野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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 最近のニュースから

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昨日の報道ステーションで睡眠時無呼吸症候群の特集がありました。

太ってなくても顎が小さいことで発症しやすいという内容でしたけど、問題が一つ。
それは病名を「睡眠時無呼吸症」としていたことです。
病名を勝手に改変するなんて報道番組としては失格です。

こういうことはたまに見かけますけど、これまでで一番あきれたのは重症筋無力症のことを「重症の筋無力症」としていた新聞記事。
変わった名前の疾患ですが、なぜわざわざ「の」を入れてしまうのでしょうか。

せめて疾患名くらいは正確を期していただきたいものです。

2010071016573417738.gifかつて、漢方薬メーカーの担当の方と次のような会話をした覚えがあります。
「それにしても柴胡の入っている漢方薬は薬価が高いねぇ」
「はい、原料を輸入に頼ってまして」
「そう。いい商売になりそうだから私が柴胡の栽培始めたら、買ってくれる ?」

9日の朝のNHKのニュースで、8割を中国からの輸入に頼っている漢方の原料の値段が最近著しく上がっていることがレポートされていました。
輸入される生薬の不足や価格の高騰は以前から懸念されていたことで、ちょうど1年前にはツムラが財政破綻した夕張に漢方生薬の生産拠点を置き、手始めにセンキュウの栽培を始めています。
一方、某医学部生から、葉タバコの栽培を生薬の栽培に切り替えてはどうかという面白い提言もなされています。
( http://medg.jp/mt/2010/05/vol-161.html )
葉タバコに限らず、活用されていない田畑を活用するのもいいかも知れませんよね。

臨床現場で漢方薬の活躍する場面は日に日に増えてきています。
生薬栽培、大きなビジネスチャンスだと思いますが、皆様いかが ?

2010070317003810863.gif今月は消化器疾患に絡んだトピックスがいくつかあります。

今回は、ピロリ菌除菌の保険適応疾患が増えたことについて。
これまでは胃や十二指腸潰瘍がある場合に限って除菌が認められていましたが、7月1日より以下の疾患についても可能となりました。

 ① 胃MALTリンパ腫
 ② 特発性血小板減少性紫斑病
 ③ 早期胃癌に対する内視鏡治療後胃

いずれも潰瘍ほどポピュラーではないためこの恩恵にあずかれる方はそう多くはないと思いますが、ずいぶん以前から除菌療法の有効性は指摘されていたものばかりです。

なお残る問題はピロリ菌がいるというだけでは除菌ができないことでしょう。
日本人の胃がんの9割はピロリ菌が原因とされています。
つまり日本人の胃からピロリ菌が消えてしまえば胃がん患者は10分の1にまで減るということです。
ピロリ菌陽性の人すべてを対象に除菌療法を実施するのと、それを行わずに胃がんの発症を減らさないのとどちらが医療コストがかかるか明白でしょう。
そういう観点から考えても除菌療法の保険適応の幅がもっと広がることを期待します。

なお、最近テレビでピロリ菌に感染しているかどうかは血液検査でわかると言っていたようで問い合わせもあります。
確かに血液検査でピロリ菌に対する抗体検査は出来ますが、除菌の対象が上記の②を除いて胃や十二指腸の疾患があることが前提となります。
ですから、胃の内視鏡検査を実施してその際にピロリ菌のチェックを行なうのが基本かと思います。
ピロリ菌感染の有無だけを気にするのではなく、もしピロリ菌がいるのなら胃のコンディションは一体どうなっているのかまでを確かめるのが大切なことです。

200911241628579205.gif先週末、基礎疾患があり最優先となる患者さんに対し新型インフルエンザワクチンを接種しました。
評判の悪い10ml バイアルでしたので、連絡を入れて21日に該当者の方全員に来ていただきました。
10ml バイアルについての報道がなされていたこともあり、皆さんにご理解、ご協力をいただきありがとうございました。

来月からは小児・小学生低学年への接種が始まりますが、武岡地区は今がインフルエンザのピークを迎えているようで幼稚園や小中学校では学級閉鎖が相次いでいます。
必要な時にワクチンが間に合わない現状を非常にもどかしく思います。

さて、気になるニュースがひとつ。
グラクソ・スミスクライン( GSK ) 社製の一部のワクチンで通常より高い割合で副作用が認められたというもの。
日本にも3700万人分輸入予定となっている会社が製造したものだけに大きく取り上げられています。
このニュースで気をつけていただきたいのは、製造したうちの一部のロットに限られるということ。
通常17万本で1、2例起こるとされるアナフィラキシーショックがこのロットでは 6例起こったそうです。
いずれも短期間で回復しているようで死亡例はありません。
それから、この報道がなされる前日に国産ワクチンの安全宣言がなされていることに注目しなくてはいけないと思います。
実は、一人 2回接種を前提に国産と輸入分合わせて7700万人分のワクチンを確保したのですが、後に多くの方は 1回でいいという決定がなされました。
従って日本国民全員をカバーするのに十分すぎる数になったわけです。
接種を希望している人はおよそ 6割程度というどこかのアンケートもありましたので ( →参考 )、余剰量は相当数になるのではないでしょうか。
そこへ今回のタイミングのいい連続報道。
GSK社製のワクチン輸入をストップしても十分賄えるとして、今回の副作用報告を売買契約の破棄ないし変更のいい口実にしようという魂胆があるのではないか、と勘ぐっているのは私だけでしょうか。

2009111222295826539.gif
11月 6日に厚生労働省が各都道府県に対して、子供への新型インフルエンザワクチン接種時期を早めるように要請を出しました。
これを受けて鹿児島県は11日、基礎疾患のある 1歳から小学校 3年生に対し11月20日から接種開始にするなどのスケジュール変更を行ないました。
感染者の多くが若年者であることを考えると歓迎すべきものです。
また、成人については基本的に 1回接種とすることが決まりました。

が、次のようなニュースもあります。
今月下旬に出荷予定だったワクチン量が計画を120万回分下回る450万回分になる見通しだというものです。

当院へのワクチン配分量は 4日の記事にも書いたように細かく定められているのですが、予定通りの数が入ってくる保証がまずなくなっています。
そこへ今回の子供への接種の前倒しがあった訳です。
恐らくは基礎疾患のある成人に対して割当てられた一部を子供に振り分けることになるのでしょう。
しかし、どのように配分すればいいのか今のところ県からは全く指示がありません。
それどころか「予約相談の受付は、基礎疾患のある子供は既に始まっている」という12日の新聞報道を見て仰天してしまいました。
予約相談が始まっていること自体、末端の我々は全く知りませんでしたし、確実に入手できるワクチン量や大人と子供の配分量の変更などが確定していないのに、どうやって予約をとることができるのでしょうか。
月に2回ワクチンが配られることになっていますが、実際に手に入った数をみてから予約を受け付けるのが最も混乱のないやり方ではないかと現在当院では検討中です。

yoguruto.gif昨年までは経鼻内視鏡を始めとして消化器病関係の記事を盛んに書いていたのですが、今年は「宿便について考える」という連載以外はほとんど書いていませんでたね。
ちょっと鮮度が落ちるのですが、ピロリ菌の話題について。

時々、ピロリ菌にいいとされる LG-21 という乳酸菌が入ったヨーグルトを食べている方に遭遇します。
この乳酸菌に絡んだ話題を。
内視鏡検査などを通してピロリ菌が陽性であるとわかれれば、三種類の薬を組み合わせて除菌療法を行ないますが、これで完全に除菌ができないケースもあります。
多くの場合、薬のうちの一つであるクラリスロマイシン ( CAM ) にピロリ菌が耐性を持っていることが原因として挙げられます。
さて、この除菌療法を始める 3週間前から LG-21 入りヨーグルトを食べてもらって除菌療法を行なうと、CAM 耐性のピロリ菌を保有している場合でも 54.5 % の除菌率が得られたとする報告が 5月末にありました。
ピロリ菌がこの乳酸菌によって弱ることで除菌率を高める可能性があるようです。
ただし、ヨーグルトだけではピロリ菌は減るものの完全な除菌は無理ですのでご注意を。


余談ですが・・・。
ピロリ菌の除菌療法が日本でも認可されて間もない頃、胃潰瘍を繰り返していた糖尿病の患者さんに除菌を行なったところ、ピロリ菌が消えてその後全く潰瘍が出来なくなりました。
「最近は食事がおいしくて。本当に有り難うございました。」
その患者さんにはとても感謝していただきましたが、食欲が出てきたのが仇となって糖尿病がみるみる悪化。
教育入院と相成りました。

2009042620190414222.gif今月20日の地元新聞の「論点」という欄ににピロリ菌に関する話が載っていました。
書いたのは藤田紘一郎先生で、著書の一つをこのブログで取り上げたとこがあります。
主に寄生虫学を専門とする先生で、寄生虫や細菌と人間との共生のメリットを伝導していることで有名な先生です。

ただ今回の「ピロリ菌とストレス社会」と銘打った論説は、看過できない間違いの多い内容です。
ほぼ同じ内容で日本経済新聞の4月5日のコラムにも書かれているようですが、著名な先生の文章ゆえ、一般の方が誤解されては困ります。
書かれた文章のどのような点が問題なのかをいくつか指摘しておきます。


●「漱石の胃壁にはピロリ菌がすみ着いていたことは間違いない」
夏目漱石の遺体は東大で解剖されたため標本が残っており、ピロリ菌がいたのは確認済みのことです。

●「昔の日本人はほぼ100%ピロリ菌に感染していたのに、現在ほど騒がれなかったのはなぜだろうか」
今よりも感染率は高かったと思いますが、ほぼ100%感染していたというデータを私は知りません。
ピロリ菌が発見されたのは1982年 (論文として公表されたのは1983年) で、そこから胃の様々な疾患を引き起こすことがわかってきたのは最近になってからであり、昔は騒がれていなかったのは当然ではないでしょうか。

●「ストレスが絶えず胃に加わり、胃壁が荒れてくると、ピロリ菌が悪さを始め」
ストレスがなくても、ピロリ菌に感染するだけで胃炎が引き起こされる現象は最初に発見したマーシャル博士が自らの体をもって証明しています。

●「ピロリ菌は胃粘膜を軟らかくし、胃酸が食道に逆流するのを防ぐ」
胃粘膜が軟らかくなるというのは一体どういう事でしょうか ?
理解に苦しみます。
胃酸の食道への逆流は物理的なことであり、ピロリ菌がいてもいなくても起こる現象です。

●「ストレスがなく、胃の症状が全く無い人からピロリ菌を完全に除去すると、かえって弊害が出てくることになる」
ピロリ感染者のうちおよそ4%は胃がんを発症するされ、人類の胃からピロリ菌がいなくなれば胃がんは90%以上減少すると言われています。
ピロリ菌がいなければ夏目漱石は胃潰瘍で命を落とすことなく、もっと多くの名作を世に出していたのではないでしょうか。

●「ピロリ菌は胃によいことをしていたということだ」
数多くの研究報告から、ピロリ菌が胃によいことをしているなんて消化器医は誰も考えていません。
ピロリ菌が感染していて何一ついいことはありません。
弊害が余りにも大き過ぎます。

●「これまで高齢者にしかみられなかった食道裂孔ヘルニアに二十代、三十代の若者がかなりの割合で罹患している」
昔でも若い人に食道裂孔ヘルニアはあったし、ピロリ菌がいないことが理由でヘルニアが増えたわけではありません。
肥満者の増加など、別の要因でも食道裂孔ヘルニアが増えているのです。

●「ピロリ菌を完全に除去してしまうと、逆に胃が不健康になり、収縮しなくなる。そうすると胃は胃酸をどんどん出すようになって・・・」
ピロリ菌の存在によって、胃が不健康になり、本来出るべき胃酸が十分に出なくなっているのです。
ピロリ菌を除菌すると、胃が健康を取り戻し、胃酸の分泌や胃の動きが正常化するのです。
収縮しなくなるって一体何のことなのかさっぱりわかりません。


指摘しておきたい部分まだまだあるのですが、ピロリ菌と人間とは決して「共生」関係でないことは十分に理解しておいてください。
同じように、我が先輩も日記の中で反論していますのでご参考に。(こてる先生の日記!)

♦♦♦♦♦


藤田先生が寄生虫の研究の道に足を踏み入れたのは、学生時代に奄美群島の風土病の調査団に参加してフィラリア症を目の当たりにしたからだそうです。
鹿児島とも無縁ではないのですね。
その分野でのお話は今後も楽しみにしています。

thyroid.gifある疾患がテレビで取り上げられたり、有名人が病気になったりするとすぐ話題になります。
最近では絢香のバセドウ病 (甲状腺機能亢進症) とハリセンボンの箕輪はるかの肺結核などが好例です。
私の子供もどういう病気なのかとすぐに尋ねてきます。

甲状腺疾患は実は非常に多い病気で、成人女性においては 20 ~ 30人にひとりの割合で存在するとされています。
病院というのは女性が圧倒的に多い職場ですが、私が以前勤めていた職員数がおよそ150人の病院では甲状腺疾患を有する人が 5人いました。
いずれも女性で、甲状腺機能亢進症が 2名、甲状腺機能低下症が 2名、残りは甲状腺の術後で薬を服用しているという内容でした。

その病院の院長やさらにそれ以前に私が勤務していた病院の院長も甲状腺疾患を専門にしていたこともあって、私も甲状腺の患者さんをかなり多く診てきております。
消化器系はもちろんですが、糖尿病も甲状腺疾患も積極的に診ておりますので、その分野の病気についてもご相談いただければと思います。

photo-3_1.gif先日、群馬の老人施設で火災がありました。
犠牲となった方の多くがはるばる東京からの入所者であったという点は、今の福祉や介護の現場の問題点を改めて考えさせられるものとなりました。

都会では例えば、特別養護老人ホームに入所を希望してもすぐには入ることができません。
5年待っても順番が来ないという話も聞きますが、これは施設そのものの不足だけではないようす。
入所者 3人に対して職員を 1人配置しなければならないのですが、そのスタッフがいないのです。
そのため折角ベッドがあるのに、基準上全部埋めることができないということが生じているのです。
なぜ働くスタッフが少ないかというと賃金が安いからに他なりません。

一方、医療の側においても療養型病床の削減を厚生労働省が推進しています。
特に介護型の病床は2011年度末に廃止する方針でいます。
介護施設や家庭での受け入れを促すつもりなのでしょうがこのままではうまくいくとは思えません。
厚労省の中で医療と介護の施策がばらばらで、統合的に行われていないのが最大の問題点です。
制度で賄い切れない部分をついた怪しいビジネスが成り立っている現状をしっかり認識していかなくてはなりません。

我々の老後の辿り着く先は一体どんなところなのでしょうか。

61ufftzo.gif先月末の新聞に、手を温めると他人への評価や行動が優しく親切になるという記事が載りました。
その研究結果の詳細は記事に委ねますが、この実験では温湿布と冷湿布も使われています。

内科であっても日常の診療でよく湿布を処方します。
ほとんどの方が温湿布は患部を温かくし、冷湿布は冷やしてくれると勘違いをされています。
温湿布自体に使い捨てカイロみたいに熱を発生させる働きはないこと、逆に冷湿布に氷枕と同様の作用がないこと等を説明すると驚かれています。

温湿布にはトウガラシの成分カプサイシンが使われています。
実際には温度が上昇していないのにカプサイシンで神経が刺激され、暖かく感じるのです。
温湿布を貼っても実際の皮膚温は下がっているとも言われますし、カプサイシンで毛細血管が開いて皮膚温が上がるとも。
しかし正確なデータは調べた範囲では見つけられませんでした。

またカプサイシンには痛みを感じにくくする作用もあるようですが、実際にはそれほど劇的なものでもないようです。(http://www.bmj.com/cgi/content/full/bmj%3b328/7446/991 )

冷湿布に使われるのはメントール。
これも神経がごまかされ冷たく感じているだけですが、メントール自体にも鎮痛効果があるとされます。
痒みや痛みを冷やすことで和らげるのは手っ取り早い方法でもあります。

よく温湿布と冷湿布、どちらを使うべきかを問われることがありますが、貼って気持ちよく感じる方をと私は答えています。

それにしても温湿布も温かいコーヒーカップもどちらも人を優しくするというのは面白い実験結果ですし、何よりこれがサイエンスという超一流誌に掲載された論文であるというのには驚きです。(http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/322/5901/606 )


8ogt7j2r.gif10万人あたり3.9人。
これは最近発表された2007年の鹿児島県における気管支喘息での死亡の割合を示しています。
2004年は5.6人でしたから 3割も改善している・・・と喜んではいられません。
というのもこの数字、2004年は都道府県順位で最下位、2007年でも46位なのです。
ちなみに2007年の 1位の県は1.2人ですから 3倍以上の開きがあります。

原因は様々なことが言われています。
元々南国は喘息の罹患率が高いとか、鹿児島は高齢の患者さんが多いからとか。
しかし喘息の患者さんが不十分な治療で発作をしっかりコントロールできていないのではないか、そういうことも考えられます。
万年下位を返上すべく、鹿児島の呼吸器科の医師たちを中心に鹿児島ぜんそくネットワークなるものを立ち上げ、医療連携などを通しての努力を行なっています。

喘息は吸入ステロイド薬による日々の予防が基本中の基本。
この吸入薬の使用率の低い県ほど喘息の死亡率が高いこともはっきりしています。
医師も頑張っていますので、治療を中断することなくしっかりコントロールしていきましょう。
喘息は放置すると死につながることのある怖い病気ですから。


grtowoik.gif医療情報をかき集めるため、多くの雑誌やあちこちのサイトに目を通すようにしています。
その中から、一般の方にも興味を持ってもらえそうな普段の食生活に関することも医療情報 Pick Up で多く紹介しています。

さて最近 CNN でこんな記事を見かけましたけれど、皆さんはどう思われますか ?


http://www.cnn.co.jp/science/CNN200808280029.html

http://www.cnn.co.jp/business/CNN200808300001.html


追記) 上記の記事に既にアクセスできなくなってしまいました。
一つはニューヨークでの寿司ネタ偽造の問題。
もう一つはほうれん草とレタスに放射線殺菌が認められたという記事でした。
(10月14日文章追加)


5f9d2xnu.gif「ムカムカする」「胃が重い」「胃がもたれる」「酸っぱいものが上がってくる」・・・。
胸やけとは具体的にどのような症状を言うのかを患者さんに聞くと、実は胃のもたれや吐き気、腹部膨満感などを表現していることもあるため、真の胸やけ症状であるかどうかを判別するのも医師の問診上の大切なポイントとなります。
このことは先日紹介した本にも記載されています。

先週参加した講演会では、この点について面白い話がありました。

それは、胸やけについて看護師や医学部の学生にもアンケートをとったところ、消化器医との間に認識の開きがあるというものでした。
胸やけを起こす代表的な疾患である胃食道逆流症 (逆流性食道炎)の病態から考えて、胸やけとはこのような症状だろうと医師の間では概ね共通した概念を持っているのですが、医療現場にいる人たちとの間にもズレがあるというのは大変興味深い話でした。

また今月上旬に新聞にも載った胃癌の内視鏡的術後の除菌についても話がありました。
早期胃癌を内視鏡で治療した後にピロリ菌の除菌をする群としない群に分け、3年間経過をみたものです。
除菌した群で癌の再発が4%にみられたのに対し除菌しない群ではその3倍の12%に達したということでした。
除菌しても再発があるのは、ピロリ菌感染で既に癌が生じた人を対象としており胃粘膜の状態が相当悪いからだと考えられます。
除菌しても 5年くらいは年に 1回の内視鏡で経過をみていくことが望ましいだろうという意見で、これは日常の診療に大いに参考にすべきものでした。


gn8afksn.gif何かと問題視されている後期高齢者医療制度。
その中でも特に評判が悪い「終末期相談支援料」を7月から凍結するよう、厚生労働大臣が中医協に諮問したことが報道されました。

この仕組みを簡単に説明すると、
・終末期を迎えた75歳以上の高齢者と65歳以上の障害者に対して
・医療スタッフと患者及びその家族が今後の治療内容などを相談
・その内容を文書化すること
となっています。

この制度のキモは、患者本人に急変時に救急車を必要とするのか、延命治療を望むのか等を決定してもらい、署名入りの文書を残すことにあると思います。
医療費抑制に主眼があることはもちろんのこと、文書化により、本人が望んだことだから、と後々のトラブルを回避することも狙いの一つと考えます。

医療サービスを提供する側と受ける側との間の行き違いから裁判まで発展するケースが年々増えています。
そんな中、この10年余で医師には診療に当たり様々な文書を作成することが求められるようになってきました。
入退院数の多い病院では医師の書く書類は半端な数ではなく、これも勤務医を疲弊させている一因となっています。

皆さんが生命保険の診断書を始めとして色々な診断書を病院に依頼すると手数料を支払いますが、あれはすべて病院の収入になり、書いた医師には一切お金は回ってきません。
少しでも給料の足しになるのならいいのですけれど。

さて、終末期相談支援料での保険医療機関の収入は2000円。
入院患者に関しては 1時間以上にわたり話し合いを持つことも規定されているため、時間的にも金銭的にも割に合わず実際にはほとんど運用されていないと思います。

多忙を極める医療現場に更なる負担増を強いるような仕組みは作らないで頂きたいことですね。
もちろん必要とされるシステムなら労を惜しみませんけれど。


d7mn47cn.gif「こんないい加減なことでいいの ? 1」の続きです。


いわゆるメタボ健診でもう一つ問題になっていること。
それは検査項目から血清クレアチニンが外されたことです。
これはとても大事な検査項目なのです。
慢性腎臓病という概念が提唱され、年齢と血清クレアチニンからおよその糸球体濾過量を計算することで早期に腎臓の機能低下を拾い上げていこうというのが世界的な流れ。

メタボ健診の草案段階ではこの血清クレアチニンは検査項目に挙がっていたのですが、尿検査がありませんでした。
その点を指摘したら尿検査は復活したものの、代償として血清クレアチニンが外されたという顛末らしいのです。

ここで見え隠れするのは要するにコストの問題。
前回指摘した腹囲計測も含めて、国民の健康を真剣に考えているのか疑問といわざるを得ません。

外すならBUNという項目ではなかったでしょうか。
BUNと尿蛋白だけで、どう患者を指導していけばいいか現場では非常に難しい判断を迫られています。

ちなみに日本人のGFR推算式 (eGFR) が新しくなります。
6月からはこちらが使われるようになります。

eGFR = 194 × (年齢の -0.287乗) × (血清クレアチニンの -1.094乗)
    女性はこれに × 0.739


相変わらず難しい式です。


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