野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
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ゴールデンウィーク中、5月2日 (午前のみ)、5月4日 (休日在宅医) は診療いたします。

胃の内視鏡検査前に薬を飲んではいけません ( 提示写真を更新しました )


 最近のニュースから

ゼンリンとの契約解除をきっかけにして、Googleマップの不具合が相次いで報告されています。
鹿児島でも、鹿児島湾上にトイレが表示されたり、山中に巨大な湖が出現したりしていたことがニュースになっていました。
いずれも改善されているようですね。

さて、当院はどうなっているでしょうか。
下の地図をご覧下さい。( クリックで拡大 )
野口内科周辺の地図

全く問題なく表示されています。

これで安心していたのですが、別のところでとんでもないことが起きていました。
それはストリートビューです。
当院の西側を南北に走る道をストリートビューで見てみるとこんなことになっています。( クリックで拡大 )
九州自動車道

真っ暗で、当院の影も形もありません。
どうやら、当院の東端のほぼ真下を走っている九州自動車道のトンネル内部が表示されているようなのです。
これでは劣化したと言われても仕方ないですね。

当院にGoogleマップを利用して来られる際、もしかしたらトンネルの途中で目的地だと示されるかも知れませんが、くれぐれもお気を付けて。

3月11日は東日本大震災から8年目となり、テレビや新聞などでは様々な特集が組まれました。
私が阪神淡路大震災を経験していることは、既にこのブログでも繰返し取り上げています。
阪神淡路大震災では火災が、東日本大震災では津波が、被害に更なる拍車をかけましたけど、同じ地震が原因になっていても個々で異なる問題が生じます。


map鹿児島では桜島の大噴火の可能性があります。
3月9日には鹿児島救急医学会等が中心となった座談会が行なわれ、大規模な噴火の際の入院患者の安全確保についての議論が行なわれたようです。

噴火時の直下型地震や津波なども想定されていますが、一番の問題はやはり火山灰でしょう。
火山灰はその時の風向きによっても堆積量が異なって来るものの、一番の人口密集地である鹿児島市は灰に埋もれてしまうのは必至。
大正噴火クラスの規模の爆発があり風向きが鹿児島市内方面だと、当診療所のある武岡地区では約1mも火山灰が降り積もる予測がなされています。
鹿児島の方ならよくご存じでしょうが、火山灰が水分を含むとセメントのように固まってしまいます。
50cm積もったまま水を含むと家屋が倒壊してしまう可能性もあるようですね。

通常の災害などでは比較的早期から行われるであろう救助活動や支援物資の供給が、降灰に阻まれてかなり遅延してしまうことは間違いありません。
3日は備えておくべきと言われている食糧や燃料も十分とは言えないでしょう。
4月になれば熊本地震の話が盛んになってくると思いますが、こういう機会を捉えてでもいいので、大噴火を見越した備えを真剣に考えてみて下さい。

昨日の新聞に、鹿児島市の19年度の当初予算案が示されていました。
その中で2つの風疹対策が目を引きました。

予防注射一つは、過去に予防接種を受けなかった7~19歳を対象に、はしか・風疹混合ワクチン ( MRワクチン ) の無料接種を3年間実施するというもの。
無料接種は夏ごろから始める予定らしいですが、対象者を約8500人と見込んでいるようです。
未接種の方、かなり多いんですね。

もう一つは、39歳から56歳の男性約6万4千人に無料で風疹の抗体検査を3年間実施するというもの。
事業所での健診や特定健診の機会を想定しているようです。

いずれも大事な施策です。
まだ議会を通ったわけではありませんが、この機会をおおいに活用して下さい。


参考 → 「流行中の風疹、鹿児島でも」「強力な麻疹 ( はしか ) の感染力」。

先月のことですが次のような研究結果がニュースになっていました。

カレー粉に含まれるスパイスがPM2.5による炎症を抑える可能性

カレーカレーをよく食べる高齢者は呼吸機能が保たれるという報告に着目して行われた実験です。
ヒトの気道上皮細胞をディーゼル排気微粒子を混ぜた溶液に浸した後、カレーに使われる様々なスパイスを添加して培養し、炎症の際に増えるインターロイキン-6や細胞外活性酸素種の変化をみたというものです。
その結果、カレー粉、クローブやウコンの抽出物、コリアンダー、桂皮に炎症反応を抑える効果が確認できたとか。

そういう報告を聞くと、カレーを買いに走る人もいらっしゃるかも知れませんが、注意が必要です。
例えば、今回の研究は培養した気道上皮細胞にスパイスを直接添加しているのですが、実際にカレーとして食べた場合にスパイスの成分がどれだけ気道に到達するのか。
また、炎症の主体は気道上皮細胞ではなく、肺胞マクロファージという細胞ではないのか。
論文になっていないので詳細がわからないのですが、報道されている断片からもいろいろ突っ込みたくなる部分がありますし、何よりプレスリリースしたのがハウス食品なのは留意したい点。
カレーを売ってる食品メーカーだからダメ、ということはありませんが、研究デザインや結果などをつぶさに検討した上で、カレーを積極的に摂るべきかどうかを判断したいものです。


ココアついでに、バレンタインデーも近いので、ココアに関する情報も見てみましょう。
ココアを飲用するとナチュラルキラー細胞の活性が上がる、という報告がありますので森永製菓のホームページ ( HP ) を参照してみて下さい。( → こちら )
それを基に、チョコレート・ココア業界でインフルエンザの予防になるという宣伝がなされていたりします。
しかし、これもどうでしょうか。
的確に問題点を捉えている厚生労働省のコラムがありますので、そちらを読んでみてください。( → こちら )
紹介した森永製菓のHP、実はココアを飲むとインフルエンザの予防になるとは一言も書いてありません。
でも、多くの方は勘違いしてしまう巧みな内容になっています。

ただ、私は風邪で漢方薬を処方する時に、ココアに混ぜて飲むといいですよ、とお勧めすることがあります。
漢方薬の独特の味がマスクされて飲みやすくなるのです。( → 小児への漢方の飲ませ方に一工夫 )
もしかしたら、相乗効果があるかも知れないとちょっぴり期待をしている部分もあります。
 

昨日、NHKの番組「日本人のおなまえっ !」で身近な病名の由来を取り上げていました。
その中で、昔の人は病気の原因が風邪 ( ふうじゃ ) にあると考えていたので、痛風や中風といった名前が付けられていたという話がなされていました。
また、インフルエンザに「印弗魯英撒」という当て字がなされていたのは、海外との交易によりもたらされたとの考えに由来しているようです。
インド・フランス・ロシア・イギリスが撒くという意味のようで、これには座布団をあげたくなります。

風邪について説明を加えておきます。
中医学の世界で「風・寒・暑・湿・燥・火」の6つの「気」が複雑に変化して、人体に影響を及ぼし病気が起こると考えていました。
発病の原因となった気は「風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪」と呼ばれるのです。

蟯虫それ以外に古代の人々は、神の怒りや怨霊、庚申信仰に基づく腹の虫などが病の原因と考えてきました。
左の図は「針聞書 ( はりききがき ) 」という書物の中で描かれた63種類の腹の虫の一つ、「蟯虫 ( ぎょうちゅう ) 」です。
多くの人の探求のおかげで、細菌やウイルス、遺伝的な素因や生活習慣などが病気の元になることがわかり、大概の疾患が治せる現代人は、とてもありがたい時代に生きているものだなと思います。


このブログでは、胃液がこみあげてくる「呑酸」ということばを考察したことがあります ( → どんさんそうそう ) が、医学用語には不思議なものがいっぱいあります。
薬を飲むことを「内服」と言いますが、なぜだかわかりますか ?
解説してもいいですが、自分で調べてみましょう。
ヒントとして、中国最古の地理書「山海経 ( せんがいきょう ) 」という書物にその由来があるとだけお伝えしておきます。

この2~3日の間に大腸に関連するニュースが続きました。
大腸がん、便潜血反応検査、大腸内視鏡検査についてです。
それぞれの話題を考察してみましょう。

♦♦♦♦♦

まず、2014年に新たにがんと診断された人の中で最も多かったのが大腸がんであった、というもの。( → こちら )
大腸がんが増えてきた理由は定かではありませんが、以前から

・運動不足や肥満が大腸がんのリスク。
・大腸がんのベースとなる大腸ポリープは糖尿病との関連が言われ、HbA1c が 1%上昇するとポリープ有病率が33%増えるとの報告。
・HDL-コレステロールが高いと大腸がんのリスクが低い。

等の報告があり、大腸がんはメタボリックシンドロームの延長にある疾患と言えそうです。

このところ、腸内細菌との関連が指摘され、大腸がんの組織からフソバクテリウムという細菌が多いという報告 ( → こちら ) や、食物繊維の多い食事でフソバクテリウムによる大腸がんリスクが減るという報告があります。( → こちら )
他に、バクテロイデス・フラジリスという細菌の関与も指摘されています。( → こちら )

ナッツや魚油、アブラナ科の植物は大腸がんのリスクを低下させるという報告もあり、大腸がんの予防は、メタボ対策を講じつつより良い食生活を目指すことに尽きるのではないかと思います。

♦♦♦♦♦

さて、大腸がんを見つけ出す手段として便潜血反応検査には高い有効性があることがわかっています。
その検査キットを市販化する動きがあるのに対し、精度管理などに懸念の声が上がっているというニュースが。( → こちら )
厚生労働省内でも意見が分かれているようで、市販化が実現するかどうかはまだ不透明。
賛成・反対どちらの意見も理解できますが、がん検診を受ける人が少なく、大腸がんが増えてきている日本の現状で、次の一手をうつ必要がある用に思います。

強調しておきますが、便潜血反応検査は1回でも陽性になれば、大腸の精密検査を受けなくてはなりません。
そのあたりの理解がなく、再検査をオーダーする医師もいるのですが、間違いです。
詳しくは、以前書いた「便潜血反応検査について」を参照して下さい。

♦♦♦♦♦
 
大腸内視鏡大腸がんの有無を調べるのに主力となっているのは大腸内視鏡検査ですが、座ったままで検査を受けると苦痛が軽減されることを自ら試して証明した研究に対し、イグ・ノーベル賞が授与されたニュースが大きく取り上げられました。( → こちら )
検査は通常、左を下にして寝てもらう左側臥位というポジションで行います。
内視鏡が挿入しづらいと仰向けになってもらっうなど、体位変換をする場合がありますが、座位になると我々と患者さんが向き合う格好になり、お互いばつの悪い雰囲気になるでしょうね。

自分で自分の大腸内視鏡をする医師を何人か知っていますが、ずっと座位で検査する先生は見たことがありません。
私は、経鼻内視鏡なら何回か自ら行い、このブログでも以前紹介しました。
大腸内視鏡を行なうとするなら、座位でもできる専用の椅子から開発に着手したいと思います。

東京医科大学の不正入試問題を発端にして、医学部入学にあたって女性差別があるのでないかという問題がクローズアップされています。
3日には文部科学省が、中間報告として各大学の過去6年間の平均の男女別の合格率の差を発表しました。
全大学の平均で男子が女子より1.18倍合格率が高く、順天堂大学は1.67倍もあったとか。
ちなみに、私の出身大学である神戸大学は1.04倍、地元の鹿児島大学は1.02倍という数値でした。( → こちら )

女性差別ただでさえ忙しい医療現場で、休職する可能性が高い女性医師の比率が高くなるのを嫌う人がいるのは事実で、入試で女子を制限しているのではという疑念に繋がっていると思います。
実際、出産前後にわずか3ヶ月の休職を申し出た後輩に対して聞くのも嫌になるような悪態をついていた先輩の男性医師がいました。
また、同じように休職を願い出た女性医師に二つ返事でOKを出しておきながら、話が終わり女性の姿が見えなくなった途端「女はこれだからな !」と吐き捨てていた別の先輩もいました。

医師が忙しい理由の一つに、医師でなくてもできる仕事を負担していることがあります。
国立の病院に勤務していた時、内視鏡の準備や洗浄などが下っ端の医師の担当だったのはその典型例です。
医師という資格がなければできない仕事に専念できる環境を整えて、男女の区別なく働き甲斐のある医療現場が実現できればと願っています。

ちなみに、私の入学時には120人中26人が女性。
これでも先輩たちの学年よりも女性の比率は多かったのですが、後輩の学年ではその比率はますます高く学部内が華やかになっていきました。
なお、当時の国立の医学部の入試は筆記試験のみで、数値化しにくい面接はありませんでした。

元々医療機関は、看護師を中心に圧倒的に女性の多い職場だからでしょうか、個人的には女性医師との仕事に違和感を感じたことはありません。
タフな世界に身を投じるだけあって頼もしい面々が揃っていたので、一緒に楽しく仕事が出来たように思います。
海外諸国と比べ女性医師の割合がとても低い日本では、まだまだ女性医師が増える余地があります。
男性に比べ女性医師が担当する患者は生存率が高いという報告もあります ( → こちら ) し、私が何らかの病気で医療機関にお世話になる時は、女性医師に担当してもらいたいと思っています。

17日に、米国ニューヨーク大学の医学部が、授業料を免除する奨学金を提供すると発表しました。
授業料は日本円にして年間610万円と言いますからかなりの負担です。( → 米NY大学 全医学部生の授業料を免除へ )

ローン地獄米国では、医学部に限らず、大学に入ると多くの学生が学生ローンを組むそうです。
返済義務のない奨学金がもらえたり、学費の割引があったりするようですが、その恩恵を得られるのはごく一部。
日本と違って勉強漬けでバイトができるわけでもなく、ローンの返済に苦しみ、不良債券化している割合も高いため社会問題化しているようですね。
ですから、今回のニューヨーク大学の英断が大きなニュースになっているのだと思います。


さて、日本の医学部の2018年度の授業料を調べてみました。
国立大学は他の学部と差がなく、年間535,800円です。
私立大学では、最も安いのが最近新設された国際医療福祉大学で6年間で1850万円 ( 年間約308万円 ) 、最も高いのが川崎医科大学で4716万5千円 ( 年間約786万円 ) です。 (  → 参考 )
私立の医学部に関しては、米国並みのところも結構ありますけど、親御さんはどうやって支払っているのでしょうか。
そして、医学部って何でこんなにコストがかかるのか、なぜ大学間でばらつきが大きいのか、他人事ながらとても気になります。

ちなみに、私の時代の大学授業料は216,000円でした。
入学年度の額がそのまま卒業まで適用されます。
半期に一度納付しますが、その都度10万円を少し超える額を納めていました。
先輩の学年はさらに安くて7万円台と9万円台のだったので、うらやましく思っていました。
今にして思えば、安い費用で医師として養成させていただいたことに感謝しなくてはなりませんね。


学習意欲が高く将来社会に大きな貢献が出来る可能性のある人が、費用を理由にあきらめざるを得ないミスマッチは我々にとっても大きな損失です。
医学の分野に限らず、優秀な人材を埋もれさせないためにも、学費の問題は真剣に考えていかなくてはならないでしょう。

♦♦♦♦♦ 誤解されてる貧血 ♦♦♦♦♦

7月2日に宮内庁から「天皇陛下が脳貧血によるめまい・吐き気の症状がありしばらく安静と経過観察が必要」と発表がなされました。
立ちくらみのことを「脳貧血」と表現する場合がありますが、これは医学用語ではなく、本当の医学的な「貧血」とは全く異なるものです。

ヘモグロビン貧血は、酸素を運ぶ役割を担っている血液中のヘモグロビン ( 血色素 ) が減ることを言います。
全身に酸素を運ぶ力が落ちるので、階段を上がるなどの強めの動作で全身の酸素要求量が増えた時に、動悸や息切れといった症状が起きます。

一方、脳貧血は「起立性低血圧」 ( 小児ならば「起立性調節障害」) という疾患に該当すると考えられます。
急に立ち上がると、血液は重力で下半身の方に行ってしまい、心臓より上にある脳は一時的に血液不足になります。
この時に、自律神経の一種である交感神経が働いて血管を収縮させ心拍数を増やすなどで血圧を上げることができれば問題ないのですが、その働きが不十分だと脳の虚血状態が改善できずにクラクラしてしまうわけです。
この現象はヘモグロビンがたっぷりあっても起こり得ます。

しかし、貧血という言葉から「脳貧血」を想起する方が3人のうち2人 ( 67.6% ) もいるそうなんです。
実際、立ちくらみがしたから採血で貧血のチェックをお願いしたいとして、外来を訪れる方が少なくありません。
医療関係者も平気で脳貧血という言葉を使う場面が多く ( 特に高齢医師 ) 、貧血の正確な意味が浸透せず脳貧血との混同が続いているのではないでしょうか。

貧血の定義などにつては、過去の2つのコラムである程度詳しく取り上げているので参考にして下さい。

本題に入る前に貧血について
貧血大国・日本


♦♦♦♦♦ ピロリ菌と鉄欠乏貧血について、改めて ♦♦♦♦♦
 
さて、7年前に「ピロリ菌と鉄欠乏性貧血」というコラムを書き、ピロリ菌感染が原因の鉄欠乏性貧血とラクトフェリンなどに絡んだ情報を提供しました。

最近の知見では、ピロリ菌感染によって胃粘膜萎縮が起こり、アスコルビン酸の吸収が低下することが原因ではないかとされています。
アスコルビン酸は、三価鉄を吸収のいい二価鉄へ変換するのに関わっているため、アスコルビン酸の低下によって鉄不足に陥りやすくなるというわけです。

また鉄収奪能の高い遺伝子変異を持つピロリ菌がいるとされており、このタイプのピロリ菌に感染することで鉄欠乏性貧血が起こる可能性が指摘されています。
特に小児や10代の若年者で鉄剤投与でも貧血の治療に難渋する場合は、ピロリ菌の有無をチェックする必要があり、中には除菌だけで貧血が治ることもあるようです。


♦♦♦♦♦ ヘム鉄についてプチ情報 ♦♦♦♦♦

なお、鉄欠乏性貧血の際に、吸収がいいからとヘム鉄のサプリの摂取を勧められるケースもあるようですが、最近の研究で、ヘム鉄摂取が多いと2型糖尿病の発症リスクが高くなるという報告がありました。
絶対にヘム鉄でなければ治療できないというわけではないので、気をつけたいところですね。

どこぞやのグループの「メンバー」が、アルコールが元で道を外してしまったようですね。
その報道の最中、非常に興味深いニュースが飛び込んでました。( → 酒に弱い日本人が増えるよう「進化」 遺伝情報から判明 )

げこアルコールを飲むと顔が真っ赤になってすぐにダウンする人もいれば、まったく底なしの人もいます。
これは、アルコールを分解する酵素の働きの強弱という遺伝的な要因に依存しています。

アルコールの分解には、アルコールをアセトアルデヒドに変えるADHB1と、アセトアルデヒドを酢酸に変えるALDH2と呼ばれる2つの酵素が関与しています。
日本人を含む黄色人種では他の人種に比べてこの酵素の働きが弱い人が多いのです。
白人や黒人では酵素の働きが弱い人はまず存在しないので、お酒を飲んで顔が真っ赤になってしまうことがないのです。

酵素の働きが弱い人では、
● 脳梗塞になる人が多い
● アルコールに加えて喫煙すると咽頭がんや食道がんになりやすい
ことなどが既に知られています。
食道がんの人に飲酒と喫煙の状況を聞き取るのは、我々医者にとって当たり前の作業です。

利点はないばかりように思えるのですが、今回の研究報告によると、酵素の働きが弱くなる遺伝子変異を積極的に受け継いできた跡が遺伝子解析から分かったのだそうです。
進化の過程で何らかのメリットがあった可能性がうかがえます。
アルコール飲用の際の糖代謝がわずかに改善するという報告がありますが ( → こちら ) 、他にも生存に有利に働く作用がきっと潜んでいるでしょうね。
そのあたりを探っていくのも楽しそうです。

ちなみに、日本人の中でも酒に強い弱いに地域差があると以前報告されていました。
都道府県別にみた酒に強い人が多いベスト3は、秋田、岩手、鹿児島の順なんだそうですよ。 ( → こちら )

日本の医療保険制度において、保険診療として提供したサービスに対する対価として全国一律に適用される「診療報酬」が定められています。
日々進歩する医療や世の中の経済状況を鑑みて、2年に一度改定が行われます。
最近の改定の傾向同様、2018年度の診療報酬改定でも医薬品の適正使用を推進しようという姿勢が見えています。

すやすや注目したいのが、「不安や不眠の症状に対しベンゾジアゼピン系の薬剤を12ヶ月以上連続して同一の用法・用量で処方されている場合」に処方箋料が減額されることです。
処方する医師側に漫然と薬を出さないように促しているのです。

これは非常にいい対策だと思います。
海外では、不眠を訴える方に睡眠薬を短期間だけ処方して、改善がみられたら中止する、というやり方が一般的なのです。
米国ではかつて「睡眠薬は一生で最大35日しか出してはいけない」という規制すらありました。

ここ数年、私は睡眠薬としてベンゾジアゼピン系の薬を新規に処方するケースはほとんどなくなりましたし、日常での過ごし方のアドバイスなどを通して投薬に頼らない睡眠の質の改善にも取り組んでいます。
これまでも、処方している方には睡眠状況を定期的に聞き出して薬の調節を適宜行なうように努めていましたが、4月以降は更に減薬などを進めて行くケースも増えてくると思います。
ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

ただ、少ない処方・用量で安定し、大きな副作用もない方に対して、無理矢理処方変更をする必要があるのかどうか、十分に考慮しつつ対応したいと考えています。


なお、トリアゾラム ( ハルシオン ) 、ブロチゾラム ( レンドルミン ) 、エチゾラム ( デパス ) は依存性を生じやすい薬の代表格です。
薬を中止すると、服薬前よりも強い不眠が出る場合があります。
これを反跳性不眠と言いますが、これを経験することで薬への依存度が高まってしまう悪循環に陥ってしまいます。
エチゾラムは軽い薬、と勘違いしいてる医師もいまだに多いので要注意です。 

におい膵臓のβ細胞には、インスリンを分泌する働きがあることは多くの方がご存じかと思います。
そのβ細胞に嗅覚受容体があって、その受容体が刺激されるとインスリンを分泌する、という報告が昨日ありました。( → 論文はこちら )

膵β細胞や小腸に、味覚 ( 甘味受容体 ) があることは数年前に発見されています。
膵臓や腸で感じた甘味の情報は脳には伝えられないんだそうです。
また、β細胞の甘味受容体が刺激されるとインスリン分泌が起こったり、糖尿病の方では腸の甘味受容体に異常があったりするという報告があります。

今回は嗅覚受容体も発見されたわけですが、消化管に存在する味覚や嗅覚が刺激されるとどんな変化が起こるのか、新たな発見に期待したいですね。
糖尿病やメタボの新たな予防法や治療法や繋がるかも知れませんし。


「腸は第二の脳」という言葉をよく耳にすることがあると思いますが、消化器系に脳が持っている味覚や嗅覚が備わっていても何らおかしくない・・。
ですが、私は日頃「脳は第二の腸」と言っています。
受精卵に始まっていろんな器官が作られていく過程で、脳よりも消化管が先に形成されるのも、そう主張する理由の一つです。
消化管という生き物が、効率的に食べ物を捉えるために集中神経系を発達させて、その過程の中で消化管が持ち合わせていた味覚や嗅覚という機能を脳が取り込んで舌や鼻を作り出したのではないか。
そして本来、腸で働いていたホルモンもそのまま脳で活用して、脳腸相関と呼ばれるものができ上がってきたのではないか、というのが私の勝手な推論なのですけどね。

「腹が立つ」「断腸の思い」などの言葉がありますが、消化管は案外感情も持っているのかも知れません。 

骨折先日、大腿骨近位部骨折の地域差についての調査結果がニュースになっていました。

それによると西高東低の傾向がくっきりと表れました。( 右の表はクリックで拡大します )
その原因として、ビタミンKを含む納豆の消費量など、食生活の関連性があるのではないかと推測していました。


骨、というとカルシウムやビタミンDを思い浮かべる人も多いと思いますが、ビタミンKも大事なんです。
骨の形成を司る骨芽細胞は、オステオカルシンという蛋白質を作ります。
この蛋白質の働きは未解明の部分もあるのですが、まず第一に骨形成を促す作用が考えられています。
このオステオカルシンを作るのにビタミンKが必要なのです。
オステオカルシンには膵臓のインスリン分泌を促す作用や、糖や脂質の代謝を促す作用、記憶力の改善作用などがあることも分かってきています。


今回の報告での地域差と納豆の消費量を色分けした地図を並べてみましたが、確かに逆の相関がありそうですね。( 右が都道府県別の納豆の消費額。どちらもクリックで拡大します ) 
地図納豆













私は、男性5位・女性1位の兵庫県と、男性40位・女性39位と西日本で男女とも最も低い鹿児島県での診療経験をしています。
言われてみると、確かに大腿骨近位部の骨折は鹿児島に帰ってきてからあまり診なくなったように思います。
神戸時代は人工骨頭手術を受ける患者さんがたくさんいたのですが。


骨折とは別の話になりますが、消化器を中心に診療している私が最も感じている地域差は、S状結腸の憩室症です。
兵庫県で仕事をしていた時の方が明らかに多かったです。
大腸憩室症も食事との関連が言われていますが、食事と絡めて疾患の地域差を調べるとその病気の予防法も見えてくるではないでしょうか。
でも、周辺地域に比べてどうして鹿児島県で大腿骨近位部骨折が少ないのか、謎です。
納豆の消費量もそれほど多いわけではないですしね。
その原因を探っていくと、また違った要因が見えてくるのでしょう。


なお、骨粗鬆症を予防しようと、カルシウムのサプリメントを摂取するのはご法度です。
カルシウムをサプリで補っても骨折予防効果はないばかりか、心筋梗塞や脳卒中、認知症リスクが増加するなどの報告が次々になされています。
何一ついいことはありません。
サプリではなく、食材でカルシウムやビタミンD・Kを多く含むものを摂りましょう。
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選択健康食品を手にする方は多いと思いますが、先日、消費者庁が健康食品に関するパンフレットを公開しました。
健康食品 Q&A」と「健康食品 5つの問題」です。

医薬品と違って、食品と名付けられているせいか健康食品には抵抗感を持たずに摂取している人が多いようです。
しかし、有効成分に科学的根拠がないことがほとんどですし、粗悪品があったり、表示されている通りに成分が含まれているか疑わしかったり、推奨されている摂取量に根拠がなかったり。
正直、とんでもない物ばかりです。
そして健康被害が案外多いのです。
医薬品は市場に出る前に、徹底的に調べられ、用量が定まり、副作用の種類や頻度も事前に情報としてわかっています。
薬が原因と思われる副作用がみられた場合には直ちに中止することができます。
しかし、健康を損ねている原因が健康食品にあるとたどり着くのには時間と労力がかかってしまいます。

消費者庁が発表したパンフレットを参考に、必ず自分で成分の有効性を調べ、利用する場合はパンフレットにある健康手帳を参考に記録をつけるように心がけましょう。
それにしても、なぜ厚労省じゃなくて消費者庁の仕事なんでしょうね。
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のむ昨日、『「豊胸サプリ」で健康被害200例以上』というニュースがありました。

問題となっているプエラリア・ミリフィカは、タイのマメ科の植物の塊根で、強力なエストロゲン類似活性を有しています。
そのため、乳房痛・膣出血・イライラ・頭痛・嘔吐など有害事象が報告されています。
私は今年の3月にその情報をキャッチし、すぐにツイッターに流しました。
ツイッターは速報性が高いので、興味ある方は私のアカウントをフォローして下さいね ( @wash_omu ) 。

驚くべきは「業者の半数近くがサプリメントに含まれる成分の正確な量を量らずに販売」していることです。
極論すれば、何が入っているかを全く把握せずに売っているということ。
今年の初めには盛んにテレビCMを打っていた日本サプリメントの「ペプチドエース」や「豆鼓エキス」に有効成分がほとんど入っておらず、消費者庁が措置命令を出しています。
サプリを利用している人は増えていますが、業界の実態は実にいい加減なものなのです。


ついでに、先日ある人との間で話題にのぼったプラセンタについても触れておきます。
更年期障害・冷え性・貧血・美容によいとして、医療機関でも勧めている所があるようです。
しかし、科学的にそのような効果は証明されていません。
そもそも、どの哺乳類の胎盤を使っているやら正体がわからないのに、よく口にするもんだと私は思っています。
魚類にはプラセンタ ( 胎盤 ) がないのに、鮭プラセンタなるものも売られています。
2ヶ月ほど前の英語の記事になりますが、感染症のリスクがあるという報告もあります。( → こちら )
これもツイッターにはすぐに載せました。

安倍政権の既製緩和一環で「セルフメディケーション」の名の下に、健康食品などの分野のビジネスが勢いを増しています。
しかし、デタラメがまかり通っています。
そして現実に健康を害する人が多くいます。( → 健康食品で薬物性肝障害、国民生活センターが注意呼びかけ )
自分の健康を守ろうと思ったら、奸策を弄して甘い宣伝文句を並べた健康食品やサプリを相手にしないことです。
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