61ufftzo.gif先月末の新聞に、手を温めると他人への評価や行動が優しく親切になるという記事が載りました。
その研究結果の詳細は記事に委ねますが、この実験では温湿布と冷湿布も使われています。

内科であっても日常の診療でよく湿布を処方します。
ほとんどの方が温湿布は患部を温かくし、冷湿布は冷やしてくれると勘違いをされています。
温湿布自体に使い捨てカイロみたいに熱を発生させる働きはないこと、逆に冷湿布に氷枕と同様の作用がないこと等を説明すると驚かれています。

温湿布にはトウガラシの成分カプサイシンが使われています。
実際には温度が上昇していないのにカプサイシンで神経が刺激され、暖かく感じるのです。
温湿布を貼っても実際の皮膚温は下がっているとも言われますし、カプサイシンで毛細血管が開いて皮膚温が上がるとも。
しかし正確なデータは調べた範囲では見つけられませんでした。

またカプサイシンには痛みを感じにくくする作用もあるようですが、実際にはそれほど劇的なものでもないようです。(http://www.bmj.com/cgi/content/full/bmj%3b328/7446/991 )

冷湿布に使われるのはメントール。
これも神経がごまかされ冷たく感じているだけですが、メントール自体にも鎮痛効果があるとされます。
痒みや痛みを冷やすことで和らげるのは手っ取り早い方法でもあります。

よく温湿布と冷湿布、どちらを使うべきかを問われることがありますが、貼って気持ちよく感じる方をと私は答えています。

それにしても温湿布も温かいコーヒーカップもどちらも人を優しくするというのは面白い実験結果ですし、何よりこれがサイエンスという超一流誌に掲載された論文であるというのには驚きです。(http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/322/5901/606 )