野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
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うがい

<< 風邪薬についての考察 第3回 >>


アズレン医療機関で処方されるうがい薬にはヨード系の他にアズレンスルホン酸塩 ( アズノールうがい液 等 ) のものがあります。
その青い色を元に名付けられたアズレンは、中世時代からカモミールを蒸留して活用されていたようですが、抗炎症作用やヒスタミン遊離抑制作用、組織修復促進作用などがあると判明しています。
アズレンは、うがい薬の他に胃薬・点眼薬・外用剤などもあり今日の臨床の場で幅広く活用されており、中でもエグアレンナトリウム ( アズロキサ ) というアズレン誘導体は、胃・十二指腸潰瘍面に付着し組織修復に優れた薬剤です。
しかしH2ブロッカーと併用しなくてはならないという制約があって全く普及していません。
何とかなりませんかね。

ヨード系うがい薬もアズレン系うがい薬も口内炎に対する効能が謳われています。
よく口内炎ができる私はかつてヨード系のうがい薬を使っていましたが、傷口にかなり滲みて痛いのなんの。
治るのであればと我慢して使い続けていましたが、組織傷害性があるとわかってからはピッタリ止めました。
実際、なかなか治癒しませんし。
それに替わってアズレン系のうがい薬を使い始めたところ、うがいして数分で痛みがある程度和らぎますし、治りも早いではありませんか。
非常に驚きました。
口内炎に限らず口腔内の痛みを緩和する働きもありますが、この作用にはもしかすると添加物の l -メントールも一役買っているかも知れません。

アズレンスルホン酸塩によるうがいで、シェーグレン症候群の患者さんの口腔乾燥症状が改善すると2011年に報告されています。
乾燥感・疼痛感・飲水切望感などの自覚症状が改善するばかりでなく、唾液分泌量も有意に増加したというものです。

以上のようなことを踏まえ、風邪をひいてのどの痛みがある時にうがい薬を使いたいならアズレン系、と患者さんにも勧めています。
なお、抗菌作用はないので風邪の予防のために使用するのはどうかと思いますが、細菌やウイルスに対する抵抗力を高めているという説もあるようです。
剤形はヨード系と同じ液体タイプの他に、溶かして使用する顆粒や上唇と歯茎の間にはさんで溶かして使う挿入用剤もあります。
顆粒は常温の水にはやや溶けにくく、味がいまいちの印象。
挿入用剤は飲んだり咬んだりしないで使う点に注意が必要で、口の中が青くなるのはご愛嬌。

前回と今回のまとめですが、風邪の予防には水道水かお茶でのうがい。
風邪をひいてしまったらアズレン系のうがい薬を使い、どの段階においてもヨード系のうがい薬は使わないようにしましょう

( 2020.2.5 加筆 )

 ⇨ 第2回 「無意味なヨード系うがい薬」  
 ⇨ 第4回「トローチはのどの痛みをとる ??」 
 ⇨ 関連 アズレン系のうがい薬も活躍します → 「口内炎には半夏瀉心湯」 


<< 風邪薬についての考察 第2回 >>


うがい2手洗いとうがいは風邪予防の基本。
そのうがいに薬剤を使われる方も多いと思います。
そしてその代名詞的な存在が、ヨード系のうがい薬であるのは誰もが知るところでしょう。

このヨード系うがい薬に風邪の予防効果が全くない、というのは 5年前の当ブログにて解説していますのでご覧下さい。( → うがい )
改めて要点を述べますと、

・水道水だけのうがいで風邪の罹患が約3割低下
・ヨード系うがい薬を使うとうがいをしないのと罹患率に差がない

ポビドンヨードは優れた殺菌能力を示しますが、一方で組織障害性も有します。
一昔前までは褥瘡など創傷処置に盛んに使われていましたが、使わない方がきれいに早く治る事実は今や常識。( → 傷は消毒しない )
風邪の予防にもならないし、風邪をひいて炎症を起こした咽頭粘膜にはダメージを与えるわけで、どんな段階でもヨード系うがい薬の出番はないと私は考えています。
ちなみに、2011年には緑茶でのうがいに優れた風邪予防効果があると報告されています。
水だけで3割、生理食塩水で5割に対し、緑茶では7割もの風邪予防効果があるようです。( Noda T et al. J Epidemiol. 2012;22(1):45-9. Epub 2011 Nov 26 )

また、せっせとヨード系うがい薬を使い続けている人の中には甲状腺機能低下症を発症するケースもあります。
ヨード液の一部を少しずつ嚥下し、ヨード過剰の状態になるわけですね。
甲状腺ホルモンの原料であるヨードは少なくても機能低下を招きますが、過剰であっても機能低下になります。
この理由はよく解っていませんが、Wolff-Chaikoff effect という名前で知られている現象です。

当院ではヨード系うがい薬は既に採用していませんし、市販のヨード系うがい薬を使っている人には今回のブログに書いたことを説明した上で、使用を控えるように勧めています。

 ⇨ 第3回 「アズレン系うがい薬の有用性」 

syotgv1p.gif風邪のシーズン。
予防のためにとうがいをなさっている方も多いと思います。

そのうがいについて、3年前ですがこんな研究結果が出ています。
「ヨード系のうがい薬で風邪の予防効果なし」

右のグラフは、ボランティアを「うがいをしない群」「ヨード液を用いたうがい群」「水道水でのうがい群」の三つのグループに分けて60日間にわたり風邪の発症率をみたものです。
見ての通り、一番効果があったのが水でのうがい。
ヨード液を使ってもうがいしない人と有意差が認められなかったのです。
理由として普段のどに住み着いている細菌 (常在細菌叢) や口腔粘膜の細胞がダメージを受けることなどが考えられています。
 (Satomura K. Am J Prev Med. 2005;29:302-7)

ヨード系消毒薬は最近傷口には用いない傾向にあることは以前述べました。(→ 傷は消毒しない )
風邪の際にうがい薬も処方して欲しいと希望される方もいらっしゃいます。
私はアズレン系のうがい薬を基本的に処方します。
予防的に使うならいざ知らず、炎症を起こしているのどに粘膜保護作用のある薬を使うのは当然と考えるからです。
どうしてもヨード系を希望される人には、かえって粘膜のダメージになることを説明し、最小限の使用にとどめて後は水だけでうがいするように指導しています。

さて、この研究で見逃せないこと。
それはうがいに風邪の予防効果があるとはっきり示したことです。
上を向いてガラガラ、とやるのは日本独特なんだそうですが、こんな簡便な方法で風邪になるのを 4割も少なくできるとは素晴らしいことではないでしょうか。


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( この記事を改変し、新しく「口内炎には半夏瀉心湯」を書きました。そちらも参照して下さい。 )

消化器は口に始まり肛門に終わりますが、消化器内科が扱う臓器は食道から先。
そこまでは歯科や口腔外科、耳鼻科の領域になります。
しかし内科医だからと口の中を無視するわけにはいきません。

その中でよく診る疾患の一つに口内炎があります。
口内炎はありふれた疾患ではありますが、原因は多岐にわたる上、どうしてできるのか実はよく分かっていないのです。

手足口病のところで書こうと思っていたのですが、口内炎の治療について。
口内炎に適応のある薬としては、口腔用のステロイド軟膏やうがい薬、トローチ等があります。
海外では抗がん剤の副作用による口内炎に角化細胞成長因子 (KGF 参考 傷は舐めるに限る ) も使われているようです。
私も口内炎がたまにできますが、これまでよく使っていたのはステロイド軟膏。
でも、口の中がネバネバするする上に、痛みが 1週間位は持続します。
そもそも口内炎は粘膜の欠損なのに何でステロイドが有効なんだろう、と疑問に思っていました。
ヨード系うがい薬も口内炎への適応があるようですが、刺激があり、治りを遅くするはずです。(参考 傷は消毒しない )
抗生物質入りのトローチもあるのですが、その副作用の欄には口内炎も書かれています。

で、あれやこれや自分で試してこれはいいという方法を見つけました。
まず、急性期の痛みにはアズレン系のうがい薬
多少紛れます。
そして、半夏瀉心湯の内服です。
軟膏を使い慣れていたので、飲んで口内炎を治すということに最初抵抗感がありました。
翌日には痛みが気にならないレベルになり、4日目にはほぼ治ってしまいました。

半夏瀉心湯は消化器疾患に幅広く使える便利な漢方薬で、ある種の抗がん剤の副作用予防などにも使われています。
この薬の薬理作用がわかれば、口内炎発症のメカニズムも分かるんじゃないだろうか、と思うこの頃です。

他にも効能のある漢方薬がありますし、レバミピドイルソグラジンという胃薬も口内炎に効くと聞きましたので、今度口内炎ができたら試してみようかな。

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