老いにくいのか ◆ 診療所ライブラリー 73 ◆ 


運動をする、あるいは身体活動を高めることで脳に新しいニューロンが増える。
特に海馬という部分でニューロンが増えれば記憶や感情等にも好影響が出る。

そう説くのがこの本ですが、認知症の解説や地中海ダイエットの脳への効果まで幅広く言及していて、日常の過ごし方がいかに自分自身の将来に関わってくるかが理解していただけるのではないでしょうか。

動物という生命の基本は消化管で、消化管が効率良く食べ物を摂取するために中枢神経を発達させた、と私は考えています。
中枢神経の一端が膨れて脳となり、そこから嗅脳や眼球が作られてきたり運動機能が備わってきたりしたのも、全ては食べ物を追い求め生命を維持するためだとすると、何の苦労をすることもなく食にありつける今の日本の生活環境はどうでしょう。
食べ物を探し求めることもなく身体活動が低下すれば統合司令部である脳が衰えるのは当然だと思います。
脳を老いさせたくないのであれば、運動することで刺激を与え続けることはとても大事なことなのです。

快適な環境や習慣がもたらす弊害をしっかり認識して普段の身体活動を盛んにしていただくきっかけに、是非この本を一読して下さい。
 
 → なぜ、歩くと脳は老いにくいのか