トウガラシを口に入れてもすぐには辛さを感じませんが、なぜでしょう。
これには、今年のノーベル医学生理学賞を受賞したDavid Julius氏が発見した温度を感知するセンサー TRPV1 ( トリップ・ヴィ・ワン ) が絡んでいます。
辛さは舌で味覚として感じるのではありません。
口の粘膜の内側にある TRPV1 は43℃以上の温度を感じるだけでなく、トウガラシの辛味成分 カプサイシン にも反応します。
カプサイシンが粘膜を透過して TRPV1 に届くのに少し時間がかかるので、辛いと感じるまでにタイムラグがあるのです。
私の専門分野の消化器疾患の一つに、非びらん性胃食道逆流症 というものがあります。
心窩部の痛みや胸やけなど、逆流性食道炎と同じような症状があるのにもかかわらず、内視鏡検査で何も異常が見つからない場合に診断されるものです。
この疾患の原因の一つとして、食道と胃のつなぎ目部分の知覚過敏が考えられています。
この知覚過敏に絡んでいるのも酸にもはんのうする TRPV1 とされています。
TRP は transient receptor potential の略でトリップと読むのが一般的です。
外部の環境温度を感知するセンサーで哺乳類では9種類が知られており、それぞれ担当する温度領域が異なります。
43度以上を感知する TRPV1 と17度以下を感知する TRPA1 が活性化すると、温度を感じると同時に痛みというシグナルにもなります。
生物が至適温度で生きていく上でとても大切な仕組みです。
TRPチャネルは温度だけでなく、植物由来の成分等でも活性化されることがわかっており、メントールはおおむね25度以下を感知するTRPM8 を活性化しますが、高濃度だと TRPA1 を抑え込んで痛みを感じにくくしてしまいます。
ちなみに、TRPV1 はトウガラシや酸などで、TRPA1 はワサビやシナモンなどでも活性化されます。
体が温まる食材や冷える食材がありますけど、私はTRPチャネルが絡んでいるものと勝手に推測しています。
また、TRPV1 や TRPA1 をコントロールできる薬ができれば、究極の痛み止めになるのではないかと期待されていますが、実用化には至っていないのが現状です。
今年のノーベル医学生理学賞受賞理由となった研究、結構身近に感じていただけたのではないでしょうか。
さて、トウガラシを食べて辛さに飛び上がり、すぐさま水を飲んでも辛さが続きますよね。
水は口の粘膜を透過しませんから、粘膜の内側に入り込んだカプサイシンはどうすることもできません。
ただ、口の中に残っていてこれから粘膜に入り込んで TRPV1 を刺激するであろう予備軍を洗い流す意味はあると思います。
これには、今年のノーベル医学生理学賞を受賞したDavid Julius氏が発見した温度を感知するセンサー TRPV1 ( トリップ・ヴィ・ワン ) が絡んでいます。
辛さは舌で味覚として感じるのではありません。
口の粘膜の内側にある TRPV1 は43℃以上の温度を感じるだけでなく、トウガラシの辛味成分 カプサイシン にも反応します。
カプサイシンが粘膜を透過して TRPV1 に届くのに少し時間がかかるので、辛いと感じるまでにタイムラグがあるのです。
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TRPV1 は痛みの刺激センサーでもあります。私の専門分野の消化器疾患の一つに、非びらん性胃食道逆流症 というものがあります。
心窩部の痛みや胸やけなど、逆流性食道炎と同じような症状があるのにもかかわらず、内視鏡検査で何も異常が見つからない場合に診断されるものです。
この疾患の原因の一つとして、食道と胃のつなぎ目部分の知覚過敏が考えられています。
この知覚過敏に絡んでいるのも酸にもはんのうする TRPV1 とされています。
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TRPV1 を含むTRPチャネルについて簡単に触れておきましょう。TRP は transient receptor potential の略でトリップと読むのが一般的です。
外部の環境温度を感知するセンサーで哺乳類では9種類が知られており、それぞれ担当する温度領域が異なります。
43度以上を感知する TRPV1 と17度以下を感知する TRPA1 が活性化すると、温度を感じると同時に痛みというシグナルにもなります。
生物が至適温度で生きていく上でとても大切な仕組みです。
TRPチャネルは温度だけでなく、植物由来の成分等でも活性化されることがわかっており、メントールはおおむね25度以下を感知するTRPM8 を活性化しますが、高濃度だと TRPA1 を抑え込んで痛みを感じにくくしてしまいます。
ちなみに、TRPV1 はトウガラシや酸などで、TRPA1 はワサビやシナモンなどでも活性化されます。
体が温まる食材や冷える食材がありますけど、私はTRPチャネルが絡んでいるものと勝手に推測しています。
また、TRPV1 や TRPA1 をコントロールできる薬ができれば、究極の痛み止めになるのではないかと期待されていますが、実用化には至っていないのが現状です。
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今年のノーベル医学生理学賞受賞理由となった研究、結構身近に感じていただけたのではないでしょうか。
さて、トウガラシを食べて辛さに飛び上がり、すぐさま水を飲んでも辛さが続きますよね。
水は口の粘膜を透過しませんから、粘膜の内側に入り込んだカプサイシンはどうすることもできません。
ただ、口の中に残っていてこれから粘膜に入り込んで TRPV1 を刺激するであろう予備軍を洗い流す意味はあると思います。