野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
         ▶▶▶ アクセスMAP
         ▶▶▶ バス路線図

人間ドック

 ◆ 診療所ライブラリー 151 ◆


健康診断本年4月から日本人間ドック学会の判定区分の改定が行われました。
2014年には独自のとんでもない基準範囲の値を公表し、医療現場に混乱をもたらしました ( → 健康な人の基準値が変わると聞いたけど… ) 。
しかし、今回の改定では、国の特定健康診査の基準や各学会で定めた基準に準じたものに概ね落ち着いていますね。

人間ドック学会に準じるものであれば、どの判定区分とするかは数値が示されています。
しかし、健保組合の健診などでは依頼している医療機関によって基準値が異なり、判定区分の数もまちまちで、どの区分にするかが医師によって判断が異なることがあります。

この前も、ある健診でアミラーゼが基準範囲をほんのわずか上回っているだけで、要精検との判定が下され、外来受診された方がいました。
毎年、基準範囲をちょっと超えていて、その中でも今回の数値は一番低く、極めて基準範囲に近かったのです。
過去の判定は経過観察程度だったのに、今回は逆に判定が厳しくなっていました。
恐らく判定した医師が異なったからでしょう。
私だったら、自覚症状や他の項目の数値、過去の受診データがあるのならその数値との比較を行って最終的な判断を下すところですが。

今回紹介する本書の中でも、統一されていない基準についての言及があります。
どこで受けても同じ判定が下されるようになるといいのですが。
そんな中にあっても、B判定の中には将来様々な疾患につながる可能性が潜んでいると指摘し、生活習慣を改め本来の健康を取り戻すための様々な情報が盛り込まれている一冊です。

人間ドックや健康診断で大事なのは、受けっ放しにしないことと、定期的に受けることだと思います。

今月5日の新聞に、人間ドックでの血圧やコレステロールなどの基準値を緩和する、という記事が載っていました。
今週の外来では、多くの患者さんからこの話が出ましたが、この基準値には大きな問題があると思います。

何が問題かというと「健康な人」の定義です。
過去に大きな病気をしたことがない▽喫煙習慣がない▽高血圧や糖尿病の薬を服用していない、などを条件に、"スーパーノーマルな人" としているのです。
しかし、この三番目の条件が本当に健康な人の定義として妥当なのか疑問を呈さざるを得ません。
なぜなら、病気を持っているのに通院するのが面倒くさい、薬を飲むのが嫌だ、といって治療していない人がかなり含まれているのではないかと思われるからです。
こういった人達を含んだ基準値では今までより上がってしまうのは当然のことと思います。

bdy14040500370000-n1血圧、コレステロール、血糖等が高いのを放置すると脳血管疾患や心疾患につながりますが、どのくらいの数値を目標にするとこういう疾患が防げるのかは、各専門分野で研究がなされてガイドラインなどで示されています。
長年の臨床で積み重なってきたものを全く無視したような人間ドックの基準値算出法は各方面から反論必至でしょう。

ま、血糖の平均値であるHbA1cの基準が5.5%というのは国民の半分くらいが引っかかるのではというくらい厳しい値でしたが、その他の基準はあまり緩め過ぎると、病気を持っているのに未治療の人を見つけるという人間ドックの目的の一つが霞んでしまいます。

今回の発表はあくまで中間報告だそうです。
この基準値を作るのに人間ドック学会だけでなく、危機的な収支にある健康保健組合連合会が加わっていることを頭の隅に入れて、近いうちに発表される最終報告を待ちましょう。

2010071715291022583.gif ◆ 診療所ライブラリー 52 ◆


30代の女性漫画家が実際に人間ドックを受け、その体験をコミック仕立てにした本。
漫画なのであっという間に読めますが、どういう流れで人間ドックの検査が進んでいくのかが頭に入りやすいと思います。
医療施設の選び方や正常値であっても気をつけなければばならない点も解説がなされています。
医師の立場からも、受診される方がどのような気持ちで検査を受けているのかが分かって勉強になりました。

一つ残念なのは表紙にもなっている経鼻内視鏡の場面です。
検査は左側臥位 ( 左を下にして横向き ) で受けていただかなくてなりません。
内視鏡の構造上、絵のような右側臥位では検査が出来ないのです。
この点は、監修の先生も十分にチェックしていただきたいと思います。


   →臓器ちゃん、のぞいてみました

200912210916048175.gif ◆ 診療所ライブラリー 45 ◆


何にも自覚症状がないのに検査なんて・・・と尻込みされる方も多いとは思いますが、人間ドックで定期的に健康チェックを受けて、データやアドバイスを賢く日常生活に活用していくことは大切なことです。
でも、人間ドックではどんなことをやるのか、コストはどの位かかるのかなど不安なことも多いことでしょう。
この本、タイトルがどうかな ? とは思うのですが、一通り読んでみるとドックでやってる検査やその意義がよくわかり、受けてみようという気になるのではないでしょうか。

1月から3月は人間ドックを受診される方が少なくなる時期です。
この期間なら混雑せず、希望の日で受けることができるでしょうし、施設によっては料金の割引をしているところもありますので今からでも問い合わせてみてはいかがでしょうか。
これも賢いドックの活用法かも知れません。

「人間ドック」なる言葉、さかのぼると鹿児島が生んだ明治の偉人、大山巖にたどり着くという説があります。
その彼もかなりのメタボだったようですね。


( ライブラリ充実のために .. ご協力いただければありがたいです )  → 「デキる人」ほどなぜ人間ドックに行くのか?

↑このページのトップヘ