、咳喘息という疾患の念頭において診察・治療を行ないます。
咳喘息であれば、風邪が長引いているわけではないので、一般の風邪薬は無効です。
気管支喘息に準じた治療薬を使えば、なかなか止まらなかった咳が落ち着いてくるのです。
風邪の後に限らず、特定の時間帯や特定の環境下で咳が出る場合は、咳喘息を疑う必要があります。

一般に「隠れ喘息」とも呼ばれている咳喘息を患っている方は意外と多く、今回紹介する本の著者は、日本人の3~4割ほどいるのではないかとさえ言っています。
この本は、著者の長年の豊富な経験に基づき、分かりやすい平易な文章で気管支喘息や咳喘息の一般的な症状、原因、治療法を解説してあるので、もしかしたら自分も咳喘息 ? という気づきがあるかも知れません。
慢性的に咳でお悩みの方は、一読をお勧めします。

さて、既に気管支喘息や咳喘息の診断を受けている方へのお願いです。
本書にもあるように、症状が軽くなると治療を中断してしまう方が結構いらっしゃいます。
鹿児島県は気管支喘息の患者さんが多い上、十分に治療を受けていないため、喘息死が多いことも統計上わかっています。
我々の努力が足りないのかも知れませんが、定期的な医療機関への受診を怠りないようにして下さいね。

 ◆ 診療所ライブラリー 160 ◆


身近な人が脳梗塞かつて日本人の死因のトップだった「脳血管疾患」 (脳梗塞と脳出血 ) も、昭和の終わりに「悪性新生物」や「心疾患」に抜かれ、平成の終わりには「肺炎」にも一時抜かれて4位に後退しました。
最近発表された2018年の統計では「老衰」に抜かれて再び4位となっています。
平成の世の臨床現場に医師として関わってきた私も、脳卒中の数が減ってきているのを実感しています。
しかし、罹ってしまうと手足に麻痺が残ったり、会話がしにくくなったりなどの重い後遺症を残して、日常生活に大きな影響をきたすことがあります。

その脳卒中について、一般的な知識や治療法、後遺症が残った場合の自宅での介護のポイント、リハビリテーションの実際、再発を防ぐためのヒントなどをまとめたのが、今回紹介する本です。
見開きで右ページに解説、左ページに図表が配置されていて、非常に理解しやすくなっていると思います。
特に、ご家族にもできるリハビリや介助の仕方のイラスト入りの解説は役に立つと思います。

欲しい情報が全て詰まっている一冊、ご家庭に用意しておいても損はないですよ。

 ◆ 診療所ライブラリー 159 ◆


睡眠の教科書その1。
患者さんのご家族からの相談。
「毎晩のように突然ベッドから立ち上がり、ひとしきり雄叫びを上げた後、また寝入りますが、本人はそれを全く覚えていないというんです。」

その2。
全く食欲が湧かないというので、胃を中心に様々な検査をするも異常なし。
機能性ディスペプシアという診断でしばらく治療していたら、ご家族からこんな証言が。
「うちの子、夜中に食べてるんです。冷蔵庫をあさったり、料理を始めたり。その姿がちょっと怖かったもので、お話するのをためらっていたのですが・・。」

♦♦♦♦♦

上に書いた症例は、いずれもゾルピデム ( 先発品名 マイスリー ) という睡眠導入剤を服用していました。
ゾルピデムでは、このような夜間異常行動を起こすことが知られるようになってきています。

その1は睡眠時遊行症 ( 夢遊病 ) として、その2は睡眠関連摂食障害として、今回紹介する本できっちり解説がなされています。
睡眠時運転なるものも存在するようですが、本人は眠ったままですから怖いですよね。
これらの行動は、同居する人の指摘がない限りわかりません。
一人暮らしの方で見出すことはほぼ不可能でしょうから、知らぬ間に怪我をしたり火をつけっ放しにして火事になったりする危険もはらんでいるのは大きな問題です。

この本は「睡眠専門医が教える快眠メソッド」というサブタイトルが付いていますけど、このような睡眠障害に付随するような問題点を中心に書かれているように思います。

我々も、安易に睡眠導入剤を処方するのではなく、不眠の要因の有無や、同居する方がいれば夜間に問題行動はないかなどをしっかり聴取して適切に対応したいものだと思います。

 ◆ 診療所ライブラリー 158 ◆


医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本患者さんに運動を促す機会はよくあります。
でも、短い診療時間の中で個々に応じた具体的なメニューを指導するのは難しいものです。
体の痛みや家族の介護など様々な理由を抱えていて、かけられる負荷や時間などが一人一人異なるのが最大の理由。
そこで、ウォーキングから始め、それを習慣づけること。
習慣づいてきたら距離や負荷を増やしていくこと、などを勧めています。
しかし、その一歩すら踏み出せない方が実に多いこと‥。

今回紹介するのは、青山学院大学陸上部の指導で有名になった著者の本。
パラパラめくると、他の本に比べてエクササイズのイラストが少ないな、というのが第一印象なのですが、QRコードがあってウェブで動画にアクセスできるようになっています。
静止画よりも動画の方がそれぞれの動きのポイントを把握しやすいですよね。

前回紹介したロコモティブシンドロームなどにも言及がありますし、普段運動していない人に対してはいきなり強い負荷をかけるとあちこち傷めやすいので軽い運動からステップアップすることなども促しています。

体を動かすことは、生活習慣病の改善だけでなく予防にもつながります。
どうしても不十分になりがちな私の運動指導を具体的に教示してくれるお勧めの一冊です。

 ◆ 診療所ライブラリー 157 ◆


日本一わかりやすい筋肉の本世の中、筋肉ブーム。
特に、若い女性がダイエットの延長で、ボディメイクと称して美しい体作りのために筋トレを取り入れているように思います。

2007年に日本整形外科学会から「ロコモティブシンドローム」( 通称「ロコモ」) という概念が提唱されました。
これは、運動器の障害によって移動機能の低下した状態を言い、進行すると介護の必要性が高くなると指摘されているものです。

ロコモの中で、筋力が衰えることをサルコペニアと呼びます。
握力や歩行速度の低下は日常生活にも大きな支障を生じるだけではありません。
握力が5kg低下すると率が16%増えるとか、歩行速度の低下は認知症のリスクであるなどの報告もあるのです。

筋肉は体を動かすのに必要なだけではありません。
血糖や中性脂肪の調節にも大事な役割があります。

50歳代に入ると筋力が衰えが目立ってくると言われています。
私がジョギングを始めたのも、お尻や太ももがしぼんできたのが一番の理由。
職業柄、ロコモから介護が必要になった方や、運動しないために糖尿病や脂質のコントロールが悪くて大きな疾患に繋がっていった方を多くみてきています。
メタボを指摘された方やアラフィフ以上の方は、将来を見据えて少なくとも下肢の筋力だけは衰えさせないようにして下さいね。

今回紹介するのは、体の主だった筋肉の働きや鍛え方を簡潔にイラスト入りで解説してある本です。
自分の体の働きを理解するとともに、いつまでも活動的でいられるように、是非参考にしていただきたいと思います。

 ◆ 診療所ライブラリー 156 ◆


人体の限界人間は、100m走やマラソンで一体どこまで記録を伸ばすことができるのか。
自分自身が普段からジョギングをしているので、大変興味ある点です。
今回紹介する本によると、100mは9.35秒、マラソンでは2時間ちょうどなんだそうです。
高跳びや幅跳びはほぼ限界に達しつつあるけど、水泳はまだまだ伸び代があるのだとか。

視力や聴力、味覚など数字で表現できるものはもちろんなのですが、ストレスややる気の創出、適応障害などという項目についても「限界」という視点で語られている面白い内容です。
文章も専門的にならず一般の方にも非常に読みやすいですし、図表も豊富。
そして、横書きなのも好印象です。

私は、常日頃から科学系の本は横書きに限ると言っています。
なぜなら、数字や単位は縦書きだと不自然ですし、図表の中の文章などは横書きになっていることが多く、バランスが悪くなってしまうからです。

診療の待ち時間で、好きな項目を選んで読んでみて下さいね。



 ◆ 診療所ライブラリー 155 ◆


たたかうきみのうた手術を通して出会った子供たちとは付き合いが長くなるようで、成人してからも外来で嬉しそうに手術痕を見せようとする女性がいたり、同じ医療の道に進んで頑張っている人がいたり。
そんなエピソードを軽妙かつ味わい深いタッチの文章で綴るエッセイ。
ほぼ見開きで一つ一つが完結している短い物語ですが、著者が患者に寄り添い長きにわたって良好な関係を築いている様子を伺い知ることができます。
多くの人を惹きつける温かいお人柄なのでしょうね。

甲状腺疾患を扱う病院に勤務している時は若い人と接する機会も多かったのですが、内科医は比較的高い年齢層の方を相手にします。
なので、この著者とは見える世界が若干異なります。
しかし、転勤ばかりで長期に同じ方を診ることがほとんどなかった勤務医時代と比べ、開業医となってからは、患者さんとの長いお付き合いが格段に増えました。
著者と同じように、皆さんと年月を重ねていけるような存在になりたいと思った次第です。

この他にも、ご自身の母親の介護の話、上司から受けた薫陶や後進への温かなまなざしなど多岐にわたる内容のいずれもが心に染みる名著です。
続編もあるので、是非手に入れて読んでみるつもりです。



 ◆ 診療所ライブラリー 154 ◆


皇帝の漢方薬図鑑今回紹介するのは、よく使用する機会の多い漢方薬54種類をピックアップし、それぞれの効能をイメージしやすいキャラクターを割り当てて解説している本です。

前半では「風邪かしら? 気配したなら 葛根湯」「肉体の 水整える 五苓散」など、七五調の簡潔な言葉で、それぞれの漢方薬が持つ特徴を表現しています。
それぞれが的確で、処方する我々にもおおいに参考になります。
次いで漢方の基礎知識や生薬の一覧を簡潔にまとめ、最後に54種類の製剤について1ページずつ分かりやすく解説しています。
婦人科系や皮膚科系など、私の処方経験のない漢方については、使用にあたっての勘所が非常にイメージしやすく、臨床に取り入れてもいいかなと思わせてくれました。

私は、自分の守備範囲に置く漢方を少しずつ増やしてきています。
西洋医学の視点からするとわかりにくく謎めいた部分が多いのですが、これまでは対応できなかった愁訴を改善することができるなど、臨床に幅が出てきます。


一般の方はもちろん、医療関係者にも漢方の秀逸さを理解していただける非常に有用な本だと思います。


 ◆ 診療所ライブラリー 153 ◆


間違いだらけのご臨終医療、特に内科診療に携っていると、人の最終場面にお付き合いする機会がしばしばあります。
その具体的な症例の体験談などを元に、最期をどう迎えるべきか、家族としてその時間にどう対応するのがいいのかを考えていく一冊です。

一般の方は家族や親類の人数分しか経験できない看取りですが、医療関係者は数多くの現場に立ち会います。
本の内容は、病院の勤務医という立場からの提言で、これが老健施設や在宅診療に関わる者の視点からだと、また違った内容になるのではないかと思います。
物の見方の相違があるかも知れませんが、場数を踏んでいる分、一般の方が肉親との最期のひとときを大切に過ごす参考になるのでないでしょうか。

本書には「中治り」と「お迎え現象」と呼ばれるものが記されています。
前者は亡くなる数日前に一時的に食欲や元気を取り戻す現象を言います。
このタイミングでご家族との会話などが弾むことがあります。
後者は先に亡くなった縁者が目の前に現れ、それこそお迎えに来るという幻覚を見ること。
経験した人は穏やかな最期を迎えることができるとか。
両者とも医学的な説明が難しいものですが、これらの現象は珍しいものではありません。
医療関係者は不思議に思いながらも、その場面に居合わせる機会が多いです。


 ◆ 診療所ライブラリー 152 ◆


うつ病記医療情報は日々新しくなっていくので、発売からある程度の年数が経過したものは当院のライブラリから除外するように心がけています。
今回紹介するのは2007年に発行されたものですが、内容に古さを感じさせません。

著者がうつ病になる経過や闘病生活の様子を、自分自身の心の整理のつもりで綴ったという漫画。
絵本を出版した経験もあるというだけあって、山あり谷ありの顛末をほのぼのとした作風の絵で描いています。
しかし、体の不調の原因がうつ病にあると診断が下るまでの様子、休職中の家族との関わり、復職後の周囲の接し方、再び休職した時の経済的な問題など、当事者ではなくてはわからない状況や心の葛藤などがしっかり語られています。
普段いろんなストレスを背負っている人はもちろん、我々医療関係者にとっても、うつ病という疾患を逃さないためのヒントがちりばめられた参考書のように思います。

最近、有給休暇が10日間追加されるごとにうつ病発症のオッズが3割ほど低下するという調査報告がありました。( → こちら )
今回の著者のうつ病の発症には、多忙を極めた仕事に原因があります。
労働力不足が問題化していますが、ゆとりのある働き方も考えてうつ病発症の回避も努力しないと、案外大きな経済的損失につながるのではないでしょうか。




 ◆ 診療所ライブラリー 151 ◆


健康診断本年4月から日本人間ドック学会の判定区分の改定が行われました。
2014年には独自のとんでもない基準範囲の値を公表し、医療現場に混乱をもたらしました ( → 健康な人の基準値が変わると聞いたけど… ) 。
しかし、今回の改定では、国の特定健康診査の基準や各学会で定めた基準に準じたものに概ね落ち着いていますね。

人間ドック学会に準じるものであれば、どの判定区分とするかは数値が示されています。
しかし、健保組合の健診などでは依頼している医療機関によって基準値が異なり、判定区分の数もまちまちで、どの区分にするかが医師によって判断が異なることがあります。

この前も、ある健診でアミラーゼが基準範囲をほんのわずか上回っているだけで、要精検との判定が下され、外来受診された方がいました。
毎年、基準範囲をちょっと超えていて、その中でも今回の数値は一番低く、極めて基準範囲に近かったのです。
過去の判定は経過観察程度だったのに、今回は逆に判定が厳しくなっていました。
恐らく判定した医師が異なったからでしょう。
私だったら、自覚症状や他の項目の数値、過去の受診データがあるのならその数値との比較を行って最終的な判断を下すところですが。

今回紹介する本書の中でも、統一されていない基準についての言及があります。
どこで受けても同じ判定が下されるようになるといいのですが。
そんな中にあっても、B判定の中には将来様々な疾患につながる可能性が潜んでいると指摘し、生活習慣を改め本来の健康を取り戻すための様々な情報が盛り込まれている一冊です。

人間ドックや健康診断で大事なのは、受けっ放しにしないことと、定期的に受けることだと思います。

 ◆ 診療所ライブラリー 150 ◆


尿酸値は下げられる尿酸が高いと痛風になる。
多くの方はそのように理解されていると思いますが、尿酸の治療ほど悩ましいものはありません。

尿酸値は7.0mg/㎗までは基準範囲内とされており、薬を必要とするのは9.0mg/㎗以上から、高血圧や腎障害・糖尿病などの合併症がある場合は8.0mg/㎗以上から、と日本のガイドラインで示されています。
しかし、欧米では尿酸が高いというだけでは治療をしません。
痛風発作を一度起こした人の再発予防として薬を使用するのです。
2016年に米国の内科学会は、痛風発作が再発していなければ内服治療は推奨しない、とまで言っています。( → こちら )

尿酸は血液から尿に排泄されますが、不思議なことに一度捨てた尿酸を途中で再吸収する仕組みが腎臓に備わっています。
尿酸は抗酸化作用を持っていて、それはビタミンCよりもはるかに強力なのです。
多くの動物は体内でビタミンCを合成できますが、それができないヒトにおいて、尿酸がビタミンCの代役を担っているのではないかという説もあります。
また、尿酸には神経保護作用があって、高い人ほどパーキンソン病になりにくいという報告もなされています。
一方、尿酸が低いと運動後などに急性腎不全や尿路結石が起りやすいこともわかってきました。
尿酸ってまだ未解明な部分が多いのです。


ただ、メタボな人ほど尿酸が高い傾向にあるのは確か。
健康診断などで尿酸が高いと指摘された人は、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいと思います。
今回紹介する本では、尿酸値を下げるための食事や飲酒を含めた日常生活の改善のヒントが数多く書かれています。
先に紹介した米国内科学会の痛風治療のガイドラインでは「痛風と診断された人が食事内容、節酒、減量の指導を受けることで尿酸値が下がると言える十分な証拠はない」としているのですが、尿酸を下げるための生活習慣改善は、他の疾患予防にも大いに役に立つものばかりですから。

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