におい膵臓のβ細胞には、インスリンを分泌する働きがあることは多くの方がご存じかと思います。
そのβ細胞に嗅覚受容体があって、その受容体が刺激されるとインスリンを分泌する、という報告が昨日ありました。( → 論文はこちら )

膵β細胞や小腸に、味覚 ( 甘味受容体 ) があることは数年前に発見されています。
膵臓や腸で感じた甘味の情報は脳には伝えられないんだそうです。
また、β細胞の甘味受容体が刺激されるとインスリン分泌が起こったり、糖尿病の方では腸の甘味受容体に異常があったりするという報告があります。

今回は嗅覚受容体も発見されたわけですが、消化管に存在する味覚や嗅覚が刺激されるとどんな変化が起こるのか、新たな発見に期待したいですね。
糖尿病やメタボの新たな予防法や治療法や繋がるかも知れませんし。


「腸は第二の脳」という言葉をよく耳にすることがあると思いますが、消化器系に脳が持っている味覚や嗅覚が備わっていても何らおかしくない・・。
ですが、私は日頃「脳は第二の腸」と言っています。
受精卵に始まっていろんな器官が作られていく過程で、脳よりも消化管が先に形成されるのも、そう主張する理由の一つです。
消化管という生き物が、効率的に食べ物を捉えるために集中神経系を発達させて、その過程の中で消化管が持ち合わせていた味覚や嗅覚という機能を脳が取り込んで舌や鼻を作り出したのではないか。
そして本来、腸で働いていたホルモンもそのまま脳で活用して、脳腸相関と呼ばれるものができ上がってきたのではないか、というのが私の勝手な推論なのですけどね。

「腹が立つ」「断腸の思い」などの言葉がありますが、消化管は案外感情も持っているのかも知れません。