野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
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便潜血反応検査

この2~3日の間に大腸に関連するニュースが続きました。
大腸がん、便潜血反応検査、大腸内視鏡検査についてです。
それぞれの話題を考察してみましょう。

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まず、2014年に新たにがんと診断された人の中で最も多かったのが大腸がんであった、というもの。( → こちら )
大腸がんが増えてきた理由は定かではありませんが、以前から

・運動不足や肥満が大腸がんのリスク。
・大腸がんのベースとなる大腸ポリープは糖尿病との関連が言われ、HbA1c が 1%上昇するとポリープ有病率が33%増えるとの報告。
・HDL-コレステロールが高いと大腸がんのリスクが低い。

等の報告があり、大腸がんはメタボリックシンドロームの延長にある疾患と言えそうです。

このところ、腸内細菌との関連が指摘され、大腸がんの組織からフソバクテリウムという細菌が多いという報告 ( → こちら ) や、食物繊維の多い食事でフソバクテリウムによる大腸がんリスクが減るという報告があります。( → こちら )
他に、バクテロイデス・フラジリスという細菌の関与も指摘されています。( → こちら )

ナッツや魚油、アブラナ科の植物は大腸がんのリスクを低下させるという報告もあり、大腸がんの予防は、メタボ対策を講じつつより良い食生活を目指すことに尽きるのではないかと思います。

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さて、大腸がんを見つけ出す手段として便潜血反応検査には高い有効性があることがわかっています。
その検査キットを市販化する動きがあるのに対し、精度管理などに懸念の声が上がっているというニュースが。( → こちら )
厚生労働省内でも意見が分かれているようで、市販化が実現するかどうかはまだ不透明。
賛成・反対どちらの意見も理解できますが、がん検診を受ける人が少なく、大腸がんが増えてきている日本の現状で、次の一手をうつ必要がある用に思います。

強調しておきますが、便潜血反応検査は1回でも陽性になれば、大腸の精密検査を受けなくてはなりません。
そのあたりの理解がなく、再検査をオーダーする医師もいるのですが、間違いです。
詳しくは、以前書いた「便潜血反応検査について」を参照して下さい。

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大腸内視鏡大腸がんの有無を調べるのに主力となっているのは大腸内視鏡検査ですが、座ったままで検査を受けると苦痛が軽減されることを自ら試して証明した研究に対し、イグ・ノーベル賞が授与されたニュースが大きく取り上げられました。( → こちら )
検査は通常、左を下にして寝てもらう左側臥位というポジションで行います。
内視鏡が挿入しづらいと仰向けになってもらっうなど、体位変換をする場合がありますが、座位になると我々と患者さんが向き合う格好になり、お互いばつの悪い雰囲気になるでしょうね。

自分で自分の大腸内視鏡をする医師を何人か知っていますが、ずっと座位で検査する先生は見たことがありません。
私は、経鼻内視鏡なら何回か自ら行い、このブログでも以前紹介しました。
大腸内視鏡を行なうとするなら、座位でもできる専用の椅子から開発に着手したいと思います。

 ◆ 診療所ライブラリー 145 ◆


大腸がんと診断されました今回紹介するのは、週刊誌に連載された大腸がんに関する情報をまとめたムック本です。
大腸がんと診断されました」とは、なかなかインパクトのあるタイトルですね。

あらかじめ大腸がんと診断されていることを前提にしているため、巻頭は大腸がんとの向き合い方や治療の流れについてから始まります。
ムックらしく豊富なカラー図版でわかりやすく解説してあります。
また、大腸がんの体験談をもとにした病気との向き合い方や、セカンドオピニオン、緩和ケア、費用、治療後の生活等における悩みや疑問に答えるという、治療や療養の上で実用的な記事もふんだんにあります。
個々のがんの性質や患者さんの体質に合わせる個別化医療についても触れられています。
これらの特集は、一般的な大腸がんを解説した本にはあまりみられないもので、非常に好感が持てます。

一方で「いい病院」リストという記事もあります。
ここでいい病院の根拠にしているのは、手術件数なんですね。
私の経験から言うと、手術の数だけでは病院の善し悪しは推し量れるものではありません。
実際、信用に値する病院がリストに掲載されていなかったり、その逆で・・。
また、主たる医師が転勤してしまうと、その病院の様相が全く変わってしまうこともあります。
ま、一つの参考にはなるかと思います。

大腸がんは増加の一途をたどっています。
特に女性においては、がんの中で死亡数が最も多く、罹る方の数も乳がんに次いで2位となっています。
男性では死亡数、罹患数ともに3位です。
早期発見には、便潜血反応検査が有用です。
ちょっと古い記事になりますが、こちらで便潜血反応検査について解説してあります。


「よくわかる! がん最新治療シリーズ」として、乳がん・胃がん・肺がんについても出版されているようなので、少しずつ揃えていこうと思っています。

 ◆ 診療所ライブラリー 114 ◆


検査値健康診断が終わって渡されるたくさんの結果。
意味がよくわからないけれども、すべて基準範囲内なので一安心という場合もあるでしょう。
また、医者にはこの程度なら心配いらないと説明を受けたけど、基準範囲をちょっと超えているのはやはり気になるという場合もあるでしょう。

今回紹介する「健康診断の検査値がとことんわかる事典」は、健康診断や人間ドックなどでよく行われる採血項目や検査を取り上げて、その意味や疾患との繋がり、次にどのような精密検査を受けるべきかなどが非常にコンパクトにまとめてあります。

ただ、正確でない記載もあるのがちょっと残念です。
例えば、便潜血反応検査を解説した部分に「陽性が出た場合は、再度便潜血反応検査を行なって」とあります。
これはとんでもない間違いです。
便潜血反応検査では、一回でも陽性となった場合は、次に大腸がんの有無を調べる検査 ( 主に大腸内視鏡 ) を受けていただくことになります。
もう一度調べてみましょう、と便潜血検査を繰り返す医師が現実に少なからずいるのは悲しいことです。( →便潜血反応検査について )

任意型検診などで、がんがわかります、という触れ込みで行われるものに腫瘍マーカー検査があります。
しかし、この検査には個人的には賛成しかねます。
本来、腫瘍マーカーとは実際に癌がある時に、病状の変化や治療効果をみるためのものなのです。
勧められるがままに調べてみたら、ちょっと高めだったけれども体中をくまなく調べて何もなし、というケースもかなり多いのも事実。
無駄な検査を強いられるだけですので、私は健康診断で腫瘍マーカーを調べるのはお勧めしていません。
ほとんどの場合はオプション扱いですし、選ぶのはご自身の判断になりますけれども。

  → 健康診断の検査値がとことんわかる事典 最新版

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