野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
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アセトアルデヒド

〖 今月のつぶやきから 92 〗


振動マシンこのところすっきりしない天気が続いています。
九州北部では豪雨に見舞われ、大変な被害が出ていますね。

ツイッターで自分のメモ代わりに医療情報を発信していますが、その中から月末に。
ピックアップしてお届けしているこのシリーズ。
今月は10題を振り返ります。


最初は細菌に関連する情報を5つ。

① 筋トレやダイエットに効果があるという振動マシンに私は懐疑的だったのですが、腸内細菌叢が変化するなんて考えもしませんでした。
興味ある報告です。

② 緑膿菌増殖に鉄が必要なのだそうですが、それを細胞内に運び込むシステムを活用して殺菌するという、従来の抗菌薬とは全く異なる手法。
耐性菌問題を克服する一歩となるでしょうか。

③ 口腔がんや食道がんのリスクとして、アルコールの代謝産物のアセトアルデヒドは以前から知られていましたが、常在菌が関与している可能性もあるのですね。

④ 便移植で疾患を改善する方法は研究段階ですが、好ましくない腸内細菌を狙い撃ちできるワクチンだと便移植よりは抵抗感なく治療を受けてもらえるのではないでしょうか。

⑤ 赤ワインは、レスベラトロールというポリフェノールばかりが注目されていました。
しかし、ネガティブな報告が次々に出ていました。
今回の報告で、腸内細菌の多様性が増大することで健康に寄与している可能性が出てきましたね。


次に、個人的に興味を抱いた報告を5題です。

⑥ 体に負担のかからない検査手法が次々に編み出されています。

⑦ 不整脈の治療薬のアミオダロンは、角膜に色素沈着をきたす他に甲状腺機能低下症を招く可能性があるのですが、高齢者では徐脈が元で転倒や失神のリスクが高いようです。

⑧ 進化の過程で遺伝子が変化する。
それはメリットでもあればデメリットとなることもあるわけですね。

⑨ 使用する抗菌薬の種類によって大腸の癌のリスクが異なってくるというのは非常に興味があります。

⑩ 65歳以下でBMIや腹囲が上昇するほど大脳皮質が薄くなる傾向にあるようです。

どこぞやのグループの「メンバー」が、アルコールが元で道を外してしまったようですね。
その報道の最中、非常に興味深いニュースが飛び込んでました。( → 酒に弱い日本人が増えるよう「進化」 遺伝情報から判明 )

げこアルコールを飲むと顔が真っ赤になってすぐにダウンする人もいれば、まったく底なしの人もいます。
これは、アルコールを分解する酵素の働きの強弱という遺伝的な要因に依存しています。

アルコールの分解には、アルコールをアセトアルデヒドに変えるADHB1と、アセトアルデヒドを酢酸に変えるALDH2と呼ばれる2つの酵素が関与しています。
日本人を含む黄色人種では他の人種に比べてこの酵素の働きが弱い人が多いのです。
白人や黒人では酵素の働きが弱い人はまず存在しないので、お酒を飲んで顔が真っ赤になってしまうことがないのです。

酵素の働きが弱い人では、
● 脳梗塞になる人が多い
● アルコールに加えて喫煙すると咽頭がんや食道がんになりやすい
ことなどが既に知られています。
食道がんの人に飲酒と喫煙の状況を聞き取るのは、我々医者にとって当たり前の作業です。

利点はないばかりように思えるのですが、今回の研究報告によると、酵素の働きが弱くなる遺伝子変異を積極的に受け継いできた跡が遺伝子解析から分かったのだそうです。
進化の過程で何らかのメリットがあった可能性がうかがえます。
アルコール飲用の際の糖代謝がわずかに改善するという報告がありますが ( → こちら ) 、他にも生存に有利に働く作用がきっと潜んでいるでしょうね。
そのあたりを探っていくのも楽しそうです。

ちなみに、日本人の中でも酒に強い弱いに地域差があると以前報告されていました。
都道府県別にみた酒に強い人が多いベスト3は、秋田、岩手、鹿児島の順なんだそうですよ。 ( → こちら )

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