脳から ◆ 診療所ライブラリー 70 ◆ 


動物とはそもそも「動く消化管」であり、これが効率良く食べ物にありつけるようにするため脳や目・鼻といった感覚器などを次第に発達させてきたと私は考えています。
その脳が進化しすぎてしまい、生命を維持するのに足りる以上に食欲をコントロールして過食となっているのが我々人間の今のありようです。

この人間だけに備わった「第二の食欲」を
脳科学的に解説し、これまで流行っては廃れてきたダイエット法にもその観点からの意味付けを行い、どうやったら本当に痩せることができるかのヒントを提供してくれているのがこの本です。
いくつかのダイエット法については頭ごなしには否定せず科学的な意味付けをしてくれていますが、要は己を律してバランスよく過剰に摂り過ぎないのが何より大事であることがこの本を読んでいただければわかると思います。
長寿の人にその秘訣を聞くと、好き嫌いなく腹八分目に、という答えが上位に来るそうです。
好きなだけおいしいものを際限なく求めて短命でいるより、節制を心がける方が結局は長く食の楽しみを堪能できるわけです。

面白いなと思ったのは香りの効用です。
最も原始的な感覚とされる嗅覚は様々な反応の引きがねとなりますが、グレープフルーツやキンモクセイの香りにダイエット効果があるということ。
いい香りも活用しながら楽しい食生活が送れるといいですね。

 → ヒトは脳から太る