♦♦♦♦♦ 温水で肛門を洗い過ぎることの弊害 ♦♦♦♦♦

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患者さんから聞いて初めて知ったのですが、最近の洗浄付き便座には「便意リズム」というボタンがあるようです。

最近、家電が売れない世の中になってきたせいか、メーカーが何らかの付加価値をつけて物を売ろうとする必死の姿が伝わってきます。
しかし、肛門を温水で刺激して排便が促されるというのは科学的に根拠はありません。
体には排便反射という仕組みがあるのですが、直腸の内圧が高まる結果生じる反射です。
肛門が刺激されるたびにいちいち便意を催していたら、日常生活が大変じゃありませんか。

体温より高い温水で過剰にお尻を洗っていると「温水便座症候群」と呼ばれる肛門周囲の炎症を起こす場合がありますので十分ご注意を。
10秒以内の短時間なら問題ないとされていますが、必要以上に洗うと、皮脂を洗い流してしまいます。
皮脂が失われると乾燥して炎症を起こしやすくなります。
肛門も含め皮膚には常在細菌がいますが、これも皮膚を守るバリアとしての大切な役割があります。

私は、排便後に洗い落とすという本来の目的でしか使いません。
ちなみに、冬の寒い時期でも常温の水を使っています。
暖い時期から使っていれば慣れますし、逆に温水の方が気持ち悪く感じるようになります。

また、強く拭き過ぎるのも問題です。
表面を傷つけ、刺激物質や細菌の侵入を容易にしてしまいます。
洗い流したら、力を入れないで水気を取り除くだけにして下さいね。
肛門だって自分の体の大切な一部なんですから、やさしく拭いてあげて下さい。


♦♦♦♦♦ 便意を促すマッサージ ♦♦♦♦♦

ツボ便の貯留してるS状結腸付近にマッサージを施すと、便意を促すのに有効なことがあります。
私の子供たちが赤ん坊の頃、しばらく便が出ない場合に使った方法を紹介しておきます。
その名も「ウンチが出る出るマッサージ」。
おへその左下付近を1-2分軽くさすってやると10分もしないうちに排便がみられましたよ。
よくよく調べてみると、天枢大巨と呼ばれる便秘のツボがあって昔から活用されているようですね。
ツボを指圧して寝たきりの方の排便の一助にしているという報告もあります。( → こちら )
過敏性腸症候群に対して腸管のねじれた部位をマッサージすることを臨床に取り入れている先生もいます。 

排便に苦労しているのなら、水や電気を無駄遣いするより、とりあえず自分のおなかをさすってみてはいかがでしょうか。
全くコストはかかりません。
それでもダメなら、便秘薬を上手に活用することをお勧めします。( → 参考 )