野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して42年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
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 診療所ライブラリー

 ◆ 診療所ライブラリー 95 ◆


声のしくみスピーカーを通して患者さんを診察室に呼び入れるようになってから、自分の声の通りの悪さが気になっていました。( → マイクの設置 )。
それで手にしてみた本ですが、声を多方面から捉えていて楽しく読み進めていくことができます。

ただ、医学的な記述に関してはいろいろと問題あり。
解剖用語が間違っているし、肺機能の解説では残気量について「すべての息を出せないのは、命を守るためです。全てを出せたら、悪い空気を吸ったとき、一瞬で死んでしまうからです」なんて書いているし。
日本語と英語の比較では面白い検討が多数書かれていましたが、表情筋の発達が人種によって異なることも言語にも影響を与えている点には全く触れていませんし。

それでもいろいろと勉強になる部分があります。
「こんにちは」と「こんばんは」には合わせて三つの「ん」がありますけど、三つとも発音が異なるというのはこれまで日本語を使っていて気付いておられましたか ?
この本で、日頃使っている日本語や声について再発見があると思います。

 → 声のしくみ

 ◆ 診療所ライブラリー 94 ◆


肥満の医学欧米を中心に深刻な問題となっている肥満。
日本も環境や習慣の変化に伴い、避けて通れない課題となってきています。

「何を食べると肥満になりやすいか」「正しいダイエットとはどんなものか」「運動は肥満予防に役立つか」といったような肥満に関する興味を引く話が満載です。
すべて医学的研究結果をベースにして提示されていますが、一般の方には難解になるところを極力平易な文章にしてあるので、読みこなすのは難しくないと思います。
ただ、ページをパラパラとめくると図版に魅力がなく、あまり読む気を起こさせないのでその点は改善の余地有りでしょう。

読んで知識を増やすことも大事ですが、減量に向けて実行に移すことも忘れてはいけません。
読むこともせず、何も実行しない方が多いのが現状ですけど。

 →  肥満の医学

 ◆ 診療所ライブラリー 93 ◆


漢方読本私が臨床の場で漢方薬を活用する機会が格段に増えるきっかけとなったのは、自分自身の花粉症の治療に四苦八苦したことでした。( → 私自身の花粉症には )
漢方薬を使いこなせるようになると、西洋薬だけでは治せない症状も改善することがあり、確実に臨床に幅が出てきます。
しかし、漢方薬の世界は奥が深く、まだまだ修業の身であります。

前回紹介した本は50歳からの体力作りに焦点を当てたものでしたが、今回は心身の不調を良い方向に導いてくれる漢方の魅力を紹介する本です。
一般の方ににもわかりやすいように様々な疾患についての解説をしているのはもちろんですが、漢方を学んでみようとする医療関係者向けにもとても役立つ内容になっています。
私自身も、普段使い慣れている漢方薬に別の活用法もあることに目から鱗が落ちる部分もありました。
鱗を表す英語「scale」にもいっぱい意味がありますが、一つの漢方薬が様々な疾患に応用が利くのも魅力の一つですね。

 →  100歳まで元気にすごす漢方読本

 ◆ 診療所ライブラリー 92 ◆


動ける体のつくり方50代になると急速に体の筋力が衰えるとされています。
野球やサッカーで40代後半でも現役のプロスポーツ選手でいるのはごく少数。
50代を超えても現役でいられるのはゴルフとプロレスぐらいのものでしょう。

村田兆治氏が還暦を過ぎても130km台の速球が投げられるのは、相当の努力をしているからなのでしょうが、あそこまでやらなくても、高齢になっても日常活動において不自由をしないように体の機能を維持しましょうと説いているのがこの本。
紹介されている体操はどれも1分程度でできる簡単なものばかりで肩透かしを食らうかも知れません。
しかし50代から無理のないからだづくりを習慣づけて継続すれば将来に大きな差が出てくるのです。

患者さんに運動を習慣づけるアドバイスをしている私も、よく考えれば一日中診察室の椅子に座りっぱなしですし、あらゆるシーンで筋力の衰えを自覚します。
この本は自分自身のためにも患者さん指導の新しいヒントにも活用してみたいと思います。

 →  一生寝たきりにならない「動ける体」のつくり方

 ◆ 診療所ライブラリー 91 ◆


サプリメントサプリメントを愛用されている方も多いと思いますが、是非一度目を通していただきたいのが今回紹介する本です。

成分の効能や効果を解説する本が数ある中で、世の中に出回っているサプリメントの宣伝文句やクオリティに怪しいものが多いことをえぐり出した画期的な前半部分は、業界事情を知らないと決して書けない内容です。
ほとんどの原料が中国で作られ、アミノ酸の原料が人毛であったり、ソフトカプセルの構成成分のゼラチンに含まれるアミノ酸を成分表示の中に丸め込んだり、鉄剤として鉄粉が入っていたり・・・。
読んでいるだけでも嫌になってしまいます。
成分表示自体、医薬品と違ってしっかりと品質管理がなされていないので結構いい加減なものみたいですね。

さて、後半は症状別にお勧めのサプリメントが書かれているのですが、ここは少し問題があります。
例えば脳卒中にEPAを勧めている点。
脳卒中といっても血管が詰まる脳梗塞には有効かも知れませんが、脳出血は逆に助長させてしまう可能性があります。
それと、いろんな分野でやたらにマルチビタミンを勧めているのですが、私はよほどの偏食がない限りビタミンなんて摂る必要はないと考えています。
普通に食事をしていたらビタミンなんてしっかり摂れているものなのです。

昔は加工の段階でゴミとして捨てるだけだった甲殻類の甲羅やニワトリの頭が、今やサプリメントの材料としてお金に化ける時代。
皆さんが健康になることを第一に考えているのではなく、健康指向に上手に付け込んで商売がなされている現状の一端を知っていただきたいと思います。


当院で書籍の貸し出しを始めて丸7年が経過しました。
これまで多くの人に役立っていただけてものと思いますが、これからもライブラリのさらなる充実を図ってまいります。

 →  サプリメントの正体

 ◆ 診療所ライブラリー 90 ◆


大便通最近、目に見えて増えてきているのが腸内細菌叢の研究。
腸に住み着いている細菌が人の免疫系を刺激したり、消化を助けることで健康を左右することが分かってきています。

便の研究の第一人者が一般の人にも分かりやすく語りかける本書。
日本人の特に若い女性の「腸高齢化」が深刻で、便通は自分でデザインするもの、すなわち生活習慣や食事に気を使って腸内細菌のバランスを整えることだと説いています。
このブログやツイッター等でも常に和食の素晴らしさや運動を心がけることなどを情報発信していますが、便の研究を通じても日本人のライフスタイルが危機的であることが理解されます。

個人的には、1970年代にフランスで潰瘍性大腸炎に便移植を実施していたことを学べたことが収穫。
偽膜性腸炎という疾患に便移植がかなり有効だとする報告がこのところ増えていますが、どこからそういう発想を得たのか不思議に思っていた理由が氷解しました。

腸内細菌叢の研究は今後益々発展し、我々に大きな利益をもたらすことになるでしょう。

 → 大便通

 ◆ 診療所ライブラリー 89 ◆


自分の親が宅地開発がなされて40年近くが経つ当院周辺は住民の高齢化が進んでいます。
それに応じて認知症を患う方も増えています。
本人よりもそのご家族に大きな負担がのしかかることは改めて説明するまでもないでしょう。

この本では最初に認知症の具体的な実例を挙げ、それに対する対処法を見開きでわかりやすく解説しています。
認知症の人の気持ちを考えることを第一に考えた対処法は、複数提示されていて参考になるものばかりです。
続く認知症と介護の基礎知識や介護を楽にするためのアイデアも、イラストなどを交えての説明でこれまた分かりやすくまとまっています。

身内だけで抱え込まず周囲の力も遠慮なく借りつつ、便利なノウハウも身に付けて、介護の負担感もできるだけ軽いものにしていきましょう。

貸し出しを行なっている当院の診療所ライブラリも間もなく480冊に届きそうです。
普段の健康管理や介護にお役立てください。

 → 自分の親が認知症?と思ったら…

 ◆ 診療所ライブラリー 88 ◆


名称未設定-1人間は必ず死を迎える存在なので、医療行為の結果が末々まで形として残ることがありません。
患者さんとともに懸命に一つの病と抗ってそれを克服したとしても、再発したり全く別の病魔が襲ってきてあっけない最後を迎えてしまった、というような無力感を感じる経験は医療経験者なら誰でもあるはずです。
本や絵画や楽譜などが後世まで残る創作活動を行なう芸術家にちょっぴり嫉妬することもあります。

見つけた病気をがむしゃらに叩くことを考えていた若い頃。
いろんな経験を積んだ今は、いくつかの訴えの中から最も患者さんが苦しんでいるものを最優先して治療し、時間を争わないものは慌てず後回しにするゆとりを持てるようになりました。
また自覚症状を伴わないような病態に対しては、治療するにあたって患者さんに時間をかけて説明し納得してもらった上で投薬などを行なうことの重要性も学んできたつもりです。
本書にはそれを後押しするような内容もありますし、認識を改めてもっと研鑽しなければと思わせる部分もあり、勉強になりました。
皆さんが質良く生きるための力添えになれれば医療を施す価値が失われることはないわけで、形が残るかどうかなんて関係ないことです。
( 私が言いたいことが上手く伝わったかどうか‥)

あと、4年前の本を引っ張り出して紹介する理由の一つは、
「くじ引き試験」という呼称で大規模臨床試験とはどういうものかが分かりやすく解説されていること。
現在世間を騒がせているパルサルタンの臨床試験問題に興味がある方には参考になる部分かと思います。
その他、様々な医療問題に対する見方、考え方が変わってくる中身の濃い本です。

 → 感染症は実在しない

 ◆ 診療所ライブラリー 87 ◆


上手に痛いが診察室に入ると、まず医者からいろんなことを聞かれると思いますが、これを問診と呼びます。
この問診で患者さんから上手に情報を聞き出すことで8割方病気の診断ができる、とも言われています。 

日本の医療の現状では、患者さん一人にあまり多くの時間を割くことができません。
その限られた時間の中で、要領良く情報を伝えてくださると、ポイントを押さえた検査や的確な診断・治療に結びつけることが可能となります。

この本では「痛み」を例にあげ、自分の不調をどのように伝えるかというノウハウが楽しいイラスト入りで書かれています。
また、医者の話す専門用語が分からない時の対応や、時間のかかる治療の中でどのように医者と付き合っていったらいいかなどにも言及しています。

しかし、初めて訪れる診察室でそううまく話せるものではないと思います。
医者の側も、どんな方からもうまく情報を引き出す技術を持つことが肝要なんですよね。


 →  上手に“痛い"が言える本

 ◆ 診療所ライブラリー 86 ◆


ねぎ著者は時々テレビでもお目にかかる人ですね。
医療関係の話題を中心に、非常に分かりやすい語り口で気軽に読み進めることができる本です。

抜けた乳歯をどう扱うか、世界各地の風習を紹介するなど、細かいところまで調べたなと感心する部分もあります。
一方で内容に疑問を感じるものもあります。
ブルーベリーが目にいいというのは戦時中に英国空軍の流したデマ、というのがもっぱらの説なんですけどね。
興味ある方は調べてみてください。

サブタイトルにあるような「知らないと損をする最新医学常識」という程の最新情報は多くはありませんが、書いてある内容を全て鵜呑みにせず目を通していただく分には、外来待ち時間の暇つぶしになっていいのではないかと思います。


 →  ねぎを首に巻くと風邪が治るか? 知らないと損をする最新医学常識

 ◆ 診療所ライブラリー 85 ◆


日本人
以前にも触れたことがありますが、日本には言霊 (ことだま) という概念があります。
言葉に発したことが現実になる、という考えと言っていいのでしょうか。
だから死について語ろうとしても、縁起でもないと忌避してしまうのです。
で、大災害など想定外のことが起きてあたふたしている昨今の日本人がいるのだと思います。
一度学習して大脳に刻んでおくと、対応は随分違ってくるのですが。

第83回でも書いたばかりですが、死を学ぼうとしてもその存在が遠いものになってしまいました。
昔のように大家族でもないので死に目に会う機会も限られ、自宅から葬送することもないので下手したら近所の方が亡くなったのをしばらく知らなかったということもあり得ない話ではありません。

死と知って向きあうことがそれを乗り越えてよく生きることに繋がるとして、宇宙誕生の話から始まるという意表をつかれた展開をみせる本書。
死に対しての拠り所を失った皆さんに是非手に取っていただきたい一冊です。
この本を読みながら生命に既定された死について考えていくと、案外怖いものじゃないんだな、と思えてくるのが不思議です。

 →  死を忘れた日本人

 ◆ 診療所ライブラリー 84 ◆


眼の話特定の臓器の疾患について書かれている本はたくさんありますが、今回紹介する本は疾患はもちろんなのですが、様々なこぼれ話が満載で読み物としても楽しめる本です。
目と眼の違い、眼の手術の歴史、小説の中に出てくる白内障手術の記述、
むやみに眼帯をするのは日本人だけなどなど、飽きることなく最後まで読めてしまいます。
外来の待ち時間を利用して、是非手に取ってみてください。

さて、市販の風邪薬は緑内障を悪化させる成分が含まれていて、そのことにもこの本の中で触れられています。
病院で処方される総合感冒薬も緑内障には禁忌なのですが、
一般の医師もあまり気を配らずに処方するケースを多々見受けます。
ネットでの薬販売解禁に向けての話が進んでいますし、風邪薬くらいコンビニで買えれば助かる、なんて声も聞きます。
でも、風邪薬ほど副作用が多い薬はありません。
私はかなり慎重に処方するようにしていますし、自分自身では服用することはありません。
そのようなものが簡単に手に入るようになるなんてとんでもない話だと思うのですが。

 →  眼の話 (メディカルサイエンスシリーズ)

 ◆ 診療所ライブラリー 83 ◆


医療否定自宅で穏やかに死を迎えたいという希望が日増しに高まってきています。
理想的な在宅・終末期医療を充実させるためには、行政・医療・そして患者とその家族の三者の連携が大変重要です。
しかし仕組みを構築しようとする行政も医療費削減が主眼のように思えますし、医療側も積極的に病気に介入する現状を変えられないでいます。

そして最も大切なのは、皆さんが普段から自分や家族で死を含めた人生を真剣に考えたり話し合ったりしておくことなのですが、平穏死なる言葉が一人踊りして、終末期に何もしないことが理想なんだと何となく思っているだけの方が増えているような気がします。
病院で死を迎えるのが当たり前になって家庭から死の存在が遠くなったと言われており、もしもの事態を想定できないのはやむを得ないのかも知れませんが、未熟な理想は時に現実の大きな妨げとなります。
過渡期ゆえ医療現場でスタッフと患者さんサイドとの間で軋轢が生じてしまうのでしょうが、我々にとっては理解に苦しむ場面が確実に増えてきています。

その現状を憂えたのがこの本なのですが、評判は芳しくないのだとか。
在宅・終末期医療の将来のあるべき姿についてコンセンサスを得るためにも、今の医療体制下の現場で働く医師の立場や考えをこの本から汲み取っていただきたいと思います。
次の新しい医療を形成していく上で、意見を出し合いお互いの立場を理解しあうことが何より大切です。

ちなみに、この本の著者は私の先輩。
既に『「スーパー名医」が医療を壊す』、『親孝考』を紹介してきましたけれど、今回の本では私のブログも引用されています。


 →  「医療否定」は患者にとって幸せか

 ◆ 診療所ライブラリー 82 ◆


なるほど病院には一般家庭では決して見ることのない機器がいっぱい。
もちろん検査や治療に使うものですが、興味を持たれる方もいれば圧倒されて不安を抱く方もいます。 

この本では代表的な医療機器99品について、すべてカラー写真を掲載し、その仕組みや使われ方を解説しています。
疾患を解説した本では検査方法などが記されていても、検査に用いられる機材については言葉だけだったりイラストであったりするケースが多いものです。
この本なら、このくらいの大きさのこんな機器でこんな風に検査を進めていくのだ、というのがイメージしやすいのではないでしょうか。

私も外科系の機材やDMATのスタッフが背負うケースの中など、名前は知っていても初めて見るようなものがいくつかあり、勉強になりました。
当院の書籍の貸し出し、是非ご活用下さい。

 →  なるほど医療機器

 ◆ 診療所ライブラリー 81 ◆


旅の年末年始を海外で過ごされる方も多いと思います。旅先で病気になるのは厄介ですが、事情のよくわからない海外ではなおさらです。
子供が熱を出したのに解熱剤を出してもらえず、熱が下がらず航空機への搭乗も断られたという話も聞きます。
保険証さえあれば簡単に受診できる日本の医療システムのありがたさを理解してもらえる数少ない機会でもあるとは思いますが。

今回紹介するのは、旅の準備の段階から、飛行機での移動中、渡航先での注意点などをコンパクトにまとめてある本。
コンパクトすぎて海外の医療事情として紹介されているのがたった3例では心もとない感じがするのですが、旅行前に知識を身に付けておくのにはいいのではないでしょうか。
この本では「健康のために旅をしよう」という章もあり、ピクニック効果についても触れていますので是非ご一読を。

ちなみに私が旅をする時にいつも携行する医薬品は、風邪と嘔吐・下痢に対応するための二種類の漢方薬、解熱鎮痛剤、そしてハイドロコロイド素材の絆創膏です。 

 → 旅の健康術―渡航医学を知っていますか?

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