2010070317003810863.gif今月は消化器疾患に絡んだトピックスがいくつかあります。

今回は、ピロリ菌除菌の保険適応疾患が増えたことについて。
これまでは胃や十二指腸潰瘍がある場合に限って除菌が認められていましたが、7月1日より以下の疾患についても可能となりました。

 ① 胃MALTリンパ腫
 ② 特発性血小板減少性紫斑病
 ③ 早期胃癌に対する内視鏡治療後胃

いずれも潰瘍ほどポピュラーではないためこの恩恵にあずかれる方はそう多くはないと思いますが、ずいぶん以前から除菌療法の有効性は指摘されていたものばかりです。

なお残る問題はピロリ菌がいるというだけでは除菌ができないことでしょう。
日本人の胃がんの9割はピロリ菌が原因とされています。
つまり日本人の胃からピロリ菌が消えてしまえば胃がん患者は10分の1にまで減るということです。
ピロリ菌陽性の人すべてを対象に除菌療法を実施するのと、それを行わずに胃がんの発症を減らさないのとどちらが医療コストがかかるか明白でしょう。
そういう観点から考えても除菌療法の保険適応の幅がもっと広がることを期待します。

なお、最近テレビでピロリ菌に感染しているかどうかは血液検査でわかると言っていたようで問い合わせもあります。
確かに血液検査でピロリ菌に対する抗体検査は出来ますが、除菌の対象が上記の②を除いて胃や十二指腸の疾患があることが前提となります。
ですから、胃の内視鏡検査を実施してその際にピロリ菌のチェックを行なうのが基本かと思います。
ピロリ菌感染の有無だけを気にするのではなく、もしピロリ菌がいるのなら胃のコンディションは一体どうなっているのかまでを確かめるのが大切なことです。