野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
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六君子湯

  ○○ 学会レポート2012 その3 ○○


胃もたれ昨年の福岡での学会で、過敏性腸症候群に関するパネルディスカッションの内容に少しがっかりしたのですが、今回は消化管全体に幅を広げた「機能性消化管障害 ( FGID ) の病態と治療」というシンポジウムがあり、その多彩な内容に安堵しましたし、勉強にもなりました。
いくつか紹介しておきます。

機能性胃腸症の発症と幼少時期虐待歴との関連性というおもしろい切り口で検討した報告。
特に女性で関連が大きいようです。

GLP-1 というインスリン分泌を促す物質の濃度が FGID の患者では高くなっており、特に胃痛・胃もたれの症状と高い関連性があるという報告。
糖尿病治療に GLP-1 の注射薬がありますが、消化器系の副作用が多いことが知られています。
食欲が低下し体重減少も見込まれることから、それを期待してこの薬剤を選択する医師も多いのですが、消化器への影響はもう少し検討していく必要がありそうです。

胃から食欲を促すグレリンというホルモンが出ますが、胃食道逆流症のラットではグレリンに対する胃排出能の反応が低下しているという報告。
グレリン不応症とも言うべき病態があるというのは興味あるところ。
またこれが六君子湯で改善するという点も注目です。 

この他にも個人的に関心の高いものがありましたが、専門的で難しいと思いますで割愛します。

これまで胃腸の不調を「気のせい」だとか言われ続けて悩んでいた方も、研究が進み病態が解明されつつあるこの領域に期待して下さいね。

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2010100617293027853.gif♦♦ GERDに使う漢方薬

前回に引き続き、治療薬のお話です。
消化器病の分野で作用機序の解明が進められつつある漢方薬の一つに六君子湯があります。
主に胃においての研究が多いのですが、食道においてもいくつかの報告があります。
内視鏡検査で異常を認めない非びらん性胃食道逆流症 ( NERD ) において、PPI ( proton pump inhibitor ) でも症状の改善しない例では食道の運動機能が低下していることがわかっていますが、六君子湯はこの食道の運動機能を改善します。
また、胃の内圧を下げる作用もあり、間接的に食道への逆流を防いでいると考えられます。

私が注目しているのは半夏厚朴湯という漢方薬です。
昔から、のどの違和感があっても検査で何も所見がない咽喉頭異常感症という病気にこの薬剤がよく使われてきました。
シリーズ第3回胃食道逆流症 ( GERD ) の食道外症状について書きましたが、GERD により咽喉頭異常感症が引き起こされることもわかっていますし、実際に半夏厚朴湯を投与してこの食道外症状が緩和されるケースを何度も経験してきおり、治療の有効な手段の一つと考えています。
この漢方薬も科学的に薬効薬理が明らかになることを望みます。

♦♦ GERDを悪化させる可能性のある薬剤

薬で一つ注意していただきたいのは、降圧薬の中でカルシウム拮抗薬と呼ばれるものです。
血管の筋肉が収縮するのを妨げることで血圧を下げるのですが、下部食道括約筋部 ( LES ) の圧も下げてしまい胸やけを悪化させてしまう可能性があります。

♦♦ 日常における注意点

次に日常生活におけるセルフケアについてです。

まずは姿勢ですが、病気の性格上、前屈みになったり食後すぐに横になったりするのは好ましくありません。
ベルトやコルセットなどをきつく締めつけないことも肝要です。
また、就寝時に上半身を高くして左を下にして寝ると逆流を起こしにくくすると考えられています。
液体をすするように飲むのも空気を多く取り込んでげっぷや逆流の元になるとされています。
そしておなかについた脂肪も大敵。
肥満の方は減量に努めることも大事で、最も重要なポイントです。
シリーズ第5回で紹介した症例もスリムな体形になったことが治癒の一番の要因だと考えています。

♦♦ 注意したい食べ物について

胸やけを起こしやすくする食べ物もあります。
肉や揚げ物、ケーキなど脂肪の多いものの刺激でコレシストキニンというホルモンが活発に分泌されるようになり消化を助けるのですが、このホルモンは LES の圧も下げてしまいます。
酸の強いもの、辛いもの、熱いものも大敵で、いずれも胸やけを感じる神経を刺激することがわかっています。
あんこやあんみつなど甘いものも胸やけの原因となります。
糖分が胃液に溶けると浸透圧の高い液になりこれが逆流すると胸やけを起こすとされています。
コーヒーも胸やけを起こすのですが、コーヒー中の3つの成分により胃酸分泌が刺激されることがつい最近判明しています。( http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20100401hj001hj )
この記事によると胸やけを起こしにくいコーヒーも実現可能となっていますね。
タバコやアルコールも好ましくないとされていますのでご注意ください。

なお、食後にガムを噛むと症状緩和の一助になりますので試してみてください。
唾液が増えると、胃酸を中和したり逆流した酸を胃に押し戻したりする作用が期待できるのです。



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