野口内科 BLOG

  野口内科は鹿児島市武岡に開業して46年を迎えました。
  当ブログでは、当院からのお知らせ、医療・健康に関する情報の他に、近隣の話題、音楽・本のこと等を綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:00 (金曜は〜18:30)
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
    院長   野口 仁

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 診療所ライブラリー

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アスペルガー症候群とはどんな疾患か、それにどう接するべきかについて書かれている本。

この中で書かれている対処法は疾患を持つ子供へのアプローチの一手法であってこれがすべてではないでしょうが、普段の子育てにもとても参考になる部分もあると思います。
子供のもつ能力を十分に発揮できる環境作りも大切ですね。
とにかく読み物として非常によくまとまっていてたいへん面白く、アスペルガー症候群についての一通りの知識を身に付けるにはもってこいです。

アスペルガー症候群の著名人のエピソードを交えた具体例を読んでいると、この疾患の傾向を抱えている人は幾らでもいるように思います。
特に同業者には私も含めていっぱいいるような気がします。
私 ?・・・マルチタスクがとても苦手ですね。
一つのことに集中すると、他のことは目に入らなくなっちゃいますから。

人類に立ちはだかる様々な困難に対してブレークスルーをもたらす能力を秘めている場合もあるので、この日本の難局面で彼らの特性が十分に発揮できるといいのかもしれません。

なお、大学の同級生もこの本についてブログ上でコメントしています。( → こちら )
同窓会で会ったときに発破をかけておいたのですがそれでもブログは半ば放置状態。
もっと更新を心がけてね。


  → アスペルガー症候群

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日本人の胃癌の9割はピロリ菌が原因とされています。
つまり、日本人の胃の中からピロリ菌がいなくなれば、胃癌患者はは今の10分の1まで減少するということになるのです。

30年近く前にピロリ菌が発見されたことによって、胃の病気の診断や治療は大きく変化しました。
この本は、それ以前の歴史から最新のトピックスまでをコンパクトにわかりやすく網羅してあり、これ一冊あれば、他のピロリ菌に関する著書は不要でしょう。
是非手に取ってみてください。

内視鏡を扱っていると、ピロリ菌存在の有無は胃の表面の様子からだいたいわかるのですが、今の保険制度ではピロリ菌に感染しているというだけでは治療を受けることができない仕組みになっています。
ピロリ菌を早期に除菌するのと潰瘍や癌になってから医療を施すのとどちらが経済的か、そういう視点から考えても現行制度はナンセンスです。
その点にも触れられていますが、改善されるのはいつのことでしょうか。


  → 胃の病気とピロリ菌―胃がんを防ぐために

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医食同源という言葉があるように、健康と食事は切っても切れない仲。
診療所のライブラリーにも何冊か食事に関係する本を並べてあります。

数年前に食の偽装問題が相次ぎましたが、その根底にあるのは安くておいしいものを要求する消費者自身に問題があるのではないかと、様々な食材をレポートして考察するのが今回紹介する本です。

口蹄疫や鳥インフルエンザ問題の時に驚いたのは一つの施設の限られた空間に飼われている家畜の数の膨大さ。
醤油や豆腐、納豆など日本人の大豆の消費は多いのに極めて低い自給率。
普段からとても疑問に思っていることがたくさんありました。
消費者の要求する低価格を実現すべく追い求めた食料の供給の実態が一体どういうものなのか、この本で垣間見ることができます。
一方で、しっかりとした理念を持って本物にこだわる生産者もいることがいくつかレポートされています。

この本と同時期に読んだ本に「世界の食料ムダ捨て事情」がありますが、こちらは大量廃棄される食糧問題の深刻さをえぐり出したもの。
二つの本を通して、自然の恵みを忘れかけた飽食時代の日本人はとんでもないものを口にし、まだまだ食べられるものを捨てている現実を知ることになりました。

福島原発事故を契機に節電に対する意識は高まってきましたけれど、消費者自身が食習慣の現状にも目を向けて改めるべきところは改めていかなければなりませんね。
それは地球環境にも優しいことですし、メタボ改善や疾病予防にも繋がっていくのです。


  → 日本の「食」は安すぎる 「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない

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皆様に医療や介護、薬などについて正しい知識を持っていただくことを目的として書籍を揃えて貸し出しを行なっていることは既にご承知のことと思います。
たくさんの本を手にして思うのですが、図版の多いもの、見開きで情報をうまくまとめているものなどは非常に理解がしやすいものです。

今回紹介する本はまさにその典型的なもので、読み始めたら最後までがあっという間ですし、頭の中に情報がしっかり定着します。
ただ、医療に関する情報は横文字や数字が多いのでできれば横書きが望ましいと思うのですが、この本は右ページは縦書きの文章、左ページは横書きの図版。
こういう混在があっても頭がパニックに陥らないのは日本人の素晴らしい能力なのでしょうか。

本の中身については全く触れていませんでしたが、とにかくパニック障害についてわかりやすく解説してありますので、実際に手に取ってページをめくってみて下さい。


   → ササッとわかる「パニック障害」に気づいて治す本

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ちいさいみんなが がいらいで じゅんばんをまっているあいだに たいくつしないように えほんのかずを ふやしました。
でも びょういんなので みんなにからだのおべんきょうを してもらいます。
「やさいしからだのえほん」というしりーずを そろえました。
まいにち おしりからでてくる うんちのことや ほねのこと まっかなちのこと むしばのこと。
ふしぎがいっぱいの からだのなかのようすを たんけんしてみましょう。


絵本に関しては貸し出しに対応いたしませんので、お父様・お母様、ご理解の程お願い申し上げます。


   → うんちは どうして でるの? (やさしいからだのえほん)

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生命科学の分野に一大センセーションを巻き起こしたヒト iPS細胞の誕生からはや3年4ヶ月が経過しました。
研究成果を世界に先駆けていち早く発表した私の出身大学の先輩にあたる山中教授はノーベル賞間違いなしと騒がれているのはご存知かと思いますが、iPS細胞がどんなものかを理解されている方はそう多くはないと思います。
そのような方にうってつけなのがこの本です。
平易な文章でとてもわかりやすく、iPS細胞のことだけではなく生命の不思議、近い将来始まるであろう再生医療、そして日本の研究環境の悪さまで理解していただけることでしょう。

当院の書籍の貸し出しを利用して勉強される方もたくさんいらっしゃいます。
私としてもうれしい限りです。


   → iPS細胞 世紀の発見が医療を変える

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医学の未発達の時代に猛威を振るい人々が恐れた感染症は、時には大きく歴史を動かしてきました。
この本では、よく知っている歴史上の大きな出来事の裏にもペストや梅毒などの疾患が影響を及ぼしたことを当時の政治や宗教、ライフスタイルなどに言及しつつ語られており、歴史を別の側面から学び直すことが出来ます。

日本でも東大寺建立の一つに疫病の流行があったようですね。
私が神戸に住んでいたときに近所に日本で最初の厄除八幡宮がありましたが、これも藤原四兄弟が天然痘で次々に倒れたことをきっかけに造られたようです。

感染症の中には長期に及んで人々を苦しめているものもあれば、ノロウイルスのように近年にわかに広まってきたもの、SARSのように治療法が確立されていないのに勝手に消えた ( ? ) ものもあります。
この不可思議な感染症の世界は現在でもこれからも我々に様々な形で揺さぶりをかけていくのでしょうね。

当院の書籍の貸し出し、大いに活用して下さい。


   → 感染症は世界史を動かす

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入院というのは思いもかけない形で突然身に降りかかる出来事だと思います。

ご自身だけでなく、ご家族や知り合いが入院したときに一体どう対応をしたらいいかというのをまとめたのがこの本。
著者自身の体験を踏まえ、「患者本人」「見舞う立場」「家族の役割」などに章立ててわかりやすく解説してあります。
入院やお見舞いで注意する点だけではなく、医療費の仕組みや最近クローズアップされている医療テーマについての筆者の考えも述べられており、私も大いに勉強になりました。

ただ、お見舞品の項で食べ物についてはさらりと流していますが、特に内科系の入院では厳しい食事制限下にある方が多いので食べ物を持ってくるのは極力避けてくださいね。
「せっかく持ってきてもらったので悪いと思って・・・。」
スイーツをペロリと平らげられて、我々の努力が無に帰する経験を何度もしていますので。


   → 入院・通院&お見舞い いざというとき読む本

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今回は非売品のご紹介となります。

毎月、加入している学会から雑誌が郵送されてきますが、今年は日本消化器病学会から「患者さんと家族のための」というタイトルを持つガイドブックがいくつか送られてきています。
医師向けに作成された疾患のガイドラインを一般向けに解説したもの。
横書きで、図版が豊富で、Q&A方式で、まあまあわかりやすくなっています。
ただ、私に言わせればもっと平易な文章に出来たはず・・・。

「胃食道逆流症(GERD)」「消化性潰瘍」「胆石症」「慢性膵炎」についてのガイドブックを当院の診療所ライブラリに加えておきます。
これらは近いうちに日本消化器病学会のホームページでも公開できるよう準備中だそうで、こういう取り組みは評価してもいいと思います。


   → 患者さんと家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイドブック

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一般の人向けに内視鏡の開発の歴史や内視鏡による治療法などを総合的に紹介する本は意外にもほとんどないので期待していた本です。

まず、現在に至るまでの内視鏡の歴史が語られ、ここ数年で登場した経鼻内視鏡やカプセル内視鏡、小腸内視鏡などにも触れています。
そして画像強調観察や内視鏡を用いた早期胃癌の切除法も解説。
と、まあここまではいいのですが、最後は日本における薬や医療機器の審査・承認システムの問題に言及しています。

一つの本の中で二つの内容をやってしまっては焦点がぼけてしまいます。
前半部分だけをもっと一般の人も分かりやすい文章でたくさんの図版を使って解説すれば、とてもいい本になっていたと思うのですが。
ただ、内視鏡の歴史の部分は外来での待ち時間でサッと読めてしまうのと思いますので、是非目を通してみて下さいね。

ちなみに内視鏡の開発秘話については、このブログを書き始めてすぐの頃に紹介した吉村昭の「光る壁画」( → 内視鏡を題材にした小説 )という作品がお勧めです。


   → 最新内視鏡医学

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身近な人も含めて、特に高齢の方で口の中の乾燥に悩まされている方が結構いらっしゃいます。
唾液の出が悪くなると食べ物を飲み込むのに時間がかかりますし、唇がくっついて話しづらくなるなど日常生活にかなりの支障が出てきます。

この本ではドライマウスの様々な原因や治療法だけでなく、唾液の大切な役割などにも言及しています。
このブログを始めた頃、「傷は舐めるに限る」と題して唾液に含まれる上皮成長因子 (EGF) について書いたことがあるのですが、私の主張と同じようなことも書かれています。

さて、治療薬なのですが臨床上大変窮しているのが現状です。
古くからある人工唾液は決して好評とは言えず、唾液腺を刺激する薬は日本においてはシェーグレン症候群という病気にしか使えません。
そこで私は裏技としてある胃薬を使うことがあるのですが、唾液腺を刺激する薬よりも唾液がよく出るような印象で助かっています。

当院の書籍の貸し出し、様々なジャンルの本を取り揃えていますので、遠慮なく活用して下さい。


   → 「現代病」ドライマウスを治す

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精神科領域の疾患に流行り廃りがあるとは、以前紹介した本に記載されていたことですが、この本のタイトルにあるような自己責任を認めず他罰的な言動を起こす人々が目だって増えてきたのは確かにここ数年の話です。

著者の定義する「悪いのは私じゃない症候群」に属する人たちのケースを具体的に提示し、そのような人が増えてきた背景として、日本に突然入り込んできた競争原理や市場万能主義等の社会的要因と、自分は安全なままに他人を責めることのできるネットの発達を挙げています。

2006年に刊行されたこちらの本では、社会と折り合えず自分を見失ってしまった人向けに書かれていましたけど、そういう人は少数派になりつつあるのでしょうか。


  →悪いのは私じゃない症候群

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乗り物酔いは臨床では若干軽視されがちですけど、悩んでおられる方には深刻な問題。
起立性調節障害という小児の疾患の診断基準の中に乗り物酔いの有無を問う項目があることもあって、私はよく乗り物酔いの話を患者さんから聞いていろいろな疾患の手掛かりにする機会も多いのです。

それにしても乗り物酔いだけで果たして本が1冊書けるのか ?
書けちゃうんですね。
原因から検査、治療法、自分で出来る対策など様々なことが網羅してあり、乗り物酔いに困っている方には多いに役立つものと思います。
ただ、治療薬に関しては具体的な手の内を明かしていないのはちょっと残念ではありますが、これは仕方ないですかね。

個人的に勉強になったのは吐き気を表す英語「nausea」がギリシャ語の船に由来するということ。
そして、髪染め液がめまいの原因となる可能性があること。
髪染め液に関しては最近、原発性胆汁性肝硬変のリスクを高めるという報告もあったばかり。( Gut 2010; 59: 508-512 )
これから増えるであろう白髪、どうしましょう。


   →「乗り物酔い」撃退ブック―遠足も旅行もドライブも楽しくなる!

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30代の女性漫画家が実際に人間ドックを受け、その体験をコミック仕立てにした本。
漫画なのであっという間に読めますが、どういう流れで人間ドックの検査が進んでいくのかが頭に入りやすいと思います。
医療施設の選び方や正常値であっても気をつけなければばならない点も解説がなされています。
医師の立場からも、受診される方がどのような気持ちで検査を受けているのかが分かって勉強になりました。

一つ残念なのは表紙にもなっている経鼻内視鏡の場面です。
検査は左側臥位 ( 左を下にして横向き ) で受けていただかなくてなりません。
内視鏡の構造上、絵のような右側臥位では検査が出来ないのです。
この点は、監修の先生も十分にチェックしていただきたいと思います。


   →臓器ちゃん、のぞいてみました

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皆さんが病院で診察を受けて、我々が処方する薬。
その生い立ちを様々なケースについて紹介しているのがこの本。

キョウチクトウやライラックなど身近にあって昔から民間療法などに用いられていた植物から。
赤色や青色の色素から。
サルジニアの排水口やボルネオのジャングルの土壌から。
南米の蛇や北米のトカゲの毒から。
さて、一体何が出来たでしょう。

この本に答えは書かれていますが、創薬における研究者の努力やアイデアに感心したり、その過程にワクワクしたりしながら読み進めていくことのできる本です。
薬の名称の由来については知らないことばかりで勉強になりました。
とてもわかりやすい文章なので、医療分野の知識がなくても十分に楽しめる一冊です。


   →知らずに飲んでいた薬の中身

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