野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡にある野口内科です。
  医療に関することはもちろん、近隣の話題や音楽・本のことなどについて綴ってまいります。
    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
         ▶▶ アクセスMAP
         ▶▶ バス路線図

インフルエンザの予防接種を10月より開始しております。要予約。金額についてはお問い合わせください。

過去のお勧め記事 → ほらね、やっぱり

 学会レポート

  ○○ 学会レポート2013 その3 ○○


腹痛3月21日午後に参加したワークショップのお題は「過敏性腸症候群 ( IBS ) に対する新規治療法」。
演題数は多くなかったもののそれぞれ聞き応えがありました。

中でも興味を引いたのは、小腸における胆汁酸の吸収障害の関与。
朝食後に症状が強い難治性の IBS の中に、胆汁酸の吸収障害による下痢が存在するケースがあるそうです。
この場合、コレステロールの治療薬でもあるコレスチミド投与で速やかに症状が改善するという話でした。
検査法が特殊なので一般の病院での診断は難しいでしょうが、 現在 IBS とみなされている中には独立した疾患が存在する可能性があるわけですね。

あと、直接聞けなかったのですが、糖尿病治療薬であるメトホルミンによって胃癌細胞の増殖が抑制されるという一般演題が2つありました。
メトホルミンは消化器系では大腸・肝・膵などの癌抑制効果が示唆されています。 
私が以前、研究対象の一部にしていた HER2 ( Human Epidermal growth factor Receptor type2 ) という物質の抑制作用があるようです。

残りの2日も参加したかったな、と思わせる充実した学会ではなかったでしょうか。
また鹿児島で開催される日が来ることを期待します。 

  ○○ 学会レポート2013 その2 ○○


除菌今回の消化器病学会、参加できたのは初日だけでしたが、貴重な情報を多く得ることができました。

午前中に聞いたのは「HP除菌後の病態と対応」。
HP とはヘリコバクター・ピロリのことです。
日本でピロリ菌除菌が保険適用されたのが2000年11月のことでしたから、12年余の歴史がありますが、除菌後の消化管の病態変化について長期にわたるデータがかなり蓄積されてきました。

除菌すれば胃癌はかなり防げるのですが、ゼロとはならないことが知られています。
除菌が高齢で行われた場合、萎縮が強い場合、胃潰瘍がある場合、腸上皮化生がある場合などでリスクが高いことが報告されていました。
また、除菌後10年を越えて胃癌を生じたケースもあることなどから、除菌後5-8年までは毎年、その後は隔年で内視鏡検査をすべきではという提案もありました。
除菌後の適切な胃の検診のタイミングについて、やがて意見が集約されることでしょう。

また、除菌による酸分泌上昇により懸念される逆流性食道炎についての演題もありました。
内容については省略しますが、提示された内視鏡写真について一言。
学会で発表される胃の内部の写真は胃液などの付着のないきれいな物が多いのに、逆流性食道炎の診断に重要な食道胃接合部の写真はお粗末な限り。
あれじゃ正確な診断はできないでしょう、と場末の内視鏡医が嘆いてしまうようではだめです。

参考 → 胃食道逆流症の検査には経鼻内視鏡 

  ○○ 学会レポート2013 その1 ○○


学会02第99回日本消化器病学会総会が、昨日から23日まで鹿児島で開催されています。
折角の地元開催ですが、仕事の都合で参加できるのが21日だけなのがちょっと残念です。
1日だけではありましたが、収穫が多かったのでまた改めてレポートしたいと思います。

会場の一つ、城山観光ホテルには溢れんばかりの参加者。
ホテルまでの坂を歩いている人が結構いたのにはびっくりしました。
ホテルの庭では桜島をバックに写真を撮る若い医師達がいてほほえましかったです。

写真は会場で配られるバッグにあしらわれたイラスト。
今回会長を務めた地元大学の教授と同郷の黒鉄ヒロシ氏の手によるものだそうです。
Clip to Evernote

  ○○ 学会レポート2012 その5 ○○


キャンディ経鼻による検査が普及して、内視鏡検査は苦しいものという印象がだいぶ変わってきました。
しかしまだまだ改善の余地があるのも確かで、多くの内視鏡医が様々な工夫を凝らしています。
「患者にやさしい上部消化管内視鏡検査の工夫」というワークショップでは諸先生方のアイデアが提案され、とても参考になりました。

自分もたまに経鼻内視鏡検査を受けるのですが、一番つらいのが前処置の鼻から咽頭にかけての麻酔でむせてしまうことです。
当院では採用しているのは最も丁寧な前処置とされるスティック2回法で、リドカインのビスカスを用いています。
ところがビスカスではむせることが多いのでスプレータイプのものが良いという報告がありました。
また、リドカインに砂糖を混ぜて飴を作り舐めてもらうことで咽頭がまんべんなく麻酔できるし、苦味がないので患者さんにも好評だという発表もあり、かなり注目を集めていました。
ひそかにリドカイン飴ブームが起こっているのではないでしょうか。
いくつかを参考にして、当院でも前処置の改良を行ないたいと考えています。

あと興味を引いたのは、内視鏡医によって胃への送気の仕方が全く異なるというデータ。
患者さんにとって楽でしかも見落としのない検査法が、いろんな指標で示されて標準化する可能性も将来ありうるのではないかと思いました。

今回の学会、最終日は仕事の都合で出席が適いませんでしたが、有意義な3日間でした。
来年春の日本消化器病学会は地元鹿児島で開催されますので、是非参加しなくては。

  ○○ 学会レポート2012 その4 ○○


満員御礼「抗血栓薬の内視鏡処置前後の取り扱いについて」
ランチョンセミナーで立ち見が出たのには少々驚きました。
軽んじることのできないテーマなので内視鏡医がこぞって集まるであろうことは予想できたはずなのに、用意された会場がそれに見合っていなかったのです。 

抗凝固薬・抗血小板薬の必要性や休薬による影響などについて循環器医と脳血管内科医の医師から直接話を聞ける機会は案外ないものです。
疾患の再発防止のためにこれらの薬剤がいかに大切であるのか、よく理解できてとても有意義なセミナーでした。
異なる領域の医師が協調して治療をめぐる問題点の議論を深めていくのはとても大切なことだと思います。

最近、この分野には新薬がいくつか登場してきましたが、中には消化管出血のリスクが従来薬よりも高いものがあります。
使い勝手がよく再発防止に優れたものが生き残っていくのでしょうが、それにしても薬価があまりにも高過ぎませんか ?
 
Clip to Evernote

  ○○ 学会レポート2012 その3 ○○


胃もたれ昨年の福岡での学会で、過敏性腸症候群に関するパネルディスカッションの内容に少しがっかりしたのですが、今回は消化管全体に幅を広げた「機能性消化管障害 ( FGID ) の病態と治療」というシンポジウムがあり、その多彩な内容に安堵しましたし、勉強にもなりました。
いくつか紹介しておきます。

機能性胃腸症の発症と幼少時期虐待歴との関連性というおもしろい切り口で検討した報告。
特に女性で関連が大きいようです。

GLP-1 というインスリン分泌を促す物質の濃度が FGID の患者では高くなっており、特に胃痛・胃もたれの症状と高い関連性があるという報告。
糖尿病治療に GLP-1 の注射薬がありますが、消化器系の副作用が多いことが知られています。
食欲が低下し体重減少も見込まれることから、それを期待してこの薬剤を選択する医師も多いのですが、消化器への影響はもう少し検討していく必要がありそうです。

胃から食欲を促すグレリンというホルモンが出ますが、胃食道逆流症のラットではグレリンに対する胃排出能の反応が低下しているという報告。
グレリン不応症とも言うべき病態があるというのは興味あるところ。
またこれが六君子湯で改善するという点も注目です。 

この他にも個人的に関心の高いものがありましたが、専門的で難しいと思いますで割愛します。

これまで胃腸の不調を「気のせい」だとか言われ続けて悩んでいた方も、研究が進み病態が解明されつつあるこの領域に期待して下さいね。

  ○○ 学会レポート2012 その2 ○○


CTC学会初日には「大腸内視鏡および CT-colonography ( CTC ) による大腸がん検診の今後の展開」「胃がん検診の理想的な住み分け : 新しい検診方式を目指して」という消化管の検診についてのプログラムが続きました。

対策型集団検診は集団全体の死亡率を減少させることを目的に公共的予防対策として行われます。
そのため有効性が確立された方法で利益が不利益を上回ることを条件に行うことが求められます。
胃がんでは胃X線検査のみ、大腸がんでは便潜血検査のみが推奨される手段になっており、意外なことに内視鏡検査などは対策型検診には向かないとされているのです。
ただし、人間ドックなどの任意型の検診では大腸内視鏡は推奨されています。
しかし内視鏡隆盛のご時世で
胃X線検査の写真の判読医が減ってきていますし、かといって内視鏡検査に死亡率減少の確たる証拠が不十分であったり、実際に検診に導入するとなるとマンパワーの問題があったりと難しい問題を孕んでいます。

新しく編み出される検査法が検診に適するものかどうかを検討する発表を聴いたわけなんですが、日常の臨床にはある程度有用であっても検診に使うにはまだまだという印象です。
CTCに関するいくつかの発表では平坦型の病変を見逃しやすいことを白状していましたし、採血で胃がんの有無を見極めようという ABC分類 ( ペプシノーゲン I/II比とピロリ菌抗体の有無を組み合わせる方法 ) でも少なからず見落としがあるようです。

大腸においては新しい検査法をどう活用していくのか、胃においてはピロリ菌感染率が減る中で時代にマッチした検診法がどうあるべきか、まだまだ描ききれていないのが現状のようです。
また、異常がなかった場合の適切な検査間隔はどうあるべきかという問題も掘り下げて実用的なものにしていく必要がありますね。 

  ○○ 学会レポート2012 その1 ○○


ddw消化器病に関連した学会を効率良くまとめてやっちゃいましょう、と米国の Digestive Disease Week ( DDW ) を参考に DDW japan が始まったのは1993年のこと。
のちに JDDW と変え、参加する学会が多少入れ替りながらも20回目を迎えたのが今年でした。

参加する人数が半端ではないため、開催できる都市が限られてしまいます。
これまで神戸開催が最も多く、今回が7回目でした。
他は横浜が4回、京都・福岡が各2回、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島が各1回です。
私は神戸に住んでいたこともあり、神戸開催分については皆勤です。

1回目の頃を思い起こすと、会費は事前登録で25000円、当日30000円だったと思います。
しかし徐々に下がってきて今は15000円。
最初は運営がどうなるか不透明な部分もあったのでしょうが、随分ぼったくられていた気がします。

演題発表には事前にスライドを作成して持ち込むスタイルで、忘れると大変なので共同演者にもう一組持っておいてもらうということをしてましたが、今はパワーポイントの時代であるのも大きな変化ですね。

最初の頃はあまりの人数の多さに昼食を摂るのが大変でしたが、現在はランチョンセミナーなるものがあってお弁当を食べながら講演を聞くスタイルが定着しました。
これも最初は早い者勝ちだったのが改善されてチケット制になり、並ぶ苦労もほとんどなくなりました。

そんなことを思い起こしながら参加した今回の学会、興味を持った発表をいくつか紹介していこうと思います。
Clip to Evernote

学会01神戸で開催されている日本消化器関連学会週間 ( JDDW ) に10日より参加しています。
今年で JDDW は20回目を迎える節目の年。
手探りで始まった第1回もやはり神戸で開かれたことを昨日のことのように思い出します。
学会費用が当時より1万円安くなったのはうれしいことです。

さて、20回を記念して予定されていた山中伸弥教授の講演はさすがにキャンセルとなりちょっと残念でした。

今回はパソコンを持参せずスマホからの投稿。
入力が大変なので鹿児島に帰ってから学会のレポートを詳しく書くつもりです。 

CTC  ○○ 学会レポート2011 その2 ○○



二年前、当ブログで「宿便について考える」というテーマで過敏性腸症候群を取り上げました。
過敏性腸症候群は日本人の5人に1人が罹患している身近な疾患です。
日常生活に大きな支障をきたすにもかかわらず、あまり研究も進まず治療の選択肢も多くないのが現状です。
今回の学会のパネルディスカッションで勉強しようと思ったのに、決して充実した内容とは言えず、途中退席者が多かったように思います。
演題を発表したのも関東以北の先生方ばかりで、この分野に興味を持って接する研究者が少ないことは残念です。

その中で興味をひいたものをご紹介しておきます。

最近は画像機器の発達が目覚ましく、CTを撮って大腸の形状を立体的に表すことが可能となってきました。
CT-colongraphy ( CTC ) と言いますが、大腸の透視を行ったような画像のみならず大腸内視鏡と同様に内部を辿っていくような画像も得ることができます。
発表された詳細は省略しますが、検査前に鎮痙剤を注射しているにも関わらず腸の動きが落ち着かないケースや内視鏡挿入に手間取るケース、性差などについてCTCによる大腸の形態を見たところいくつかの特徴があったというものでした。
例えば、解剖学の教科書的には大腸は上行結腸と下行結腸は腸間膜が短く固定された状態、のはずです。
しかし日本人においては下行結腸の固定が緩い場合があり、それが便通異常にも繋がっている可能性があるとのこと。
また、CTC上強い収縮が見られる部分をマッサージすると便通が改善するという話も出ました。

胃の内視鏡と異なり、大腸内視鏡を挿入するのはパズル解きのような要素もあるのですが、挿入の難易度や腸の収縮具合などから治療法を考えていくのも大切なことかもしれません。

今年のDDWのレポートはこれでおしまいです。

出血性潰瘍  ○○ 学会レポート2011 その1 ○○


循環器科や脳外科では心筋梗塞や脳梗塞の再発予防に低用量アスピリン ( LDA ) を処方することが当たり前になってきています。
正式に保険適応となったのが2002年からですが、それ以降内視鏡医を悩ませているのが消化管粘膜障害です。
アスピリンを処方する際にProton Pump Inhibitor ( PPI ) と呼ばれる胃薬、せめて H2 blocker と呼ばれる胃薬でも併せて処方してもらっていると有り難いのですが、大概はほとんど役に立たない防御因子増強剤が処方されているケースがほとんどです。
PPI には「非ステロイド系抗炎症薬 ( NSAIDs ) 投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制」という目的で昨年から使用可能となったのですが、まだまだ消化器医以外の認識が不足しています。

そういう事情を踏まえてのシンポジウムが先日開かれた DDW であったのですが、その中で興味あるものをご紹介します。

まず、胃粘膜障害低減を目的としてアスピリン腸溶剤 ( バイアスピリン ) という薬がアスピリン緩衝剤 ( バファリン81 ) よりも処方される割合が高くなってきています。
しかし、胃粘膜障害には両者に差はなく、逆に小腸粘膜障害 ( 疑い例も含む ) が腸溶剤で圧倒的に多いという報告がありました。
カプセル内視鏡やダブルバールーン内視鏡で小腸を画像診断できるようになったことが大きいと思いますが、これまで副作用が少ないとして腸溶剤が普及してきたことに警鐘が鳴らされるものでした。

また、大腸憩室出血患者の症例が2004年ごろから急速に増えてきていて、その中で LDA を原因とするものが 38.7% もあったとする報告もありました。

LDA を内服している人で内視鏡的止血操作を必要とする頻度はそれほど多くはないのですが、LDA 療法が定着して以降確実に増加していますし、LDA を内服していることで止血に難渋します。
大腸憩室出血に至っては出血部位の同定に苦労し、内視鏡医は1時間も2時間もその処置のために拘束されることになります。
ですから、LDA  や NSAIDs を処方する際は PPI を躊躇なく使うようにしていただきたいものです。

217年ぶりに福岡で開催された、日本消化器関連学会週間 ( JDDW ) に行ってきました。
20日から23日までの4日間の開催ですが、今回は都合により初日のみ参加。
私自身2007年の学会に4日間フルに出席して以来となりました。

私が研究生活をしていた時代はピロリ菌の演題が花盛りでしたし、前回の福岡での開催の時はダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡の登場で小腸の内視鏡検査の黎明期でしたけれど、現在の消化器の分野には目玉となるトピックスに乏しいことは否めません。
事実、魅力のあるプログラムがあまりなく、それがフル参加に二の足を踏んだ理由です。
それに、2004年度から始まった新臨床研修制度は医療崩壊の引き金になったとされますが、大学に残る医師が少なくなり大学院生も集まらずに研究分野にもかなりの支障が出ているようです。
そのせいなのか、演題の質がかなり低下しているような気がします。
この程度の内容で演題として取り上げられるんですか・・というものが散見されました。

それでも勉強になったものがいくつかありましたので時間のある時に紹介していきます。

rjxfnxxc.gif ○○ 学会レポート 6 ○○


経鼻内視鏡独特の合併症として、鼻出血が挙げられます。
しかし、多くの施設からの報告で出血例もさほど多くなく、耳鼻科で処置を必要とするような重篤な出血もほとんどないということでした。

さて、パネルディスカッションの際、経鼻内視鏡の抜去困難例について簡単に触れられました。
パネリストの一人から機種による差異があるのでは、という意見が出されたのですが、
座長が別の形に意見を集約して次の話題へ移ってしまいました。

複数のメーカーの経鼻内視鏡を扱っている立場から言わせてもらうと、明らかに機種による大きな差があります。
あるメーカーのものは先端の部分がやや太く、それに続く挿入部分が細くできています。
抜去困難とまではいかなくても、抜去時に鼻咽頭でコツンと抵抗を感じることがこのメーカーの内視鏡で圧倒的に多いのです。
実際、抜去困難例に遭遇して冷や汗をかいたこともあります。
別メーカーのものは太さに変化がないため、抜去時に抵抗を感じることがそもそもありません。

抜去時のこの差異についてはもっと議論されていい問題だと思っています。


10月21日の午後、このワークショップで消化器関連の学会の集合体 JDDW も終了し、
会場からほど近い神戸空港より帰路につきました。
4日間通して参加したのは今回が初めてでしたが、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。

まだまだ紹介したい演題もいくつかあるのですが、学会レポートもこれにて終了といたします。

Clip to Evernote

del3nggf.gif ○○ 学会レポート 5 ○○


従来の内視鏡より径を細くし、挿入ルートをちょっと変えるだけで、こんなにたくさんの研究テーマになるのだなと感心したのが経鼻内視鏡についての演題の数々。

学会最終日は午前から閉会まで経鼻内視鏡三昧の一日でした。

面白かったのは、経鼻内視鏡を用いた胆管膵管造影。
胆管への挿入率が4分の3程度にとどまるものの、憩室内乳頭ではかえって操作がやりやすいことや経鼻胆管ドレナージも容易であることなどが紹介されました。
あらかじめ乳頭切開した症例ではそのまま胆管内に内視鏡を挿入できるというのも興味ある点でした。

経口内視鏡に比べて体に楽であるというのを Rate pressure prodduct という数値を用いて比較したデータも複数の施設から出されました。
これは 心拍数 × 収縮期血圧 / 100 で表されるもの。
数値が高いと循環器系などへの負担が大きいことを意味します。
経鼻内視鏡ではこれが安静時とほとんど変わらないものの、経口では有意に増加するという結果が示されました。
数値でもって改めて楽に受けていただける内視鏡であることが裏打ちされたわけです。

経鼻内視鏡の会場は比較的高齢の聴講者が多かったように思います。
若手医師たちはカプセル内視鏡や内視鏡手技をテーマにしたプログラムに足を運んだのだと思います。
最終日の午前中は内視鏡医が興味を持つ演題が重なってしまい、参加者から不満の声も聞かれていました。

qr1hyrup.gif ○○ 学会レポート 4 ○○


内視鏡で大腸を観察すると、上行結腸から下行結腸にかけての内腔がおおよそ三角形をしておりヒダがあるのがわかります。
このヒダを半月ヒダといいます。

便秘の方や高齢者ではこのヒダの丈が低いか無くなっている場合が多いなという印象を、普段の検査を通して持っていました。
この半月ヒダが腸内容の移送に重要であると着目し、特殊な注射を用いてこの半月ヒダの形態変化をみた上で、
便秘薬を上手に選択すると結果的に下剤を減らせるという報告がありました。

一口に便秘といっても、このような弛緩性便秘や排便に関わる筋肉群の機能低下による直腸性便秘、
そして過敏性腸症候群に関連する痙攣性便秘等があり、それらに応じて治療法を選択しなくてはいけません。
アントラキノン系の大腸刺激性下剤や浣腸を繰り返し使うと習慣性になって、便秘を助長すると言われています。
大腸の形態を内視鏡で観察し、その人に合った薬剤で便秘を治療するということも一般化するかも知れません。

ヒトにおいて上行結腸は腸内容を肛門の方へ向かって移送させるのに重力に逆らって働かなければなりません。
他の動物でどうなっているのか全く知りませんが、ヒトでは大腸の中で最も半月ヒダが発達している場所です。
「体の形態には意味がある」・・・私は以前からそう思っています。

fcrxfwdt.gif ○○ 学会レポート 3 ○○


学会では昼食時にお弁当を食べながら第一線で活躍する先生方の講演を聞く、ランチョンセミナーというものが開かれます。
3日目のランチョンセミナーは、胃から出るホルモン、グレリンについての講演をチョイスしてみました。

演者の先生は、現在鹿児島大学で教授をされていますが、実は私が卒業し入局した神戸の先輩でもあります。
入局した当時は病棟医長をされていて、私の医師としての駆け出しの頃をよくご存知の先生なのです。
私の学生時代は講義を担当されることもなかったため、教授の専門領域の話をこのような形で聞くのは今回が初めてでありました。

グレリンは、1999年に日本人によって発見された胃から分泌されるホルモン。
脳に働きかけて成長ホルモン分泌を促したり、強力な食欲増進作用を発揮します。
今回は、グレリンとそのグループに属しながら働きがまだ十分に分かっていない2つの物質について、先生の研究室での実験結果の紹介でした。

鹿児島に赴任したこともあって、話の合間に焼酎の話題も出ました。
そして、焼酎のもろみを利用して作る酢にこのグレリンを増進させる作用があるようだとおっしゃっていました。

今度先生に会う機会があったら、このあたりを詳しく聞いてみようと思っています。



Clip to Evernote

sbcnvnys.gif ○○ 学会レポート 2 ○○


脂肪肝の治療に漢方薬防風通聖散を用いて効果が期待できるという報告がありました。
当ブログでも既に「スタッフの減量日記」シリーズで話題を提供したお薬です。

内臓脂肪やLDL-コレステロールの低下、HDL-コレステロールの上昇、
インスリン抵抗性の改善などがみられたというデータも提示されました。
この報告では、この漢方に含まれる麻黄や大黄、黄岑などいくつかの成分の薬理作用を示し、
メタボリック症候群にいかに有効であるかを解説していた点が良かったと思います。

実は私、脂肪肝に関しては10年ほど前に別の漢方薬を試していた時期があります。
それは大柴胡湯で、20名程に 6ヶ月服用していただきましたところ、約4割で著名な改善を認めました。
これにきっちりと生活・食事指導を行えばさらに改善率が上がるものと期待しました。
面白かったのは体重は全く変化がないのに、超音波検査上脂肪肝がみるみる改善していった症例があったことです。
ステロイド長期投与が原因で脂肪肝が生じた方でした。

最近、当診療所では再びこの大柴胡湯を用いて何名かの脂肪肝の患者さんの治療を始めております。
どのような結果が出るか楽しみです。



Clip to Evernote

xs8ev4i8.gif ○○ 学会レポート 1 ○○


先週、神戸で開かれたJDDW という消化器関連の学会で発表のあった演題の中から興味ある報告をピックアップ。
まずは生活習慣に絡むものを 2回に分けてお伝えします。
ちょっと専門的になってしまいますがあしからず。

治療の一環として食事指導をしても、なかなか間食がやめられない人がいます。
その原因の一端を示唆する報告がありました。

最近注目されている非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) の基本的な治療として間食の中止を指導したにも関わらず、それができなかった人を分析したところ、
75gOGTTという糖負荷試験で空腹時よりも負荷後180分の血糖値が低くなっていたというものです。
インスリンの初期分泌も高値を示したことから、インスリン抵抗性によりインスリン過剰分泌の遷延化をきたし、
食後の強い血糖値の降下と空腹感を招いて間食がやめられないのではないか、と結論づけていました。
板チョコ 2かけら程の少量の間食を摂ってもらうことで低血糖を防ぎ、全体の間食量が減らせて肥満抑制にも有効であったとのことでした。

NASHに限らず糖尿病などでも、画一ではない症例に応じた食事指導が重要であることを痛感させられました。

一般の方に注意しておきたいのは、この記事を読んで間食してもいいんだと都合の良いように解釈しないこと。
ちゃんとそういうタイプであるのかどうか検査で見極める必要があります。



Clip to Evernote

bcswq6vg.gif実は今、鹿児島を離れて神戸に来ています。

20年ほど住んでいた勝手知ったる場所で18日より開かれている消化器関連学会週間 (JDDW) に参加中。
消化器に関するいくつかの学会を年一回まとめて一斉に行なうため、全国の約 1万 5千人の医療関係者が参加する非常に大きな規模のものです。

もう15回を数えるまでになりましたが、これだけのイベントを開催できる場所が最初の頃はは神戸か横浜くらいしかありませんでした。
神戸で催される時は、仕事の合間で気軽に会場に駆けつけていたことを思い出します。

時代に即応した様々な演題があり、どれに参加して最新の情報を得ようかと迷ってしまいます。
今回は主に生活習慣病をテーマにしたものや、経鼻内視鏡に関するものを中心に勉強しようと思っています。

このブログで今回の学会のレポートができたらと考えています。
とりあえず、本日はこれまで。


Clip to Evernote

↑このページのトップヘ