野口内科 BLOG

  野口内科は鹿児島市武岡に開業して46年を迎えました。
  当ブログでは、当院からのお知らせ、医療・健康に関する情報の他に、近隣の話題、音楽・本のこと等を綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:00 (金曜は〜18:30)
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
    院長   野口 仁

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 思うこと・他

GWゴールデンウィークまっただ中。
今年は天気に恵まれて観光地は大賑わいのようですね。
折角の連休、我が家は病人が出てしまい、どこへも行けません。
医療機関も休んでしまうこの時期、一般の方なら大慌てするところでしょう。

医療関係者にとって休みが続くのはあまり歓迎できない部分があります。
体制が手薄になるのに病気は関係ありませんからね。
今回の連休で一番困ったのは月曜日が2週続けて休みになることです。

昔、勤務医時代に月曜日の外来を担当していましたが、薬剤の投与期間が原則30日までという制約があった時代は次の予約のやりくりが大変でした。
ハッピーマンデーという言葉のもと、平成10年・13年に法律が改正さてれ月曜日の祝祭日が増えたのはかなり堪えました。
平成14年度から薬剤の投与期間の制約が大幅に緩和されて大助かり。

この14年度の規則改正でその4月から多くの薬が長期投与可能となったのですが、実施にはちょっと混乱がありました。
公的病院に勤めていたのに、当分従来通り30日投与を続けてくれ、と事務方からお達しがあったのです。
一ヶ月もすると、どしどし長期投与をやってくれ、と前言撤回。
一体何を根拠にした通達だったのか、おかげでゴールデンウィーク前後の外来予約はそれまで通り手こずることに相成ったのでありました。

それでも月曜日しか病院に来れないという方が少なからずいますので、連休明けの最初の月曜日は混乱必至です。

アート先日、大腸がん検診研修会に足を運びました。
特別講演は大腸内視鏡の分野で超有名な先生
学会などでは聴くことのできない興味深い話がいくつかありました。

これまで私は、焦点の合わせにくさを嫌って拡大内視鏡をあまり活用していません。
しかし、450倍の超拡大内視鏡ではその場で仮想生検診断ができ、これまでのHE染色による病理診断はもはや古いといった内容には説得力がありました。
今後この分野は面白い展開をみせそうですね。

時間がなくてあまり詳しく語られなかったのですが、 大腸内視鏡挿入法について「シンプル」「アート」という言葉がちらりと出てきました。
私も常日頃思っていたことなのですが、大腸内視鏡に限らず、物事に習熟してくると余計な遠回りをせず最短距離で目的に到達することができるようになります。
初心者には真似できない簡潔さは芸術と呼んでもおかしくない輝きを備えていますよね。
私もいろんな分野でシンプルさを兼ね備えたアートを身に付けることが出来たらいいなと思っています。

初めて学会発表をした時は、今とは違ってスライドを作って会場に持って行き、投影する仕組みでした。
ただ、パソコンで作成してリバーサルフィルムに出力ができるようにはなっていましたけど。
今はパソコンで手軽にプレゼン資料が作れる便利な時代になりましたね。

このスライド作りで上司ともめたことがあります。
要点を簡潔にと思っている私とは違い、発表原稿と同じ文章をそのままスライドに入れろという上司。
結局私が折れる形になりましたが、いまだに手元に残るそのスライド、きれいな色使いだと教授に褒められたものの、実験データも納得できるものではなかったこともあり、あんまり見たくありません。
今や私の考え同様、シンプルなスライドを良しとする流れですね。

スライドを一番目にする機会が多い学会では、口演が10分以内に制限されていることが多いせいでしょうか、その分スライドにぎっしり文章やデータを詰め込んでいるケースが多く、見栄えのいいものにあまりお目にかかれません。

スライド先日、諸先輩方を前に肺炎球菌ワクチンについて話をさせていただきました。
スライド作りで気を遣ったのは、高齢の方々でも見えやすいもの、ということ。
文字の大きさや色使いに神経を尖らせました。
シンプルにした分、話が勝負。
肝心な内容を飛ばさないよう、時間内に収まるよう、嫌というほど練習して臨みました。
甲斐あって、伝えたいことがきちんと伝わったようでほっとしています。
それがプレゼンの最大の目的ですけども、本来口下手な私、事前の準備が何より大切だなと改めて思いました。
専門とはいささか異なる分野の話をしたこともあり、いろんな意味でいい勉強をさせていただきました。

機会を与えてくださったこと、感謝いたします。

桜島明日で阪神淡路大震災から18年が経ちます。
また、12日は桜島の大正噴火からちょうど100年目であり、その前日に大規模な総合防災訓練が行なわれました。

阪神淡路大震災は多くの犠牲者や甚大な被害を出したにも関わらず、その年の十大ニュースのトップに地下鉄サリン事件を挙げる人が多かったのには残念な思いでいました。
でも2011年の東日本大震災は人々の認識を変える大きな契機になったようで、先の桜島の訓練も真剣味があったようです。

普段から災害に対する心構えが大切であることは言うまでもありません。
疾患も同じ。
普段の生活習慣や予防接種などで防げるものはいくらでもあります。
後悔することのないよう、やるべきことはしっかりやりましょう。

高齢者昨日は敬老の日でした。

日頃行なっている内視鏡検査でもご高齢の方を担当する機会が多いのですが、以前住んでいた神戸では89歳の上部消化管内視鏡検査が最高齢でした。
ところが鹿児島に帰るとあっさりその記録を更新し、上部では103歳、下部では100歳の方の検査を経験させていただきました。
鹿児島にはただ年齢を重ねているのではなく達者でおられる方が本当に多いなと日頃感じています。

さて、平成23年度の人口動態統計において日本人の死因の第三位に肺炎が躍り出ました。( → 参考 )
これまで50年以上にわたって死因の上位を占めていた悪性新生物・心疾患・脳血管疾患の三大疾病の一角が崩れたのです。
特に90歳代の男性では肺炎が第一位なんですね。
10月からはインフルエンザの予防接種が始まりますが、肺炎球菌ワクチンとの併用が有効であるという検証が積み重なってきています。( → 参考 )
ご高齢の方々が防げる病気で健康を損なわないためにも、ワクチン接種をお勧めいたします。

AED9月9日は救急の日。
それに合わせて鹿児島市と鹿児島市医師会は毎年救急医療市民講座を開いています。
今年は特別講演の後に救命救急士による心肺蘇生法の
体験実習が行われます。
いわゆる心臓マッサージだけでなく、自動体外式除細動器 ( AED ) の使用法も勉強できます。

阪神大震災を経験した神戸市では市民救命士の認定を受ける人が2割以上いるとか。( → 阪神淡路大震災から15年 )
鹿児島でも多くの方が救命のノウハウを身に付けていただきたいと願っています。

今年の救急医療市民講座は
 □ とき  9月2日 (日) 午後2時から ( 9日ではありません )
 □ ところ 鹿児島県医師会館4階大ホール
入場は無料です。

 

どういうわけか、鹿児島では高校の同窓会が非常に活発に行われます。
今年開催される鹿児島県立鶴丸高等学校の担当幹事学年の一人として 1年以上前から大勢の同級生とともに準備を進めてまいりました。
いよいよあと 1ヶ月に迫ってきましたね。

薩摩剣士もうおおっぴらにしていいということなのでこのブログを通じて宣伝しますが、今年の同窓会にはあの薩摩剣士隼人が登場します。
鹿児島の方にはすっかりお馴染のことと思いますが、薩摩剣士隼人は昨年秋に地元でテレビ放送開始以来絶大なる人気を誇っており、あちこちのイベントにも引っ張りだこ。
そんな大忙しのヒーロー、隼人がわざわざ我らの母校の同窓会に顔を出してくれます。
卒業生の皆さん、この機会を逃すことなく奮ってご出席の程よろしくお願いします。

また、7月1日からの地元紙、南日本新聞にもご注目ください。
隼人やボッケモンたちも同窓会をPRしてくれます。


鹿児島県立鶴丸高等学校の今年の同窓会総会・懇親会は、「鶴帰ル、夏。」のテーマのもと以下の日時で開催されます。

  7月28日 ( 土 )  18時より
  城山観光ホテル・エメラルドホール

 



かとり02内視鏡を胃まで入れてみると、消化途中の朝食の残渣の上に緑色の細かい粒がふりかけのようにまぶされていた・・・先頃経験したご高齢の症例。
この方、ある人が自宅を訪ねて行ったら、ちょうど蚊取り線香をおいしそうに頬張っておられたそうです。
それで慌てて病院を受診され、検査と相成った次第。

時折、口にした異物を内視鏡で除去する作業を行うことがあります。
一番多いのは薬をPTP包装ごと飲み込んでしまうもの。
最近は包装が1錠ごとに切り離せなくなっているのでめっきり減ってきましたが、包装の角で食道等を傷つけないように取り出すのに気を使います。
乾電池とか魚骨などもよく見かけますが中にはスプーンを飲み込んじゃったという信じられないようなケースもあったりします。

今回の蚊取り線香は内視鏡を長くやっている中でも全く初めての経験でしたが、検査前の予想通り粉々になっていて取り出せるような断片は一つもありませんでした。
調べてみると基本的に人体に害はないようなので、そのままご帰宅となりました。

高齢化が進むと思わぬものを内視鏡で取り出さなきゃいけないケースも増えるかも知れませんね。

トマトジュース140104101

これは何の数字かというと、2009年から2011年にかけての私の LDL-コレステロールの数値です。
徐々に上がってきていた悪玉コレステロールの数値が、2009年に初めて140台となり、善玉コレステロールとのバランスもとても悪かったのでフルバスタチン 30mg の内服を開始しました。
その後 2年間は薬の効果があって100台に落ち着いていたわけです。

毎年、6月に行なっている血液検査。
さてさて今回も結果が出ましたが、今年の LDL-コレステロールは何と 89
昨年より更に 1割減っていました。

実はちょうど一年前に当ブログで紹介したのですが、トマトのリコピンにコレステロールを下げる作用があるというのを知って、毎朝トマトジュースを飲むようになったのです。
今年 2月にはトマトに脂肪燃焼効果を促進する物質が見つかり、一時トマトジュースが品薄になったのは記憶に新しいところ。
コレステロール低下だけを期待して飲み始めたので、簡単に太らなくなりウエスト周りが随分すっきりしてきた思わぬ副次的効果にも驚いています。
トマトジュースを飲むようになった以外何も特別なことはやっていないので、この継続が奏効したものとしか考えられません。
ちなみに1日に飲むジュースの量は150ml 程度、冬場は体が冷えるので100ml程度とそんなに多くはありません。
もちろん、フルバスタチンは服用し続けていますのであしからず。

( 追記 ) 2015年よりジョギングを始めたところ、服薬なしでも LDL-コレステロールが100~110、そして40前後だった HDL-コレステロールが60台になりました。運動は大事ですね。
 

ツバメ日本で鳥が減ってきているという話があるようで、愛鳥週間に合わせてツバメの目撃情報を募るというニュースがありました。(  t.asahi.com/6j4u )
わが家にはツバメの巣があることは以前からこのブログにてご紹介している通りですし、両隣の家にはやはり減少が懸念されるスズメの巣があっていつものようにヒナの声で騒々しいくらいであまり変化を感じません。
ただ、今年は近隣の街路樹のクロガネモチの実が冬を越す鳥たちに全く食い荒らされなかったのも事実。

スズメツバメの減っている理由として田んぼの減少やカラスの増加などが言われていますが、私が懸念しているのは彼らのエサとなる昆虫の減少です。
ここ 2,3 年の不順な気候に合わせるようにわが家の庭にやって来ていたチョウやミツバチの姿をほとんど見かけなくなっているのです。
植物の方も影響を受けていて、わが家に植えていたものもずいぶんダメになったものがありますが、ようやく復活しつつあります。
昨年は休止していた外来でのハーブの提供もこの5月からラベンダーを手始めに再開しております。 
まもなく、ローズマリーもお配りできるようになると思います。 

名称未設定-1ヨーグルト、プリン、ピーナッツクリーム、チョコレートクリーム、ミニシュークリーム、ココア、コーヒー、麦芽飲料・・・。

小児に対しても漢方薬を処方する頻度が増えてきたのですが、元来粉薬が苦手であるとか味がきついとかできちんと飲んでいただけないこともあります。
これまではアイスクリームに混ぜるとスムーズに服用できたという話を聞いてそれをお勧めしていたのですが、万人に対してうまくいくとは限りません。
他の臨床医も苦労しているようで、ある雑誌に服用に補助に便利なものとして挙げられていたのが上記の食品です。
特にチョコレートクリームに混ぜるとか麦芽飲料を使って飲ませるというのは使えそうですね。
また、嗜好の問題でしょうけどマヨネーズや納豆に混ぜると飲めたというケースもあるようです。
臨床の場で試してみたくなる貴重な情報となりました。

さて、なぜ漢方薬処方が増えているかというと、風邪に処方することが多くなってきたため。
一般の薬局などでも入手可能な風邪薬の成分について、海外では有効性に乏しい上に副作用が問題となっていて使用規制の方向に動いていることも影響しています。
この問題についてはまた改めて考えてみたいと思っています。


ラパロ肝臓や腹膜、卵巣などを直接観察することが主な使用目的だった腹腔鏡
その腹腔鏡を用いた胆嚢摘出手術が日本で始まったのは私が研修医として仕事を始めて間もない頃のことでした。 それから瞬く間に様々な疾患を腹腔鏡下に手術する技法が普及して現在に至っています。

ある時、同期の外科医に疑問をぶつけたことがあります。 「我々の世代は胆嚢の手術を開腹で行なうのがまだまだ当たり前でトレーニングを積み、そこから腹腔鏡下の摘出術を覚えていったけど、若い世代の外科医はそのステップを踏まないケースもあり得るがそれはどうなんだ」と。 彼は「さあ、どうなんだろうね」とそれ以上答えてくれませんでした。

先日開催された大腸がん検診研修会でその気持ちがスカッとする講演を聞くことが出来ました。
大腸癌手術の第一人者によるその内容は今の腹腔鏡手術のトレンドに警鐘を鳴らすもので、傷が小さいことが必ずしも患者のQOL向上につながらないことや、視野や触覚が制限される上に医療コストを押し上げ医療廃棄物量もばかにならないという腹腔鏡手術の影の部分をえぐり出したものでした。

内視鏡で大腸のポリープをせっせと切除している私が、普段から100%納得できる手技が出来ないもどかしさを感じていることを踏まえて同期の外科医に投げかけた疑問だったのですが、著名な先生が同じような憂慮を抱いていることに心を強くしましたし、様々な技術習得を研鑽しつつ長所と短所をしっかり把握して適切な手段を選択していくことの大切さを改めて認識した夜でした。

IS11CA.gifiPad2.gifau からも iPhone が発売されるという報道がありました。

パソコンは Mac をずっと使っていますが、携帯はずっと au で、iPhone の秀逸さは認めつつも会社を乗り換えるのがイヤでスマホの IS11CA に変更したばかり。
ただ、通話以外のことは iPod touch や iPad で代用できますのでこれらを無線LAN の元で活用しています。

さて、iPhone 系と Android で大きく差がついているのが医療系アプリの充実度や医療現場への浸透度です。
特に iPad は早くからその利便性は着目され、ベッドサイドや手術室、往診先等で活用されたり医療教育のツールとしても応用されたりしています。
数年後には医療関係者の必需品となっているのではないでしょうか。

これに Android 等が割り込む余地はもはやないでしょう。
それでもしばらくスマホはおサイフケータイのある IS11CA を使うことになると思います。
2年の縛りもあるし・・・。

2011082014452429454.gif東日本大震災の被災地で医師免許がないのに医療活動をしていた男が捕まったというニュースがありました。
何を意図してそういう活動をしていたのかはよく分かりません。
医師の資格がないとできない行為もあるのですが、入れ墨を彫るのにも医師免許が必要、というのは厚生労働省の見解。
彫ってやるよ、という医者に出会ったことはないのですが。

不思議なもので、新幹線や飛行機の中、あるいは飲み屋などでたまたま居合わせた人を見て、あれこの人医者じゃないだろうかと、妙な勘が働くことがあります。
耳を澄ませていると専門用語などが漏れ聞こえてきて、ああやっぱり・・・。

昔、夜間当直の時に看護師を名乗る高齢女性が来たことがあります。
ある目的があってスタッフを信用させようとしていたようですが、私はウソであることを見抜きました。

報道で見る限り、捕まった人物には医療関係者の放つ独特な雰囲気が微塵も感じられませんでした。
近くにいた同業者にはすぐにわかったのではないでしょうか。
彼の行為による健康被害がないことを祈ります。

4年前にも当ブログで取り上げた問題ですが、EGF ( Epidermal Growth Factor、上皮成長因子 ) 入りの化粧品の宣伝がとうとうテレビにまで登場しています。
詳しくは下の記事二つを読んで頂きたいのですが、EGF は傷を修復する作用を有するのであって、美肌成分だのハリのある肌が蘇るなどといったことはありません。

EGFに関するこんな商品が出回っているようですが
傷は舐めるに限る

2011081015504422359.gifそもそも本当に EGF が配合されているのかどうか、配合されていても働きを有しているのか。
私が研究室で使っていたときは、届いた EGF を使用する濃度に調整した上で少量ずつ容器に小分けにして凍結保存。
そして使用時に解凍して使っていたのです。
常温では簡単に失活してしまうから、そのように扱っていたわけです。
もし本当にアクティブな状態で有効濃度を有しているのなら、傷が治るのが早いはず。
傷の半分に塗ってみてその部分が他の部位より早く治れば嘘ではないのでしょうが。

EGF を宣伝するネットの情報は恐ろしく詳しいのには驚かされます。
研究論文なども引用してかなり正確な部分もあり、全くの嘘もあり。
それは EGF を専門的に扱った人間にしか見抜けないでしょうね。

とにかく前にも書きましたが、新鮮な EGF は唾液に含まれていますので、美肌効果を信じるなら唾液をいっぱい肌に塗り広げてみてください。

近いうちに EGF について語ってみましょう。

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