野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
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 診療所ライブラリー

親の認知症が ◆ 診療所ライブラリー 77 ◆


認知症に関する一般的な病気の解説をした本は多々みかけますが、この本は筆者が実際に認知症の親を抱えたという実体験をもとに家族の目線で書かれている点が大きく異なり、実践的な内容になっています。

認知症を疑った際に親にどうやって医療機関への受診を勧めるか、受診の際の付き添い方、日常生活の中での接し方、実際の症状への対応法、家族間におけるケア体制の整え方、介護する側のストレス管理等、見開きで100項目に及ぶ心得が楽しいイラストともに網羅されています。

外来でのわずかな時間で普段の生活ぶりまできっちり把握するのは困難で、正直ここまで具体的なアドバイスはできません。
患者さんだけでなく介護するご家族もしっかりケアできる情報など、このような本も参考にしながら提供できるように心がけていきたいものです。 


  → 親の認知症が心配になったら読む本

排便力 ◆ 診療所ライブラリー 76 ◆ 


以前、便秘薬を大量に服用して毎日排便しないと気が済まない男性の話を書き、下剤について解説をしたことがあります。( → 「男女の違い その2」)
この本の中でも「下剤依存症」と称して、主にセンナ系の薬剤が手放せなくなる人が増えていることに警告を発し、
排便力を高める日常生活の過ごし方を身に付けながら下剤依存症からの脱却を目指すレクチャーがなされています。
下剤は比較的手に入りやすいですが、安易な使用を続けるととんでもないことになることが理解していただける本ではないでしょうか。
まあ、医師も各種下剤の特徴を十分に理解しないままに安易に処方しているケースが多いように思うんですけどね。

この本でも批判していますが、大腸内視鏡の分野で高名だった先生がコーヒーエネマなるものを喧伝していることにはとてもがっかりします。
浣腸という便秘に対する行為は非生理的な最終手段です。下剤の力をちょっと借りながら正しい知識を持って自然な排便が出来るようにしてください。

  → 「排便力」が身につく本

片頭痛 ◆ 診療所ライブラリー 75 ◆ 


片頭痛に関する本ですが、これは患者さんよりも臨床医にこそ読んでもらいたい内容がふんだんに盛り込まれています。

片頭痛の特効薬のような謳い文句で登場したトリプタン系薬剤。
発売された当初は1錠1000円前後もする値付けがされていましたので、さぞやよく効くのだろうと思って処方したら案外そうでもなく、我々も患者さんもがっかりしたという経験があります。
この本を読むと、トリプタン系宣伝の眩惑にはこれを最初に開発した英国の巧みなコントロールがあったことが伺えます。

私自身片頭痛持ちで、教科書通り40代となり痛みは軽減してきていますが、頼りにしているのは非ステロイド系鎮痛薬。
わざわざ高価な薬を使わなくても効果には満足しています。
最近は、患者さんに対しては副作用も少なく安価な呉茱萸湯を使うケースが増えてきましたが、かなり有効ですね。
この本には著者の臨床経験に基づいた治療法が豊富に提示されているので勉強になります。
特に、適応が通っていないものの予防薬として効果があるものがいくつか挙げられていて非常に参考になりました。

痛みは生活の質を落とします。
片頭痛の症状は個人差が大きいのが難しいところですが、そこから解放された日常を送れるよう一番合った治療法が見つかるといいですね。

 → こうして治す片頭痛―薬物乱用頭痛といわれたら

名称未設定-1 ◆ 診療所ライブラリー 74 ◆ 


2006年に始まった当ブログの最初の頃に取り上げたことのある傷の湿潤療法
従来の傷の手当ての仕方では治りを遅くするし苦痛を強いるだけなのですが、この画期的な湿潤療法が医療現場に完全に定着したとはまだまだ言えない状況です。

今回ご紹介するのは、傷をきれいに早く治すこの湿潤療法を確立した著者が一般向けに解説を加えた本。
内容がその紹介だけにとどまらず、傷の治療の歴史的考察もなされていますし、新しい知見が出てきても従来の手段から簡単に抜け出せない医学界の問題点にまで鋭く踏み込むなど、同じ世界で仕事をする立場として非常に興味を持って読むことのできた本です。
一般向けとしてはやや難しい内容かも知れませんが、本の最後の方で生物の進化の過程から皮膚という人体組織がどういうものであるかにまで踏み込んで、湿潤療法がより自然な傷の治し方であることを説いていますが、なかなか説得力があります。


当院では、貸し出し可能な本を400冊以上を揃えています。
是非ご活用下さい。( → 詳しくはこちら

 → 傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学

老いにくいのか ◆ 診療所ライブラリー 73 ◆ 


運動をする、あるいは身体活動を高めることで脳に新しいニューロンが増える。
特に海馬という部分でニューロンが増えれば記憶や感情等にも好影響が出る。

そう説くのがこの本ですが、認知症の解説や地中海ダイエットの脳への効果まで幅広く言及していて、日常の過ごし方がいかに自分自身の将来に関わってくるかが理解していただけるのではないでしょうか。

動物という生命の基本は消化管で、消化管が効率良く食べ物を摂取するために中枢神経を発達させた、と私は考えています。
中枢神経の一端が膨れて脳となり、そこから嗅脳や眼球が作られてきたり運動機能が備わってきたりしたのも、全ては食べ物を追い求め生命を維持するためだとすると、何の苦労をすることもなく食にありつける今の日本の生活環境はどうでしょう。
食べ物を探し求めることもなく身体活動が低下すれば統合司令部である脳が衰えるのは当然だと思います。
脳を老いさせたくないのであれば、運動することで刺激を与え続けることはとても大事なことなのです。

快適な環境や習慣がもたらす弊害をしっかり認識して普段の身体活動を盛んにしていただくきっかけに、是非この本を一読して下さい。
 
 → なぜ、歩くと脳は老いにくいのか

心療内科が ◆ 診療所ライブラリー 72 ◆ 


一般かかりつけ医と精神科・心療内科の先生との連携強化を目的とした「不眠ネットかごしま」という事業が準備段階にあります。
そんなこともあって今回ご紹介するのは「心療内科がわかる本」。
心療内科という診療科を正しく理解してもらうことを目的に書かれた本で、文章が重々しくないので単に読み物としても楽しめる内容になっています。 
心療内科で行われるカウンセリングの手法の一つ、交流分析について多くのページが割かれていますが、これは普段の社会環境の中での対人関係を築くのにも役に立つのではないでしょうか。

この本の中では具体的な疾患について心療内科の治療が奏功した例が多く提示されています。
しかし、書かれているもの全てが心療内科で治るとは限らないことは注意しておきましょう。
例えば、過敏性腸症候群 ( IBS )。
ストレスとは関係なく腸管の感染を起こした後にこの疾患に特徴的な症状が出ることがあるのです。
これを感染後過敏性腸症候群 ( Post infectious IBS ) と言い、研究者も注目している病態です。( 参考 → 過敏性腸症候群の治療薬 )
また、咽喉頭異常感症という疾患についても胃食道逆流症との関連が考えられるようになってきています。( 参考 → 胃食道逆流症の治療2のど元で胃液が作られる !? )
内科と心療内科が協調して疾患に悩む人たちが救えるようになるといいですね。

 → 心療内科がわかる本

RA ◆ 診療所ライブラリー 71 ◆ 


最近立て続けに関節リウマチの患者さんを診る機会があったので当院のライブラリ用に購入した本。
原因や症状、治療薬等について一般向けにとてもわかりやすく書いてあります。

私が医者になった頃は関節リウマチは治せない病気だったせいかどんな病院でも診る機会が多かった、というか患者さんの行き場所がなかったのですが、有効な治療薬が次々と開発されると専門の医師の所に集まるようになったので、受け持つことがめっきり減ってしまったのです。
治療薬として我々が潰瘍性大腸炎に使うのと同じ成分の薬や悪性リンパ腫などに随分古くから使われていた抗がん剤等が使われ始めた時は面食らったものです。
さらに生物学的製剤が加わり、昔はよく見た教科書的な関節の変形に至る患者さんもめっきり少なくなったように思います。
本当にここ十年余で劇的に治療の進歩した疾患ですよね。 

そういうわけで、この本を読みながらこれまでの歴史を振り返って感慨にふける私でした。 

 → ササッとわかる最新「関節リウマチ」治療法  

脳から ◆ 診療所ライブラリー 70 ◆ 


動物とはそもそも「動く消化管」であり、これが効率良く食べ物にありつけるようにするため脳や目・鼻といった感覚器などを次第に発達させてきたと私は考えています。
その脳が進化しすぎてしまい、生命を維持するのに足りる以上に食欲をコントロールして過食となっているのが我々人間の今のありようです。

この人間だけに備わった「第二の食欲」を
脳科学的に解説し、これまで流行っては廃れてきたダイエット法にもその観点からの意味付けを行い、どうやったら本当に痩せることができるかのヒントを提供してくれているのがこの本です。
いくつかのダイエット法については頭ごなしには否定せず科学的な意味付けをしてくれていますが、要は己を律してバランスよく過剰に摂り過ぎないのが何より大事であることがこの本を読んでいただければわかると思います。
長寿の人にその秘訣を聞くと、好き嫌いなく腹八分目に、という答えが上位に来るそうです。
好きなだけおいしいものを際限なく求めて短命でいるより、節制を心がける方が結局は長く食の楽しみを堪能できるわけです。

面白いなと思ったのは香りの効用です。
最も原始的な感覚とされる嗅覚は様々な反応の引きがねとなりますが、グレープフルーツやキンモクセイの香りにダイエット効果があるということ。
いい香りも活用しながら楽しい食生活が送れるといいですね。

 → ヒトは脳から太る

親孝考 ◆ 診療所ライブラリー 69 ◆ 


既に親に死別したり、あるいは親の介護の真っ最中であったり。
私の同級生からその苦労話を聞く機会も増えてきました。

親の介護や老後のことについては様々な本が出されていますし当院のライブラリにもいくつか取り揃えてあります。
その中で今回ご紹介する本は際立った特徴を持っています。
それは、本の帯にも書かれているのですが、「医者として高齢者医療の現実を見る眼と、一人息子としてふるさと土佐の孤老の母を見る眼。ふたつの視点で、親子それぞれの老後を考え」ている点です。
筆者の医者としての立場からの経験や身内の介護をする立場の経験を巧みに織り交ぜながら、現在のそしてこれからの日本の医療や介護の抱える問題点についてユーモア溢れる軽妙な文章で考察してあります。

いざ親の老後の諸問題に直面したときどうして慌ててしまうのか。
一つには家族間で十分に話しあったりシミュレーションしたりしないからです。
日本には言霊 (ことだま) という独特の考えがあって「もし、親が倒れたら」などと口にしようものなら、縁起でもないと切り捨てられてしまい、その先の議論が全くできないのです。
危機管理が欠如していると痛い目に遭うことは今年の大震災等から学んだ方も多いはず。
この本を読んで真剣に親や自身の老後のことを話し合い、考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

ちなみにこの本の著者は昨年当ブログで紹介した『「スーパー名医」が医療を壊す』を書いた、私の大学の先輩です。
またまた素晴らしい本を世に出してくれました。


  → 親孝考 ふるさとのおひとり老母を考える

手術後の生活読本 ◆ 診療所ライブラリー 68 ◆ 


増加の一途を辿っている大腸がん。
手術を受けられる方も増えているわけですが、今回紹介するのは術後の日常をどのように過ごすかを丁寧に解説してある本です。

まず術後に起こる症状について切除する部位別に解説し、それに対する日常の注意点をイラスト入りでアドバイスする丁寧さに感心します。
その後も、やむを得ず人工肛門になった時のケア、食事や運動、術後の補助療法や定期的な検診に至るまで実に子細にわかりやすく書かれています。
本当にお勧めの一冊です。

当院でもこれまでに大腸がんが見つかって手術を受けられた方が何名もおられますが、ほとんどの皆さんは元気に過ごされています。
 早めにがんを見つけることが何よりも大事なこと。
当院では土曜日の午後も大腸内視鏡をしておりますが、このところ土曜日に受けられる方が増えています。 
便潜血が陽性、血便が出た、以前と便通が違ってきた、といったことがあれば大腸内視鏡検査をお勧めします。


  → 大腸がん手術後の生活読本

24 ◆ 診療所ライブラリー 67 ◆


医者が日常使う言葉は、一般の人には難解なものがたくさんあります。
医学部の講義では、教授が何を言っているのかほとんど理解できないものもありました。
不思議なものでそのうち慣れてきて、逆に自然に使っている訳なんですけどね。

例えば「合併症」という言葉があります。
この数年の間に市町村合併が続きましたが、合併と聞くと普通は複数のものが一つになるという意味ですよね。
でも合併症とは、一つの病気が原因となって起こる別の病気とか、手術や検査などがもとになって起こることがある病気、という意味で必ず起こるものではありません。

そこで、3年ほど前に国立国語研究所より、「病院の言葉」をわかりやすくする提案というものがなされました。( http://www.ninjal.ac.jp/byoin/ )
それをたたき台にしているとはいえ、この本では医学的な解説を加えたり関連する用語も併記してあったりして知識が深まるように工夫がしてあります。

これはむしろ医療関係者に読んでいただいて、どのような言葉が難解でいかに優しい言葉に言い換えるべきかを学ぶきっかけにしていただきたいと思います。


  → 現役医師がやさしく教える 病院のことば

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一つの病院の医師や看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、検査技師など総勢36名で書き上げた日頃の糖尿病指導内容をまとめた本。
それぞれの分野の専門性を活かし、直接患者さんと接する中で工夫されてきた真摯な指導法がそのまま文章になっています。
スタッフの手作り感が滲み出ていて、他の本とは一線を画す仕上がりになっていると思います。

担当した医師は私の大学の先輩、後輩ですので自信を持ってお勧めします。
監修に当たった先生は私が学生時代は大学の助教授をされていましたが、自らも多くの部分を記し、臨床に携わる情熱が衰えないのには感服いたします。


  → 糖尿病と上手に付き合おう

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アスペルガー症候群とはどんな疾患か、それにどう接するべきかについて書かれている本。

この中で書かれている対処法は疾患を持つ子供へのアプローチの一手法であってこれがすべてではないでしょうが、普段の子育てにもとても参考になる部分もあると思います。
子供のもつ能力を十分に発揮できる環境作りも大切ですね。
とにかく読み物として非常によくまとまっていてたいへん面白く、アスペルガー症候群についての一通りの知識を身に付けるにはもってこいです。

アスペルガー症候群の著名人のエピソードを交えた具体例を読んでいると、この疾患の傾向を抱えている人は幾らでもいるように思います。
特に同業者には私も含めていっぱいいるような気がします。
私 ?・・・マルチタスクがとても苦手ですね。
一つのことに集中すると、他のことは目に入らなくなっちゃいますから。

人類に立ちはだかる様々な困難に対してブレークスルーをもたらす能力を秘めている場合もあるので、この日本の難局面で彼らの特性が十分に発揮できるといいのかもしれません。

なお、大学の同級生もこの本についてブログ上でコメントしています。( → こちら )
同窓会で会ったときに発破をかけておいたのですがそれでもブログは半ば放置状態。
もっと更新を心がけてね。


  → アスペルガー症候群

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日本人の胃癌の9割はピロリ菌が原因とされています。
つまり、日本人の胃の中からピロリ菌がいなくなれば、胃癌患者はは今の10分の1まで減少するということになるのです。

30年近く前にピロリ菌が発見されたことによって、胃の病気の診断や治療は大きく変化しました。
この本は、それ以前の歴史から最新のトピックスまでをコンパクトにわかりやすく網羅してあり、これ一冊あれば、他のピロリ菌に関する著書は不要でしょう。
是非手に取ってみてください。

内視鏡を扱っていると、ピロリ菌存在の有無は胃の表面の様子からだいたいわかるのですが、今の保険制度ではピロリ菌に感染しているというだけでは治療を受けることができない仕組みになっています。
ピロリ菌を早期に除菌するのと潰瘍や癌になってから医療を施すのとどちらが経済的か、そういう視点から考えても現行制度はナンセンスです。
その点にも触れられていますが、改善されるのはいつのことでしょうか。


  → 胃の病気とピロリ菌―胃がんを防ぐために

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医食同源という言葉があるように、健康と食事は切っても切れない仲。
診療所のライブラリーにも何冊か食事に関係する本を並べてあります。

数年前に食の偽装問題が相次ぎましたが、その根底にあるのは安くておいしいものを要求する消費者自身に問題があるのではないかと、様々な食材をレポートして考察するのが今回紹介する本です。

口蹄疫や鳥インフルエンザ問題の時に驚いたのは一つの施設の限られた空間に飼われている家畜の数の膨大さ。
醤油や豆腐、納豆など日本人の大豆の消費は多いのに極めて低い自給率。
普段からとても疑問に思っていることがたくさんありました。
消費者の要求する低価格を実現すべく追い求めた食料の供給の実態が一体どういうものなのか、この本で垣間見ることができます。
一方で、しっかりとした理念を持って本物にこだわる生産者もいることがいくつかレポートされています。

この本と同時期に読んだ本に「世界の食料ムダ捨て事情」がありますが、こちらは大量廃棄される食糧問題の深刻さをえぐり出したもの。
二つの本を通して、自然の恵みを忘れかけた飽食時代の日本人はとんでもないものを口にし、まだまだ食べられるものを捨てている現実を知ることになりました。

福島原発事故を契機に節電に対する意識は高まってきましたけれど、消費者自身が食習慣の現状にも目を向けて改めるべきところは改めていかなければなりませんね。
それは地球環境にも優しいことですし、メタボ改善や疾病予防にも繋がっていくのです。


  → 日本の「食」は安すぎる 「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない

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