◆ 診療所ライブラリー 164 ◆


旅行用心集江戸時代は庶民の間で旅行ブームがあり、特に伊勢参りでは多い時に年間500万人が訪れたとという記録があるそうです。
一日当たり1万4千人が歩いていた計算になり、途中の宿場町がそれだけの人数を収容できたのか少々疑問ですが…。


1810年に刊行されたという「旅行用心集」を現代語訳したのが今回紹介する本です。
旅行に際しての注意事項がまとめられているのですが、当時の旅ならではの項目もあれば、現代にも十分通用する心得も書かれています。

船酔いした時の対処法にはとんでもないことが書いてありますし、ハンミョウは毒虫と断定していたり、五岳と白澤の絵札を忍ばせていれば災難を免れると真剣に語っている文もあります。
逆に、雨天時は土砂崩れや川を渡る際の増水に気をつけることが記されています。
渡河場所の降雨が大したことなくても、上流域の天候次第で増水があり得るという説明は、現代人も心得ておかなくてはならないことですよね。

また、旅の常備薬として五苓散が挙げられているのには驚きました。
以前「旅行に持っていくと重宝する漢方薬」と題して当ブログの記事を書きましたが、その中で私が真っ先に取り上げたのが五苓散なのです。
私自身、必ず携行して出かけるのですが、昔の方々も持っていたのですね。


なお、絵札については、「華麗なる薩摩焼」で麻疹除けるなるという
鍾馗の錦絵について書いていますのでそちらも併せてお読み下さい