親孝考 ◆ 診療所ライブラリー 69 ◆ 


既に親に死別したり、あるいは親の介護の真っ最中であったり。
私の同級生からその苦労話を聞く機会も増えてきました。

親の介護や老後のことについては様々な本が出されていますし当院のライブラリにもいくつか取り揃えてあります。
その中で今回ご紹介する本は際立った特徴を持っています。
それは、本の帯にも書かれているのですが、「医者として高齢者医療の現実を見る眼と、一人息子としてふるさと土佐の孤老の母を見る眼。ふたつの視点で、親子それぞれの老後を考え」ている点です。
筆者の医者としての立場からの経験や身内の介護をする立場の経験を巧みに織り交ぜながら、現在のそしてこれからの日本の医療や介護の抱える問題点についてユーモア溢れる軽妙な文章で考察してあります。

いざ親の老後の諸問題に直面したときどうして慌ててしまうのか。
一つには家族間で十分に話しあったりシミュレーションしたりしないからです。
日本には言霊 (ことだま) という独特の考えがあって「もし、親が倒れたら」などと口にしようものなら、縁起でもないと切り捨てられてしまい、その先の議論が全くできないのです。
危機管理が欠如していると痛い目に遭うことは今年の大震災等から学んだ方も多いはず。
この本を読んで真剣に親や自身の老後のことを話し合い、考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

ちなみにこの本の著者は昨年当ブログで紹介した『「スーパー名医」が医療を壊す』を書いた、私の大学の先輩です。
またまた素晴らしい本を世に出してくれました。


  → 親孝考 ふるさとのおひとり老母を考える