野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡にある野口内科です。
  医療に関することはもちろん、近隣の話題や音楽・本のことなどについて綴ってまいります。
    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
         ▶▶ アクセスMAP
         ▶▶ バス路線図

インフルエンザの予防接種は10月より開始する予定ですが、既に流行の兆しが見えます。十分に気をつけてください。

 最近のニュースから

のむ昨日、『「豊胸サプリ」で健康被害200例以上』というニュースがありました。

問題となっているプエラリア・ミリフィカは、タイのマメ科の植物の塊根で、強力なエストロゲン類似活性を有しています。
そのため、乳房痛・膣出血・イライラ・頭痛・嘔吐など有害事象が報告されています。
私は今年の3月にその情報をキャッチし、すぐにツイッターに流しました。
ツイッターは速報性が高いので、興味ある方は私のアカウントをフォローして下さいね ( @wash_omu ) 。

驚くべきは「業者の半数近くがサプリメントに含まれる成分の正確な量を量らずに販売」していることです。
極論すれば、何が入っているかを全く把握せずに売っているということ。
今年の初めには盛んにテレビCMを打っていた日本サプリメントの「ペプチドエース」や「豆鼓エキス」に有効成分がほとんど入っておらず、消費者庁が措置命令を出しています。
サプリを利用している人は増えていますが、業界の実態は実にいい加減なものなのです。


ついでに、先日ある人との間で話題にのぼったプラセンタについても触れておきます。
更年期障害・冷え性・貧血・美容によいとして、医療機関でも勧めている所があるようです。
しかし、科学的にそのような効果は証明されていません。
そもそも、どの哺乳類の胎盤を使っているやら正体がわからないのに、よく口にするもんだと私は思っています。
魚類にはプラセンタ ( 胎盤 ) がないのに、鮭プラセンタなるものも売られています。
2ヶ月ほど前の英語の記事になりますが、感染症のリスクがあるという報告もあります。( → こちら )
これもツイッターにはすぐに載せました。

安倍政権の既製緩和一環で「セルフメディケーション」の名の下に、健康食品などの分野のビジネスが勢いを増しています。
しかし、デタラメがまかり通っています。
そして現実に健康を害する人が多くいます。( → 健康食品で薬物性肝障害、国民生活センターが注意呼びかけ )
自分の健康を守ろうと思ったら、奸策を弄して甘い宣伝文句を並べた健康食品やサプリを相手にしないことです。
Clip to Evernote

ピロ本年度から鹿児島県で始まった高校1年生を対象としたピロリ検診で、陽性率は3.7%だったことが先日の地元紙に載っていましたね。
陽性であった生徒のご家庭には既に通知が届いていると思います。
ピロリ菌がいると、将来胃・十二指腸潰瘍や胃がんになる可能性があるため、放置せずに若いうちに除菌するのが望ましいでしょう。

当院は、二次検査以降の受託医療機関として登録しています。
既に問合せもいただいておりますが、除菌を希望される方には、検査・治療の手順や費用についての説明を行ない、資料をお渡ししています。
電話で連絡の上、一度ご来院下さい。
その際は、ご家族の方のみでかまいません。
基本的に自費となります。
胃の症状がある場合、保険診療になりますが、除菌にあたっては内視鏡検査が必要です。
自費と内視鏡検査の加わる3割負担の保険診療を比較すると、後者の方がわずかに高くなります。

当院での検査・治療の流れについては、PDFファイルにまとめましたので、参考にして下さい。

( スマホでは表示されない場合があります )

 続いているアニサキスの話題  


ここ数日、アニサキスに関するニュースが続いています。
5月8日にアニサキスによる食中毒の報告がここ10年程で20倍以上に激増していること ( → こちら ) が報道されました。
これを受けて、5月10日には芸能人もアニサキス症に罹っていたというもの ( → こちら ) が続きました。
朝のワイドショーでもこのことを報道していましたね。
そしてCNNもアニサキスのことを取り上げています ( → こちら )。


 アニサキスとは 


アニサキスアニサキスはサバやアジ、イカなどの魚介類に寄生している長さが1~3cm台の白っぽく細長い虫で、我々が刺身などで生食することが発症の原因になります。
最も多くアニサキスを抱えているのは最終宿主のクジラですが、さすがに刺身を食べることはないでしょう。
学生時代の医動物学の実習で、買ってきたサバのアニサキスをチェックしたことがありますけど、結構いるんです。
右のイラストは決して大袈裟なものではありません。
あるレストランで出されたサーモンのマリネに1匹見つけたことがあります。
だいぶ弱ってましたけど。

鹿児島では首折れサバの旬の時期にアニサキス症が多い印象です。
私にとって最も印象的だったのは、魚市場から直接買ってきたサバを自分で捌いて生じたアニサキス症で、元気なアニサキスが7匹もいた症例です。
中には体を1cmくらい胃の壁に潜り込ませて尾をグルグル振り回しているものもいました。

でも、ニュースにあるようにアニサキス症が激増している印象は全くありません。
2013年からアニサキス症も保健所への届出対象となったことが大きな要因だと思います。


 アニサキス症の症状は ?


生きたアニサキスが胃壁に食らいつくことで激しい腹痛が起こるものを胃アニサキス症と言います。
飲み込んでも食いつかれなかったり、既に死んでいるものであったりすれば症状が出ないと考えられます。

ただし、過去にアニサキスが消化管に入ってきた既往がある場合、アレルギー症状が出ることがあります。
サバにあたる、という原因の一つがこのアニサキスアレルギーです。
なお、サバにはヒスチジンという成分が多く、これが体内でヒスタミンに変化することで生じるヒスタミン中毒が多いです。

また、胃を通り越して小腸や大腸の壁に食らいつくことがありますが、この場合は診断や治療に難渋するケースが多いです。
私の記憶に間違いがなければ、森繁久彌は腹痛で手術し、その結果小腸アニサキス症と診断されたはずです。


 アニサキス症の治療は ?  


私は内視鏡医なので、アニサキス症を疑った場合は内視鏡を行い、虫体を確認して除去します。
手技としてはそれほど難しいものではありません。
除去した途端に症状は全く消えてしまいます。
これが手っ取り早い治療法ですが、いつでも内視鏡ができるとは限りません。

最近注目されているのは、ステロイドと抗炎症薬による治療。
アニサキス症による腹痛は虫体からの分泌物による局所のアレルギーだと考え、薬の投与で症状緩和がみられたという報告があり、実績を上げています。
病歴からアニサキス症が疑われ、直ちに内視鏡検査ができない場合にはこの方法もありだと思います。

また、漢方薬の安中散の液をアニサキスに振りかけると3時間ほどで死んだり動けなくなったりするという報告があります。
安中散の成分の一つ、茴香 ( ウイキョウ ) にこの作用があることがわかっていますが、キャベジンコーワなど市販の胃薬にも茴香が含まれるものがあります。
でも、市販薬ではアニサキスに対する効果は調べられていないと思いますのであしからず。


 アニサキスの対策やアニサキスの絡んだ話題  


アニサキス対策として刺身などを冷凍するのはとても有効な手段です。
また、2014年に当時の高校生が、サバをワサビやショウガ、料理酒、ウイスキー、醤油に漬け込んだらほぼ100%防虫効果があったという報告を日本寄生虫学会で行い話題を呼びました。
刺身を食べる時のワサビやショウガって案外大事なものなのですね。

生の魚介類を提供する現場では、毛抜きなどを使ってアニサキスを除去するのは日常的だと思います。
肉眼ではちょっとわかりづらいアニサキスを簡単に検出できる装置が開発されていますので、食中毒予防に一役買うのではないかと思います。( → こちら )。

2015年には線虫ががん患者の尿の臭いに集まる習性が発見され、簡便ながんの早期発見法として期待されていましたが、2年後をめどに装置が開発される見込みです。( → こちら )
アニサキスが胃がん部分に食らいついていたのを観察したのがきっかけで線虫の嗅覚に着目し、この検査法の研究につながったとか。
先に紹介した7匹のアニサキス症例でも、ちょっと出血していた場所に何匹かが集中していたように記憶しています。
でもこういう研究の発想に繋げることができないのは、凡人の証しですね。 

本年度から鹿児島県で高校1年生を対象にピロリ検診開始するという話は先月もお伝えしました。
その事業内容についての説明が先週ありました。

大雑把な流れですが、
① 通常行われる学校での健康診断の尿を活用して、県の費用負担でピロリ抗体を調べる。
② この検査で陽性または判定不能であった場合、希望者は自己負担で二次検査を受ける。
③ 二次検査でも陽性であった場合、希望者は自己負担で治療を受ける。

当院も二次検査以降について受託医療機関として登録予定です。
詳細はまた改めて書こうと思います。


除菌説明を聞いて、ちょっと引っかかることがありました。
ピロリ菌除菌を行う理由は、将来の胃・十二指腸潰瘍や胃がんの発生を極力避けることができる可能性が大きいからです。

二次検査や除菌療法を受けたかどうかや、その後の胃の疾患の発生具合などを追跡調査して、この検診は意義があるものなのかを検証する必要があると思います。

しかし、鹿児島県としては一次検査で陽性または判定不能であった生徒に通知するだけで、それ以降は一切関与しないという立場なのです。
そのあたりについて様々な質問が出たのですが、担当者の歯切れの悪いこと。
これはどうやら予算の付き方にありそうだな、と推測しました。
担当者の口から出た「子育て支援、がん教育の一環」というキーワードをヒントにしてみました。

恐らく、国から子育て支援関係の補助金が下りることが決まり、その使途について知恵を絞り、各地で普及しつつある中高生のピロリ検診に活用しようとなったのでしょう。
子育て支援の主旨を逸脱しないように、がん教育の一環という理由付けをして予算が使えるようになったものの、その後のデータ収集までは予算も理由付けもできなかった、ということではないでしょうか。

でも、一次検査での陽性率くらいはデータとして公表すべきでしょう。
高校一年生でのピロリ菌の陽性率を知ることは、がん教育の一環としても大事だと思いますので。

今月、ピロリ菌についての大きなニュースが続きましたのでまとめてみました。

◆ 本年度から鹿児島県で高校1年生を対象にピロリ菌検診開始

本年度から、鹿児島県の高校1年生を対象としたピロリ菌検査事業が始まります。
医療関係者に対しての説明が近々行われる予定ですので、詳細がわかり次第お知らせします。

日本人の胃がんの9割はピロリ菌感染が原因とされており、早期に除菌を行うと胃がん発症が防げると考えられています。
中高生を対象にしたピロリ菌検診は、市町村単位では2013年に岡山県の真庭市、都道府県単位では2016年に佐賀県が最初に始め、現在では複数の自治体が取り組んでいます。( モデル校を指定しての事業は2015年の京都府が最初です。 )
今回、地元でも始まるわけですが、微力ながらこの検診には積極的に関わって行こうと思っています。

◆ ピロリ菌除菌を妨げる意外な因子

ピロピロリ菌除菌では酸分泌抑制薬と2種類の抗菌薬を組み合わせて服用してもらいますが、全ての人で除菌が成功するわけではありません。
胃酸の分泌抑制が不十分であったり、ピロリ菌自体が抗菌薬に耐性を持っていたりすることがうまくいかない原因と考えられてきました。

しかしつい最近、別の因子が大きく関与していると報告されました。
それは何と食事中のコレステロールやω3多価不飽和脂肪酸。
除菌した人の食事摂取状況を背景因子として解析したらこの2つが浮き上がってきたのです。
これらの摂取量が多いほどピロリ菌の除菌率が低下するという関連性がみられたようですから、今後は除菌の際の食事指導も大事になってくるでしょうね。
日本感染症学会での九州大学からの発表演題なので、論文にまとめていただくことを期待します。

くのーさっきからパソコンに向かって唸っています。
ブログに書くネタがないのです。
3日に1つは書くというノルマを課して10年以上続けてきたので、今日はどうしても書かなきゃ、と妙な強迫観念に駆られています。

毎週毎週、テレビ番組で情報を提供し続けることはとても大変なことだと思います。が‥
2月22日のNHKの番組「ガッテン !」で、ある種の睡眠薬で血糖が改善するというような放送がなされ、物議を醸しました。
翌週の番組冒頭に謝罪を入れましたが、次いで取り上げたコラーゲンについても実験内容に批判が上がっています。
来週の放送でも、虫垂炎の手術をすると大腸がんのリスクが高まる、という内容が含まれているようです。
私もこの情報には注目しましたけど、番組でどのような取り上げ方になるのか・・・。

ネタのない時に、無理して質の低い内容を書いてもしょうがない、無理して書く必要はない。
これからはそうしていこうかな、と思わせる騒動でした。
( 何とか書けた‥ )
Clip to Evernote

学生時代に東北を旅行したことがあります。
その際に、先の台風10号で大きな被害を受けた岩泉町や久慈市なども訪れており、心を痛めています。
お見舞いを申し上げます。

岩泉町の面積は992.36㎢あり、東京23区の1.6倍、鹿児島市の1.8倍と、とてつもなく大きな町ですが、人口はわずか1万人程。
最近の天気は同じエリア内でも状況が大きく違うことがあります。
人口が少ない分、広い町内をカバーするだけの十分な防災担当者がいたかどうか、そして慣れない台風に正しい判断を下すことができたか、難しい問題です。

ハチまた、先日はマラソン大会中に参加者が115人もスズメバチに襲われるというニュースもありました。
こういう大会ではメディカルスタッフも揃えていると思いますが、一度にこれだけの人のケアをすることは想定していないと思います。

たとえ体制を整えていても、短時間での急な状況の変化や多くの人がいっぺんに巻き込まれるトラブルには対応できない場面が出てくるものだな、と改めて思った次第。
人任せではなく個人がしっかり対応するという能力が日本人には少し欠けている気がしてなりません。
日々の事件や事故の報道をただ聞き流すだけではなく、学び取って普段の行動に活かしたいものです。
 
Clip to Evernote

ハンドソープ米国では米食品医薬品局 ( FDA ) が9月2日に出したお触れにより、トリクロサンやトリクロカルバンなどの抗菌物質を含む薬用石けんなどの販売が禁止となりました。( → 参考 )

FDAはトリクロサンを安全な物質と定めていたのですが、様々な問題点 ( 腸内細菌叢の変化・妊娠中の暴露で乳児の成長遅延・環境汚染・乳がん細胞の促進等々 ) が指摘されるようになり、2013年末に使用規制強化に乗り出していました。
それでFDAが各メーカーに普通の石けんと比べて健康的であるかどうかのデータ提出を各メーカーに求めていたのですが、結果を伴わなかったようですね。

欧州ではこれに先んじて昨年夏に使用禁止となっています。
日本は一体どう対応するのでしょう。

さて、6月にはこんなニュースもありました。
見出しは「図書館ノ本消毒シマス」。
「本の汚れや雑菌、においが気になる」として図書館で本の消毒器の設置が進んでおり、親が子供に「安心して本を読ませられる」と好評なんだとか。
本をしっかり読んで知識を持っていれば、昨今の過剰な抗菌ブームを笑い飛ばせるはずで、こんな反応をする親が子供に対して何を示せるのでしょうね。
 
Clip to Evernote

今月は近隣の小学校や幼稚園などの検診シーズン。
慌ただしいスケジュールで担当している4つの施設を回ります。
診療時間を削ることになるため、外来受診される方にはご迷惑をおかけしましたが無事に終了いたしました。
ご協力ありがとうございました。

芋さて、今朝の新聞に「芋焼酎に血糖値抑制効果」という記事が載っていました。
夕食前に水・ビール・清酒・芋焼酎を飲んでもらい、食前と食後の血糖値の変化をみたというもの。
食後1時間で食前に比べ、水は+40mg/dℓ、ビールは+90mg/dℓ 上昇したのに対し、芋焼酎では+10mg/dℓ に留まったというのです。
報告された論文がありますので、こちらを参照してください。( → こちら )。
この研究で使用したのはあくまで「芋」焼酎ですからご注意を。

研究に関わった教授、実は私の神戸大学時代の医局の先輩にあたります。
どういう因果か、鹿児島でまたお世話になっています。
どの銘柄の焼酎で調べたのか、今度聞いておきます。
 
Clip to Evernote

桂歌丸さんが笑点の司会を今月いっぱいで引退するという話や蜷川幸雄さんが亡くなった話、小倉智昭さんが膀胱がんで一時休養を発表した話。
有名人が病気になると認知度が上がりますが、この三つについては最近外来で患者さんに対して特に活用させてもらっている話題です。

三人に共通するのは喫煙。
喫煙されている方は肺がんを心配される一方で、それ以外の病気の原因にもなっているという認識はほとんど持っていません。

喫煙者が最も多く罹患するのが肺気腫 ( ≒ COPD ) という疾患になるかと思います。
疾患についての詳細は省きますが、最初に挙げた前二者がまさしくその疾患で、酸素吸入が欠かせない姿が痛々しく思えました。
ご自身がそういう状態になることを想像してもらい、禁煙を決断するきっかけになってくれればと思っています。

また、膀胱がんの確実なリスク要因が喫煙だと説明すると、皆さん意外そうな顔をされます。
下に図を用意してみました。( CareNet 患者向けスライドより )
たばこが肺がんに限らず、様々ながんのリスクになっていることをチェックしてみてくださいね。

たばこ
 

今年の2月に「JAL DOCTOR 登録制度」を開始することが日本航空と日本医師会から発表されました。
航空機内で急病人が発生して医療援助が必要となった際に客室乗務員が登録医師の元に速やかにかけつけて依頼ができることをメリットとしているようです。

ところが肝心の医師の反応がいまいちです。
まず、m3というサイトで募られた『事前登録してみたいですか
』というアンケート結果です。

アンケ02

また、この登録制度にはJALのマイレージカードと日本医師会が発行する医師資格証の両方が必要なのですが、そのカードの所持の具合を聞いたMTProのアンケート結果です。

アンケ

それぞれに医師のコメントが寄せられているのですが、特に法的な整備の遅れを指摘し登録に消極的な意見が多いですし、カードの所持状況からも実効性があるようには思えない制度です。

私自身、マイレージカードも医師資格証も持っていません。
飛行機には年一回乗るか乗らないかの上、JALは10年ほど前に利用したきり。
医師資格証はこの4月から医師会会員に限って無料となったのですが、使い道がほとんどないのに年5400円もの利用料が必要でした。
登録制度が始まったからといって、直ちに両カード取得するメリットが私には見出せない状態です。
今回始まった試み自体に評価したい部分もあります。
しかし、確たる仕組みに育てていくには時間をかけて様々な検証を繰り返していく必要がありそうです。

Clip to Evernote

名称未設定-2『日本の抗菌薬使用、毎日200万人に投与』
これはある医療サイトに掲載されたニュースの見出し。
今月行われた日本環境感染学会で報告された演題についての記事でした。( → 参考 )

単純に計算すると、わずか2ヶ月で日本国民全員が抗菌薬を手にすることになります。
5700万もの『世帯毎
に配達されたマイナンバー通知カードを配り終わるのに同じくらいの日数がかかったと思いますが、それを考えるとこの処方量はただ事ではありません。

世界的に不適切な抗菌薬使用が問題になっています。
本当に必要な場面で薬剤耐性菌が大きく立ちはだかるケースが増えているのです。
風邪をひく方が多いこの時期ですが、そのほとんどは抗菌薬が役に立たないウイルスに起因します。
当たり前のように処方する医師は自分が風邪をひいた時にも抗菌薬を欲しがります。
また、インフルエンザにクラリスロマイシンが投与される場合がしばしば見受けられます。
クラリスロマイシンに気道粘膜の免疫増強作用があることを発売メーカーが盛んに宣伝し、適応のないインフルエンザへの投薬を暗に勧めていたことが影響しているものと思われます。( → 参考 )
しかしインフルエンザ薬は存在するわけですし、それすら使わなくても基本的に治ってしまう疾患にあえてクラリスロマイシンを使う必要性がどれだけあるのでしょうか。

抗菌薬の適切な使用法をみんなで考え直す時期に来ています。
そして、感染症に立ち向かうための貴重な手段を失わないようにしたいものです。
Clip to Evernote

老人イソプレテレノールというと徐脈性不整脈などに使われる薬剤ですが、これがアルツハイマー型認知症に有効であるという驚きの報告がありました。( 論文はこちら )
神経脱落に関わるであろうとされてきたタウ蛋白という物質が凝集するのを抑制する物質をスクリーニングしていたら、既存のイソプレテレノールに突き当たったようです。

膨大な化合物の中から目的に適う物質を短時間で探索できる「ハイスループットスクリーニング」という方法が用いられたようですが、11月にはナルコレプシーという病気に対して有効な薬剤が同手法で見つかっています。

アルツハイマー型認知症については、テプレノンという胃薬が有効ではないかと現在治験が進行中です。
既存の薬剤から全く新しい効果を見いだすことを「ドラッグリポジショニング」と呼びます。
解熱鎮痛薬であるアスピリンが血液をさらさらにすることに応用されたのが典型例でしょうが、今回のイソプレテレノールに関しても同じことが言えます。
アスピリンは大腸がん予防などにも期待されていますよね。

ハイスループットスクリーニングにドラッグリポジショニング。
しっかり押さえておきたい用語ですが、誰か適切な日本語を付けてくれないでしょうかね。
Clip to Evernote

手の震えアルツハイマー病の進行を遅らせる薬は現在4種類あります。
いずれも少量から開始し、段階的に増量していきます。
規定通りに増やしていくと副作用がみられることがあり、少量で継続することもあります。
ところが、この方法を認めずに診療報酬請求を却下するケースがあることが先日報道されました。
鹿児島県では問題ないようですが、9県でそのようなことが起こっていたようです。

国民健康保険の診療報酬の審査は都道府県別に行われるのですが、地域によってその審査がバラバラなのは以前から問題になっていました。
私は、神戸時代に兵庫県と大阪府の病院で仕事をする機会がありましたが、兵庫県では当たり前に行われている治療が大阪府では認められなかったり、その逆があったり。
鹿児島に帰ってきてからも、兵庫県との差異に悩まされることが度々あります。
その結果、都道府県によって診療行為に微妙な違いが生まれているのです。

場当たり的に懲罰的な烙印を押すような診療報酬の審査が目立つように思います。
審査を通して医療の質を高める方向に導いてくれるものであれば歓迎したいのですが、今回のように患者さんが興奮状態になっても手が震えても不整脈が起きても、認知症の薬を規定通りに使わんとはけしからん、というスタンスの審査がまかり通っていることに懸念を抱いています。

 
Clip to Evernote

キシリトール昨日のニュースで、キシリトールを犬に与えると低血糖発作や肝不全を起こし場合によっては死に至ることが伝えられていました。( → こちら )
猫については今のところ報告はないようですが、人間が口にできるものがペットにとって害になるって怖いですね。

食べ物ではないのですが、飼い主の使う痛み止めの塗り薬が原因で猫が腎不全を起こし死亡することがニュースになっていました。( → こちら )
これも気をつけたい点です。

キシリトールといえば、虫歯予防を頭に浮かべる人も多いはず。
しかし、予防効果は証明できなかったとする報告が3月にありました。( → こちら )
また、キシリトールで強いアレルギー反応をおこす人がいることも最近注目され始めています。

皆さんも次々に発表されるニュースを見逃さず、知識を少しずつ蓄積していきましょうね。
 

ソーセージ先月末にWHOが、加工肉や赤身肉を摂取は大腸がんリスクであると発表し、マスコミがこぞって取り上げました。
世界中の800にも及ぶ研究を精査した結果、とあるように、実は我々医師の間では以前から知られていたことなのですが、発表した機関が機関なだけに世界中が大騒ぎになっています。
安心していただきたいのは、日本人の平均的な食生活では加工肉も赤身肉もそれほど多く消費されていないという点で、国立がん研究センターも影響は小さいと見解を示しました。
ま、この事についても我々は以前から知っています。

ただし、日本人の大腸がんは増加傾向にあります。
当院でもこのところ大腸がんを見つける機会が格段に増えています。
大腸がんの危険因子として確実なのは「肥満」で、予防因子として確実なのは「身体活動」です。
肉を多く食べ、あまり運動しないでいる方は、日頃の快適習慣を見直すきっかけにしていただければと思います。

なお、赤身肉 ( red meat ) とは、牛肉・豚肉・羊肉・馬肉・ヤギ肉を指すようです。( 豚肉を含めない場合もあり )
また、当院では土曜日の午後も大腸内視鏡検査に対応しております。
 

今年のノーベル賞は日本人の受賞が続き、連日新聞やテレビが賑わっていますね。

医学生理学賞を受賞した大村智先生が発見したのはエバーメクチン。
それから合成されたイベルメクチンという薬は河川盲目症という病気の特効薬で、流行するアフリカに無償で提供されるという何とも粋な計らいが、3億人もの人を救ったという話でした。

一方で、60年以上前に開発されたピリメタジン ( 商品名ダラプリム ) という薬の価格改定が米国で物議を醸しています。
これはトキソプラズマ症やカリニ肺炎など、特殊な病原体に有効な薬です。
従来13.5ドルだったものを750ドルへと一気に55倍も値上げしたのです。
元々ヘッジファンドをやっていた若者が薬の権利を買い取ってこんな暴挙に出たようで、これに対して次期大統領選の候補であるヒラリー・クリントンが製薬会社の法外な価格設定の問題に取り組むことを宣言しました。

最近の新薬は驚くような価格がついていることがあります。
例えはC型肝炎に対する特効薬が1錠8万円。
それを決めているのが医療費削減を叫んでいる厚生労働省なのですから、各方面から疑問の声が出るのは当たり前ですよね。( → こちら )

新薬の研究開発に莫大な資金が必要であることは理解できるとしても、ハイリターンを求める金融商品と同列に扱ってはだめです。
そういう戒めも込めて、今回のノーベル賞授与が決まったのかも知れません。

なお、地元鹿児島の人が誰でも尊敬する西郷隆盛はフィラリアに罹っていたと言われています。
フィラリア症もイベルメクチンを1錠内服するだけで治ってしまう病気です。

薬は安く02
 
Clip to Evernote

大腸がんを解熱鎮痛薬で予防できるのではないか。
以前から臨床試験などが行われてきましたが、このブログでも 8年前に触れています。( → 薬で大腸がんの予防 !? )

アスピリン紆余曲折がありましたが、15日に米国感染予防医療サービス対策委員会から「心血管疾患およびがん予防のためのアスピリン使用」に関する勧告案が発表されました。( → 参考 )
この中で『50歳から59歳について、10年以内の心血管疾患リスクが10%以上で出血リスクが小さく余命が10年以上の場合、心血管疾患と大腸がんの初発予防を目的とした低用量アスピリン使用を勧告する』としています。
ついに大腸がん予防にアスピリンが使えるようになる、と思ってはいけません。
心血管疾患リスクが全くない人には使えません。
大腸がんだけをターゲットにアスピリンを服用することを勧めているわけではないのです。
米国は日本と異なってがんよりも心血管疾患で亡くなる人が多い国ですしね。
そして出血リスクや余命をどう判断するのか、難しい問題です。

実は10年以上昔、胃や大腸にポリープがたくさんある人にご本人同意の上である解熱鎮痛薬を飲んでもらったところ、劇的にその数が減った印象的な症例を経験しています。
大腸がんのほとんどはポリープから生じますので、解熱鎮痛薬による大腸がんの予防効果を私は随分早い段階から確信していたのですが、心置きなく使えるようになるにはもう少し時間がかかりそうです。

9月3日に厚生労働省から発表されたデータを2つ紹介します。

まず、2013年度の都道府県別の一人当たりの医療費。( → こちら)
鹿児島県は61万1000円で、高い方から数えて4位でした。

次に、2014年度の調剤医療費の動向の中で明らかとなった都道府県別の後発医薬品の割合。( → こちら )
鹿児島県は数量ベースで67.5%、調剤率で71.5%で、いずれも高い方から数えて2位でした。

以上のデータから「国が推進する後発医薬品の利用促進は医療費削減に繋がっていない」と結論づけたとしたら、皆さん納得されるでしょうか。
鹿児島は高齢者が多いとか入院日数が長いなど医療費を押し上げる他の要因がありますから、そう断定することは難しいですよね。

グラフ先日このブログで毎日新聞によるインフルエンザワクチンの効果についての誤報を紹介しました ( → こちら ) が、論文に提示されたデータを深く読み込んでいないのか、恣意的に記事にしてしまったのか‥。
データは様々な項目を設定して分析するといろんなことが見えてくることがあります。
逆に、
自分の主張に合うように不都合な部分を隠してもっともらしく装うことも可能なのです。
世の中にはそういうワナがいくらでも存在します。
うわべの情報に惑わされないようにしっかりウラをとるように私は努めていますが、皆さんはいかがでしょうか。
Clip to Evernote

脳今月14日の地元紙のトップニュースは「『古細菌』感染症の原因に」。
これまでヒトへの感染性が知られていなかった古細菌が原因で進行性の認知症が起こり、ある抗生物質投与で改善したというものでした。

新聞記事ではなく、発表された論文 ( → こちら ) の要点は
・舌の不随意運動を伴う進行性の認知症
・髄液検査で単球の増加
・MRIで側頭葉や脊髄などに炎症性の変化
・脳生検で血管周囲にマクロファージとともに古細菌
・ST合剤とステロイドによる治療で改善
といったところになると思います。

感染症の病原体を特定するのに「コッホの原則」というのがあります。
今回の論文ではそれを十分に満たしていないという意見もあるのですが、古細菌という生物が人間の病気を引き起こすことを示したことは間違いありません。
同様の症例が見出せるかとか感染のメカニズム、古細菌が絡む別の疾患が存在しないか、など今後の展開にも非常に興味が持たれる画期的な発見です。

(このニュースが出るまで、古細菌って正直知りませんでした)

↑このページのトップヘ