野口内科 BLOG

  野口内科は鹿児島市武岡に開業して46年を迎えました。
  当ブログでは、当院からのお知らせ、医療・健康に関する情報の他に、近隣の話題、音楽・本のこと等を綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:00 (金曜は〜18:30)
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
    院長   野口 仁

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口内炎

口内炎の治療に欠かせないものになっているのが、漢方薬の半夏瀉心湯 ( はんげしゃしんとう ) です。

口内炎もう10年以上も前のこと、自分自身が口内炎になった時に、試しに内服してみた半夏瀉心湯。
驚くことに翌日には痛みが気にならないレベルになり、4日目には口内炎が跡形もなく治ってしまいました。
それまで使っていたのは、口腔用のステロイド軟膏ですが、口の中はネバネバするし、痛みはちっとも引きません。( そもそも軟膏は唾液でほとんど流れ去ってしまいますからね )
ステロイド軟膏を使っても使わなくても治るのに 1週間以上かかっていましたから、半夏瀉心湯の効果には本当にびっくりでした。

少なくとも、抗がん剤の副作用で口内炎が生じた際に半夏瀉心湯の含嗽 ( うがいのこと ) が有効であることは、これまでに多くの報告があります。
口内炎が起きる前からこの方法を始めて、休薬期間も含嗽するという予防的な使い方もなされているようです。
比較的基礎研究も進んでいる漢方薬で、抗炎症作用や鎮痛作用、組織修復作用、抗菌作用などが示されています。

半夏瀉心湯は下痢などに対しても有効な薬で、内服すると便秘になってしまうことがあります。
そういう場合は、やはり含嗽がお勧め。
1日分をぬるま湯で溶かしておいて、痛みが出た時に適宜うがいをする方法も紹介されています。


口内炎に対しては、アズレン系のうがい薬を併用することもあります。
こちらも痛みを緩和し、組織修復作用があることがわかっています。
逆に使ってはいけないのがポピドンヨード ( イソジン ) 。
一応、口内炎の適用があるのですが、患部を刺激して痛みは増すだけですし、治りを遅くしている可能性があります。
本当に口内炎への効果を検証したデータがあるのでしょうか。


他にも黄連解毒湯茵ちん蒿湯など口内炎に効能のある漢方薬がありますし、レバミピドイルソグラジンという胃薬も口内炎に効くという報告があります。


口内炎にお悩みの方は是非試してみてください。


( 2008年8月11日の「口内炎を治すには」の内容を改変して新しい記事にしました。2022年5月31日 加筆 )

こうないえん〖 今月のつぶやきから 70 〗


今月は二週続けて、しかも週末に台風が鹿児島に接近しました。
至る所にいろんな影響が出ましたが、皆様におかれましては大きな支障はなかったでしょうか。

さて、月末にお届けしている「今月のつぶやきから」ですが、今回は2つのテーマに絞ってまとめてみました。

まずは、意外な傾向・意外な関連。

① カルシウムの代謝に必要なビタミンDを活性化するのに紫外線が必要なので、高緯度地域では不利とされているのですが。

② 腸内細菌と血圧の関係に新たな知見です。

③ 便秘と腎機能、関連付けに気づきにくいところですね。

④ 皮膚が高血圧にからんでいるというのも気づきにくい視点です。


次は、薬に関わる情報、あれこれ。

⑤ ピオグリタゾン、捨てがたい薬です。

⑥ 第3世代経口セフェム、必要ないです。

⑦ 風邪の症状に対して効果があると認められているのは去痰薬くらいなもの。

⑧ ケナログ、さようなら。これも必要ないです。

⑨ 諸外国に比べて、日本の向精神薬の使い方は尋常ならざる点がありますからね。

≪ 過去記事ウォッチング 12 ≫


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最近になってアクセスが増えているのが「口内炎を治すには」。
恐らく手足口病の流行と無縁ではないでしょう。
口内炎、痛いですからね。
手足口病に罹患した方からよく問われるのは、学校や職場を休むべきかどうかということ。
感染力が強いのは確かなので休めるものなら休んで感染拡大を防ぐべきだとは思うのですが、風疹や水痘などと違って規定がないのが現状です。

「口内炎を治すには」は 5年前に書いたものです。
Facebook や twitter 等と違って、古い記事でも検索サイトからアクセスしていただけるのがブログのいいところ。
ほぼ 3日に一度のペースで書き綴っていますが、これからも更新に努めてまいります。

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( この記事を改変し、新しく「口内炎には半夏瀉心湯」を書きました。そちらも参照して下さい。 )

消化器は口に始まり肛門に終わりますが、消化器内科が扱う臓器は食道から先。
そこまでは歯科や口腔外科、耳鼻科の領域になります。
しかし内科医だからと口の中を無視するわけにはいきません。

その中でよく診る疾患の一つに口内炎があります。
口内炎はありふれた疾患ではありますが、原因は多岐にわたる上、どうしてできるのか実はよく分かっていないのです。

手足口病のところで書こうと思っていたのですが、口内炎の治療について。
口内炎に適応のある薬としては、口腔用のステロイド軟膏やうがい薬、トローチ等があります。
海外では抗がん剤の副作用による口内炎に角化細胞成長因子 (KGF 参考 傷は舐めるに限る ) も使われているようです。
私も口内炎がたまにできますが、これまでよく使っていたのはステロイド軟膏。
でも、口の中がネバネバするする上に、痛みが 1週間位は持続します。
そもそも口内炎は粘膜の欠損なのに何でステロイドが有効なんだろう、と疑問に思っていました。
ヨード系うがい薬も口内炎への適応があるようですが、刺激があり、治りを遅くするはずです。(参考 傷は消毒しない )
抗生物質入りのトローチもあるのですが、その副作用の欄には口内炎も書かれています。

で、あれやこれや自分で試してこれはいいという方法を見つけました。
まず、急性期の痛みにはアズレン系のうがい薬
多少紛れます。
そして、半夏瀉心湯の内服です。
軟膏を使い慣れていたので、飲んで口内炎を治すということに最初抵抗感がありました。
翌日には痛みが気にならないレベルになり、4日目にはほぼ治ってしまいました。

半夏瀉心湯は消化器疾患に幅広く使える便利な漢方薬で、ある種の抗がん剤の副作用予防などにも使われています。
この薬の薬理作用がわかれば、口内炎発症のメカニズムも分かるんじゃないだろうか、と思うこの頃です。

他にも効能のある漢方薬がありますし、レバミピドイルソグラジンという胃薬も口内炎に効くと聞きましたので、今度口内炎ができたら試してみようかな。

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