野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
         ▶▶▶ アクセスMAP
         ▶▶▶ バス路線図

インフルエンザ予防接種、ワクチンの入荷状況に応じて予約を受けています。



 学会レポート

  ○○ 学会レポート2018 その2 ○○


スーツどういうわけか、学会に参加する時はスーツ姿になることが定番です。

留学経験のある先輩方からは、海外の学会では家族連れでラフな格好なしてる人が多い、と聞いたことがあります。
実際、私が出席したことのある海外の学会では、スーツを着用している人はそれほど多くありませんでした。

今回参加したJDDWでは、昔に比べて非スーツ系が随分増えてきている印象でした。
随分、と言ってもまだまだ数は少ないのですが、ジーンズ姿の人もちらほら。
決して非難しているわけではなく、むしろいい傾向だと考えています。

演題発表で張りつめた心持ちでいる人は別として、学会はもう少しお祭り気分で楽しめた方がいいと思うのです。
一般の方も無料で聴ける公開講座や子連れでも楽しめるイベントなどがあっていいのではないでしょうか。
今回は、開催期間が連休に重なっていたので子供も連れて行きました。
我が子は企業ブースで飲み物や記念品をもらってご満悦の様子でしたが、子供が医療を体験できるコーナーなどがあってもいいように思いました。

また、JDDWを国際的なイベントにしようと、スライドの英文化は義務づけているのに、発表自体は日本語ですし、International Poster Session が開かれるのは大会2日目だけ。
20回大会のドナルド・キーン氏による記念講演は英語でしたが、そういう企画ももう少し増やしていいのではないかと思います。
無料託児所が設けられるなど、小さなお子様を持つ女性も参加・発表しやすい環境も整ってきているのはいいことですね。


そう言っている私が学会に参加する時は、スーツ姿になります。
普段の診察室では、ケーシータイプの白衣かスクラブ。
自宅から診療所まで歩いて10分とかからないので、普段着で通い、すぐに着替えてしまいます。
せっかく持っているスーツを着るチャンスが滅多にないのです。
天日干しのつもりでクローゼットから取り出し、ネクタイの締め方を忘れないためにもこういう機会を逃さないようにと着用するのです。

でも、地元で学会が開かれる時は、診察時間の合間を縫ってノーネクタイで気軽に参加しようと思っています。


これまでの「学会レポート」は、最新のトピックスや興味ある演題などを取り上げていましたが、今回は全く趣向を変えてお届けいたしました。




Clip to Evernote

  ○○ 学会レポート2018 その1 ○○


消化器に関連するいくつかの学会がまとまって学術集会を開く、日本消化器関連学会週間 ( JDDW ) も今年で26回目を迎えました。

プレゼンテーション久しぶりの参加で一つ気になった点があります。
米国や欧州の DDW のような国際的なイベントにしようという一環で、2014年から演題発表の際のスライドについて、英語表記が義務づけられるようになったのですが‥。

パワーポイント等でプレゼン資料を作成する際に、わかりやすさや見やすさが求められます。
でも、医学系の学会や講演会で示されるスライドは、実験結果や検査画像などの多くの情報を一枚に詰め込み過ぎていたり、配色のテクニックが稚拙で視認性・可読性に欠けていたりするものが多いです。
それでも、年を追うごとに自分のスライド作りに大いに参考になるシンプルで美しい物も増えてきています。
しかし、今回の学会で聴講した際の英文スライドに感心できるものは一つもありませんでした。
あまりにも冗長な英文が多く、ビジー過ぎて美しさの片鱗もありません。
示したい情報を英語にするのに必死なのでしょうか、わかりやすさや見やすさへの配慮が全く後手に回っています

自分の成果を多くの人に示す貴重な機会に、印象に残らないようなスライドを羅列し、制限時間に囃し立てられるような早口で発表されても、聴く方は退屈なだけです。
臨床や研究で時間がないのは十分にわかりますが、スライド作りにもしっかりと時間をかけて欲しいものです。

私が初めて学会で発表した時は、スライドはシンプルになるように心がけ、色使いや文字の大きさ等にも腐心しました。
しかし、研究室のボスが、発表原稿の文章をそのままスライドに詰め込むようにと指示してきたのです。
かなり抵抗したのですが、結局私が折れて指示通りのごちゃごちゃしたスライドで発表しました。
随分昔なので、リバーサルフィルムをスライドマウントにはさみ込むやつで、今でも手元にあるのですが、そのスライドだけは絶対に見たくありません。
自分の思いとは全くかけ離れてしまったスライドを見ると、その時の悔しさが込み上げてくるからです。


JDDWには現在5つの学会が参加していて、年々参加人数が増えているからでしょうか、開催できる都市が限られてきています。
2011年以降は、東京・神戸・福岡以外で開かれたことはなく、しかも今年から2021年まで4年続けて神戸開催が続きます。
個人的には、20年過ごして勝手知ったる神戸で開かれることは嬉しいですが、ややいびつな気もします。




Clip to Evernote

  ○○ 学会レポート2013 その3 ○○


腹痛3月21日午後に参加したワークショップのお題は「過敏性腸症候群 ( IBS ) に対する新規治療法」。
IBSを積極的に研究対象としている施設がまだまだ少ないので、演題数は多くなかったものの、それぞれの発表はとても聞き応えがありました。

中でも興味を引いたのは、小腸における胆汁酸の吸収障害の関与。
朝食後に症状が強い難治性の IBS の中に、胆汁酸の吸収障害が原因となっている下痢が存在するケースがあるそうです。
この場合、コレステロールの治療薬でもあるコレスチミドの投与で速やかに症状が改善するという話でした。
コレスチミドには腸の中の胆汁酸と結合するという働きがあるのです。
検査法が特殊なので一般の病院での診断は難しいでしょうが、 現在 IBS とみなされている病態の中には独立した疾患が存在する可能性があるわけですね。


あと、直接聞けなかったのですが、糖尿病治療薬であるメトホルミンによって胃癌細胞の増殖が抑制されるという一般演題が2つありました。
メトホルミンは消化器系では大腸・肝・膵などの癌抑制効果が示唆されています。 
私が以前、研究対象の一部にしていた HER2 ( Human Epidermal growth factor Receptor type2 ) という物質の抑制作用があるようです。
HER2の働きが抑制されるのであれば、他の癌への作用も期待できると思います。


地元開催ではありましたが、仕事の都合で全ての日程に顔を出すことができませんでした。
残りの2日も参加したかったな、と思わせる充実した学会ではなかったでしょうか。
また鹿児島で開催される日が来ることを期待します。 

  ○○ 学会レポート2013 その2 ○○


除菌今回の消化器病学会、参加できたのは初日だけでしたが、貴重な情報を多く得ることができました。

午前中に聞いたのは「HP除菌後の病態と対応」。
HP とはヘリコバクター・ピロリのことです。
日本でピロリ菌除菌が保険適用されたのが2000年11月のことでしたから、12年余の歴史がありますが、除菌後の消化管の病態変化について長期にわたるデータがかなり蓄積されてきました。

除菌すれば胃癌はかなり防げるのですが、ゼロとはならないことが知られています。
除菌が高齢で行われた場合、萎縮が強い場合、胃潰瘍がある場合、腸上皮化生がある場合などでリスクが高いことが報告されていました。
また、除菌後10年を越えて胃癌を生じたケースもあることなどから、除菌後5-8年までは毎年、その後は隔年で内視鏡検査をすべきではという提案もありました。
除菌後の適切な胃の検診のタイミングについて、やがて意見が集約されることでしょう。

また、除菌による酸分泌上昇により懸念される逆流性食道炎についての演題もありました。
内容については省略しますが、提示された内視鏡写真について一言。
学会で発表される胃の内部の写真は胃液などの付着のないきれいな物が多いのに、逆流性食道炎の診断に重要な食道胃接合部の写真はお粗末な限り。
あれじゃ正確な診断はできないでしょう、と場末の内視鏡医が嘆いてしまうようではだめです。

参考 → 胃食道逆流症の検査には経鼻内視鏡 

  ○○ 学会レポート2013 その1 ○○


学会02第99回日本消化器病学会総会が、昨日から23日まで鹿児島で開催されています。
折角の地元開催ですが、仕事の都合で参加できるのが21日だけなのがちょっと残念です。
1日だけではありましたが、収穫が多かったのでまた改めてレポートしたいと思います。

会場の一つ、城山観光ホテルには溢れんばかりの参加者。
ホテルまでの坂を歩いている人が結構いたのにはびっくりしました。
ホテルの庭では桜島をバックに写真を撮る若い医師達がいてほほえましかったです。

写真は会場で配られるバッグにあしらわれたイラスト。
今回会長を務めた地元大学の教授と同郷の黒鉄ヒロシ氏の手によるものだそうです。
Clip to Evernote

  ○○ 学会レポート2012 その5 ○○


キャンディ経鼻による検査が普及して、内視鏡検査は苦しいものという印象がだいぶ変わってきました。
しかしまだまだ改善の余地があるのも確かで、多くの内視鏡医が様々な工夫を凝らしています。
「患者にやさしい上部消化管内視鏡検査の工夫」というワークショップでは諸先生方のアイデアが提案され、とても参考になりました。

自分もたまに経鼻内視鏡検査を受けるのですが、一番つらいのが前処置の鼻から咽頭にかけての麻酔でむせてしまうことです。
当院では採用しているのは最も丁寧な前処置とされるスティック2回法で、リドカインのビスカスを用いています。
ところがビスカスではむせることが多いのでスプレータイプのものが良いという報告がありました。
また、リドカインに砂糖を混ぜて飴を作り舐めてもらうことで咽頭がまんべんなく麻酔できるし、苦味がないので患者さんにも好評だという発表もあり、かなり注目を集めていました。
ひそかにリドカイン飴ブームが起こっているのではないでしょうか。
いくつかを参考にして、当院でも前処置の改良を行ないたいと考えています。

あと興味を引いたのは、内視鏡医によって胃への送気の仕方が全く異なるというデータ。
患者さんにとって楽でしかも見落としのない検査法が、いろんな指標で示されて標準化する可能性も将来ありうるのではないかと思いました。

今回の学会、最終日は仕事の都合で出席が適いませんでしたが、有意義な3日間でした。
来年春の日本消化器病学会は地元鹿児島で開催されますので、是非参加しなくては。

  ○○ 学会レポート2012 その4 ○○


満員御礼「抗血栓薬の内視鏡処置前後の取り扱いについて」
ランチョンセミナーで立ち見が出たのには少々驚きました。
軽んじることのできないテーマなので内視鏡医がこぞって集まるであろうことは予想できたはずなのに、用意された会場がそれに見合っていなかったのです。 

抗凝固薬・抗血小板薬の必要性や休薬による影響などについて循環器医と脳血管内科医の医師から直接話を聞ける機会は案外ないものです。
疾患の再発防止のためにこれらの薬剤がいかに大切であるのか、よく理解できてとても有意義なセミナーでした。
異なる領域の医師が協調して治療をめぐる問題点の議論を深めていくのはとても大切なことだと思います。

最近、この分野には新薬がいくつか登場してきましたが、中には消化管出血のリスクが従来薬よりも高いものがあります。
使い勝手がよく再発防止に優れたものが生き残っていくのでしょうが、それにしても薬価があまりにも高過ぎませんか ?
 
Clip to Evernote

  ○○ 学会レポート2012 その3 ○○


胃もたれ昨年の福岡での学会で、過敏性腸症候群に関するパネルディスカッションの内容に少しがっかりしたのですが、今回は消化管全体に幅を広げた「機能性消化管障害 ( FGID ) の病態と治療」というシンポジウムがあり、その多彩な内容に安堵しましたし、勉強にもなりました。
いくつか紹介しておきます。

機能性胃腸症の発症と幼少時期虐待歴との関連性というおもしろい切り口で検討した報告。
特に女性で関連が大きいようです。

GLP-1 というインスリン分泌を促す物質の濃度が FGID の患者では高くなっており、特に胃痛・胃もたれの症状と高い関連性があるという報告。
糖尿病治療に GLP-1 の注射薬がありますが、消化器系の副作用が多いことが知られています。
食欲が低下し体重減少も見込まれることから、それを期待してこの薬剤を選択する医師も多いのですが、消化器への影響はもう少し検討していく必要がありそうです。

胃から食欲を促すグレリンというホルモンが出ますが、胃食道逆流症のラットではグレリンに対する胃排出能の反応が低下しているという報告。
グレリン不応症とも言うべき病態があるというのは興味あるところ。
またこれが六君子湯で改善するという点も注目です。 

この他にも個人的に関心の高いものがありましたが、専門的で難しいと思いますで割愛します。

これまで胃腸の不調を「気のせい」だとか言われ続けて悩んでいた方も、研究が進み病態が解明されつつあるこの領域に期待して下さいね。

  ○○ 学会レポート2012 その2 ○○


CTC学会初日には「大腸内視鏡および CT-colonography ( CTC ) による大腸がん検診の今後の展開」「胃がん検診の理想的な住み分け : 新しい検診方式を目指して」という消化管の検診についてのプログラムが続きました。

対策型集団検診は集団全体の死亡率を減少させることを目的に公共的予防対策として行われます。
そのため有効性が確立された方法で利益が不利益を上回ることを条件に行うことが求められます。
胃がんでは胃X線検査のみ、大腸がんでは便潜血検査のみが推奨される手段になっており、意外なことに内視鏡検査などは対策型検診には向かないとされているのです。
ただし、人間ドックなどの任意型の検診では大腸内視鏡は推奨されています。
しかし内視鏡隆盛のご時世で
胃X線検査の写真の判読医が減ってきていますし、かといって内視鏡検査に死亡率減少の確たる証拠が不十分であったり、実際に検診に導入するとなるとマンパワーの問題があったりと難しい問題を孕んでいます。

新しく編み出される検査法が検診に適するものかどうかを検討する発表を聴いたわけなんですが、日常の臨床にはある程度有用であっても検診に使うにはまだまだという印象です。
CTCに関するいくつかの発表では平坦型の病変を見逃しやすいことを白状していましたし、採血で胃がんの有無を見極めようという ABC分類 ( ペプシノーゲン I/II比とピロリ菌抗体の有無を組み合わせる方法 ) でも少なからず見落としがあるようです。

大腸においては新しい検査法をどう活用していくのか、胃においてはピロリ菌感染率が減る中で時代にマッチした検診法がどうあるべきか、まだまだ描ききれていないのが現状のようです。
また、異常がなかった場合の適切な検査間隔はどうあるべきかという問題も掘り下げて実用的なものにしていく必要がありますね。 

  ○○ 学会レポート2012 その1 ○○


ddw消化器病に関連した学会を効率良くまとめてやっちゃいましょう、と米国の Digestive Disease Week ( DDW ) を参考に DDW japan が始まったのは1993年のこと。
のちに JDDW と変え、参加する学会が多少入れ替りながらも20回目を迎えたのが今年でした。

参加する人数が半端ではないため、開催できる都市が限られてしまいます。
これまで神戸開催が最も多く、今回が7回目でした。
他は横浜が4回、京都・福岡が各2回、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島が各1回です。
私は神戸に住んでいたこともあり、神戸開催分については皆勤です。

1回目の頃を思い起こすと、会費は事前登録で25000円、当日30000円だったと思います。
しかし徐々に下がってきて今は15000円。
最初は運営がどうなるか不透明な部分もあったのでしょうが、随分ぼったくられていた気がします。

演題発表には事前にスライドを作成して持ち込むスタイルで、忘れると大変なので共同演者にもう一組持っておいてもらうということをしてましたが、今はパワーポイントの時代であるのも大きな変化ですね。

最初の頃は、あまりの人数の多さに昼食を摂るのが大変でしたが、現在はランチョンセミナーなるものがあってお弁当を食べながら講演を聞くスタイルが定着しました。
これも最初は早い者勝ちだったのですが、改善されてチケット制になり、並ぶ苦労もほとんどなくなりました。

そんなことを思い起こしながら参加した今回の学会、興味を持った発表をいくつか紹介していこうと思います。
Clip to Evernote

学会01神戸で開催されている日本消化器関連学会週間 ( JDDW ) に10日より参加しています。
今年で JDDW は20回目を迎える節目の年。
手探りで始まった第1回もやはり神戸で開かれたことを昨日のことのように思い出します。
学会費用が当時より1万円安くなったのはうれしいことです。

さて、20回を記念して予定されていた山中伸弥教授の講演はさすがにキャンセルとなりちょっと残念でした。

今回はパソコンを持参せずスマホからの投稿。
入力が大変なので鹿児島に帰ってから学会のレポートを詳しく書くつもりです。 

CTC  ○○ 学会レポート2011 その2 ○○



二年前、当ブログで「宿便について考える」というテーマで過敏性腸症候群を取り上げました。

過敏性腸症候群は日本人の5人に1人が罹患しているごくありふれた身近な疾患です。
腹痛や便通異常などで日常生活に大きな支障をきたすにもかかわらず、医療機関を受診して適切な治療を受けておられない方も多いですし、生命を脅かすような疾患でもないからなのか、あまり研究も進まず治療の選択肢も多くないのが現状です。

今回の学会の過敏性腸症候群を取り上げたパネルディスカッションで勉強しようと思ったのに、決して充実した内容とは言えず、途中退席者が多かったように思います。
演題を発表したのも関東以北の先生方ばかりと、研究している機関が偏在しており、この分野に興味を持って接する研究者が少ないことは残念です。

その中で興味をひいたものをご紹介しておきます。

最近は画像機器の発達が目覚ましく、CTを撮って大腸の形状を立体的に表すことが可能となってきました。
CT-colongraphy ( CTC ) と言いますが、大腸の透視を行ったような画像のみならず、大腸内視鏡と同様に内部を辿っていくような画像も得ることができます。
発表された内容の詳細は省略しますが、検査前に鎮痙剤を注射しているにも関わらず腸の動きが落ち着かないケースや内視鏡挿入に手間取るケース、性差などについてCTCによる大腸の形態を見たところ、いくつかの特徴があったというものでした。
例えば、解剖学の教科書的には大腸は上行結腸と下行結腸は腸間膜が短く固定された状態、のはずです。
西洋人だとほとんど解剖図通りなのですが、日本人においては下行結腸の固定が緩い場合があり、それが便通異常にも繋がっている可能性があるとのこと。
また、CTC上で強い収縮が見られる部分をマッサージすると便通が改善するという話も出ました。

胃の内視鏡と異なり、大腸内視鏡を挿入するのには熟練が必要で、パズル解きのような要素もあるのですが、挿入の難易度や腸の収縮具合などから治療法を考えていくのも大切なことかもしれません。



今年のDDWのレポートはこれでおしまいです。

出血性潰瘍  ○○ 学会レポート2011 その1 ○○


循環器科や脳外科では、心筋梗塞や脳梗塞の再発予防に低用量アスピリン ( LDA ) を処方することが当たり前になってきています。
正式に保険適応となったのが2002年からですが、それ以降内視鏡医を悩ませているのが消化管粘膜障害です。
アスピリンを処方する際に、Proton Pump Inhibitor ( PPI ) と呼ばれる胃薬、せめて H2 blocker と呼ばれる胃薬でも併せて処方してもらっていると有り難いのですが、粘膜障害の予防に役立たない防御因子増強剤が処方されているケースがかなり目立ちます。
PPI には「非ステロイド系抗炎症薬 ( NSAIDs ) 投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制」という目的で昨年から使用可能となったのですが、まだまだ消化器医以外の認識が不足しています。

そういう事情を踏まえてのシンポジウムが先日開かれた DDW であったのですが、その中で興味あるものをご紹介します。

まず、胃粘膜障害低減を目的として、アスピリン腸溶剤 ( バイアスピリン ) という薬がアスピリン緩衝剤 ( バファリン81 ) よりも処方される割合が高くなってきています。
しかし、胃粘膜障害には両者に差はなく、逆に小腸粘膜障害 ( 疑い例も含む ) が腸溶剤で圧倒的に多いという報告がありました。
カプセル内視鏡やダブルバールーン内視鏡で小腸を画像診断できるようになったことが大きいと思いますが、これまで副作用が少ないとして腸溶剤が普及してきたことに警鐘が鳴らされるものでした。

また、大腸憩室出血患者の症例が2004年ごろから急速に増えてきていて、その中で LDA を原因とするものが 38.7% もあったとする報告もありました。

LDA を内服している人で内視鏡的止血操作を必要とする頻度はそれほど多くはないのですが、LDA 療法が定着して以降確実に増加していますし、LDA を内服していることで止血に難渋します。
大腸憩室出血に至っては出血部位の同定に苦労し、内視鏡医は1時間も2時間もその処置のために拘束されることになります。
ですから、LDA  や NSAIDs を処方する際は PPI を躊躇なく使うようにしていただきたいものです。

217年ぶりに福岡で開催された、日本消化器関連学会週間 ( JDDW ) に行ってきました。
20日から23日までの4日間の開催ですが、今回は都合により初日のみ参加。
私自身2007年の学会に4日間フルに出席して以来となりました。

私が研究生活をしていた時代はピロリ菌の演題が花盛りでしたし、前回の福岡での開催の時はダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡の登場で小腸の内視鏡検査の黎明期でしたけれど、現在の消化器の分野には目玉となるトピックスに乏しいことは否めません。
事実、魅力のあるプログラムがあまりなく、それがフル参加に二の足を踏んだ理由です。
それに、2004年度から始まった新臨床研修制度は医療崩壊の引き金になったとされますが、大学に残る医師が少なくなり大学院生も集まらずに研究分野にもかなりの支障が出ているようです。
そのせいなのか、演題の質がかなり低下しているような気がします。
この程度の内容で演題として取り上げられるんですか・・というものが散見されました。

それでも勉強になったものがいくつかありましたので時間のある時に紹介していきます。

rjxfnxxc.gif ○○ 学会レポート 6 ○○


経鼻内視鏡独特の合併症として、鼻出血が挙げられます。
しかし、多くの施設からの報告で出血例もさほど多くなく、耳鼻科で処置を必要とするような重篤な出血もほとんどないということでした。

さて、パネルディスカッションの際、経鼻内視鏡の抜去困難例について簡単に触れられました。
パネリストの一人から機種による差異があるのでは、という意見が出されたのですが、
座長が別の形に意見を集約して次の話題へ移ってしまいました。

複数のメーカーの経鼻内視鏡を扱っている立場から言わせてもらうと、明らかに機種による大きな差があります。
あるメーカーのものは先端の部分がやや太く、それに続く挿入部分が細くできています。
抜去困難とまではいかなくても、抜去時に鼻咽頭でコツンと抵抗を感じることがこのメーカーの内視鏡で圧倒的に多いのです。
実際、抜去困難例に遭遇して冷や汗をかいたこともあります。
別メーカーのものは太さに変化がないため、抜去時に抵抗を感じることがそもそもありません。

抜去時のこの差異についてはもっと議論されていい問題だと思っています。


10月21日の午後、このワークショップで消化器関連の学会の集合体 JDDW も終了し、
会場からほど近い神戸空港より帰路につきました。
4日間通して参加したのは今回が初めてでしたが、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。

まだまだ紹介したい演題もいくつかあるのですが、学会レポートもこれにて終了といたします。

Clip to Evernote

↑このページのトップヘ