野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡にある野口内科です。
  医療・健康に関することはもちろん、近隣の話題や音楽・本のことなどについて綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
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今年のお盆休みはは8月11日 (土) から15日 (水) です。

7月24日から9月15日頃まで、外壁工事のため駐車場が使えなりますのでご了承下さい。



 最近のニュースから

♦♦♦♦♦ 誤解されてる貧血 ♦♦♦♦♦

7月2日に宮内庁から「天皇陛下が脳貧血によるめまい・吐き気の症状がありしばらく安静と経過観察が必要」と発表がなされました。
立ちくらみのことを「脳貧血」と表現する場合がありますが、これは医学用語ではなく、本当の医学的な「貧血」とは全く異なるものです。

ヘモグロビン貧血は、酸素を運ぶ役割を担っている血液中のヘモグロビン ( 血色素 ) が減ることを言います。
全身に酸素を運ぶ力が落ちるので、階段を上がるなどの強めの動作で全身の酸素要求量が増えた時に、動悸や息切れといった症状が起きます。

一方、脳貧血は「起立性低血圧」 ( 小児ならば「起立性調節障害」) という疾患に該当すると考えられます。
急に立ち上がると、血液は重力で下半身の方に行ってしまい、心臓より上にある脳は一時的に血液不足になります。
この時に、自律神経の一種である交感神経が働いて血管を収縮させ心拍数を増やすなどで血圧を上げることができれば問題ないのですが、その働きが不十分だと脳の虚血状態が改善できずにクラクラしてしまうわけです。
この現象はヘモグロビンがたっぷりあっても起こり得ます。

しかし、貧血という言葉から「脳貧血」を想起する方が3人のうち2人 ( 67.6% ) もいるそうなんです。
実際、立ちくらみがしたから採血で貧血のチェックをお願いしたいとして、外来を訪れる方が少なくありません。
医療関係者も平気で脳貧血という言葉を使う場面が多く ( 特に高齢医師 ) 、貧血の正確な意味が浸透せず脳貧血との混同が続いているのではないでしょうか。

貧血の定義などにつては、過去の2つのコラムである程度詳しく取り上げているので参考にして下さい。

本題に入る前に貧血について
貧血大国・日本


♦♦♦♦♦ ピロリ菌と鉄欠乏貧血について、改めて ♦♦♦♦♦
 
さて、7年前に「ピロリ菌と鉄欠乏性貧血」というコラムを書き、ピロリ菌感染が原因の鉄欠乏性貧血とラクトフェリンなどに絡んだ情報を提供しました。

最近の知見では、ピロリ菌感染によって胃粘膜萎縮が起こり、アスコルビン酸の吸収が低下することが原因ではないかとされています。
アスコルビン酸は、三価鉄を吸収のいい二価鉄へ変換するのに関わっているため、アスコルビン酸の低下によって鉄不足に陥りやすくなるというわけです。

また鉄収奪能の高い遺伝子変異を持つピロリ菌がいるとされており、このタイプのピロリ菌に感染することで鉄欠乏性貧血が起こる可能性が指摘されています。
特に小児や10代の若年者で鉄剤投与でも貧血の治療に難渋する場合は、ピロリ菌の有無をチェックする必要があり、中には除菌だけで貧血が治ることもあるようです。


♦♦♦♦♦ ヘム鉄についてプチ情報 ♦♦♦♦♦

なお、鉄欠乏性貧血の際に、吸収がいいからとヘム鉄のサプリの摂取を勧められるケースもあるようですが、最近の研究で、ヘム鉄摂取が多いと2型糖尿病の発症リスクが高くなるという報告がありました。
絶対にヘム鉄でなければ治療できないというわけではないので、気をつけたいところですね。

どこぞやのグループの「メンバー」が、アルコールが元で道を外してしまったようですね。
その報道の最中、非常に興味深いニュースが飛び込んでました。( → 酒に弱い日本人が増えるよう「進化」 遺伝情報から判明 )

げこアルコールを飲むと顔が真っ赤になってすぐにダウンする人もいれば、まったく底なしの人もいます。
これは、アルコールを分解する酵素の働きの強弱という遺伝的な要因に依存しています。

アルコールの分解には、アルコールをアセトアルデヒドに変えるADHB1と、アセトアルデヒドを酢酸に変えるALDH2と呼ばれる2つの酵素が関与しています。
日本人を含む黄色人種では他の人種に比べてこの酵素の働きが弱い人が多いのです。
白人や黒人では酵素の働きが弱い人はまず存在しないので、お酒を飲んで顔が真っ赤になってしまうことがないのです。

酵素の働きが弱い人では、
● 脳梗塞になる人が多い
● アルコールに加えて喫煙すると咽頭がんや食道がんになりやすい
ことなどが既に知られています。
食道がんの人に飲酒と喫煙の状況を聞き取るのは、我々医者にとって当たり前の作業です。

利点はないばかりように思えるのですが、今回の研究報告によると、酵素の働きが弱くなる遺伝子変異を積極的に受け継いできた跡が遺伝子解析から分かったのだそうです。
進化の過程で何らかのメリットがあった可能性がうかがえます。
アルコール飲用の際の糖代謝がわずかに改善するという報告がありますが ( → こちら ) 、他にも生存に有利に働く作用がきっと潜んでいるでしょうね。
そのあたりを探っていくのも楽しそうです。

ちなみに、日本人の中でも酒に強い弱いに地域差があると以前報告されていました。
都道府県別にみた酒に強い人が多いベスト3は、秋田、岩手、鹿児島の順なんだそうですよ。 ( → こちら )

日本の医療保険制度において、保険診療として提供したサービスに対する対価として全国一律に適用される「診療報酬」が定められています。
日々進歩する医療や世の中の経済状況を鑑みて、2年に一度改定が行われます。
最近の改定の傾向同様、2018年度の診療報酬改定でも医薬品の適正使用を推進しようという姿勢が見えています。

すやすや注目したいのが、「不安や不眠の症状に対しベンゾジアゼピン系の薬剤を12ヶ月以上連続して同一の用法・用量で処方されている場合」に処方箋料が減額されることです。
処方する医師側に漫然と薬を出さないように促しているのです。

これは非常にいい対策だと思います。
海外では、不眠を訴える方に睡眠薬を短期間だけ処方して、改善がみられたら中止する、というやり方が一般的なのです。
米国ではかつて「睡眠薬は一生で最大35日しか出してはいけない」という規制すらありました。

ここ数年、私は睡眠薬としてベンゾジアゼピン系の薬を新規に処方するケースはほとんどなくなりましたし、日常での過ごし方のアドバイスなどを通して投薬に頼らない睡眠の質の改善にも取り組んでいます。
これまでも、処方している方には睡眠状況を定期的に聞き出して薬の調節を適宜行なうように努めていましたが、4月以降は更に減薬などを進めて行くケースも増えてくると思います。
ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

ただ、少ない処方・用量で安定し、大きな副作用もない方に対して、無理矢理処方変更をする必要があるのかどうか、十分に考慮しつつ対応したいと考えています。


なお、トリアゾラム ( ハルシオン ) 、ブロチゾラム ( レンドルミン ) 、エチゾラム ( デパス ) は依存性を生じやすい薬の代表格です。
薬を中止すると、服薬前よりも強い不眠が出る場合があります。
これを反跳性不眠と言いますが、これを経験することで薬への依存度が高まってしまう悪循環に陥ってしまいます。
エチゾラムは軽い薬、と勘違いしいてる医師もいまだに多いので要注意です。 

におい膵臓のβ細胞には、インスリンを分泌する働きがあることは多くの方がご存じかと思います。
そのβ細胞に嗅覚受容体があって、その受容体が刺激されるとインスリンを分泌する、という報告が昨日ありました。( → 論文はこちら )

膵β細胞や小腸に、味覚 ( 甘味受容体 ) があることが数年前に発見されています。
膵臓や腸で感じた甘味の情報は脳には伝えられないそうです。
また、β細胞の甘味受容体が刺激されるとインスリン分泌が起こったり、糖尿病の方では腸の甘味受容体に異常があったりするという報告などがあります。

今回は嗅覚受容体も発見されたわけですが、消化管に存在する味覚や嗅覚が刺激されるとどんな変化が起こるのか、新たな発見に期待したいですね。
糖尿病やメタボの新たな予防法や治療法や繋がるかも知れませんし。


「腸は第二の脳」という言葉をよく耳にすることがあると思いますが、消化器系に脳が持っている味覚や嗅覚が備わっていても何らおかしくない・・。
ですが、私は日頃「脳は第二の腸」と言っています。
発生学的に脳よりも消化管が先に形成されるのも、そう主張する理由の一つです。
消化管という生き物が、効率的に食べ物を捉えるために集中神経系を発達させて、その過程において消化管が持ち合わせていた味覚や嗅覚という機能を脳が取り込んだのではないか。
そして本来、腸で働いていたホルモンもそのまま脳で活用して、脳腸相関と呼ばれるものができ上がってきたのではないか、というのが私の勝手な推論なのですけどね。

最近、ピロリ菌に関して、非常に興味深い報告が相次ぎましたのでまとめてみました。


イド♦︎ 低下し続ける日本人のピロリ菌感染率

一つは、日本におけるピロリ菌感染率を出生年別にみたものです。( → こちら )
それによると

 1910年 60.9%  1920年 65.9%
 1930年 67.4%  1940年 64.1% 
 1950年 59.1%  1960年 49.1%
 1970年 34.9%  1980年 24.6%
 1990年 15.6%  2000年   6.6%

となっており、特に1998年生まれ以降での感染率は10%を切っているようです。
ご存知のように、ピロリ菌感染が原因となって胃・十二指腸潰瘍胃がんといった疾患が生じます。
感染率の低下や、ピロリ菌の除菌療法の普及などで胃・十二指腸潰瘍に遭遇する機会が随分減ってきています。
将来は、これらの疾患は珍しいものになっていくものと予想されます。
しかし、若年者でここまで大幅に感染率が下がってきた理由も知りたいところです。


♦︎ ピロリ菌感染の原因は本当に井戸水なのか

我々がピロリ菌にどうやって感染するのか、実は謎が多いのです。
というより明確にはわかっていません。

長らく井戸水が感染源として疑われており、上水道の整備に伴って感染率が低下したのだと半ば定説化していて、多くの医療関係者がそう信じています。
また、一般の方もそういう情報をよくご存じで、時々幼少時の井戸水摂取を心配して来院される方もいます。
しかし、あくまで仮説のレベルであってきっちり証明した報告はありません。

例えば、ピロリ菌感染者の家の井戸水を採取したところ、9.3%の井戸水からピロリ菌のDNAをPCR ( polymerase chain reaction ) 法で検出できたけれども、培養は全くできなかったという報告があります。( → こちら )
PCR法って検体中のごくごくわずかな核酸も増幅することが可能です。
細菌感染には一定量の菌が必要と考えられています。
DNAは増幅したら検出されるけど培養ができないというような極めて少ないレベルで、井戸水世代の6割以上の人々の胃にピロリ菌感染が果たして起こるものなのでしょうか。
私は疑問に思っています。



♦︎ 新たな研究から見えてくるもの

ピロリ菌感染率の報告があった同じ日に、同じ医学雑誌にピロリ菌に関する新たな研究報告が二つなされました。
いずれも非常に注目に値する内容です。


一つは、13%のハエがピロリ菌を保菌しているというものです。( → こちら )

ピロリ菌は糞便に排泄されます。
糞便に触れたハエがピロリ菌を運び、食べ物にたかり、それが感染源になっているという可能性が今回の研究で強く示唆されます。
上水道の整備よりも、下水道の整備で感染が減った可能性の方が高いように思えますね。


そして、口腔内のピロリ菌についての総説です。( → こちら )

この総説を読んでみると、歯のプラークに潜んでいるピロリ菌が口から口へと感染するのが案外深刻であるというのが見て取れます。
そして、口腔内も含めた除菌の重要性を説いています。


井戸水からの感染も全く否定はできないと思いますが、井戸水の中にピロリ菌がウジャウジャと存在しているわけではないことは理解していただけたものと思います。
それよりも、ハエやゴキブリなどの小動物がピロリ菌を媒介するケースや、人間の口から口への感染の方が、可能性としてよほど高いのではないでしょうか。

骨折先日、大腿骨近位部骨折の地域差についての調査結果がニュースになっていました。

それによると西高東低の傾向がくっきりと表れました。( 右の表はクリックで拡大します )
その原因として、ビタミンKを含む納豆の消費量など、食生活の関連性があるのではないかと推測していました。


骨、というとカルシウムやビタミンDを思い浮かべる人も多いと思いますが、ビタミンKも大事なんです。
骨の形成を司る骨芽細胞は、オステオカルシンという蛋白質を作ります。
この蛋白質の働きは未解明の部分もあるのですが、まず第一に骨形成を促す作用が考えられています。
このオステオカルシンを作るのにビタミンKが必要なのです。
オステオカルシンには膵臓のインスリン分泌を促す作用や、糖や脂質の代謝を促す作用、記憶力の改善作用などがあることも分かってきています。


今回の報告での地域差と納豆の消費量を色分けした地図を並べてみましたが、確かに逆の相関がありそうですね。( 右が都道府県別の納豆の消費額。どちらもクリックで拡大します ) 
地図納豆













私は、男性5位・女性1位の兵庫県と、男性40位・女性39位と西日本で男女とも最も低い鹿児島県での診療経験をしています。
言われてみると、確かに大腿骨近位部の骨折は鹿児島に帰ってきてからあまり診なくなったように思います。
神戸時代は人工骨頭手術を受ける患者さんがたくさんいたのですが。


骨折とは別の話になりますが、消化器を中心に診療している私が最も感じている地域差は、S状結腸の憩室症です。
兵庫県で仕事をしていた時の方が明らかに多かったです。
大腸憩室症も食事との関連が言われていますが、食事と絡めて疾患の地域差を調べるとその病気の予防法も見えてくるではないでしょうか。
でも、周辺地域に比べてどうして鹿児島県で大腿骨近位部骨折が少ないのか、謎です。
納豆の消費量もそれほど多いわけではないですしね。
その原因を探っていくと、また違った要因が見えてくるのでしょう。


なお、骨粗鬆症を予防しようと、カルシウムのサプリメントを摂取するのはご法度です。
カルシウムをサプリで補っても骨折予防効果はないばかりか、心筋梗塞や脳卒中、認知症リスクが増加するなどの報告が次々になされています。
何一ついいことはありません。
サプリではなく、食材でカルシウムやビタミンD・Kを多く含むものを摂りましょう。
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選択健康食品を手にする方は多いと思いますが、先日、消費者庁が健康食品に関するパンフレットを公開しました。
健康食品 Q&A」と「健康食品 5つの問題」です。

医薬品と違って、食品と名付けられているせいか健康食品には抵抗感を持たずに摂取している人が多いようです。
しかし、有効成分に科学的根拠がないことがほとんどですし、粗悪品があったり、表示されている通りに成分が含まれているか疑わしかったり、推奨されている摂取量に根拠がなかったり。
正直、とんでもない物ばかりです。
そして健康被害が案外多いのです。
医薬品は市場に出る前に、徹底的に調べられ、用量が定まり、副作用の種類や頻度も事前に情報としてわかっています。
薬が原因と思われる副作用がみられた場合には直ちに中止することができます。
しかし、健康を損ねている原因が健康食品にあるとたどり着くのには時間と労力がかかってしまいます。

消費者庁が発表したパンフレットを参考に、必ず自分で成分の有効性を調べ、利用する場合はパンフレットにある健康手帳を参考に記録をつけるように心がけましょう。
それにしても、なぜ厚労省じゃなくて消費者庁の仕事なんでしょうね。
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のむ昨日、『「豊胸サプリ」で健康被害200例以上』というニュースがありました。

問題となっているプエラリア・ミリフィカは、タイのマメ科の植物の塊根で、強力なエストロゲン類似活性を有しています。
そのため、乳房痛・膣出血・イライラ・頭痛・嘔吐など有害事象が報告されています。
私は今年の3月にその情報をキャッチし、すぐにツイッターに流しました。
ツイッターは速報性が高いので、興味ある方は私のアカウントをフォローして下さいね ( @wash_omu ) 。

驚くべきは「業者の半数近くがサプリメントに含まれる成分の正確な量を量らずに販売」していることです。
極論すれば、何が入っているかを全く把握せずに売っているということ。
今年の初めには盛んにテレビCMを打っていた日本サプリメントの「ペプチドエース」や「豆鼓エキス」に有効成分がほとんど入っておらず、消費者庁が措置命令を出しています。
サプリを利用している人は増えていますが、業界の実態は実にいい加減なものなのです。


ついでに、先日ある人との間で話題にのぼったプラセンタについても触れておきます。
更年期障害・冷え性・貧血・美容によいとして、医療機関でも勧めている所があるようです。
しかし、科学的にそのような効果は証明されていません。
そもそも、どの哺乳類の胎盤を使っているやら正体がわからないのに、よく口にするもんだと私は思っています。
魚類にはプラセンタ ( 胎盤 ) がないのに、鮭プラセンタなるものも売られています。
2ヶ月ほど前の英語の記事になりますが、感染症のリスクがあるという報告もあります。( → こちら )
これもツイッターにはすぐに載せました。

安倍政権の既製緩和一環で「セルフメディケーション」の名の下に、健康食品などの分野のビジネスが勢いを増しています。
しかし、デタラメがまかり通っています。
そして現実に健康を害する人が多くいます。( → 健康食品で薬物性肝障害、国民生活センターが注意呼びかけ )
自分の健康を守ろうと思ったら、奸策を弄して甘い宣伝文句を並べた健康食品やサプリを相手にしないことです。
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ピロ本年度から鹿児島県で始まった高校1年生を対象としたピロリ検診で、陽性率は3.7%だったことが先日の地元紙に載っていましたね。
陽性であった生徒のご家庭には既に通知が届いていると思います。
ピロリ菌がいると、将来胃・十二指腸潰瘍や胃がんになる可能性があるため、放置せずに若いうちに除菌するのが望ましいでしょう。

当院は、二次検査以降の受託医療機関として登録しています。
既に問合せもいただいておりますが、除菌を希望される方には、検査・治療の手順や費用についての説明を行ない、資料をお渡ししています。
電話で連絡の上、一度ご来院下さい。
その際は、ご家族の方のみでかまいません。
基本的に自費となります。
胃の症状がある場合、保険診療になりますが、除菌にあたっては内視鏡検査が必要です。
自費と内視鏡検査の加わる3割負担の保険診療を比較すると、後者の方がわずかに高くなります。

当院での検査・治療の流れについては、PDFファイルにまとめましたので、参考にして下さい。

( スマホでは表示されない場合があります )

 続いているアニサキスの話題  


ここ数日、アニサキスに関するニュースが続いています。
5月8日にアニサキスによる食中毒の報告がここ10年程で20倍以上に激増していること ( → こちら ) が報道されました。
これを受けて、5月10日には芸能人もアニサキス症に罹っていたというもの ( → こちら ) が続きました。
朝のワイドショーでも報道していましたね。
そしてCNNまでもがアニサキスを取り上げています ( → こちら )。


 アニサキスとは 


アニサキスアニサキスはサバやアジ、イカなどの魚介類に寄生している長さが1~3cm台の白っぽく細長い虫で、我々が刺身などで生食することが発症の原因になります。
最も多くアニサキスを抱えているのは最終宿主のクジラですが、さすがにクジラの刺身を食べる機会はないでしょう。

学生時代の医動物学の実習で、買ってきたサバのアニサキスをチェックしたことがありますけど、結構いるんです。
右のイラストは決して大袈裟なものではありません。
あるレストランで出されたサーモンのマリネに1匹見つけた経験があります。
だいぶ弱ってましたけど。

鹿児島では首折れサバの旬の時期にアニサキス症が多い印象です。
私にとって最も印象的だったのは、魚市場から直接買ってきたサバを自分で捌いて自分で食べて生じたアニサキス症で、元気なアニサキスが7匹もいた症例です。
中には体を1cmくらい胃の壁に潜り込ませて尾をグルグル振り回しているものもいました。

でも、ニュースにあるようにアニサキス症が激増している印象は全くありません。
2013年からアニサキス症も保健所への届出対象となったことが大きな要因だと思います。


 アニサキス症の症状は ?


生きたアニサキスが胃壁に食らいつくいて激しい腹痛が起こるものを胃アニサキス症と言います。
飲み込んでも食いつかれなかったり、既に死んでいるものであったりすれば症状が出ないと考えられます。

ただし、過去にアニサキスが消化管に入ってきた既往がある場合、アレルギー症状が出ることがあります。
サバにあたる、という原因の一つがこのアニサキスアレルギーです。
なお、サバにはヒスチジンという成分が多く、これが体内でヒスタミンに変化して生じるヒスタミン中毒が多いです。

また、胃を通り越して小腸や大腸の壁に食らいつくケースがありますが、この場合は診断や治療に難渋します。
私の記憶に間違いがなければ、森繁久彌は腹痛で手術し、その結果小腸アニサキス症と診断されたはずです。


 アニサキス症の治療は ?  


私は内視鏡医なので、アニサキス症を疑った場合は内視鏡を行い、虫体を確認して除去します。
手技としてはそれほど難しいものではありません。
除去した途端に症状は全く消えてしまいます。
これが手っ取り早い治療法ですが、いつでも内視鏡ができるとは限りません。

最近注目されているのは、ステロイドと抗炎症薬による治療。
アニサキス症による腹痛は虫体からの分泌物による局所のアレルギーだと考え、薬の投与で症状緩和がみられたという報告があり、実績を上げています。
病歴からアニサキス症が疑われ、直ちに内視鏡検査ができない場合にはこの方法もありだと思います。

また、漢方薬の安中散の液をアニサキスに振りかけると3時間ほどで死んだり動けなくなったりするという報告があります。
安中散の成分の一つ、茴香 ( ウイキョウ ) にこの作用があることがわかっていますが、キャベジンコーワなど市販の胃薬にも茴香が含まれるものがあります。
でも、市販薬ではアニサキスに対する効果は調べられていないと思いますのであしからず。


 アニサキスの対策やアニサキスの絡んだ話題  


アニサキス対策として刺身などを冷凍するのはとても有効な手段です。
また、2014年に当時の高校生が、サバをワサビやショウガ、料理酒、ウイスキー、醤油に漬け込んだらほぼ100%防虫効果があったという報告を日本寄生虫学会で行って話題を呼びました。
刺身を食べる時のワサビやショウガって案外大事なものなのですね。

生の魚介類を提供する現場では、毛抜きなどを使ってアニサキスを除去するのは日常的だと思います。
肉眼ではちょっとわかりづらいアニサキスを簡単に検出できる装置が開発されていますので、食中毒予防に一役買うのではないかと思います。( → こちら )。

2015年には線虫ががん患者の尿の臭いに集まる習性が発見され、簡便ながんの早期発見法として期待されていましたが、2年後をめどに装置が開発される見込みです。( → こちら )
アニサキスが胃がん部分に食らいついていたのを観察したのがきっかけで線虫の嗅覚に着目し、この検査法の研究につながったとか。
先に紹介した7匹のアニサキス症例でも、ちょっと出血していた場所に何匹かが集中していたように記憶しています。
でもこういう研究の発想に繋げることができないのは、凡人の証しですね。 

本年度から鹿児島県で高校1年生を対象にピロリ検診開始するという話は先月もお伝えしました。
その事業内容についての説明が先週ありました。

大雑把な流れですが、
① 通常行われる学校での健康診断の尿を活用して、県の費用負担でピロリ抗体を調べる。
② この検査で陽性または判定不能であった場合、希望者は自己負担で二次検査を受ける。
③ 二次検査でも陽性であった場合、希望者は自己負担で治療を受ける。

当院も二次検査以降について受託医療機関として登録予定です。
詳細はまた改めて書こうと思います。


除菌説明を聞いて、ちょっと引っかかることがありました。
ピロリ菌除菌を行う理由は、将来の胃・十二指腸潰瘍や胃がんの発生を極力防ぐ可能性が大きいからです。

二次検査や除菌療法を受けたかどうかや、その後の胃の疾患の発生具合などを追跡調査して、この検診は意義があるものなのかを検証する必要があると思います。

しかし、鹿児島県としては一次検査で陽性または判定不能であった生徒に通知するだけで、それ以降は一切関与しないという立場なのです。
そのあたりについて様々な質問が出たのですが、担当者の歯切れは終始悪いものでした。
これはどうやら予算の付き方にありそうだな、と推測しました。
担当者の口から出た「子育て支援、がん教育の一環」というキーワードをヒントにしてみました。

恐らく、国から子育て支援関係の補助金が下りることが決まり、その使途について知恵を絞り、各地で普及しつつある中高生のピロリ検診に活用しようとなったのでしょう。
子育て支援の主旨を逸脱しないように、がん教育の一環という理由付けをして予算が使えるようになったものの、その後のデータ収集までは予算も理由付けもできなかった、ということではないでしょうか。

でも、一次検査での陽性率くらいはデータとして公表すべきでしょう。
高校一年生でのピロリ菌の陽性率を知ることは、がん教育の一環としても大事だと思いますので。

今月、ピロリ菌についての大きなニュースが続きましたのでまとめてみました。

◆ 本年度から鹿児島県で高校1年生を対象にピロリ菌検診開始

本年度から、鹿児島県の高校1年生を対象としたピロリ菌検査事業が始まります。
医療関係者に対しての説明が近々行われる予定ですので、詳細がわかり次第お知らせします。

日本人の胃がんの9割はピロリ菌感染が原因とされており、早期に除菌を行うと胃がん発症が防げると考えられています。
中高生を対象にしたピロリ菌検診は、市町村単位では2013年に岡山県の真庭市、都道府県単位では2016年に佐賀県が最初に始め、現在では複数の自治体が取り組んでいます。( モデル校を指定しての事業は2015年の京都府が最初です。 )
今回、地元でも始まるわけですが、微力ながらこの検診には積極的に関わって行こうと思っています。

◆ ピロリ菌除菌を妨げる意外な因子

ピロピロリ菌除菌では酸分泌抑制薬と2種類の抗菌薬を組み合わせて服用してもらいますが、全ての人で除菌が成功するわけではありません。
胃酸の分泌抑制が不十分であったり、ピロリ菌自体が抗菌薬に耐性を持っていたりすることがうまくいかない原因と考えられてきました。

しかしつい最近、別の因子が大きく関与していると報告されました。
それは何と食事中のコレステロールやω3多価不飽和脂肪酸。
除菌した人の食事摂取状況を背景因子として解析したらこの2つが浮き上がってきたのです。
これらの摂取量が多いほどピロリ菌の除菌率が低下するという関連性がみられたようですから、今後は除菌の際の食事指導も大事になってくるでしょうね。
日本感染症学会での九州大学からの発表演題なので、必ず論文にまとめて発表していただきたいと期待しています。

くのーさっきからパソコンに向かって唸っています。
ブログに書くネタがないのです。
3日に1つは書くというノルマを課して10年以上続けてきたので、今日はどうしても書かなきゃ、と妙な強迫観念に駆られています。

毎週毎週、テレビ番組で情報を提供し続けることはとても大変だと思います。が‥
2月22日のNHKの番組「ガッテン !」で、ある種の睡眠薬で血糖が改善するというような放送がなされ、物議を醸しました。
翌週の番組冒頭に謝罪を入れましたが、次いで取り上げたコラーゲンについても実験内容に批判が上がっています。
来週の放送でも、虫垂炎の手術をすると大腸がんのリスクが高まる、という内容が含まれているようです。
私もこの情報には注目しましたけど、番組でどのような取り上げ方になるのか・・・。

ネタのない時に、無理して質の低い内容を書いてもしょうがない、無理して書く必要はない。
これからはそうしていこうかな、と思わせる騒動でした。
( 何とか書けた‥ )
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学生時代に東北を旅行したことがあります。
その際に、先の台風10号で大きな被害を受けた岩泉町や久慈市なども訪れており、心を痛めています。
お見舞いを申し上げます。

岩泉町の面積は992.36㎢あり、東京23区の1.6倍、鹿児島市の1.8倍と、とてつもなく大きな町ですが、人口はわずか1万人程。
最近の天気は同じエリア内でも状況が大きく違うことがあります。
人口が少ない分、広い町内をカバーするだけの十分な防災担当者がいたかどうか、そして慣れない台風に正しい判断を下すことができたか、難しい問題です。

ハチまた、先日はマラソン大会中に参加者が115人もスズメバチに襲われるというニュースもありました。
こういう大会ではメディカルスタッフも揃えていると思いますが、一度にこれだけの人のケアをすることは想定していないと思います。

たとえ体制を整えていても、短時間での急な状況の変化や多くの人がいっぺんに巻き込まれるトラブルには対応できない場面が出てくるものだな、と改めて思った次第。
人任せではなく個人がしっかり対応するという能力が日本人には少し欠けている気がしてなりません。
日々の事件や事故の報道をただ聞き流すだけではなく、学び取って普段の行動に活かしたいものです。
 
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ハンドソープ米国では米食品医薬品局 ( FDA ) が9月2日に出したお触れにより、トリクロサントリクロカルバンなどの抗菌物質を含む薬用石けんなどの販売が禁止となりました。( → 参考 )

FDAはトリクロサンを安全な物質と定めていたのですが、様々な問題点 ( 腸内細菌叢の変化・妊娠中の暴露で乳児の成長遅延・環境汚染・乳がん細胞の促進などなど ) が指摘されるようになり、2013年末に使用規制強化に乗り出していました。
それでFDAが各メーカーに普通の石けんと比べて健康的であるかどうかのデータ提出を各メーカーに求めていたのですが、結果を伴わなかったようですね。

欧州ではこれに先んじて昨年夏に使用禁止となっています。
日本は一体どう対応するのでしょう。

さて、6月にはこんなニュースもありました。
見出しは「図書館ノ本消毒シマス」。
「本の汚れや雑菌、においが気になる」として図書館で本の消毒器の設置が進んでおり、親が子供に「安心して本を読ませられる」と好評なんだとか。
本をしっかり読んで知識を持っていれば、昨今の過剰な抗菌ブームを笑い飛ばせるはずで、こんな反応をする親が子供に対して何を示せるのでしょうね。
 
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