野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
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ジェネリック

<< ジェネリック、大丈夫 ? 第3回 >>


三菱自動車が燃費データを偽装していた大きな問題になっています。
車を選ぶ際に参考にする数値にごまかしがあることは容認できないですよね。
これがもし我々の処方する薬について行われているとしたらどうでしょう。
人体に関わることですから、自動車の比ではない大問題になります。
その可能性が否定できないジェネリックがあります。
それは以前取り上げたことがあるファイザーのツロブテロールテープ。( → 「ホクナリンテープとジェネリックを比較」)
その疑惑に満ちた薬剤動態に関するデータを検証してみましょう。

まず、先発品であるマイラン製薬のホクナリンテープについて解説しておきます。
気管支喘息の発作は明け方に起こることが多いのですが、昔の内服薬や吸入薬は寝る前に使っても明け方にまで効果が持続することが期待できませんでした。
そんな中で開発されたホクナリンテープは、貼付して4時間ほどしてから血中濃度が上昇し始め、12時間後にピークに達するように工夫がなされています。
これは「結晶レジボアシステム」と呼ばれる薬剤放出の技術によってコントロールされているのですが、特許があるためこの部分はジェネリックメーカーが真似することができません。

ホクナリンテープ 2mg の薬物動態のグラフを見ていただきます。
Hoku

ここで薬剤最高血中濃度 ( Cmax ) と Cmax に至るまでかかる時間である最高血中濃度到達時間 ( Tmax ) という大切な指標を覚えていただこうと思います。
添付文書上のホクナリンテープ 2mg のデータ。

 ● Cmax は 1.35 ± 0.08 ng/mL、Tmax は 11.8 ± 2.0 hr


次に沢井製薬のツロブテロールテープ 2mg の薬物動態のグラフを見ていただきます。
Sawai

ホクナリンテープと同じ徐放技術が使えないため、沢井製薬のツロブテロールの血中濃度の立ち上がりも Tmax も早いのがわかると思います。
添付文書上のツロブテロールテープのデータ。

 ● Cmax は 1.29 ± 0.60 ng/mL、Tmax は 11.0 ± 2.7 hr

同時に調べている標準製剤 ( ホクナリンテープ ) のデータもみておきます。

 ○ Cmax は 1.24 ± 0.63 ng/mL、Tmax は 14.5 ± 4.5 hr

マイラン製薬のデータとの比較で Cmax の比は 96.1% (1.24/1.35) 。


更に問題のファィザーのツロブテロールテープ 2mg の薬物動態のグラフです。
Pf

さすが、世界に名だたるメーカー、結晶レジボアシステムが使えないにもかかわらずホクナリンテープとほとんどピッタリ重なるような血中動態、見事としか言いようがないですよねぇ‥。
添付文書上のツロブテロールテープのデータ。

 ● Cmax は 1.063 ± 0.601 ng/mL、Tmax は 12.3 ± 4.6 hr 

同時に調べている標準製剤 ( ホクナリンテープ ) のデータ。

 ○ Cmax は 1.039 ± 0.565 ng/mL、Tmax は 12.2 ± 4.4 hr 

マイラン製薬のデータとの比較で Cmax の比は 80.5% (1.039/1.35) 。

このファイザーのデータ、深く読み込むと疑問だらけなのです。
結論から先に言いますが、ファイザーが標準製剤として提示しているデータ、これはファイザー自身のツロブテロールテープなのではないでしょうか。
まず、標準製剤の Cmax があまりに低すぎ。
2割も低くなっているというのは一体どういうことでしょうか。
そして2時間値を提示していないこと。
標準製剤であれば、結晶レジボアシステムが働いるので2時間値はほぼゼロであるはずですが、それを公表すると実際には標準製剤を使っていないことがバレてしまうため隠しているのではないでしょうか。
それにグラフ上、標準製剤のTmaxはどうみても12時間のところにあるように見えません。
標準製剤を使わず自社製品を標準製剤の代用として使い、その上で自社製品と比較すりゃ、ピッタリと寄り添うようなグラフになりますよね。

実は、ファイザーはさらにおかしなことをやっています。
ツロブテロールテープには 2mg だけではなく、1mg と 0.5mg という剤形があるのですが、どういうわけか 1mg は2枚、0.5mgは4枚貼付することで合計2mgになるようにしてデータを出しているのです。 ( → 実際の添付文書を参照して下さい )
理解に苦しみます。
他のメーカーは 1mg も 0.5mg ちゃんと1枚貼付でデータを記しています。
剤形に違いがあるのは年齢に応じて使い分けをするからなのであって、複数枚貼って2mgにするのは実際の使い方とは大きくかけ離れていますし、0.5mgや1mgの製剤で示されている標準製剤のデータも2mg製剤同様信憑性が疑われるものです。

先のグラフからも分かるように、沢井製薬は標準製剤との違いがあることを素直に認めたデータ提示ですよね。
ファイザーはなぜそのようなごまかしをするのでしょうか。
そしてそのデータを見抜けずにジェネリック製品として認可してしまった厚生労働省、問題ありませんか ?
いずれにせよ、標準製剤より2割も低い血中濃度しか得られない製品を使うと喘息のコントロールが悪くなってしまいます。
使いたくないです。

なお、沢井製薬を含め他のメーカーのツロブテロールテープも標準製剤と大きく異なる血中動態を示すのにもかかわらず、先発品と同等のジェネリックとして認めているという認可のあり方もおかしいと思うのですが。


( 追記 )
ファイザーのジェネリックの件に関して、違う集団での少人数での動態パラメータを比較してもしょうがない、という意見もあるようですが、私が問題にしたいのは

① 徐放を確立するための工夫がしてある先発品となぜ血中濃度の変化にほとんど相違がないのか。ここに示していない0.5mg及び1mg製剤の寸分たがわないデータについても同様でかえって不自然。
② 2時間値を示していないのはなぜなのか。テープ剤が徐放であることを示すためのキモになる重要な部分です。
③ 1mgと0.5mgのデータの取り方はどういった意図で行われたのか。

といった点。

ホクナリンテープをジェネリックに切り替えたら、動悸がするとか喘息発作が増えたという報告はあちこちから聞かれます。
日本アレルギー学会の「喘息予防管理ガイドライン」にも「貼付剤は後発品が使用可能であるが、薬物貯留システムの違いから皮膚の状況によっては先発品とは経皮吸収速度が異なるため、注意が必要である」と明記されているのです。
添付文書上、生物学的同等性が担保されていても、臨床現場では不具合が起こっているのです。
現実をどう見つめますか ?

<< ジェネリック、大丈夫 ? 第2回 >>


2回目は降圧薬のアダラートCRについて述べてみたいと思います。

一般名ニフェジピンと呼ばれる成分はその強力な血管拡張作用を有し、アダラートカプセルとして1976年に日本で発売された歴史ある薬剤です。
降圧作用も強力で、カプセル内の液体を口に含ませて血圧を短時間で下げてしまうという舌下投与法が一時臨床現場で広く利用された時期もありました。
その後、急激な血中濃度の立ち上がりを抑えて効果を持続するアダラートL錠が1985年に発売されます。
これで1日2回の内服で済むようになりました。
しかし1993年に登場したアムロジピンという1日1回の服用で血圧コントロールを可能としたライバルの登場で、存在が次第に霞んでいきます。
そこでへこたれなかったのはメーカーの意地なのでしょうか、1日1回の服用で血圧をコントロールできるアダラートCRという錠剤を1998年に売り出します。
その1回服用を実現させるため、アダラートCR錠は内核部と外層部を有する二層構造をしています。
外層部がゆっくりと溶け、その後露出した内核部が溶け出すという二段ロケットなのです。
そのため、血中濃度の変化を示すグラフも、3時間と12時間のあたりにピークのあるフタコブラクダのようになっています。

CR02

この特性を上手に活用して、早朝高血圧のコントロールに活用する方法があります。
具体的にはこの薬を夕食後ないし寝る前に飲んでもらい、朝にふたこぶ目の血中濃度上昇がが来るように照準を合わすのです。
降圧薬の夜間服用の有効性の報告は多くありますし、寝てる間に血圧が下がり過ぎることはないこともわかっています。

CR01さて、アダラートCRのホームページを覗いてみると製造工程について書かれているのですが、後から効果を発揮する内核の位置に細心の注意を払っていることがわかります。
内核の位置がずれていると内核が早く露出してしまい、血中濃度が安定しない可能性があります。
そのため、特殊な装置を使って内核の位置のずれたものは不良品として排除するんだそうです。

1回目を読んでいただいた方はわかると思いますが、こういう点をアピールしているのは、ジェネリックに問題があることを暗に示唆したものと考えられます。
品質管理が不十分で内核の位置がばらばらな製品を服用すると、フタコブ目の位置がずれてしまって早朝高血圧のコントロールが日によってばらついてしまう・・・皆さんにも容易に想像がつくのではないでしょうか。
そればかりではありません。
色々な情報を集めてみると、驚くようなものもあります。
ジェネリック製品であるニフェジピンCRの中には二層構造ではなく三層構造をしたものがあるし、それどころか全く層構造をなしていないものもあるというのです。
どれがそれに該当するのか、添付文書にある血中濃度のグラフを見てもアダラートCRと同じようにフタコブラクダなのでわかりません。
そんな内部構造でどうやって血中濃度を維持しているのか不思議でならないのですが。

先発品メーカーが相当な苦労をして作り出した製品です。
血圧コントロールを乱してしまう可能性のあるニフェジピンCRへの切り替えをためらている理由をご理解いただけたでしょうか。

<< ジェネリック、大丈夫 ? 第1回 >>


国策で医薬品のジェネリックへの切り替えが進んでいます。
私も日常の臨床の中でジェネリックを活用していますが、先発品にこだわって処方しているものもあります。
それにはちゃんとした理由があります。
3年前に「ジェネリック薬品を考える」というタイトルで一度考察していますが、今回は剤形を中心にして改めて考えていきたいと思います。


初回は ラベプラゾール について。
これはプロトンポンプインヒビター ( PPI ) というジャンルに属する薬です。
胃の細胞の中で塩酸を作る壁細胞の水素イオンの出口のことをプロトンポンプと呼ぶのですが、この働きを抑えることで胃潰瘍や逆流性食道炎などの治療に活躍している薬剤です。

パリエットPPIは酸分泌を強力に抑えるのに、『酸にはとても弱い』という摩訶不思議な性質があります。
中でもラベプラゾールは酸で極めて分解されやすいとされています。
そのまま服用してしまえば胃液中の塩酸で失活してしまうのです。
胃という最大の関門を無事に通り抜けて小腸から血液へと移行してもらう必要があります。
先発品であるパリエットの錠剤は、ラベプラゾールを守るべく胃では溶けず腸に届いてから溶ける腸溶性被膜で表面をコーティング。
しかし、ここでも問題があります。
実は腸溶性被膜自体も酸性物質なのです。
そこでラベプラゾールが直接腸溶性被膜に触れないよう、中間皮膜を設けて難題をクリアしているのです。
(こういう構造をしているので、割って飲んでしまうのはダメってわかりますよね。)
 
錠剤が三層構造をしていることに関して、先発メーカーはジェネリック製品が出回るようになってから強調するようになった気がします。
これ、ジェネリック製品の構造に問題があることの裏返しだと思って間違いないでしょう。
製薬業界には他社製品を中傷・誹謗してはならないというルールが敷かれているため、直接欠点をあげつらうことはできません。
自社製品の錠剤の構造をアピールすることで、ジェネリック製品には不備があることを暗喩しているのでしょうね、きっと。
実際、ジェネリック製品の中には二層構造のものがあるという情報を得ているのですが、どのメーカーのものなのかまで把握できていません。
全てのジェネリック製品を割ってみたらわかることでしょうが、薬の添付文書などで調べてみても層構造について書いてないのでもどかしい気持ちです。
二層構造で先発品と同等の薬効を得ているのならば、その技術を自信を持っておおいにアピールしたら良さそうなものなのですが。

国は先発品と後発品は同等だとお墨付きを与えているわけですが、現実にはパリエットをジェネリックに替えて症状がコントロールできなくなったという話は伝え聞きます。
ラベプラゾールを酸から守る構造がしっかりしているのかどうか、その情報が十分に得られない現状で後発品を使う勇気は私にはとてもありません。
少々お高くなりますが、確実に症状を改善したいという思いをご理解いただきたいと思います。 


なお、実際にパリエットをジェネリックに替えることで逆流性食道炎の症状が悪化したと綴ってあるブログを見つけましたのでご参考までに。 ( → こちら )

最後に、内視鏡検査前にうっかりパリエットを飲んで来られた方の貴重な写真を。
「パリエット」の印字が読めると思いますが、胃の中で全く溶けずにそのままの形で残っていて、さすがは腸溶錠と感心した記憶があります。

パリエット
 

<< ジェネリック薬品を考える 第6回 >>


名称未設定-1数回にわたり、我々の使う医薬品の相違について考えてきました。
先発品同士 ( 第2回 )、先発品と後発品 ( 第4回 ) 、後発品同士 ( 第5回 ) ・・・主成分は同じでも全く同じものを作るのは難しいと考えざるを得ません。

また梱包シートの材質が悪く保存性が悪い錠剤とか、同じ量なのに早くなくなってしまう点眼薬 ( 1滴の量に差がある ) とか成分以外のところに問題のあるジェネリック薬品が存在すると聞きます。

私が最も問題にしたいのは、生物学的同等性試験と溶出試験だけで先発品と同等であるというお墨付きを与え、国策としてジェネリック薬品の使用促進を行なおうとする厚労省の姿勢です。
また、院外処方箋の場合、先発品からジェネリック医薬品への変更やメーカーの選択に薬剤師の権限が大きい仕組みも無視できません。

これまで見てきたように、差異があることを前提としてジェネリック薬品を処方したり内服したりする必要があると考えます。
言いたいことはたくさんありますが、米国神経学会がかつて発表したコメントをこのシリーズの締めくくりの言葉とします。
( ただし、私は少ない情報をしっかり把握してジェネリック薬品を積極的に処方していますので、誤解のないように )
「抗てんかん薬のジェネリックへの切替えは、治療する医師と患者の双方がきちんとした知識を備え同意をしなければやってはならない」


 

<< ジェネリック薬品を考える 第5回 >>


我々がよく処方する便秘薬の一つに「酸化マグネシウム」というものがあります。
シリーズ最後はこの酸化マグネシウムの後発品同士を比較してみます。

大腸は食べ物の残りかすから水分を吸収する役割があり、 上行結腸あたりではまだどろどろの内容物も直腸へと進む間に水分含有量が少なくなり便が形作られていきます。
酸化マグネシウムは、大腸が吸い上げようとする水分を抱え込んで離さないようにするので、残渣中の水分が保持され便が硬くならないようにしてくれます。
その結果、踏ん張らなくても排便できるようになるわけです。
これを我々は緩下作用と呼んでいます。

以前は
服用しづらい粉末しかなかった酸化マグネシウムですが、後発品メーカーが工夫して錠剤を発売しています。
代表的なのが「マグミット」と「マグラックス」です。
なぜ錠剤がそれまで無かったかというと、酸化マグネシウムは胃液中の塩酸と反応して塩化マグネシウムに変化する必要があるからです。
( MgO + 2HCl → MgCl2 + H2O )
詳しくは当ブログ「ニガリダイエットの正体」 に書いてありますのでそちらをご覧下さい。

せっかく登場した酸化マグネシウムの錠剤なのですが、両者には大きな違いがあります。
そのことを示した見事な論文がありますのでそちらをご覧下さい。( → 酸中和作用による酸化マグネシウム錠の品質評価
論文中から引用させてもらった写真を見ていただきたいと思います。マグミット
水に溶かした後の粒子の様子です。
「マグミット」( MM ) は細かい粒子になっていますが「マグラックス」( ML ) は粒子径が大きいまま。
塩酸を含む試験液と反応させると速やかにpHが変化するのは前者。
塩化マグネシウムが生成されないと
緩下作用が発揮できないわけですから、「マグミット」を「マグラックス」に変えた途端に便が出づらくなるとか、あるいはその逆のパターンも起こり得るということになります。

知ってか知らずか「マグラックス」のメーカーは後に細粒剤を出してきました。
錠剤の欠点を補いつつ、飲みやすさを追求して新たな剤形を作ってきたメーカーの姿勢には感服いたします。

<< ジェネリック薬品を考える 第4回 >>


喘息発作は明け方に起こることが多く、かつては内服薬や吸入薬を寝る前に使っても薬の効果が明け方まで持続せず、コントロールに苦労する例がありました。
そんな中、1998年に登場したのが「ホクナリンテープ」という貼付剤。
とても工夫がなされていて、気管支拡張作用のある成分が、皮膚に貼ってから4時間ほどしてから吸収され始め、11~13時間ほどで血中濃度がピークに達します。
夜貼ると明け方によく効いてくれるわけです。

ツロブテロール・沢井ところが、各社から数多く出ている後発品「ツロブテロールテープ」の血中濃度の推移は異なります。
それが大きく影響していると思いますが、「ホクナリンテープ」を後発品に変えた途端、喘息発作が増悪したというケースを臨床医が経験することは少なくありません。

今回提示した3社 ( 沢井製薬・ファイザー製薬・久光製薬 ) のグラフをご覧下さい。
多くは1時間ほどして血中濃度が上がり始め、ピークに到達するのもその分早くなっていますし、その後の濃度も高く維持できないのです。 
これは、先発品の徐放技術が特許を持っているためで、後発品メーカーなりに工夫はしているのでしょうが、同じような製品が作れないのです。
ファイザーのものはかなり先発品に近いですが、2時間値が省略されているのはなぜでしょうか。
それにマルホのホクナリンテープの添付文書と比較するとファイザーのグラフの標準製剤の濃度の数値は明らかに低いですね。
( 久光製薬のグラフは2mg製剤ではなく0.5mg製剤の比較ですのでご注意下さい。)

ツロブテロール・ファイザー問題は、これだけ血中濃度の推移が大きく異なる後発品に対し、厚生労働省が先発品と同等であるというお墨付きを与えていることです。
最大血中濃度と血中濃度曲線下面積に大差がなければOKなのです。
米国だと先発品との二重盲検比較試験を行って安全性・有効性の同等性を示さなければ認可されないのですが、治験を行う必要のない日本はこのあたりがとてもいい加減と言えます。

インスリン製剤は、血中濃度の立ち上がりや作用持続時間によって複数に分類されていて、我々は使い分けをしているのですが、それと同様、私は「ホクナリンテープ」と「ツロブテロールテープ」は別物として使い分けています。
ツロブテロール・久光 先発品でコントロールできている人は基本的に後発品に変更しません。
後発品の「ツロブテロールテープ」も各社バラバラの血中動態ですので、その特性を把握した上で、初めて処方する場合には、入浴や就寝時間と発作のよく起きる時間を聴取してその患者さんに合うと思われるものを選択しています。
ただ、血中濃度ばかり気にしていてもダメで、中には剥がれやすい製品もあり注意を要します。

ジェネリック医薬品が先発品と必ずしも同等と言いきれないし、ジェネリック間でもかなり異なるのだと理解して頂けたのではないでしょうか。
特にこの「ホクナリンテープ」「ツロブテロール」は、調剤薬局において薬剤師の判断で勝手に変えられてしまうと本当に困ってしまう薬剤の一つです。 

<< ジェネリック薬品を考える 第3回 >>


前回はノルバスクとアムロジンが微妙に違う ( のではないか ) という話をしましたが、それに関連してちょっと補足です。

日本には、一つの薬剤を複数の企業が異なる名称で売るという独特の商習慣があります。
これを「一物二名称」と呼んでいます。
主なものを表にしてみましたが、その多さに改めてびっくりしました。 
ノルバスクとアムロジンのように全く別工場で作られているものもあれば、同じ工場で製造して刻印とパッケージを別にしているだけというものもあります。

薬の一物二名称併売することによって販路が拡大するとか、自社の商品ラインナップが充実するとか、売る側にはメリットがあるかも知れません。
しかし、処方する我々や薬局、実際に服用する患者さんにはほとんど意味がありません。
これらの名称をしっかり頭にたたき込んで、同じ薬剤であることを認識しておかなければならない我々も相当苦労します。

この一物二名称について厚労省は、「別会社が別に承認をとって販売するもので保険衛生上の問題があるとは考えにくい。メーカーが競うことで情報提供が充実することや、競争原理が働き市場実勢価格が下がれば薬剤費の適正化にも繋がるなどの利点がある」といった内容の見解を示し、日本独特の習わしを改めさせようという意志が全く見られないのです。
厚労省が態度を改めないのなら、製薬会社側が申請時に異なる名称を用いないよう配慮してもらうしかありません。
実際、同一名称で併売している薬品 (エディロール・リピートール等) もいくらでもあるのですから。

一方、いわゆるジェネリック医薬品に関してですが、最近は独自の商品名が認められずに一般名を用いる方向にあります。
ここ2、3年で発売されたものは当然のこと、古くから発売されオリジナルの名称も定着していたジェネリック医薬品も、無味乾燥な一般名への変換が徐々に促されています。
これは厚労省の指導によるものなのですが、先発品に限って独自の商品名が付けられる特権があるわけですね。

厄介な一物二名称ですが、ちょっとした使い道もあります。
当院では「ノルバスク」は5mg、「アムロジン」は2.5mgの剤形を採用することで、処方時の用量ミスを回避するという形をとっているのです。
この点は、院内処方の強みですね。


( 追記 2018.5.22 ) ジェネリック医薬品を採用した現在では、5mgも2.5mgも「アムロジピン」になってしまいました。 

<< ジェネリック薬品を考える 第2回 >>


ノルバスクとアムロジンまず手始めに先発品同士を比較します。

取り上げるのは「ノルバスク」と「アムロジン」です。
最もよく使われているカルシウム拮抗剤と呼ばれるタイプの降圧剤で、ご存知の方も多いでしょう。
いずれもアムロジピンベシル酸塩を主成分としたもので、前者はファイザー製薬が、後者は大日本住友製薬が製造販売しています。
大日本住友がファイザーから製造に絡む一切のライセンス供与を受けているはずなので添加物まで含めて全く同一。
ですから「アムロジン」は「ノルバスク」との同等性を示す試験を実施しておらず、両者の添付資料のデータは全く同じになっています。
この点がジェネリック医薬品と大きく異なるところです。
ちなみに右側の写真、上が「ノルバスク 5mg」下が「アムロジン 5mg」です。

ところが、です。
( ここから先に書く内容については、あくまで伝聞で確たる証拠はありませんが、信頼性の高い情報ソースから得たものであることをお断りしておきます。)
実は、最高血中濃度到達時間 ( Tmax ) が両者間で1時間ほどずれていて、その違いを利用して「ノルバスク」と「アムロジン」を使い分けている医師もいるというのです。

この情報が本当だとしたら、なぜこのようなことが起こるのか。
ここからは勝手な推測になります。
「ノルバスク」と「アムロジン」は別々の工場で作られているのですが、そのせいなのか「アムロジン」の錠剤の方が硬いという五感で分かる相違があります。
添加物や製造のノウハウまで全く同じように作っているはずなのに、成分の調達先が違うとか、製造ラインでの温度・湿度が違うとか微妙に異なるのでしょうね。
複数の人が、同じ食材・同じ調理器具を使ってレシピ通りに料理しても全く同じものができない。
そんな例えをしてもいいものなのかわかりませんが、先発品といえども微妙な違いが出てくるようですね。

なお、水無しで飲める口腔内溶崩錠として「ノルバスクOD」「アムロジンOD」がありますが、こちらは同じ工場で作られ、刻印とパッケージが異なるだけ。
大日本住友製薬が独自の技術で開発した「アムロジンOD」をファイザー製薬側が「ノルバスクOD」のブランドで売らせてくれ、と言ってきたようです。
複雑です。

なお、下の図はノルバスクの添付文書にあるグラフ。
アムロジンでも全く同じものが使われているのですが、 通常の錠剤と口腔内溶崩錠の比較しか掲載されていません。


ノルバスク

<< ジェネリック薬品を考える 第1回 >>


薬ジェネリック薬品という言葉、盛んにテレビなどでも流れていますので、皆さんお馴染みになってきたと思います。

改めて説明するまでもないでしょうが、先発品と比べて薬価が低く患者さんの自己負担や国民医療費を抑えることができるため、普及が促されています。
先日は厚生労働省が2017年度末にはシェアを60%以上に引き上げる目標を掲げました。
反面、医療関係者にはその品質に疑問を抱く人が多くて普及を阻んでいるとも言われています。
厚生労働省が治療学的に先発品と同等であるとお墨付きを与えていても、です。
実際のところどうなのでしょうか。
安いことは諸手を挙げて歓迎すべきことなのか、安いなりの品質なのか。

このシリーズでは 先発品同士・先発品とジェネリック薬品・ジェネリック薬品同士 の3つのパターンで具体的な医薬品を提示して検討してみたいと思います。
ほんの一部のケースでの考察なので、それを一般論にしようとは思いませんのであしからず。

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