野口内科 BLOG

  野口内科は鹿児島市武岡に開業して46年を迎えました。
  当ブログでは、当院からのお知らせ、医療・健康に関する情報の他に、近隣の話題、音楽・本のこと等を綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:00 (金曜は〜18:30)
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
    院長   野口 仁

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 診療所ライブラリー

 ◆ 診療所ライブラリー 170 ◆


すべての医療は.「不確実」である巻頭とあとがきで、著者が若手医師だった頃に経験したつらい症例のことが書かれています。
そこで「たとえようのない無力感と、諦念と、ある種の罪悪感に同時に襲われた」そうですが、私も同じように気持ちになったことがあります。
ずっと医療に携っていますが、今の医学が何でも治せるものではないし、同じ疾患でも患者ごとに治療成果が異なることは嫌というほど思い知らされます。

20年ほど前までは医者の経験や勘に頼っている部分が多かった臨床現場に、科学的根拠に基づいた医療を施すことが徐々に浸透してきました。
個人的な医師の経験則を排除して、信頼性の高い治療法がどんな医療機関でも受けられるよう平準化がなされてきているのです。

その科学的根拠を明らかにする臨床疫学という学問に身を投じた著者が、しっかりしたデータを元に様々な医療手段に鋭く切り込んでいるのが、今回紹介する本です。

がんの代替医療が科学的根拠に基づく医療を代替できることはないと断じていますし、 風邪への抗菌薬処方が慣習的な医療であり患者もその臨床的経験に依拠してしまうこと、タミフルや子宮頸癌ワクチンの騒動にはマスコミがあまりにも無責任な報道を行なってきたことも断罪しています。
面白いのは、職場の定期健康診断で医者の聴診は不要だし、医者の診察すら不要だとしていること。
これにもちゃんとしたデータに基づいた提案なのです。

医療がどう不確実なものか、それは本書を読んでいただくこととしますが、個人的にはタイトルのイメージとは裏腹に読後にスカッとした気分になれる非常に面白いないようでした。


参考 → 「風邪の際の抗菌薬に対する意識」 

 ◆ 診療所ライブラリー 169 ◆


誤嚥性肺炎最近、食べ物や薬をのどに引っかけてしまうことが増えてきました。
今日紹介する本の中にも「飲み込む力の低下は40代、50代から始まって」いると書いてありますが、それを実感する日々です。
でも、のどの筋肉は何歳からでも鍛えられるとか。
紹介されているとても簡単な体操を活用していこうと思います。

ご存じかも知れませんが、日本人の死因の上位に肺炎が挙げられます。
一時は死因第三位になったこともあり、また年齢が上がるほどその比率は高くなっていくので、肺炎対策は重要です。
「高齢者の肺炎の7割は誤嚥と関係がある」ということで、本書では誤嚥性肺炎の原因やその対策方法をイラスト入りで非常に詳しく解説してあります。
高齢者を介護する立場にある方も多いと思いますが、とても実用的な本なので是非一読して下さい。


ただ、ちょっと気になる間違いを指摘しておきます。
胃食道逆流症 ( 逆流性食道炎 ) についてなのですが、「横向きに寝る場合は、右を下にして寝ると、胃から腸への食物の移動が促され、逆流を予防します」と書いてあります。
このような解説を時々見かけるのですが、全くの逆で、左を下( 左側臥位 ) にしなければいけません。
下のイラストを見て下さい。

胃左側臥位右側臥位の胃

左から、立位・左側臥位・右側臥位にした時の胃の向きです。
大事なのは食道と胃の位置関係で、中央のイラストの左側臥位だと食道が上方にきます。
立位で胃は左側 ( イラストでは向かって右側 ) に大きく張り出していますが、この張り出しが左側臥位だと下になります。
この部分に胃液が溜まるのです。
よって逆流しにくくなります。
右端のイラストの右側臥位だと、逆流を助長してしまうのは説明するまでもないでしょう。
胃食道逆流症 ( 逆流性食道炎 ) でお悩みの方が就寝される際は、左側臥位を意識して下さいね。 

 ◆ 診療所ライブラリー 168 ◆


疲れない新型コロナの世界的流行の中、日本でも緊急事態宣言がなされ、不要不急の外出は避けるように呼びかけられています。

私は、ここ数年ジョギングをするようになって外にいる時間が増えました。
しかし、それまでは巣ごもり生活を全く苦にしないタイプでしたので、退屈しのぎの引き出しはいくらでも持っています。

今回紹介するのは、簡単なポイントに注意することで、いろんなシーンで疲れにくくなる体を得るためのノウハウが詰め込まれている本です。
背骨に頭をふんわり乗せて体の無駄な力を省くことで、台所仕事や草むしり、階段昇降、座りっ放しなど様々な場面で疲れなくなるというもの。
自分の体の取り扱い方をイラストで丁寧に説明しています。

私も、ジョギングの際にフォームを意識します。
足の運び方以外には、ナチュラルな椎骨のカーブを保って頭をその上に乗っけて上半身の重心がぶれないようにすることも心掛けていますので、この本を手にした時は私の考え方が補強されたように思いました。

家の中でもできる簡単な体の使い方の補正です。
この本を参考に、有意義な「Stay Home」を実践して、社会に日常が戻った時に疲労を感じないで過ごせる体に作りかえておきましょう。

 ◆ 診療所ライブラリー 167 ◆


教養としての健康情報テレビでも新聞でもネット上でも、最近のニュースは専ら新型コロナウイルスのことばかり。
健康を脅かし、様々な日常生活に大きな支障をきたしているのですから致し方ありません。
そんな中で、根拠のないフェイクな情報やデマに人々が踊らされているシーンも目に付きます。
例えば、免疫力を高めるとして納豆やヨーグルトがスーパーの棚から消えたり、感染予防効果があると唄った空間除菌グッズを買いに走ったり・・。

今回紹介するのは、医療や健康系の情報を本当かどうか見分ける方法のヒントをちりばめた本。
マスクが本当に感染予防になるのか、ビタミンCに風邪の予防効果はあるのか、など具体的な医療情報をいくつか挙げ、その元になった論文などを提示して真偽の程を確かめていくことで、読み解き方が身に付いてくるという内容です。

いろんなことが自粛ムード中で萎縮し、自宅にいる時間が増えていると思います。
そういう時は、本を読んで知識を深めましょう。
当ブログでは、様々な医療や介護などに関連する本をこれまでにたくさん紹介してきましたので、是非参考にして下さい。( →  診療所ライブラリー )

 ◆ 診療所ライブラリー 166 ◆


もしも病院に犬がいたら犬を飼うと我々の健康にさまざまなメリットをもたらすことが知られています。
一緒に散歩をするなどで身体活動が高まり、糖尿病などの生活習慣病やフレイルに罹りにくいとか、独居の方は飼っていない人に比べて死亡率が低い、といったような報告があります。


病気や障害を持つ方々の身体や機能の回復の補助をするセラピードッグの活動をご存知の方が多いと思いますが、今回紹介する本の主人公は日本初のファシリティドッグ。
セラピードッグはさまざまな場所で活躍します。
これに対してファシリティドッグは、ある一ヶ所の施設にとどまって活動するのが大きな相違点です。

病と闘う子供たちを3000人も支えてきたというファシリティドッグ「ベイリー」の活躍から引退までを追ったNHKの番組が昨年放送されました。
そのベイリーが日本に来るきっかけから子供たちやスタッフに溶け込んで活躍していく様子を、描いた本。
子供たちにもわかりやすい文章ですし、文字も大きいのでご高齢の方々にも読みやすくなっています。


各地でファシリティドッグの導入が進めばいいのでしょうが、育成やコストの問題がどうしても足かせとなってきます。
理解が進み、多くの方々の賛同が得られる取組みに育ってほしいと願っています。

 ◆ 診療所ライブラリー 165 ◆


ボクは甲状腺甲状腺疾患を抱える人は、30人に1人とも20人に1人とも言われています。
決して珍しくない甲状腺の病気について、絵本という形式をとってわかりやすく解説しているのが今回紹介する本です。

医学関連の本はたくさん出ていますが、いい本にはなかなか出会えません。
でもこの本は一押しです。

① 文章が平易であり、見開きで一項目が完結していること
② 横書きであること
③ 図版が多いこと

私が日頃からこの手の本に求めている条件が全てそろっているのです。
イラストは愛らしく、ページ毎に工夫を凝らした配色もなかなか見事です。

いつも下手くそな絵を描きながら甲状腺の検査データや各疾患の説明をしているのですが、この本のイラストを利用する方が患者さんによく理解してもらえそうに思います。

甲状腺疾患をお持ちの方々もお手元に置いておいて損のないオススメの一冊です。

 ◆ 診療所ライブラリー 164 ◆


旅行用心集江戸時代は庶民の間で旅行ブームがあり、特に伊勢参りでは多い時に年間500万人が訪れたとという記録があるそうです。
一日当たり1万4千人が歩いていた計算になり、途中の宿場町がそれだけの人数を収容できたのか少々疑問ですが…。


1810年に刊行されたという「旅行用心集」を現代語訳したのが今回紹介する本です。
旅行に際しての注意事項がまとめられているのですが、当時の旅ならではの項目もあれば、現代にも十分通用する心得も書かれています。

船酔いした時の対処法にはとんでもないことが書いてありますし、ハンミョウは毒虫と断定していたり、五岳と白澤の絵札を忍ばせていれば災難を免れると真剣に語っている文もあります。
逆に、雨天時は土砂崩れや川を渡る際の増水に気をつけることが記されています。
渡河場所の降雨が大したことなくても、上流域の天候次第で増水があり得るという説明は、現代人も心得ておかなくてはならないことですよね。

また、旅の常備薬として五苓散が挙げられているのには驚きました。
以前「旅行に持っていくと重宝する漢方薬」と題して当ブログの記事を書きましたが、その中で私が真っ先に取り上げたのが五苓散なのです。
私自身、必ず携行して出かけるのですが、昔の方々も持っていたのですね。


なお、絵札については、「華麗なる薩摩焼」で麻疹除けるなるという
鍾馗の錦絵について書いていますのでそちらも併せてお読み下さい

 ◆ 診療所ライブラリー 163 ◆


仮病の見抜きかた
「総合診療医ドクターG」というNHKの番組があります。
登場する医師が実際に経験した症例がドラマで再現され、それを見ながら研修医が診断を絞り込んでいく過程が非常にワクワクしますよね。

今回紹介するのは、その「ドクターG」の小説版とでも言えそうな内容の本です。
タイトルから、この本の内容は、病気とは言えない仮病をどうやって嗅ぎ出すのか、という風なものと思われるかも知れませんが、全く違います。

不可解な訴えや症状で、なかなか診断がつかず、仮病として片づけられていた10のエピソード。
マイナーな疾患を解説する医学的な専門書なのに、小説という形態をとっているのが面白い趣向です。
病気のヒントになるような情報だけではなく、患者さんや医療スタッフとのさりげないやり取りも描かれていて、そこから学ぶことも多くあります。
先入観を持たずに患者さんの訴えを理解することの大切さも伝わってくる、新しい形の医学書です。

 ◆ 診療所ライブラリー 162 ◆


病院は東京から今朝の地元紙にこんな記事が載っていました。

看護職 最大27万人不足

医療の世界では2025年問題というものが以前から指摘されています。
団塊の世代が、後期高齢者となり社会保障費の急増が懸念されているのです。
今日の記事では、その2025年に看護職が都市部を中心に最大27万人も不足してしまうという推計が載っていました。
実は、既に不足は明らかで、看護師が比較的多いとされる鹿児島でも、多くの病院が定員を満たすのに苦労しています。

一方、医師不足も深刻なのですが、国は定員を減らそうとしています。
医学部の定員を1万2000人まで増やすと決め、ここ数年で医学部を2つも新設しておきながら、現在の定員は9400人程度に留まっています。
一般勤労者の倍を超える、医師の献身的な残業で医療現場は成り立っています。
働き方改革が叫ばれる中、地方の勤務医に関しては残業上限を年間2000時間にしましょう、なんてことを当の厚労省が案を出してくるなんて、ちゃんちゃらおかしいことです。

興味のある方は、今回紹介する本を是非読んでみて下さい。
関東エリアで始まっている病院崩壊の実態、それが地方に及んでくるのもそう遠くないと思います。

 ◆ 診療所ライブラリー 161 ◆


隠れぜんそく風邪をひいた後に、いつまでも咳だけが続く…。
こういう方を診る機会は案外多いのですが、咳喘息という疾患の念頭において診察・治療を行ないます。
咳喘息であれば、風邪が長引いているわけではないので、一般の風邪薬は無効です。
気管支喘息に準じた治療薬を使えば、なかなか止まらなかった咳が落ち着いてくるのです。
風邪の後に限らず、特定の時間帯や特定の環境下で咳が出る場合は、咳喘息を疑う必要があります。

一般に「隠れ喘息」とも呼ばれている咳喘息を患っている方は意外と多く、今回紹介する本の著者は、日本人の3~4割ほどいるのではないかとさえ言っています。
この本は、著者の長年の豊富な経験に基づき、分かりやすい平易な文章で気管支喘息や咳喘息の一般的な症状、原因、治療法を解説してあるので、もしかしたら自分も咳喘息 ? という気づきがあるかも知れません。
慢性的に咳でお悩みの方は、一読をお勧めします。

さて、既に気管支喘息や咳喘息の診断を受けている方へのお願いです。
本書にもあるように、症状が軽くなると治療を中断してしまう方が結構いらっしゃいます。
鹿児島県は気管支喘息の患者さんが多い上、十分に治療を受けていないため、喘息死が多いことも統計上わかっています。
我々の努力が足りないのかも知れませんが、定期的な医療機関への受診を怠りないようにして下さいね。

 ◆ 診療所ライブラリー 160 ◆


身近な人が脳梗塞かつて日本人の死因のトップだった「脳血管疾患」 (脳梗塞と脳出血 ) も、昭和の終わりに「悪性新生物」や「心疾患」に抜かれ、平成の終わりには「肺炎」にも一時抜かれて4位に後退しました。
最近発表された2018年の統計では「老衰」に抜かれて再び4位となっています。
平成の世の臨床現場に医師として関わってきた私も、脳卒中の数が減ってきているのを実感しています。
しかし、罹ってしまうと手足に麻痺が残ったり、会話がしにくくなったりなどの重い後遺症を残して、日常生活に大きな影響をきたすことがあります。

その脳卒中について、一般的な知識や治療法、後遺症が残った場合の自宅での介護のポイント、リハビリテーションの実際、再発を防ぐためのヒントなどをまとめたのが、今回紹介する本です。
見開きで右ページに解説、左ページに図表が配置されていて、非常に理解しやすくなっていると思います。
特に、ご家族にもできるリハビリや介助の仕方のイラスト入りの解説は役に立つと思います。

欲しい情報が全て詰まっている一冊、ご家庭に用意しておいても損はないですよ。

 ◆ 診療所ライブラリー 159 ◆


睡眠の教科書その1。
患者さんのご家族からの相談。
「毎晩のように突然ベッドから立ち上がり、ひとしきり雄叫びを上げた後、また寝入りますが、本人はそれを全く覚えていないというんです。」

その2。
全く食欲が湧かないというので、胃を中心に様々な検査をするも異常なし。
機能性ディスペプシアという診断でしばらく治療していたら、ご家族からこんな証言が。
「うちの子、夜中に食べてるんです。冷蔵庫をあさったり、料理を始めたり。その姿がちょっと怖かったもので、お話するのをためらっていたのですが・・。」

♦♦♦♦♦

上に書いた症例は、いずれもゾルピデム ( 先発品名 マイスリー ) という睡眠導入剤を服用していました。
ゾルピデムでは、このような夜間異常行動を起こすことが知られるようになってきています。

その1は睡眠時遊行症 ( 夢遊病 ) として、その2は睡眠関連摂食障害として、今回紹介する本できっちり解説がなされています。
睡眠時運転なるものも存在するようですが、本人は眠ったままですから怖いですよね。
これらの行動は、同居する人の指摘がない限りわかりません。
一人暮らしの方で見出すことはほぼ不可能でしょうから、知らぬ間に怪我をしたり火をつけっ放しにして火事になったりする危険もはらんでいるのは大きな問題です。

この本は「睡眠専門医が教える快眠メソッド」というサブタイトルが付いていますけど、このような睡眠障害に付随するような問題点を中心に書かれているように思います。

我々も、安易に睡眠導入剤を処方するのではなく、不眠の要因の有無や、同居する方がいれば夜間に問題行動はないかなどをしっかり聴取して適切に対応したいものだと思います。

 ◆ 診療所ライブラリー 158 ◆


医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本患者さんに運動を促す機会はよくあります。
でも、短い診療時間の中で個々に応じた具体的なメニューを指導するのは難しいものです。
体の痛みや家族の介護など様々な理由を抱えていて、かけられる負荷や時間などが一人一人異なるのが最大の理由。
そこで、ウォーキングから始め、それを習慣づけること。
習慣づいてきたら距離や負荷を増やしていくこと、などを勧めています。
しかし、その一歩すら踏み出せない方が実に多いこと‥。

今回紹介するのは、青山学院大学陸上部の指導で有名になった著者の本。
パラパラめくると、他の本に比べてエクササイズのイラストが少ないな、というのが第一印象なのですが、QRコードがあってウェブで動画にアクセスできるようになっています。
静止画よりも動画の方がそれぞれの動きのポイントを把握しやすいですよね。

前回紹介したロコモティブシンドロームなどにも言及がありますし、普段運動していない人に対してはいきなり強い負荷をかけるとあちこち傷めやすいので軽い運動からステップアップすることなども促しています。

体を動かすことは、生活習慣病の改善だけでなく予防にもつながります。
どうしても不十分になりがちな私の運動指導を具体的に教示してくれるお勧めの一冊です。

 ◆ 診療所ライブラリー 157 ◆


日本一わかりやすい筋肉の本世の中、筋肉ブーム。
特に、若い女性がダイエットの延長で、ボディメイクと称して美しい体作りのために筋トレを取り入れているように思います。

2007年に日本整形外科学会から「ロコモティブシンドローム」( 通称「ロコモ」) という概念が提唱されました。
これは、運動器の障害によって移動機能の低下した状態を言い、進行すると介護の必要性が高くなると指摘されているものです。

ロコモの中で、筋力が衰えることをサルコペニアと呼びます。
握力や歩行速度の低下は日常生活にも大きな支障を生じるだけではありません。
握力が5kg低下すると率が16%増えるとか、歩行速度の低下は認知症のリスクであるなどの報告もあるのです。

筋肉は体を動かすのに必要なだけではありません。
血糖や中性脂肪の調節にも大事な役割があります。

50歳代に入ると筋力が衰えが目立ってくると言われています。
私がジョギングを始めたのも、お尻や太ももがしぼんできたのが一番の理由。
職業柄、ロコモから介護が必要になった方や、運動しないために糖尿病や脂質のコントロールが悪くて大きな疾患に繋がっていった方を多くみてきています。
メタボを指摘された方やアラフィフ以上の方は、将来を見据えて少なくとも下肢の筋力だけは衰えさせないようにして下さいね。

今回紹介するのは、体の主だった筋肉の働きや鍛え方を簡潔にイラスト入りで解説してある本です。
自分の体の働きを理解するとともに、いつまでも活動的でいられるように、是非参考にしていただきたいと思います。

 ◆ 診療所ライブラリー 156 ◆


人体の限界人間は、100m走やマラソンで一体どこまで記録を伸ばすことができるのか。
自分自身が普段からジョギングをしているので、大変興味ある点です。
今回紹介する本によると、100mは9.35秒、マラソンでは2時間ちょうどなんだそうです。
高跳びや幅跳びはほぼ限界に達しつつあるけど、水泳はまだまだ伸び代があるのだとか。

視力や聴力、味覚など数字で表現できるものはもちろんなのですが、ストレスややる気の創出、適応障害などという項目についても「限界」という視点で語られている面白い内容です。
文章も専門的にならず一般の方にも非常に読みやすいですし、図表も豊富。
そして、横書きなのも好印象です。

私は、常日頃から科学系の本は横書きに限ると言っています。
なぜなら、数字や単位は縦書きだと不自然ですし、図表の中の文章などは横書きになっていることが多く、バランスが悪くなってしまうからです。

診療の待ち時間で、好きな項目を選んで読んでみて下さいね。



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