photo-2.gif ◆ 診療所ライブラリー 35 ◆


同じ温度のスープなのに平気で飲める人もいれば、猫舌なのでとフーフー冷ましながら飲む人。
同じ刺激でも人によって感じ方が様々であることは日常の中でよく遭遇することです。

普通の人なら何とも感じないのに、内臓の感覚が鋭いばかりにちょっとした刺激が脳に伝わり、それが不安やストレスという形になっている。
日本人の 5人に 1人が罹患しているという過敏性腸症候群 (IBS) の研究において、腸の「知覚過敏」が脳の情動形成に影響を及ぼすことが明らかになりつつあります。
線維筋痛症などの分野でもこの知覚過敏が注目されているようです。

この本に書かれていることは私が学会や講演会などでこれまで勉強したことがふんだんに盛り込まれていてちょっと専門的なのですが、研究で得られたデータの解釈が筆者独特の比喩やユーモアを交えて加えられており、一般の方でもある程度面白く読んでいただけるものと思います。
最先端を行く腸と脳の関係の研究成果を知ることは、得も言われぬ苦痛に日常的にお困りの方の生活上のヒントとなるかも知れません。

そう言えば、一つ思い出しました。
あるうつ症状の強い患者さんに大腸内視鏡をしたときのことです。
「先生、大腸を折りたたむようにしながらカメラを進めていく感じがよくわかりました」
事実、大腸を短縮しながら挿入していくのですが、そういう感覚は普通まずありません。


さて、2年半ほど前から始めた書籍の貸し出し
当初50冊ほどだった当院のライブラリーも今月とうとう300冊を超えました。
皆様に是非ご活用いただきたいと思います。


( ライブラリ充実のために .. ご協力いただければありがたいです )  →内臓感覚―脳と腸の不思議な関係


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