野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
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    電話   099−281−7515
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 思うこと・他

4年前にも当ブログで取り上げた問題ですが、EGF ( Epidermal Growth Factor、上皮成長因子 ) 入りの化粧品の宣伝がとうとうテレビにまで登場しています。
詳しくは下の記事二つを読んで頂きたいのですが、EGF は傷を修復する作用を有するのであって、美肌成分だのハリのある肌が蘇るなどといったことはありません。

EGFに関するこんな商品が出回っているようですが
傷は舐めるに限る

2011081015504422359.gifそもそも本当に EGF が配合されているのかどうか、配合されていても働きを有しているのか。
私が研究室で使っていたときは、届いた EGF を使用する濃度に調整した上で少量ずつ容器に小分けにして凍結保存。
そして使用時に解凍して使っていたのです。
常温では簡単に失活してしまうから、そのように扱っていたわけです。
もし本当にアクティブな状態で有効濃度を有しているのなら、傷が治るのが早いはず。
傷の半分に塗ってみてその部分が他の部位より早く治れば嘘ではないのでしょうが。

EGF を宣伝するネットの情報は恐ろしく詳しいのには驚かされます。
研究論文なども引用してかなり正確な部分もあり、全くの嘘もあり。
それは EGF を専門的に扱った人間にしか見抜けないでしょうね。

とにかく前にも書きましたが、新鮮な EGF は唾液に含まれていますので、美肌効果を信じるなら唾液をいっぱい肌に塗り広げてみてください。

近いうちに EGF について語ってみましょう。

20110312001252986.png11日に発生した「東北・太平洋沿岸地震」で日本は大混乱しています。
鹿児島は揺れることはありませんでしたが、津波警報が出て沿岸で1m規模の津波が観測されています。

被災地の医療関係者の皆さんも大変なことだろうと思います。
阪神大震災を経験したものとして・・・

最初の2-3日は外科系の医師の出番。
しかし時間が経過すると内科系の出番が来ます。
家からてんかんの薬やインスリン等を持ち出せないまま着の身着のままに避難した方への対処や、クラッシュ症候群による緊急の人工透析などをしなければならない状況も出てきます。
3月とはいえ雪の舞う寒い地域もあるようですから、避難所で体調を崩し肺炎などを起こす高齢者なども出てくることでしょう。
阪神大震災の時もそうでしたが、被災の全体像を把握するのには相当な時間がかかります。
当座は日常生活を営むこともままなりません。
しばらく続くであろう余震には気持ちが萎えてしまうことがあります。
自身も被災者でありながら不眠不休で医療にあたるのも大変なことですが、支援の手も間もなく駆けつけることでしょう。
皆様のご活躍をお祈りいたします。
必ず復興する日が来ます。

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「加齢排便強迫症」とでも名付けてしまいましょうか・・・。
どうしても1日1回は便が出ないと気が済まない。
そのためにあらゆる手段を講じる。
そういう人が不思議なことに高齢の男性に圧倒的に多いようです。
話を聞いてみると、水様の便で1日に何度もトイレにいっているにも関わらず、大量の下剤を飲んでいるのです。
そこまでして出す必要がどこにあるのか、と聞いてみると必ず返ってくるのが「今日出なかったらどうしてくれるんだ」といったような内容の言葉。

年をとると大腸の運動機能が若い頃に比べて低下するため通過時間が長くなり、その分余計に水分が吸収されてしまい硬い便になりがちになります。
また直腸や骨盤底筋群の働きの衰えで、踏ん張る力も落ちてきます。
若い頃は毎日のように出ていたのに・・・、気持ちはわかりますが若い頃とは違うのです。
女性でも同様のことが起こっているはずですが、比較的若い頃から便秘の方が多いせいか、男性のように排便にこだわる人はめったに見かけません。

センナ系の薬は即効性が期待できますが、連用していると効きが悪くなり徐々に使用量が増えてしまいます。
中国最古の薬学書である神農本草経では、センナの成分を含む大黄を長期に連用してはならない品目に分類しています。
まずお勧めするのは酸化マグネシウム
これは便の中に混じり込んで水分を保持し、便を柔らかい状態に保ちます。
また、麻子仁丸、潤腸湯、大建中湯などの漢方薬も高齢者にはお勧め。
新レシカルボン坐薬は挿肛すると腸の中で炭酸ガスを発生し、直腸を刺激することで排便を促します。
炭酸ガスと聞くと体に悪いのではと思われるかもしれませんが、腸からの吸収が早く血液を介して呼気に逃げていきます。
最近は、苦痛軽減目的で大腸内視鏡検査時の送気に炭酸ガスを使う施設が増えてきています。

これらの薬を組み合わせ、センナ系薬剤はあくまで頓服で利用するようにして程よい硬さの便が出るように調節していきましょう。

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この冬はとても寒く、南国鹿児島でも暖房が連日のように活躍しています。

暖房のよく効いた部屋に入ってくるなり、「この部屋、乾燥してる~~」と言うのは決まって女性です。
そして肌やのどに悪いだの、加湿器が必要だのと話題が続きます。
これに対して、男性陣から湿度の話題が出ることは皆無に等しいことです。

男性からすると部屋の湿度に対して女性はとても敏感なようで、特殊な感覚が備わっているようにしか思えません。
それとも男性が鈍感なのでしょうか。

この不思議な現象に興味を抱いて、暖かな空気に包まれた部屋で男女の違いを興味深く観察しています。
こうやって私はかなり意識しているのにも関わらず、空気の乾燥具合はそれほど気になるものではないのですが。

2011012718064915281.gif鹿児島市医師会が発行している雑誌から、年男として何か書いてくれと年末に原稿依頼がありました。
うさぎ年なので、因幡の白兎のことを書いてみました。
因幡の白兎って実は白くない ( かも知れない ) という話です。

まあ何とか仕上げ新年号に載っているのですが、医師会のホームページにおいても公開されていますのでアドレスを掲載しておきます。
興味のある方はご覧になって下さい。

http://www.city.kagoshima.med.or.jp/ihou/587/587-12.htm


今回、原稿を書いた後にあちこちで因幡の白兎のことを話題にしてみたのですが、この話を知らない若い人が多いのにはびっくりしました。
かぐや姫やかちかち山等と同じくらい親しんだ昔話なんですけどね。

今年、iPadが発売されてから蔵書をスキャナーで取り込んでPDF化することが流行っていて、それに伴い裁断機が売れているようです。私も日に日に溜まる医学関係の雑誌を中心に古いものからPDF化する作業を夏ごろからやり始め、本棚が随分すっきりしてきました。

ところで裁断機は裁断すること以外に使いようがなく、使ったからといってうまく裁断できるとも限りません。普段の収納にも意外と困るものです。
診療所に裁断機はあるのですが、この作業に私は一切使っていません。使うのはアイロンと定規とカッターナイフのみですが、私なりの定規とカッターの使い方をお教えします。

無線綴じの場合、PDF化する本の背表紙にアイロンをあてて糊を溶かしてページをばらしていくのはご存知だと思いますが、ここで使うアイロンは専用にしましょう。糊がどうしてもアイロン面についてしまい、本来の用途に使えなくなってしまうからです。アイロンは1000円前後の安いもので十分です。
当然ながらステープラーで止めている中綴じタイプの雑誌はリムーバーを使って針を外します。

2010121022240121666.gifさて、カッターを使って糊のついているページの端を切り落とすのですが、次の方法に慣れてくると50枚くらいまとめて切ることができます。

まず、定規は30cmの厚めのアクリル製で目盛りのない方が斜めにカットされている物を用意します。
刃が定規に乗り上げてしまわないよう、図のように幅の長いほうを上向きにするのが正しい使い方。
定規の端が内側に切れ込んでいる分、カッターの刃は常に垂直になるように意識します。
縦方向に自分の遠いほうから手前に引くのは言うまでもありません。

一息に何枚も切り離そうとしないことが重要なポイントで、まず1枚目に鉛筆で軽く線を引くような感じでカッターを動かします。刃先が鋭い状態だとこれだけでも 2-3枚切れてしまいますが、あくまでガイドとなる線を引くんだという気持ちで。
2回目は若干力を入れて1回目と同じラインをきっちりなぞるようにカッターを引きます。
3回目からもう少し力を入れて本格的に切っていきますが、2回で作ったガイドの溝を外さないようにします。
これを何回か繰り返すとやがてきれいに切り離すことができますので、思いっきり力を入れないで下さいね。
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最初は10枚くらいから練習することをお勧めします。
下にカッターマットなどを敷くなどの準備は怠りなく。
私は不要になる雑誌の裏表紙などを活用しています。

注意したいのは、切り始めの部分はうまく切り離せないことが多いということ。写真は36枚切ってみた時の失敗例ですが、ティッシュペーパーの 1枚目がうまく取り出せないのと同じくらい難しい・・・。そろそろ最後の一枚まで刃先が通りそうだなという時の力の入れ方にちょっとしたコツがあるのですが、これはなかなか文章にしにくいので体得していくしかありません。

後はスキャンするだけ。余程大量の本を裁断するのでもない限り、この方法で十分目的が達成できます。

皆様のご健闘をお祈りいたします。



   □ 関連記事 Evernote、ZumoDrive、SugarSync

20101105153755415.gif明日11月7日、武岡台小学校のPTAバザーが11時より開催されます。

注目点を二つ挙げておきますが、まずは毎年実力を上げている器楽部の演奏。
そして、やぶ金の本格的なうどんが提供されるそうです。

皆さん、是非足をお運びください。

当ブログでは、武岡の皆さんに地元の景色の素晴らしさを再認識していただき、その景色を眺めながら楽しく歩いて健康増進に努めていただければと「武岡の端っこを歩く」という連載を行なっています。
その連載で紹介してきた市道「武・武岡線」が水上坂で「水上坂横井線」と繋がる工事がいよいよ始まります。

このため、水上坂 ( みっかんざか ) の地図の青い丸の部分 ( 武岡の端っこを歩く第35回で紹介した付近 ) が

9月13日から9月25日まで          終日片側交互通行
9月27日から来年1月中旬まで 9時から16時 全面通行止め
               16時から翌9時 片側交互通行


となります。( 9月26日はどうなるんでしょう ? ナゾの空白の一日です )


西田方面から武岡へのアクセスが制限されますので十分にお気をつけ下さい。
また、他のルートの混雑がどのようになるか想像できませんので、時間に余裕を持って運転して下さい。
完成したら完成したで、車の流れが大きく変わるでしょうね。


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2010081813324223552.gif聴診器で肺の呼吸音を聴くときに私は必ず
「息を大きく吸ったりはいたり繰り返してください」
とお願いしています。
ほとんどの方はそれに従って、ラジオ体操の最後の深呼吸のようなペースをとって吸気と呼気を繰り返していただけるので大変ありがたく思っています。
しかし、中にはこんな方もいらっしゃいます。

・息を吸うのに10秒以上かける方・・・がんばっいてただくのはありがたいのですが、聴診にそれなりに時間がかかります。

・大きな吸気呼気が一度きりの方や息を吸ったまま止めてしまう方・・・私のリクエストが全く伝わっていないわけですね。

別に腹を立てているわけではなく、同じ問いかけに対する人の受け取り方が一様でないことを興味深く思っているのです。
普段の診療の中での病状説明や生活指導の際に、こちらが説明したつもりでいても 100% 患者さんに伝わっていないのだろうなということをある程度念頭に置いておかないといけないということです。
この短いやり取りでさえスムーズに行かないことがあるわけですから、療養上大事なことはしつこいくらい繰り返して説明する必要があると考えています。

このブログを書くのに自宅や仕事場など 3ヶ所で 3つの Mac を使っています。
そのため USBメモリーを活用して、散逸しがちなネタや下書きをまとめていました。
ところが先日、その USBメモリーをどこかになくしてしまいました。
次にこんなことを起こしても心配せずに済むようにセキュリティソフトが活用できる USBメモリーを買ってみました。( →これ )
これはこれで便利なのですが、今回のことをきっかけにオンラインストレージも活用してみようと思い立ちました。

オンラインストレージには人様にデータを預けるようで抵抗を感じていたのですが、このブログだって全てのデータを手元に置いているわけではないですしね。
使ってみるととても便利で、USBメモリーの出番がずいぶん減ってしまいました。
あれこれ試してみた結果、実際に役立てているのは下の 3つに収斂されてきました。


evernote.gifEvernote

厳密にはオンラインストレージではないでしょうけど、ブログの下書きやネタ元のサイトのクリッピングなど、気軽に放り込んでおけるので大いに活用しています。
月40MBの容量制限があるものの、私の用途では今のところ十分。
ビジュアル的にもとても洗練されていて、扱いやすさも抜群です。




Zumodrive.gifZumoDriveSugarSync

いずれも 2GB のスペースが無料で使えます。
しばらく併用していましたが ZumoDrive がメインになってきました。
Mac を立ち上げるとデスクトップ上にあたかも外付け HD がマウントされているように見え、面倒くさい ID やパスワードを入力することなくすぐに使える点を最も便利に感じています。
アップロード、ダウンロードのスピードに不満はありません。
ファイルがローカル上にも保存されるわけではなくキャッシュされるだけのようですが、キャッシュされたものはオフラインでも活用することがでる点もいいですね。
とにかく Macとの親和性が非常に高いのがうれしいです。


sugarsync.gif一方 SugarSync は、同期できるフォルダを自分で設定できるので、ローカルの HD の容量の節約も可能な点が老舗の DropBox との相違点。
私の使っている Mac の OS や機種によって動作が一定していない点と、無料版だと同期できるパソコンが 2台だけというのが私の環境だとちょっとネックになっています。
最近、ファイルマネージャーがバージョンアップされたのですが、うまくアップロードできなくなりました。

両者とも最近になって表記が日本語化されたものの、自動翻訳機を使っているのかいい加減でさっぱり理解できない説明文もあるので改善が望まれます。

他人とは共有しない、モバイルからのアクセスもほとんどしない、メールを使ったデータ登録もしないという私の使用法からすると、ZumoDrive が一番直観的で使いやすくて気に入っています。
せっかくゲットした SugarSync の 2GB のスペースには、すぐ使いそうにないものややや古くなったものを同期させない形で保存するという形に落ち着きました。

お勧めの ZumoDrive にはこちらからアクセスして開設すると、ボーナスで250MB分無料の容量が増えるようですよ。( → こちら )
ちなみに SugarSync もこちらからのアクセスで、250MBの無料の容量が増えます。( → こちら )


201007271852042545.gif私の Mac には一時保存というフォルダがデスクトップ上に置いてあって、ファイルをとりあえずこの中に放り込んで後から整理するという方法を Mac を使い始めた頃からとっています。
でもとりあえずのつもりでいながら、中身はいっぱいで古くは4年前のものもあって随分ゴタゴタしてました。
今回、オンラインストレージを活用することでこの一時保存フォルダの中身もすっきりと整理することができました。

なお、今月20日の夜、世界的に Evernote にアクセスできなくなる状況が発生し少々焦りました。
サーバーのトラブルや何らかの理由でネットへアクセスできなくなる事態も念頭に置かなくてはいけませんね。

小さい頃、近所のお店に置いてある果物をいっぱい盛り合わせたフルーツバスケットに憧れを抱いていました。
バナナ、オレンジ、ブドウにメロン・・・。
入院したら貰えるんだ、病気するのも悪くないな、と考えていたのを思い出します。

お見舞いに食べ物を持ってこられる方がいますが、これはやめておきましょう。
高血圧や糖尿病をはじめとして食事療法をしている場合が多いからです。

2010060813472013892.gifそれでは花はどうでしょうか。

イギリスではベッドサイドで花を飾るのを禁じている病院が多いとか。
これは70年代の研究で花の水分には多数の細菌が含まれていることが明らかになったからだそうです。
しかし、花を飾ることによって院内感染が増えるかどうかのデータはありません。
また、看護師が仕事量の増加を懸念して花の持ち込みを歓迎しないようです。
こんなことでも真面目に調査すると立派な論文になって一流雑誌に載るのですね。( BMJ 2009; 339: b5257 )

個室でなく大部屋だと置き場所に不自由をすることがありますし、管理の問題も出てくるでしょう。
しかし、母の日に小さな花のアレンジメントを贈ってもらって嬉しそうにしておられる方、花をつけたローズマリーを自宅から持ち込んで一輪挿しに飾って香りを楽しんでおられる方・・・。
わずかなスペースであっても花があると、療養にマイナスになることはないでしょう。
個人的には禁じることはあってはならないと思いますが、いかがでしょうか。

201004041651107899.gif内科医の必需品といえば聴診器
「いいの使ってますね」
消化器を専門としていながら、循環器の先生にそう言わしめる私の愛用品は Littmann の上位機種です。
たかが聴診器ですが、上位2機種の定価は税抜きで55000円と45000円とかなり高価なものです。
しかし、私は以前から随分安くで手に入れています。

1996年頃だったと思いますが、先輩医師からある米国のサイトを教えてもらいました。
当時はネットで購入するシステムが確立されておらず、拙い英文を書いてファックスで注文を出したように覚えています。
当時、日本の輸入元の色の品揃えが少なかったので、日本にないハンターグリーンをチョイス。
届いてから一人で悦に入っていました。

今回、愛用していた聴診器のバイノーラルと呼ばれる部位の板ばねが壊れてしまいました。( 図の矢印部分 )
それにしてもここはよく壊れますね。
修理に2万円はかかると言われましたので、また新しく買い換えることにしました。
新品は米国からの送料を含めても修理代より安いのですから。

( http://www.steeles.com/catalog/cata_stetho.html )

発生してそろそろ一年が経とうという新型インフルエンザについて振り返ってみましょう。

201003261549093026.gif4月21日、米国で2例の感染例発表。
4月23日、メキシコで複数の感染及び死亡例が報告。
4月25日以降、WHOが緊急事態だのフェーズ4だの矢継ぎ早に発表。
4月28日、日本政府、水際作戦開始。豚インフルエンザを新型と言い換え始める。
5月9日、成田で3例の感染者確認。
5月16日、神戸で国内発生1例目確認。

関西地区ではイベントの中止や学校の一斉休校などの措置により、新規発症例が減少しました。
ところが、7月下旬よりそれまでにない数の新規発症例がみられるようになり、8月14日には国内初の死亡例、そして11月下旬をピークとした大流行へと発展したのでした。

水際作戦以外にも様々な対策がとられ、それぞれに問題点が指摘されました。
学校閉鎖の基準、発熱外来のあり方、ワクチン配分・・・等々。
その中で新型インフルエンザワクチンについて今一度考えてみます。

新型インフルエンザワクチンは当初全国民をカバーできないことが最大のネックとなったので、ワクチンを行政が管理して優先順位を付けて接種していくことになりました。
従来のワクチンは返品が可能なため、たくさん仕入れておいて余ったら返すという医療機関があり、ワクチンの偏在がいつも問題となっていましたので、この方針自体間違ったことではないと思いますが、実際の運用の点で多くの課題があったと思います。
医療機関側にはとにかく無理難題が押し付けられたのです。
まず、先に何月何日から予約をとれと言いましたが、ワクチンの入荷日や実際れだけ納入してくれるのかが正確にわからないのです。
飛行機を飛ばすので予約をとれ、でもセスナになるかジャンボになるかは未定、飛ばすのはだいたい今月下旬頃・・・こんなので予約業務を引き受ける旅行代理店がどこにあるでしょうか。
当院では電話対応マニュアルを作ってオーバーブッキングにならないよう腐心しつつ、次々にかかってくる電話に曖昧な返答をせざるを得ない状況が続きました。
そうしながら何とか予約をとったのに事前に知らされていた予定配分数とは全く違う数が入荷・・・がっかり。
また、接種希望者、特に子供に受けさせたい親御さんたちもあちこちの病院に電話をするけれども予約を断られ続けて諦めてしまうケースが多々あったように思います。
12月に入るとインフルエンザに罹患する人が増え、接種のキャンセルなどもあってワクチン数に徐々にゆとりができてきましたが、事情を知らずにおられる方も多かったようでした。
当院では近隣の保育園や幼稚園に声をかけてみたところすぐに反応があったことからも、一般の方がワクチンの情報を得づらい状態であったことは否めません。
ワクチンを受けたい方の苦労も大変だったことでしょう。
また、予約開始日や優先順位の変更等は県から医療機関への連絡がなく、新聞報道で知るというパターンがほとんどであったことはもどかしい限りでした。
行政もワクチン配分に四苦八苦したでしょうが、管理する以上は情報提供を密に行なう連絡体制を敷いて欲しいものです。

ワクチンに関しては一つ喜ばしいことがありました。
それは国が妊婦さんに対する接種を高い優先順位で推奨するようになったことです。
海外では当たり前のことなのですが、これまでは「妊婦は接種不適合者ではないが、接種によって得られる利益が不明の危険性を上回るという認識が得られた場合に接種するのが望ましい」と妙に及び腰の見解でしたから、大きな方針転換でした。

また、先にも述べたように関西地区で 5月にとられた一斉休校措置には批判もありましたが、世界的には注目を集めたもので、流行のピークを何ヶ月かずらすことができたのは紛れもない事実です。
もし実施していなければ、10月下旬から医療関係者を皮切りに接種の始まった新型インフルエンザワクチンの恩恵に誰も預かれなかったかも知れません。

何だかんだ言って、日本では重症・死亡数が諸外国に比べかなり押さえ込むことが出来たものと思います。
今回の新型インフルエンザへの一連の対応に関しては、行政や医療機関、国民一人一人が十分に総括して、今後の未知なるパンデミックに冷静に効率的に立ち向かうことができるようにしたいものです。

新型インフルエンザはすっかり落ち着いたように思いますが、当院では3月に入り1人いらっしゃいました。
また、今月だけでも神戸と札幌で死亡例が出ているのですが、関心が薄れたのか大きく報道されることもなくなりました。
必要以上に怖がることはないと思いますが、インフルエンザは死ぬこともある感染症であることは頭の隅に入れておきましょう。

2010022617294717845.gif今回は、先日参加した講演会についての感想を書き綴ってみます。

検診で胃癌が見つかった人の透視や内視鏡の画像を過去にさかのぼって再検討したものでした。
癌が発見されたのと同じ部位に既に何か変化が起こっていたのではないかという目で以前の画像を見てみると、確かにわずかな変化があったり明らかな見落としがあったりするものです。
複数の医師が判定するにも関わらず問題なしとされているものも多く、会場の医療関係者の大多数もこれを癌と診断せよというのはちょっと酷だなと思われたに違いありません。
しかし、このようなケースをしっかり学んで医師一人一人が診断精度を上げていかなければならないなと改めて実感しました。
また、患者さんが定期的に検査を受けておられるからこそできる検討であることを感謝しなくてはなりません。

胃の検査というと内視鏡が主流となってきた現在、検診の透視のレントゲン写真を読影する若い医師が減り、読影医の高齢化が進んでいるとか。
検診のあり方を変えなくてはならない時期に来ているのかも知れません。

aed.gif阪神淡路大震災から15年が過ぎました。
当時神戸に住んでいた者としては、あの揺れとそれに引き続く光景は忘れ難いものです。
微力ながら医療従事者として震災と関わったことは今でも大きな財産となっています。

神戸市ではその後、市民救命士の認定を受ける人が増え、人口の2割を超えたとか。
実際に認定者の活躍で救命できた事例も多いようです。

最近は街の中に自動体外除細動器 ( AED ) の設置台数も増えてきているようですが、実際に一般市民が使ったケースが 2%にとどまったというニュースもありました。
AEDは一般の方が使っても構わないよう法整備がなされていますが、現状では心肺停止状態の人を見てすぐに AED のことは連想できないでしょうし、それができたとしても自ら使おうは思わないでしょう。
啓発活動が大事になるわけですが、この点も兵庫県医師会では積極的な活動をしているようですね。
震災を経験すればこそ、意識が違うわけです。
昨年の東京マラソンで私と誕生日が同じタレントが実際に AED を使って救命されていましたが、指宿で開催される菜の花マラソンでも毎年のように AED が使われるようです。
そして死者はこれまで一例も出していないということでした。

今回のハイチの震災をみても分かる通り、大規模な災害では医療施設が機能するとは限りません。
いつ何時、非常事態の場面に出くわしてもたじろがずに済むよう、誰もが簡単な応急処置等ができるように学べる機会が増えればいいなと思います。

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