野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡にある野口内科です。
  医療・健康に関することはもちろん、近隣の話題や音楽・本のことなどについて綴ってまいります。

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今年のお盆休みはは8月11日 (土) から15日 (水) です。

7月24日から9月15日頃まで、外壁工事のため駐車場が使えなりますのでご了承下さい。



ウーロン茶

胃の内視鏡検査をするにあたってよく受ける質問の一つに「胃カメラの前にいつものお薬は飲んだ方がいいのでしょうか ? 」というのがあります。
答えはNO
なのですが、検査の紹介元の先生が「血圧の薬だけは飲んでいきなさい」などと指示されるケースもあって困ってしまう場合があります。
なぜ困ってしまうのか、これから説明したいと思います。

 溶けた薬が観察の邪魔に。そして吸引される運命に


薬を飲んだ後の内視鏡画像 へマチン提示した胃の出口付近を撮った写真をご覧ください。
白い矢印の上方にやや黄色みを帯びたものが胃の壁にべったりと付着しているのがわかると思います。
これは検査前に服用してしまった薬が胃の中で溶解したものなんです。
胃の壁の様子をつぶさに観察する妨げになっています。
粘液や食べカスが付着している場合は、内視鏡の先端から水を吹きかけて洗い流し吸引するのですが、薬を吸い取ってしまえば、その日は薬の効果を十分に得られないことは容易に想像つくと思います。
私は病変の見落としを懸念しつつも、できるだけ吸引しないように心がけています。
しかし「きれいな写真を撮れ」と教育されている内視鏡医は徹底して除去してしまいます。

 判断に迷う胃粘膜の変化が


そして、もう一つ問題があります。
青い矢印の先をご覧ください。
小さな赤黒い斑点がありますが、ヘマチンと言って胃炎を診断するサインになるものです。
これが元々あったものなのか、空腹の胃の壁に薬が張り付いた結果生じたものなのか、判断するのは極めて困難です。
後者ならば様子をみていれば問題ないと思うのですが、胃炎と診断されてしまい、必要のない胃薬を受け取る羽目になるケースも実際にあるのです。


例えば、昔の降圧薬などは1日2~3回服用する必要があり、薬を切らすとすぐに血圧が上がってしまうこともありました。
今は1日1回の服用でも長時間にわたり作用するものが多いので、朝飲む時間が多少ずれても血圧のコントロールが極端に乱れることはありません。
それよりも、せっかく飲んだ薬が観察の邪魔になって、吸引されて、胃炎の診断を受けてしまって‥、となる方が厄介じゃありませんか。

 ウーロン茶は是非飲んで


検査の前に水分を摂るのはOKです。
検査中に吸引してしまえばいいのですから。
ご高齢の方では、暑い時期に検査時間がお昼近くと遅い場合などで脱水が懸念されますので、むしろ飲む方が無難です。
水分を摂るにあたっては、胃の壁に付着する粘液を落として観察を容易にしてくれるウーロン茶をお勧めしています ( → 参考 ) が、いつもの内服薬は飲まないようにして下さいね。

内視鏡検査にウーロン茶を導入して早くも6年が経過しました。
ウーロン茶を使う最大の目的は、大腸内視鏡の際にレンズの汚れを取りやすくすることにあります。
このことは以前ブログで紹介しています。( → 使ってみましたウーロン茶 )

ウーロン茶ウーロン茶の応用はさらに広がっていて、胃の内視鏡検査の際にも使うようになりましたし、最近は検査を受ける方に検査前にあらかじめ飲んでもらうように勧めています。
内視鏡で観察するにあたって厄介になるのが、胃粘膜の壁にくっついている粘液。
胃の表面をつぶさに調べるため、この粘液を取り除かなくてはなりません。
粘液を除去するために、水を注入して粘液を飛ばす作業が加わると、その分検査に時間がかかってしまいます。
ところがウーロン茶を飲んでいただくと粘液の付着がほとんど見られなくなり、観察がとても容易になるのです。

内視鏡検査を覚えたての頃は、前日21時以降は絶飲食、と検査を受ける方には説明していました。
しかし、近年は高齢者の方を検査する機会も格段に増えてきており、夏場に検査を行なう場合は脱水なども考慮して水分摂取はOKとしていました。
食べ物でなく、水であれば吸引すれば済むことです。
水がウーロン茶に替わっても全く問題ありません。
問題がないどころか、胃の壁がきれいになってくれるのですから大助かりです。
ただし、茶葉から淹れて飲むと細かな葉っぱが胃の壁にくっついてかえって厄介なので、ペットボトルのウーロン茶にしてくださいね。

pr82g0sp.gifウーロン茶が内視鏡検査に活用され始めたことはこのブログで何回かとりあげましたが、今度はコーラについての話題が出てきました。

胃を手術で一部を切除した方では約 1割に胃の動きが鈍くなって食べた物がいつまでも残っていることがあり、内視鏡検査の妨げになる場合があります。
検査前にコーラを飲んでもらうとその問題が解決するらしいのです。
毎年 5月に米国で開催される Digestive Disease Week という消化器病関連の学会において、韓国の医師が発表しました。

以前よりコーラの泡が塊になった食物残渣を溶かすという報告があったそうで、胃切除後の方に内視鏡の前にコーラを700ml 飲んでもらうとほとんど胃の中に残渣がみられず、胆汁の逆流もなかったとのこと。
下部消化管の検査にも応用が効くのではないかとも考えられているようです。

ただし、研究対象がたまたまコーラであっただけで、他の炭酸飲料でも有効な可能性があります。
それに胃の小さくなった人に700 ml の炭酸飲料はちょっとつらいのではないでしょうか。
ともあれ、興味ある報告です。

検査の際だけでなく、胃の術後で食べ物がいつまでも残ってしまう人には食後にコーラを一杯飲むように勧めている医者もいるとか。
でもコーラにはかなり糖分が含まれていて、その含有量は 10% 強といわれています。(参考)
700 ml だと 75 g は含まれている勘定です。
血糖の高い方はもちろん、一般の方も十分に注意する必要があります。


t0jokuzh.gif内視鏡検査にウーロン茶
ちょっと前に当ブログでもとりあげましたが、いま内視鏡医の間でかなり話題になっているようです。
先月聞きにいった講演会でも紹介されましたし、製薬会社のMRさんも情報提供してくれるなど、またたく間に認知されるようになってきました。


当院でこの3ヶ月、ウーロン茶を使用してみて次のようなことが言えると思います。

まず、経鼻内視鏡よりも大腸内視鏡においてより効果が高いようです。
大腸内視鏡で先端に透明フードを使われる方は、これもあらかじめウーロン茶に浸しておくと汚れが付きにくくなります。

経鼻内視鏡でも水に比べるとはるかにレンズ面の汚れの落ちはいいです。
ただし、吸引力の弱い経鼻内視鏡で唾液を取り除こうとすると唾液が納豆の糸のように伸びて処置に困ることがありますが、これはウーロン茶といえども解決しません。
検査中、唾液は嚥下せずに外に出してもらうようにしなければなりません。

施設によっては、安価な物とはいえウーロン茶の代金を誰が負担するかという問題も生じるでしょう。
実際、内視鏡医がポケットマネーから捻出している所もあるようです。
この点はウーロン茶を水で半分に希釈しても効果に変化が感じられませんので、コストを気にされる場合は参考にしてください。
もっとも市販のウーロン茶の濃度も種類によって様々なのでしょうが。

ウーロン茶よりもプーアル茶の方が効果が高いという話もあるようですが、今後多くの医師によって色々な工夫がなされていくことでしょう。





wmvusoag.gifウーロン茶を何に使ったかというと経鼻内視鏡の検査。

経鼻内視鏡はレンズ面の汚れが除去しにくく、観察に時間がかかってしまうという欠点があります。
レンズを洗う水を噴きかけるノズルが付いているのですが、経口内視鏡に比べると、その細さゆえ能力がちょっと劣るのです。

右の写真は、実際にレンズがやや曇った状態で撮影したものです。
食道裂孔ヘルニアが最も開大するタイミングを優先した結果ではあるのですが。

最近、日本消化器内視鏡学会の学会誌に、大腸内視鏡のレンズの汚れ落としにウーロン茶を使用して鮮明な画像が得られることが報告されました (2007 ; 12 : 3000-3001)。
窓の油膜とりにウーロン茶が活用されていることに着目したようです。

これを当院でも経鼻内視鏡に応用してみようと、本年早々の検査から試しています。
まだ症例数は少ないものの、非常に好感触を得ています。
曇りや汚れを比較的容易に除去でき、水に比べて使用量も随分少なくて済んでいます。
検査の時間短縮や検査の精度向上にもつながりますので、大腸内視鏡も含めてウーロン茶を活用していく予定です。


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