野口内科 BLOG

  野口内科は鹿児島市武岡に開業して46年を迎えました。
  当ブログでは、当院からのお知らせ、医療・健康に関する情報の他に、近隣の話題、音楽・本のこと等を綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:00 (金曜は〜18:30)
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
    院長   野口 仁

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 思うこと・他

常套02ちょっと気になっている患者さんがいるのですが、カルテをめくってみると ( 当院はまだ紙カルテです ) やはりここ4ヶ月ほど来院されていません。
最後の診察の時に、サプリメントの販売員に「飲んでいる薬が多いからやめるべきだ、と言われた」といった内容のこと話していたのが頭の片隅に残っていたのです。
私は極力薬を出さないようにしていますが、血圧も糖尿病もそれぞれ複数の薬を使ってようやくコントロールできていた方で、とても減薬できるような状態ではありません。
医療から切り離して、儲けさえすればいいという悪徳業者の常套句だという説明もしていたのですが‥。

病院に行けば、血圧測定や血液検査で病気がコントロールが出来ているかどうかは一目瞭然です。
薬をやめれば病院に通わなくなり、そういうデータを取ることもありません。
体調が悪化しても「好転反応」なんていう言葉を使います。
これは、サプリによる副作用や体調悪化を誤魔化すために使われる用語だと思っていいでしょう。
漢方薬を使用する頻度が多いのですが、確かに一時的に普段と違う症状が出現することがあります。
私自身が花粉症に対して小青竜湯という漢方薬を初めて服用した時に、2~3日の間、胃に違和感を覚えました。
これを瞑眩 ( めんげん ) と言いますが、どうもこの現象を好転反応を言い換えたものなんじゃないでしょうか。
瞑眩ならば本当に2~3日で消えてしまいますよ。

糖尿病のある私の遠い親戚でも次のようなケースがあります。
あるスポーツをやっていて体を痛めてしまい、思うように治らずにいた時に、ある知人からトレーナーを紹介してもらいました。
そのトレーナーに付いてもらったところ、体の不具合も改善してきたためすっかり心酔。
ところがです。
数ヶ月して、あなたの糖尿病はこういうトレーニングをすれば治るから病院に通うのはやめなさい、と言われたのです。
言われるがままに内服をやめ、トレーナーの勧める高額なサプリや機器を購入して過ごすこと2年。
その間にどんどん痩せて細っていったのです。
どうしても気になって病院に行ってみたら、血糖がとんでもないことになっていたのでした。
通院を再開して、今では元気に過ごしていますが、親戚はこの経験をおおいに反省しています。

病気やけがに付け込んで、巧みな言葉で近づいて信頼を得てから、一儲け。
途中で体調の異変があっても、すぐに発見されないようにこれまた口八丁手八丁で医療と切り離してしまうのです。
サプリメントや健康食品で病気は治りません。
健康と財布の中身を奪われないように、皆様もくれぐれもお気をつけて。


老人私が幼い頃は、65歳ってとてつもなく年寄のイメージがありました。
サザエさんの磯野波平やフネがいずれも50代前半なのにも全く違和感を感じませんでした。
でも今は年配の方がかくしゃくとしていて、敬老の日にお祝いするのを気兼ねしてしまうような方が多いですよね。
20日に総務省から発表された人口推計では65歳以上が3384万人。
鹿児島では今年100歳を迎える方が604人もいらっしゃるとか。

今年の6月に公職選挙法が改正され、選挙権が20歳以上から18歳以上に引き下げられました。
その延長で飲酒・喫煙までも18歳以上にしようとする自民党特命委員会からの提言がありましたけど、批判を浴びて引っ込めましたね。

対して、高齢者。
こちらには明確な定義はありませんが、国連では60歳以上、WHOや多くの先進国では65歳以上を目安にしているようです。
日本でも制度によって異なるんですよね。
日本老年学会においては、若々しい高齢者が増えているということで65歳以上としている現在の高齢者の定義を見直す予定にしています。

少子高齢化が進む我が国の社会制度設計もどう変わっていくのかと思いつつ、身近な方々に背中に軟膏を塗布するのに便利なグッズを贈った今日の敬老の日でした。

左手8月13日は「左利きの日」なんだそうです。
私も左利きなんですが、日常生活の中には右利きを前提に作られているものもあって、右手を全く使わないことはありません。
子供の頃にしつけられたので、鉛筆も箸も右手で持ちます 。
自己分析なのですが、細かい作業は右で、力を伴う作業は左でやっていることが多いように思います。
ただ、水道の蛇口やサッシのロックなどは、どういうわけか左利きの人に便利なように作られていますね。

全く新しいことを始めるときはどっちの手を使うか試行錯誤することがあります。
例えば、自炊生活を始めてお米を研ぐという作業に遭遇しました。
慣れないうちは右手でも左手でもやっていましたが、やがて左に収束してきました。

私が日常的に使う医療道具に消化管内視鏡があります。
内視鏡の出し入れや鉗子の扱いは右手で行ないますが、先端のアングル操作を行なうダイヤルや吸引や送気・カメラのシャッターなどはすべて左手で行なう仕様になっています。
左利きの医学生は是非内視鏡医になっていただきたいと思います。

左利きを直さないとプロにさせないと師匠に言われあえなく棋士の道を断念したとか、離婚の原因となったとか、ちょっと前までの日本では理不尽なことがまかり通っていました。
躾けがなっていない、という根拠のない考えがあったからです。
バドミントンや消化管内視鏡のように左利きが圧倒的に有利なものもあります。
私自身、左利きであることに負い目はちっともありません。

毎年5月は近隣の保育園・幼稚園・小学校の検診が集中します。
外来患者さんにはご迷惑をおかけすることもありますが、ようやく一段落しました。

武岡小学校が作られた時は日本一のマンモス校でした。
しかし、住民の高齢化等もあって児童が随分少なくなってきています。
受け持っている2つの幼稚園も一時は児童が少なくなっていたのですが、こども園というスタイルに替わって増加傾向が続いているようです。
子供の声が騒音と見做されてしまう昨今ですが、少ないのはやっぱり寂しいですよ。

幼稚園・保育園児で面白いのは、靴の左右を逆に履いている子が年中さんくらいまでは目立つのに年長さんになるとほとんどいなくなること。
この1年で成長するのでしょうね。

肥満児また、年々肥満児が増えているように思います。
小学校高学年から顕著になりますが、おなかがぽっこりしている幼稚園・保育園児も散見されます。
子供が欲しいと言っているからと無制限に食べ物を与えるのはやさしさではありません。
親の責任が問われる問題であることをしっかり認識して、子供が早々に成人病に罹患して早死にするようなことがないようにしなくてはなりません。
これから人口減少が続く日本。
子供は宝です。

ヘルメット月日が経つのは早いですね。
あの日あの時、往診車の中にはNHKのFMからクラシック音楽が流れていました。
それが突然中断し、アナウンサーが慌てふためきながら地震の情報を伝え始めました。
そして緊迫した声で6メートルの津波警報。
6メートルでも凄いことだと思いましたが、診療所に帰ってすぐにつけたテレビが伝える現実は…。

あれから4年が経ちました。 1月の阪神淡路大震災20年にあたって地元テレビ局の取材を受けたこともあり、家の防災グッズの再チェックをしてみました。
1月の阪神淡路大震災20年にあたって地元テレビ局の取材を受けたこともあり、家の防災グッズの再チェックをしてみました。
万全なつもりだったのに不備っていくつもあるもんですね。
古くなったグッズを更新したのはもちろんのこと。
鹿児島はやはり桜島の大噴火が最も懸念されるので、今回、新たにヘルメットを買い揃えました。
阪神淡路大震災の前年には琵琶湖の渇水があり、取水制限などの措置がとられた際にポリタンクを購入したのですが、それが震災の時に役に立ちました。
どこで何が役に立つか分かりません。
備えておいて決して無駄になることはないと思います。
 

地震明日で阪神淡路大震災から20年の区切りの日を迎えます。
わずか15秒の揺れでしたが、私は今でもその時を鮮明に覚えています。
わずか15秒の揺れでしたが、20年経った今でも傷を癒し切れない人達が大勢います。

振り返るとあの震災は多くの教訓を残しました。
DMAT ( 災害派遣医療チーム ) や災害伝言ダイヤルが作られるきっかけになったはあの震災です。
PTSDに対する心のケアの必要性が認識されるようになったのも、トリアージや災害救助犬の重要性が認知されるようになったのも、危機管理や黄金の72時間という言葉が広まったのも、あの震災がきっかけです。
教訓から学んだことを活かして今では当たり前に生きているものが、ここに挙げたこと以外にも数多くあります。

阪神淡路大震災以降にも多くの大災害や大事故が続き、その都度知見は蓄積されてきました。
しかし、災害が全く同じパターンで起こることはありません。
いざ災害に遭遇した時に、その知見をなぞっているだけではだめで、応用して賢く振る舞う必要も出てきます。
過去の経験が無駄だということではありません。
経験は強みです。
20年経って震災を知らない世代が増えてきました。
経験した者がしっかりと語り継ぎ、知らない世代がそれを学び、後々の世代において何が起こっても被害が最小限で済むように。
そう願っています。

サプリある高齢の方にある薬を処方しようとしたら、副作用のことを気にされると同時にサプリメントとの飲み合わせは大丈夫か、と聞いてこられました。
種類を尋ねたところ、たくさん飲んでいるらしく全部答えられませんでした。
ただ年に何十万円ものお金をサプリメントにつぎ込んでいるという話でしたので、こちらから質問してみました。
「いろんな勧誘の電話やダイレクトメールが来るんじゃないですか?」
図星でした。

「サプリ」と「名簿」というキーワードでググってみてください。
高額のサプリの購入者の名簿が出回っているのがわかります。
テレビなどで繰り返し流れる巧妙な宣伝文句を信じてしまい、健康のためにと思って老後の蓄えを切り崩すことを繰返しているうちに個人情報が晒され、追い剥ぎの格好の餌食になるのです。

私は、日頃からサプリメントについての情報を集めるようにしております。
何らかのアドバイスが出来ると思いますので、外来で遠慮なく疑問をぶつけていただいて構いません。
ただ「サプリメントには期待もお金もかけるだけ損」ということはこのブログでも何度かお伝えしてきたことですからね。

それにしても今回の患者さん、サプリメント同士の飲み合わせについては懸念することがなかったのでしょうか。
処方薬には警戒をするのに、サプリメントには抵抗感がないなんて本当に危険なことです。

リットマン聴診器のバイノーラルと呼ばれる部分がまた壊れてしまいました。
以前壊れた時に書いた記事はこちらです  → 「安く手に入れる聴診器」。
前回同様、バネの部分が折れてしまうのです。
白衣のポケットに丸めて無理やり押し込んでしまうのが原因ではなかろうかと考えた私は、4年前に新調して以降、ポケットに入れずに首に巻くようにしてバネに負担がかからないようにしてきました。
しかし、寿命としてはあまり変わらずじまい。
Littmann の聴診器のチューブは独特の形状をしていますが、中が一体どうなっているか気になっていましたので、今回はチューブを切って中を取り出してみました。

聴診器写真で見て分かるように、折れている部分より左側はバネが二重に重なっているのですが、一重の部分が2cmほどあります。
そのちょうど中央部分が見事にポッキリ。
これまでも必ず左耳にあてがう方が折れていたのですが、その原因が構造上の問題であることが理解できました。
これは Littmann に改善を望みたいですね。

工夫したのに寿命が変わらなかったのは、ポケットにしまい込む操作よりも、使う際に耳に差し入れるにあたってバネの部分を広げる操作の方が負担が大きいからだろうと思われます。
Littmannの聴診器を使い続ける限り、バイノーラルのトラブルは覚悟しないといけませんね。

感染最近、エボラ出血熱やデング熱といった感染症のニュースが続いています。
いつもこのような騒ぎの時に、正しい情報がある程度伝えられているにも関わらず、必要以上に不安に思われたりデマを真に受けたりする方がいらっしゃるように思います。
的確に判断する能力が問われます。

一方で、昨年から続く風疹や麻疹の流行には全く危機感を抱いていないのではないでしょうか。
エボラやデングといった濁点の入ったカタカナ語には力強さがありますし、聞き慣れないため得体の知れない恐怖感を覚えるのかも知れません。
風疹、麻疹は昔からある言葉ですし、濁点も入っていないので何となく耳に優しく感じます。

言葉は長い間使われていると、価値が変わってきたり失われたりする不思議な側面を持っています。
例えば「貴様」は本来は尊敬語であったはずですが、今は値打ちがありません。
「らい」という疾患名も歴史的背景が積み重なって今は差別用語とみなされています。
夜の繁華街で「社長 !!」と声を掛けられてもちっとも嬉しくありません。

言葉には使われ続けているうちに変容してしまう不思議があるのですが、風疹や麻疹は昔からとても恐れられていた疾患です。
あまりに耳にする機会が多い言葉なので警戒感が薄くなっているかも知れませんが、今でも罹ってしまうと悲劇を招きかねない病気であることを忘れないでくださいね。

台風11号は各地に大きな被害をもたらしつつ、日本海を北上しています。

雨風進路予想から鹿児島には接近や上陸が懸念されていたため、週末の多くのイベントが中止や延期の措置がとられました。
その判断は結構早くて、先週の前半あたりから決めた所も多かったようです。
当院外来に定期受診されている方も、予定を早めて受診されるケースが目立ちました。
これって鹿児島では当たり前のこと。
台風銀座と呼ばれ、何度も痛い経験をしてきた地域だからこそ、普通に行動ができるのです。
実際はあまり大した影響はなく、イベントなども開催できたのではないかと思われますが、判断ミスだったと批判されることはありません。

対して、神戸時代は周囲のあまりの楽観具合に驚いたものでした。
自宅の雨風対策も疎かだし、来るとわかっているのに早めに用事を済ます等の行動ができないのです。
今回も、鹿児島では考えられないようなイベントの中止判断の遅れが、ネットのニュースなどで散見されました。

昨今の気象変化は半端ではありませんが、情報量は増えています。
情報を上手に活用して備えを万全にしたいものです。

健康や医療については、間違った情報に惑わされないようにしてくださいね。

蝕む24日にも報道がありましたが、「脱法ハーブ」吸引による交通事故が後を絶ちません。
今回の件に関しては逮捕時の運転手の状況も映像が報道されるなど警察も異例の対応をしていました。
薬事法が改正されこの4月から取り締まりの対象となりましたが、この「脱法ハーブ」という名称が、使用する際の負い目を軽くしているような気もします。

心筋梗塞や脳梗塞の再発を予防する目的で低用量アスピリンが処方されるケースがここ10年ほどで随分増えてきました。
しかし、これも「低用量」というネーミングのせいでしょうか、心筋梗塞や脳梗塞を発症していないのに念のため、として安易な使われ方がされていることもあります。
発症を防ぐことを一次予防、再発を防ぐことを二次予防といいますが、低用量アスピリンに一次予防のエビデンスはないのです。
このことは先月FDAからも注意喚起がなされています。( → こちら )

この1ヶ月ほどの間にも、低用量アスピリンの絡んだ消化管出血を複数例経験しています。
消化管出血リスクがつきまとうことと、Proton pump inhibitorと呼ばれる酸分泌抑制薬にそのリスクを軽減させるエビデンスがあることを十分に理解した上での処方が望まれます。


エコー先日、少人数での勉強会に参加しました。
そこで、最近の研修医はほとんど自分で超音波検査をすることがないという話を聞いてちょっと驚きました。
今の臨床研修制度では設備の整った病院に勤務することが多く、すぐにCTやMRIをオーダー。
そして超音波は技師さん任せ、なんだそうです。
日本はCTやMRIの普及が抜きんでているとはいえ、どんな医療機関にでもあるものではありません。
被曝の問題や長時間うるさい撮影室に閉じこめられる苦痛などを考慮せず、安易にこれらの画像検査を選択してしまうのは、私自身気が引けます。
一方、超音波は診療所レベルでも備えている施設が多く、最近は携帯できるものも登場しています。
往診先や災害現場でも活用することができるわけです。

胎児や甲状腺などを調べる際には第一選択となる超音波検査。
何でもかんでも診断できるわけではありませんが、将来自分自身で扱えない医師が増えていけば一体どうなるのでしょうか。
今の研修制度では十分に時間をかけて検査法を学べないという事情もあるでしょうが、若いうちは貪欲にいろいろな知識を吸収してほしいものです。

スリッパ当院の外来でスリッパを廃止し土足OKとしたのは、ちょうど1年前の12月19日のことでした。
その理由は当時のブログに書きました。( → 今日から土足OK )

スリッパを廃止するかどうかはかなり以前から当院内で議論されてきたのですが、二の足を踏ませていたのが、一体どれくらい床が汚れてしまうのだろうかという懸念でした。
実際にスタートしてみるとほとんど問題ありません。
一体何を躊躇していたのか、「泣こよか、ひっ飛べ」ですね。
ただ、夏場の桜島の降灰のひどい時期は灰が院内にある程度上がり込んでしまいますが、鹿児島に住んでいる以上致し方ないことと割り切っています。

1年経っても、まだ靴を履き替えようとされる方がたまにいらっしゃいます。
5年経っても、休診となった木曜日の午後に来院される方がいらっしゃいますので、習慣づいていることを改めることや周知を徹底させることの難しさを感じる今日この頃です。

アイパッドプライベートで使用していた iPad の画面に赤く滲んだ縞模様が出るようになったので、新しいものを購入しました。
新品を買った後でネットで調べたところ、その液晶の不具合は iPad を落とすと直ることがある、というのを見つけました。
駄目元でヘソの高さからカーペットの上に落とすこと3回。
画面に一瞬光が走ったと思ったら、元通りになったではないですか。

その iPad ですが、現在外来で活用しようとあれこれ手を加えています。
既に尿酸の結晶や乳糜血清等の写真を提示して、患者さんの説得材料に使っています。
iPad には医療系アプリケーションが豊富に揃っているので活用できそうなものをどんどん取り込んでいこうと思っています。

試験管先日、群馬で教授をやっている大学時代の同級生が鹿児島で講演するためにやって来ました。
皆さんの計らいで、当日座長を務めた地元大学の教授を交えていろいろな話をすることができました。

思い出話や近況について話が盛りあがりましたが、その中で気になったのは、医学部の卒業生のほとんどが臨床医になってしまい基礎系の講座が人集めにかなり苦労しているという件。
このままだと日本の医学の基礎研究レベルが中国や韓国に数年のうちに抜かれてしまうだろう、と同級生が危惧していました。
学生時代、神戸大学にはノーベル賞候補の生化学の教授がいて、希望すれば学生であっても実験の手伝いをすることができました。
世界の最先端の研究の一端に触れることができるとあって、実際に何名かの同級生も教室に出入りしていましたし、基礎研究は恰好いいというイメージが学生の間にありました。
大学の同級生のうち4人が大学教授の職に就いていますが、いずれも臨床系ではなく基礎医学系であるのも大学のそういう風潮があったからこそでしょう。

病気に苦しむ方々を救う臨床医を目指して医学部に入る学生がほとんどですが、臨床は基礎研究の成果を実践しているに過ぎません。
これはこれで重要なことですが、治療法未確立の疾患にはただ手をこまねくだけ。
そういう歯がゆさから研究の道を選んだノーベル医学生理学賞の山中伸弥先生も神戸大学の出身です。
臨床に身を置く人間が言うのは説得力ないかもしれませんが、基礎研究の世界に踏み込んでみるのも悪くはない選択です。

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