野口内科 BLOG

  野口内科は鹿児島市武岡に開業して46年を迎えました。
  当ブログでは、当院からのお知らせ、医療・健康に関する情報の他に、近隣の話題、音楽・本のこと等を綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:00 (金曜は〜18:30)
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
    院長   野口 仁

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学会

学会に足を運ぶのは久しぶりでした。
コロナ禍にあって、直接参加するのが憚られていましたし、発表がライブ配信やオンディマンド配信に対応するなどの措置がなされていたのも理由の一つとなっていました。
今回は木曜日の午後が休診なのと11月3日が祝日で、この日程を活用すれば通常診療に影響を与えることがないため、日本消化器関連学会週間 ( JDDW ) に参加することにしました。

ネットの配信も普及しているので、直接来場する人はあまり多くないのではないかと踏んでいましたが、従来と遜色のない活況ぶりでした。

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私が聴いたのは「好酸球性消化管疾患」の国際セッション。
現在、消化器の分野でトピックとなるものが少なく興味を引くプログラムもなかったので、消去法で選んだ次第です。
好酸球性消化管疾患は、アレルギーが元になって起こる消化管の機能障害のことです。

国際セッションだけあって、米国と香港からの演題がありましたし、スライドも発表も質問も全て英語です。 
英語は得意でないので全てを聴き取れてませんけど、最先端の研究に触れて知識の上書きをすることができました。
英語で発表する機会の少ない日本の研究者には負担となるかも知れませんが、国際セッションはもっと増えてもいいのではないかと思いました。


2018年の神戸マラソン以来5年ぶりに訪れた神戸も、三宮の駅ビルがなくなっていたり見知らぬ建物が増えていたりと様変わり。
それにしても季節外れの暑さで、慣れないスーツやネクタイ姿には堪えました。
 

  ○○ 学会レポート2018 その2 ○○


スーツどういうわけか、学会に参加する時はスーツ姿になることが定番です。

留学経験のある先輩方からは、海外の学会では家族連れでラフな格好なしてる人が多い、と聞いたことがあります。
実際、私が出席したことのある海外の学会では、スーツを着用している人はそれほど多くありませんでした。

今回参加したJDDWでは、昔に比べて非スーツ系が随分増えてきている印象でした。
随分、と言ってもまだまだ数は少ないのですが、ジーンズ姿の人もちらほら。
決して非難しているわけではなく、むしろいい傾向だと考えています。

演題発表で張りつめた心持ちでいる人は別として、学会はもう少しお祭り気分で楽しめた方がいいと思うのです。
一般の方も無料で聴ける公開講座や子連れでも楽しめるイベントなどがあっていいのではないでしょうか。
今回は、開催期間が連休に重なっていたので子供も連れて行きました。
我が子は企業ブースで飲み物や記念品をもらってご満悦の様子でしたが、子供が医療を体験できるコーナーなどがあってもいいように思いました。

また、JDDWを国際的なイベントにしようと、スライドの英文化は義務づけているのに、発表自体は日本語ですし、International Poster Session が開かれるのは大会2日目だけ。
20回大会のドナルド・キーン氏による記念講演は英語でしたが、そういう企画ももう少し増やしていいのではないかと思います。
無料託児所が設けられるなど、小さなお子様を持つ女性も参加・発表しやすい環境も整ってきているのはいいことですね。


そう言っている私が学会に参加する時は、スーツ姿になります。
普段の診察室では、ケーシータイプの白衣かスクラブ。
自宅から診療所まで歩いて10分とかからないので、普段着で通い、すぐに着替えてしまいます。
せっかく持っているスーツを着るチャンスが滅多にないのです。
天日干しのつもりでクローゼットから取り出し、ネクタイの締め方を忘れないためにもこういう機会を逃さないようにと着用するのです。

でも、地元で学会が開かれる時は、診察時間の合間を縫ってノーネクタイで気軽に参加しようと思っています。


これまでの「学会レポート」は、最新のトピックスや興味ある演題などを取り上げていましたが、今回は全く趣向を変えてお届けいたしました。




  ○○ 学会レポート2018 その1 ○○


消化器に関連するいくつかの学会がまとまって学術集会を開く、日本消化器関連学会週間 ( JDDW ) も今年で26回目を迎えました。

プレゼンテーション久しぶりの参加で一つ気になった点があります。
米国や欧州の DDW のような国際的なイベントにしようという一環で、2014年から演題発表の際のスライドについて、英語表記が義務づけられるようになったのですが‥。

パワーポイント等でプレゼン資料を作成する際に、わかりやすさや見やすさが求められます。
でも、医学系の学会や講演会で示されるスライドは、実験結果や検査画像などの多くの情報を一枚に詰め込み過ぎていたり、配色のテクニックが稚拙で視認性・可読性に欠けていたりするものが多いです。
それでも、年を追うごとに自分のスライド作りに大いに参考になるシンプルで美しい物も増えてきています。
しかし、今回の学会で聴講した際の英文スライドに感心できるものは一つもありませんでした。
あまりにも冗長な英文が多く、ビジー過ぎて美しさの片鱗もありません。
示したい情報を英語にするのに必死なのでしょうか、わかりやすさや見やすさへの配慮が全く後手に回っています

自分の成果を多くの人に示す貴重な機会に、印象に残らないようなスライドを羅列し、制限時間に囃し立てられるような早口で発表されても、聴く方は退屈なだけです。
臨床や研究で時間がないのは十分にわかりますが、スライド作りにもしっかりと時間をかけて欲しいものです。

私が初めて学会で発表した時は、スライドはシンプルになるように心がけ、色使いや文字の大きさ等にも腐心しました。
しかし、研究室のボスが、発表原稿の文章をそのままスライドに詰め込むようにと指示してきたのです。
かなり抵抗したのですが、結局私が折れて指示通りのごちゃごちゃしたスライドで発表しました。
随分昔なので、リバーサルフィルムをスライドマウントにはさみ込むやつで、今でも手元にあるのですが、そのスライドだけは絶対に見たくありません。
自分の思いとは全くかけ離れてしまったスライドを見ると、その時の悔しさが込み上げてくるからです。


JDDWには現在5つの学会が参加していて、年々参加人数が増えているからでしょうか、開催できる都市が限られてきています。
2011年以降は、東京・神戸・福岡以外で開かれたことはなく、しかも今年から2021年まで4年続けて神戸開催が続きます。
個人的には、20年過ごして勝手知ったる神戸で開かれることは嬉しいですが、ややいびつな気もします。


  ○○ 学会レポート2013 その3 ○○


腹痛3月21日午後に参加したワークショップのお題は「過敏性腸症候群 ( IBS ) に対する新規治療法」。
IBSを積極的に研究対象としている施設がまだまだ少ないので、演題数は多くなかったものの、それぞれの発表はとても聞き応えがありました。

中でも興味を引いたのは、小腸における胆汁酸の吸収障害の関与。
朝食後に症状が強い難治性の IBS の中に、胆汁酸の吸収障害が原因となっている下痢が存在するケースがあるそうです。
この場合、コレステロールの治療薬でもあるコレスチミドの投与で速やかに症状が改善するという話でした。
コレスチミドには腸の中の胆汁酸と結合するという働きがあるのです。
検査法が特殊なので一般の病院での診断は難しいでしょうが、 現在 IBS とみなされている病態の中には独立した疾患が存在する可能性があるわけですね。


あと、直接聞けなかったのですが、糖尿病治療薬であるメトホルミンによって胃癌細胞の増殖が抑制されるという一般演題が2つありました。
メトホルミンは消化器系では大腸・肝・膵などの癌抑制効果が示唆されています。 
私が以前、研究対象の一部にしていた HER2 ( Human Epidermal growth factor Receptor type2 ) という物質の抑制作用があるようです。
HER2の働きが抑制されるのであれば、他の癌への作用も期待できると思います。


地元開催ではありましたが、仕事の都合で全ての日程に顔を出すことができませんでした。
残りの2日も参加したかったな、と思わせる充実した学会ではなかったでしょうか。
また鹿児島で開催される日が来ることを期待します。 

  ○○ 学会レポート2013 その2 ○○


除菌今回の消化器病学会、参加できたのは初日だけでしたが、貴重な情報を多く得ることができました。

午前中に聞いたのは「HP除菌後の病態と対応」。
HP とはヘリコバクター・ピロリのことです。
日本でピロリ菌除菌が保険適用されたのが2000年11月のことでしたから、12年余の歴史がありますが、除菌後の消化管の病態変化について長期にわたるデータがかなり蓄積されてきました。

除菌すれば胃癌はかなり防げるのですが、ゼロとはならないことが知られています。
除菌が高齢で行われた場合、萎縮が強い場合、胃潰瘍がある場合、腸上皮化生がある場合などでリスクが高いことが報告されていました。
また、除菌後10年を越えて胃癌を生じたケースもあることなどから、除菌後5-8年までは毎年、その後は隔年で内視鏡検査をすべきではという提案もありました。
除菌後の適切な胃の検診のタイミングについて、やがて意見が集約されることでしょう。

また、除菌による酸分泌上昇により懸念される逆流性食道炎についての演題もありました。
内容については省略しますが、提示された内視鏡写真について一言。
学会で発表される胃の内部の写真は胃液などの付着のないきれいな物が多いのに、逆流性食道炎の診断に重要な食道胃接合部の写真はお粗末な限り。
あれじゃ正確な診断はできないでしょう、と場末の内視鏡医が嘆いてしまうようではだめです。

参考 → 胃食道逆流症の検査には経鼻内視鏡 

  ○○ 学会レポート2013 その1 ○○


学会02第99回日本消化器病学会総会が、昨日から23日まで鹿児島で開催されています。
折角の地元開催ですが、仕事の都合で参加できるのが21日だけなのがちょっと残念です。
1日だけではありましたが、収穫が多かったのでまた改めてレポートしたいと思います。

会場の一つ、城山観光ホテルには溢れんばかりの参加者。
ホテルまでの坂を歩いている人が結構いたのにはびっくりしました。
ホテルの庭では桜島をバックに写真を撮る若い医師達がいてほほえましかったです。

写真は会場で配られるバッグにあしらわれたイラスト。
今回会長を務めた地元大学の教授と同郷の黒鉄ヒロシ氏の手によるものだそうです。

217年ぶりに福岡で開催された、日本消化器関連学会週間 ( JDDW ) に行ってきました。
20日から23日までの4日間の開催ですが、今回は都合により初日のみ参加。
私自身2007年の学会に4日間フルに出席して以来となりました。

私が研究生活をしていた時代はピロリ菌の演題が花盛りでしたし、前回の福岡での開催の時はダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡の登場で小腸の内視鏡検査の黎明期でしたけれど、現在の消化器の分野には目玉となるトピックスに乏しいことは否めません。
事実、魅力のあるプログラムがあまりなく、それがフル参加に二の足を踏んだ理由です。
それに、2004年度から始まった新臨床研修制度は医療崩壊の引き金になったとされますが、大学に残る医師が少なくなり大学院生も集まらずに研究分野にもかなりの支障が出ているようです。
そのせいなのか、演題の質がかなり低下しているような気がします。
この程度の内容で演題として取り上げられるんですか・・というものが散見されました。

それでも勉強になったものがいくつかありましたので時間のある時に紹介していきます。

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