野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して42年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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下剤

 ◆ 診療所ライブラリー 106 ◆


今日のうんこ私と同じ消化器内視鏡医でありタレントとしても活躍する女性医師が、便についてあらゆる方面からスポットを当てて掘り下げて解説する本。
その名も「今日のうんこ」。
かわいらしいイラストと堅苦しくない文章で楽しく読み進めていくことができます。
「歩きおならを止める方法」とか「おならをしらばっくれる方法」とかちょっと知りたくありませんか ?

ただ、いくつか指摘しておきたい点もあります。
まず、下剤についてはごく簡単に触れているだけなのですが、下剤は依存度が高いと断じている点です。
これはセンナなどアントラキノン系についてのもので、酸化マグネシウムやルビプロストンでは長期使用でもそのようなことは起こりません。
知識をしっかり持った医師のもとで治療を受けていただければ、依存性を生じさせずに満足のいく便通が得られるはずです。

また、宿便についても触れているのですが・・。
宿便は医学用語ではなく、はっきりとした定義はないのに「宿便はだれにでもあるもの、ただ大半は水なので、便というより黄色っぽい膜が張っている感じです」と解説しています。
一体何を指しているのやら、さっぱりわかりません。
以前、このブログで10回にわたるシリーズを立ち上げて、宿便とは何かを様々な視点から考察しましたが ( → 宿便について考える ) 、私は腸管内容物を指しているとは考えていません。
この「宿便について考える」は是非ご一読下さい。

腸内細菌叢についても簡単に解説がなされています。
この分野は最近非常に注目を集めており、研究が盛んになってきています。
消化器疾患だけではなく、肥満や動脈硬化、うつ病など様々な疾患に腸内細菌が関与していると次第に明らかになってきています。
いい腸内細菌のバランスを保つことが、健康を維持するのにとても大切なのです。
ただ、どのようにすれば健康的な腸内細菌を獲得できるのか、それはまだ未解明です。

便の状態を確認することは腸の中の様子を知ること、ひいては健康状態を知ることになります。
この本を一度手にして、便についての知識を蓄えておくことは大切だと思います。

  → 今日のうんこ

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「加齢排便強迫症」とでも名付けてしまいましょうか・・・。
どうしても1日1回は便が出ないと気が済まない。
そのためにあらゆる手段を講じる。
そういう人が不思議なことに高齢の男性に圧倒的に多いようです。
話を聞いてみると、水様の便で1日に何度もトイレにいっているにも関わらず、大量の下剤を飲んでいるのです。
そこまでして出す必要がどこにあるのか、と聞いてみると必ず返ってくるのが「今日出なかったらどうしてくれるんだ」といったような内容の言葉。

年をとると大腸の運動機能が若い頃に比べて低下するため通過時間が長くなり、その分余計に水分が吸収されてしまい硬い便になりがちになります。
また直腸や骨盤底筋群の働きの衰えで、踏ん張る力も落ちてきます。
若い頃は毎日のように出ていたのに・・・、気持ちはわかりますが若い頃とは違うのです。
女性でも同様のことが起こっているはずですが、比較的若い頃から便秘の方が多いせいか、男性のように排便にこだわる人はめったに見かけません。

センナ系の薬は即効性が期待できますが、連用していると効きが悪くなり徐々に使用量が増えてしまいます。
中国最古の薬学書である神農本草経では、センナの成分を含む大黄を長期に連用してはならない品目に分類しています。
まずお勧めするのは酸化マグネシウム
これは便の中に混じり込んで水分を保持し、便を柔らかい状態に保ちます。
また、麻子仁丸、潤腸湯、大建中湯などの漢方薬も高齢者にはお勧め。
新レシカルボン坐薬は挿肛すると腸の中で炭酸ガスを発生し、直腸を刺激することで排便を促します。
炭酸ガスと聞くと体に悪いのではと思われるかもしれませんが、腸からの吸収が早く血液を介して呼気に逃げていきます。
最近は、苦痛軽減目的で大腸内視鏡検査時の送気に炭酸ガスを使う施設が増えてきています。

これらの薬を組み合わせ、センナ系薬剤はあくまで頓服で利用するようにして程よい硬さの便が出るように調節していきましょう。

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