野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡にある野口内科です。
  医療に関することはもちろん、近隣の話題や音楽・本のことなどについて綴ってまいります。
    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
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●● 本年は4月29日(日)から5月6日(日)まで休診と致します。ご了承下さい ●●

過去のお勧め記事 → 意外な薬が意外な病気に

大腸内視鏡

ソーセージ先月末にWHOが、加工肉や赤身肉を摂取は大腸がんリスクであると発表し、マスコミがこぞって取り上げました。
世界中の800にも及ぶ研究を精査した結果、とあるように、実は我々医師の間では以前から知られていたことなのですが、発表した機関が機関なだけに世界中が大騒ぎになっています。
安心していただきたいのは、日本人の平均的な食生活では加工肉も赤身肉もそれほど多く消費されていないという点で、国立がん研究センターも影響は小さいと見解を示しました。
ま、この事についても我々は以前から知っています。

ただし、日本人の大腸がんは増加傾向にあります。
当院でもこのところ大腸がんを見つける機会が格段に増えています。
大腸がんの危険因子として確実なのは「肥満」で、予防因子として確実なのは「身体活動」です。
肉を多く食べ、あまり運動しないでいる方は、日頃の快適習慣を見直すきっかけにしていただければと思います。

なお、赤身肉 ( red meat ) とは、牛肉・豚肉・羊肉・馬肉・ヤギ肉を指すようです。( 豚肉を含めない場合もあり )
また、当院では土曜日の午後も大腸内視鏡検査に対応しております。
 

内視鏡当院の内視鏡などの検査は曜日の制限を設けさせてもらっておりましたが、来年1月より全ての曜日で検査が可能となります。

木曜日の午後は休診のため大腸内視鏡検査もお休みとなりますが、他院ではあまりやっていない土曜の午後も大腸内視鏡に対応しておりますので是非ご活用下さい。

詳しくは「野口内科 診療のご案内」にてご確認下さい。




 

内視鏡検査楽に受けられる経鼻内視鏡、土曜日でも可能な大腸内視鏡などでご好評をいただいております当院の各種検査。
曜日によって受けていただけない日がありご不便をおかけしておりますが、4月より水曜日の胃内視鏡・大腸内視鏡・超音波検査が可能となりますのでお知らせ致します。


 ● 胃内視鏡        月・水・木・金及び第1, 3, 4土曜日 の午前
 ● 大腸内視鏡       月・水・金・土 の午後
 ● 超音波検査 (
腹部)  月・水・木・金及び第1, 3, 4土曜日 の午前
 ● 超音波検査 (
甲状腺) 月・水・木・金及び第1, 3, 4土曜日 の午前・(午後)


となります。

消化管の不調のある時は、ためらうよりもまず検査。
当院の検査をご活用下さい。


レモンライム〖 今月のつぶやきから 26 〗


今月はリツイートの数に関係なく、twitter 上でのつぶやきをピックアップしてみました。

まず、緑膿菌絡みの情報が二つありました。
厄介な緑膿菌感染症に様々なアプローチがなされているようです。



次に、食品関係の話題です。
レモンにブロッコリーに桑の葉茶。



最後は個人的なメモとして。
いずれ活用してみようと思います。

経鼻土曜日は上部消化管内視鏡及び超音波検査が可能な日が限られておりご迷惑をおかけしております。

しかし、この 4月からは第四土曜日も検査可能に。

先月からピロリ菌除菌の対象が拡大して、検査を希望される方も増えてきております。
平日は仕事でなかなか内視鏡を受けられないというケースも多いようですが、当院の土曜日の検査も活用してみてください。

検査が可能なのは 第一・第三・第四 土曜日 となります。

 → 野口内科 診療のご案内 

アート先日、大腸がん検診研修会に足を運びました。
特別講演は大腸内視鏡の分野で超有名な先生
学会などでは聴くことのできない興味深い話がいくつかありました。

これまで私は、焦点の合わせにくさを嫌って拡大内視鏡をあまり活用していません。
しかし、450倍の超拡大内視鏡ではその場で仮想生検診断ができ、これまでのHE染色による病理診断はもはや古いといった内容には説得力がありました。
今後この分野は面白い展開をみせそうですね。

時間がなくてあまり詳しく語られなかったのですが、 大腸内視鏡挿入法について「シンプル」「アート」という言葉がちらりと出てきました。
私も常日頃思っていたことなのですが、大腸内視鏡に限らず、物事に習熟してくると余計な遠回りをせず最短距離で目的に到達することができるようになります。
初心者には真似できない簡潔さは芸術と呼んでもおかしくない輝きを備えていますよね。
私もいろんな分野でシンプルさを兼ね備えたアートを身に付けることが出来たらいいなと思っています。
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≪ 過去記事ウォッチング 9 ≫


syz1dztk.gif胃下垂と腹筋」というタイトルで記事を書いたのは 4年前。
臨床的にあまり考慮されることのない胃下垂にスポットを当てて検討したものです。
今でも「胃下垂」のキーワードでアクセスの多い記事です。
腹筋との絡みで解説しましたけど、胃は食べたものを一時的に蓄える場所なので平滑筋が弛緩して伸びやすい臓器でもあります。

当時のブログでもちょっと触れているのですが、腹筋の弱い人は大腸内視鏡挿入にも苦労します。
逆に若い頃スポーツをしていたとか、応援団・声楽などをやっていたという人などはとてもスムーズに入っていきます。
最近は体形と腹部の触診でその人の大腸内視鏡の難易度がある程度わかるようになってきました。
また、痩せた女性に多い遊走腎という疾患もあります。
寝ている時に比べて立位で腎臓が大きく下がってしまい、腰痛や血尿の原因になるものです。
この疾患の方のおなかもあまり力がないのが特徴ですね。

znpo2mpt.gifもともとヨガをやっている人に「あなた胃下垂気味の体形してるから腹筋鍛えなさい」と言われ、実際に腹筋トレーニングをしたところ、内蔵の様々な不調が改善したことが興味を持ち始めたきっかけ。
腹筋と内臓疾患の関係、もっと科学的に調べられてもいいのではないかと思っています。

  ○○ 学会レポート2012 その2 ○○


CTC学会初日には「大腸内視鏡および CT-colonography ( CTC ) による大腸がん検診の今後の展開」「胃がん検診の理想的な住み分け : 新しい検診方式を目指して」という消化管の検診についてのプログラムが続きました。

対策型集団検診は集団全体の死亡率を減少させることを目的に公共的予防対策として行われます。
そのため有効性が確立された方法で利益が不利益を上回ることを条件に行うことが求められます。
胃がんでは胃X線検査のみ、大腸がんでは便潜血検査のみが推奨される手段になっており、意外なことに内視鏡検査などは対策型検診には向かないとされているのです。
ただし、人間ドックなどの任意型の検診では大腸内視鏡は推奨されています。
しかし内視鏡隆盛のご時世で
胃X線検査の写真の判読医が減ってきていますし、かといって内視鏡検査に死亡率減少の確たる証拠が不十分であったり、実際に検診に導入するとなるとマンパワーの問題があったりと難しい問題を孕んでいます。

新しく編み出される検査法が検診に適するものかどうかを検討する発表を聴いたわけなんですが、日常の臨床にはある程度有用であっても検診に使うにはまだまだという印象です。
CTCに関するいくつかの発表では平坦型の病変を見逃しやすいことを白状していましたし、採血で胃がんの有無を見極めようという ABC分類 ( ペプシノーゲン I/II比とピロリ菌抗体の有無を組み合わせる方法 ) でも少なからず見落としがあるようです。

大腸においては新しい検査法をどう活用していくのか、胃においてはピロリ菌感染率が減る中で時代にマッチした検診法がどうあるべきか、まだまだ描ききれていないのが現状のようです。
また、異常がなかった場合の適切な検査間隔はどうあるべきかという問題も掘り下げて実用的なものにしていく必要がありますね。 

<< 出血をきたす消化器疾患 第9回 >>



憩室下血をきたす疾患の中で大腸内視鏡医を最も悩ますのが大腸憩室からの出血ではないでしょうか。
大腸憩室症については当ブログ「宿便について考える」の第四回『大腸憩室症について』で詳しく取り上げていますので、そちらをご参照ください。
下血を来す疾患で多いのは痔の次に虚血性大腸炎である、と前回書きましたが、低用量アスピリン ( LDA ) やワーファリンを内服している人に限るとトップに躍り出るのがこの大腸憩室からの出血になります。

つい最近「学会レポート2011 その1」でも書いたばかりですが、心疾患や脳血管疾患に絡んで LDA やワーファリンといった血を固まらせないようにする薬を内服する方が格段に増えています。
これらの疾患自体が加齢とともに増えるものですが、大腸憩室も高齢者ほど多くなる傾向がありますし発生頻度も昔に比べると増してきているようです。
憩室の部分は血管の通り道であることはわかっていますが、なぜ憩室部分で出血を来しやすいのかはよくわかっていません。

血をサラサラにする薬を内服していること自体血が止まりにくくしているわけですが、大腸憩室からの出血では内視鏡的に止血を困難にしている理由があります。
憩室は大抵複数あるのですが、窪んでいる憩室にはどこもかしこも血が溜まっていてどの憩室から出血しているのか確認に手間取ることが一つ。
そして内視鏡ではすべての憩室を目視することが不可能であるためです。
提示した写真の左上に血液の貯留した大腸憩室が写っていますが、この部位は出血源ではないのです。
これまでに私が止血しえた大腸憩室出血は処置に1時間以上かかったものばかりで、半数以上は出血源を突き止められず内視鏡による止血操作をあきらめています。
止血に最も有効な手段はクリップとされていますが、先のDDWという学会において食道静脈瘤結紮術を応用した止血法が報告されていました。
抗血栓・抗凝固療法を受ける方が更に増えていくでしょうが、下血を来す疾患としてこの大腸憩室症は内視鏡医には悩み多き相手であります。

悪性疾患など扱わなかったものもたくさんあるのですが、9回にわたりお届けしました出血をきたす消化器疾患はこれでおしまいとします。

CTC  ○○ 学会レポート2011 その2 ○○



二年前、当ブログで「宿便について考える」というテーマで過敏性腸症候群を取り上げました。
過敏性腸症候群は日本人の5人に1人が罹患している身近な疾患です。
日常生活に大きな支障をきたすにもかかわらず、あまり研究も進まず治療の選択肢も多くないのが現状です。
今回の学会のパネルディスカッションで勉強しようと思ったのに、決して充実した内容とは言えず、途中退席者が多かったように思います。
演題を発表したのも関東以北の先生方ばかりで、この分野に興味を持って接する研究者が少ないことは残念です。

その中で興味をひいたものをご紹介しておきます。

最近は画像機器の発達が目覚ましく、CTを撮って大腸の形状を立体的に表すことが可能となってきました。
CT-colongraphy ( CTC ) と言いますが、大腸の透視を行ったような画像のみならず大腸内視鏡と同様に内部を辿っていくような画像も得ることができます。
発表された詳細は省略しますが、検査前に鎮痙剤を注射しているにも関わらず腸の動きが落ち着かないケースや内視鏡挿入に手間取るケース、性差などについてCTCによる大腸の形態を見たところいくつかの特徴があったというものでした。
例えば、解剖学の教科書的には大腸は上行結腸と下行結腸は腸間膜が短く固定された状態、のはずです。
しかし日本人においては下行結腸の固定が緩い場合があり、それが便通異常にも繋がっている可能性があるとのこと。
また、CTC上強い収縮が見られる部分をマッサージすると便通が改善するという話も出ました。

胃の内視鏡と異なり、大腸内視鏡を挿入するのはパズル解きのような要素もあるのですが、挿入の難易度や腸の収縮具合などから治療法を考えていくのも大切なことかもしれません。

今年のDDWのレポートはこれでおしまいです。

<< 出血をきたす消化器疾患 第8回 >>


虚血性大腸炎
一般の方には「虚血性大腸炎」という病気はなじみがないと思いますが、決して珍しいものではありません。
下血を来す病気で最も多いのは痔疾患ですが、次いで多いのがこの虚血性大腸炎ではないでしょうか。

強い腹痛 ( 主に左側 ) のあとに下痢、次いで下血を認めるというのが典型例。
急激に起こる大腸の血流障害によってこのような症状が出るのです。
原因としては、動脈硬化や血管の攣縮などの血管側の因子と腸管内圧の亢進や腸管蠕動異常などの腸管側の因子が考えられています。

さて、この疾患概念が提唱されたのは1963年と頻度の高さに比べると決して古くはありません。
かつては大腸を精査する手段があまりなかったことも影響していると思いますが、私が学生の頃に使っていた教科書には「動脈硬化や糖尿病などの基礎疾患を有する50歳以上の高齢者に多い。再発は稀。」などとあり、実際そういう認識を持って医者として働き始めました。

ところが、19歳男性でこの疾患に2度も罹ったという患者さんに巡り合うことになり、教科書の記述に疑問を抱くことになりました。
現在では「40~60歳代に多いものの10歳代から高齢者まで幅広く認める。再発率は約10%。」という風に教科書の記述も変わってきています。

たまたま検査の前日に5分程腹痛があったという患者さんの大腸粘膜のごく一部に虚血性大腸炎とそっくりの変化が起こっているのを見たこともあります。
この方の場合下痢や下血はなかったようですが、こういう例まで含めると実際にはかなり頻度が高い疾患なのではないかと思います。

大腸内視鏡を中心に検査が普及し、診断が容易にできるようになって疾患概念も大きく変化した最たるもの、それがこの虚血性大腸炎ではないでしょうか。

<< 出血をきたす消化器疾患 第7回 >>

これまでは上部消化管の疾患を取り上げましたが、これからは下血につながる大腸疾患をみていこうと思います。

で、今回スポットを当てるのは大腸ポリープですが、大腸ポリープからの出血はそれほど頻度の高いものではありません。
ポリープが小さいうちはまず問題なることはありませんけれども、ある程度大きななってくると表面が傷つきやすくなり出血する場合があります。
それでもご自身で気づくほどの下血につながることは多くありません。

ただ、稀なケースとなりますが、大きくなったポリープの一部または全部がポロリと剥がれ落ちてしまうことがあります。
私の経験例では30代の方でかなりの下血があったため、内視鏡検査をしたところ直腸に頂上付近がえぐれているポリープを発見。
これ以外に明らかな大腸病変を認めなかったためポリープの一部が脱落して下血に繋がったと判断しました。

11_10_29また、写真に示したのは下血して時間がある程度経過した例ですが、S状結腸にあったポリープの頂上付近に窪みがあって一番凹んだ部分に白っぽい変化があるのが分かると思います。
この部分も恐らく一部が脱落した跡ではないかと思われます。( 青い矢印 )

胃も含めてポリープが剥がれて脱落する瞬間を捉えることはまず不可能ですから、臨床経過と併せてポリープの形状を観察して推測するに留まりますが、内視鏡検査をするからこそ何が起こったかを知ることができるのです。

2011050211160029728.gif最近、土曜日の大腸内視鏡の件数が増えてきています。

朝食を抜くだけでできる胃の内視鏡は午前中に行なうのが基本なのに対して、薬を使って腸まできれいにする必要のある大腸内視鏡はどうしても午後が検査の主体となります。
一日を検査のために費やすことになり、仕事のある方は休みを取る必要が出てきます。
たいていの病院は土曜日は休診かあっても午前中だけですから、内視鏡医がいても大腸内視鏡を土曜日に実施している所はほとんど見受けません。

検査を受けたくてもお仕事の関係などで土曜日しか都合がつかない方もいらっしゃると思います。
そのような場合は、当院の土曜日の大腸内視鏡検査を是非ご活用下さい。


 □ 大腸内視鏡に関するブログの主な関連記事
   ■ 当院の大腸内視鏡検査について
   ■ 宿便について考える
   ■ 大腸がん

2011022810145031366.gif〖 医療情報 Pick Up おさらい 38 〗


今月お届けした「医療情報Pick Up」は 2つでしたが、掲載中、最初の情報において「薬指」と「人差指」の文言が逆になっていたことをおわびします。

・薬指より/人差指が長いと/前立腺癌のリスクが/3分の1 ( Br J Cancer. 2011 Jan 4;104(1):175-7 )

・睡眠時間/6時間未満は/7時間以上に比し/大腸ポリープリスク/50%高い ( Cancer. 2011 Feb 15;117(4):841-7 )  

   ―――――――――――――――――――――――――――――――――――


胎児の時に子宮内でテストステロンというホルモンにあまり暴露されないと人差指が長くなるのだそうで、これを元に指の長さと前立腺癌のリスクを調べた結果、人差指が長いと1/3リスクが低下することがわかったようです。
私は残念ながらリスクが高いほうに属します。

大腸癌のリスクファクターの一つに肥満があり、予防因子に運動があります。
大腸癌のほとんどはポリープからできますので、運動もあまりせず睡眠不足というライフスタイルの方は便潜血反応検査や大腸内視鏡検査をお勧めします。
このブログでは経鼻内視鏡の記事が多いのですが、私が得意とするのはむしろ大腸内視鏡の方。
お任せください。



         □ 関連記事  医療情報Pick Up  37

2010121913541010803.gif内視鏡検査を続けていると珍しい症例に遭遇することがあります。
今年は胃と大腸の内視鏡でそれぞれ印象に残るものがありました。

胃の方は現在も治療中のためコメントは差し控えさせていただきますが、大腸の方では今年のある時期に宿便性直腸潰瘍と思われる症例を経験しました。
昨年連載した「宿便を考える」というシリーズの中で触れたばかりでしたが、内視鏡ばっかりやっている医師でもめったにお目にかかることのない非常に稀な疾患です。
寝たきり、向精神薬使用などの便秘になりやすい条件がいくつも重なって、浣腸してもほとんど排出されないカチカチの便が直腸に鎮座ましましていました。
そのため視野が十分に確保できない悪条件下での観察だったのですが、直腸粘膜に広範囲に潰瘍が存在しており、宿便性直腸潰瘍と診断した次第。

これからも内視鏡を中心とした診療で皆様のお役に立っていければいいなと考えております。

201004201301597534.gif先月のことですが、オリンパスの新しい内視鏡を試す機会がありました。

まずは大腸内視鏡の PCF Q260JL/I 。
特徴は副送水装置がついたことや少し細くなって先端のアングルの小回りが利くようになったことなどです。
副送水はペンタックスの後追いだし径が細くなることは必ずしもいいとは限らないのですが、アングル操作は小気味よくとても気に入りました。
上行結腸や直腸での反転操作などもスムーズで、大腸内視鏡においては長年のノウハウのあるオリンパスのアドバンテージが光ります。

そして経鼻内視鏡の GIF XP260NS 。
ライトガイドが2つになったことが大きな特徴となっていますが、その分若干太くなっています。
従来のオリンパスの経鼻内視鏡は硬くて先端部分の径が不均一で被験者の苦痛が大きかったのですが、その点もやや改良されてようやく使える機器になったという気がします。
ただ、自分が検査を受けるならまだまだフジノンの内視鏡を指名しますけれども。

両機種とも他社メーカーのいいところを取り入れたという感じで、ライバル車を徹底的に追い落とすトヨタみたいなやり方ですが、メーカー同士切磋琢磨して内視鏡がより良い次のステージへ進化していくことを望みます。

  << 宿便について考える 第十回 >>

2009091508531921654.gif
2月から書き始めたこのシリーズもいよいよ最終回。
宿便とは何かに結論を出してみたいと思います。

♦♦ 「宿便」とは何かを解くヒントはここにあった !

さて、効能・効果欄に「宿便」の記載があるのは桂枝加芍薬大黄湯という漢方薬です。( 参照 → 宿便の定義を調べてみる )
この薬にこそ宿便とは何かを解くヒントがありました。
この漢方薬、一体どんな病態に使うのでしょうか。
それがわかれば宿便の正体もおのずと分かることになります。

実は第八回の「過敏性腸症候群の治療薬」で桂枝加芍薬湯という薬を紹介しました。
この薬に緩下作用のある大黄という成分を加えたものが桂枝加芍薬大黄湯で、過敏性腸症候群 ( Irritabel Bowel Syndrome ; IBS ) の中でも便秘型の人にとても重宝する薬です。
便秘型 IBS の方の訴えで、便意はあるのにすっきり出ずにおなかに不快感や痛みがあるというものが多くあります。
便秘型 IBS では腸管内容物のスムーズな流れを妨げる腸の運動が誘発され、残便感を伴う不完全な排泄になってしまいますが、この漢方薬を服用することによって症状が随分と緩和するのです。
まさしくこれが宿便と呼ばれるものではないのでしょうか。

もう一度「宿」という漢字を漢和辞典で調べてみました。
すると「宿酔」という言葉に突き当たりました。
これ、要するに二日酔いのことです。
アルコールの中間代謝物であるアセトアルデヒドが代謝しきれずに体に残って引き起こされる不快な状態ですよね。
出すべきものが出されずに体に「宿」しているわけですが、どうも「宿便」と「宿酔」の「宿」は同じ意味合いではないかと思えてきました。
出すべき便がすっきり出ないことによって引き起こされる不快な症状を、昔から宿便という言葉で表現してしたのだと考えられます。

♦♦ 「宿便」とは ( 私の結論 )

さあ、全くの私見ではありますが、ここで宿便とは何か、勝手に定義してしまいましょう。
宿便とは
便意があっても便がすっきり出ず、腹部不快や腹痛、残便感を伴う便秘型過敏性腸症候群における一病態


宿便でお悩みの方は、しっかり過敏性腸症候群の治療をしていきましょう。

  << 宿便について考える 第九回 >>


2009082611492528150.gif
このシリーズの初回

 ① 宿便性潰瘍という名称の疾患がある
 ② 有名出版社から出ている看護師向けのコンパクトな本に「宿便の正体は ?」なる項目がある
 ③ ある漢方薬の効能及び効果の欄に宿便の文字を見つける

ということを書きながら、何の説明もしていなかったので今回はその話です。

♦♦ 宿便性潰瘍という疾患

まず ① の宿便性潰瘍について。
これは、頑固な便秘や腸の閉塞が元で硬くなった便によって長時間大腸の壁が圧迫される結果、虚血状態となり潰瘍を生じるものです。
20年以上臨床に携わっていますがまったくお目にかかったことのない希な疾患です。

さて、この疾患、英語で " Stercoraceous ulcer " と言うようですが、この " stercoraceous " とはどういう意味でしょうか。
調べてみると " consisting of, resembling, or pertaining to dung or feces " とか " consisting of or relating to excrement " とあります。
「便に関連した」と言う意味合いで、直接的に便秘を表現したものではないようです。
さあ、これを誰が「宿便性」と訳したのか。
これはさすがにたどり着くことが出来ませんでした。
この疾患はあくまでも硬い便で腸壁が長く圧迫されることが病因です。
ですから、訳した人は宿便という言葉を「腸の壁にこびりついた便」という誤って流布されているような状態とは全く考えていなかったこともわかります。

♦♦ 看護師向けの本なのに、とんでもないことが…

② の本に書かれている内容について。
ここには
「宿便とは、腸管内容物が何日も腸壁にべったりと張りついたり、腸管の蠕動運動の障害によりたまった古い便のことで、腸腺窩にのり状にくっついている消化吸収されたあとの残りかすである。高熱や脱水などで起こりやすい」さらに「宿便をとるためには、輸液や腸洗浄を行なう」と書かれています。
( ナースのための図解からだの話 p 92 )
ここに定義されているような宿便はあり得ないことは既に説明しました
さらに、腸洗浄としてイラストで書かれているのは高圧浣腸と呼ばれるものなのです。
この浣腸は「私は宿便です。治療してください」と言われてやるような類いの医療行為ではありません。
通常の浣腸よりは大腸の奥の内容物を排泄できることから、成人においては大腸の検査前に行なうことが以前はあったようですが、今はそんな前処置はしません。
また、宿便というものが先の「宿便性潰瘍」のような状態を指すならば、浣腸により腸管を穿孔させてしまう危険があるので絶対にやってはいけないことになります。

医療関係者の書いた本でも間違いは多々あります。
特に専門外領域のことを書く場合、他の著書を参考にしたりすると、古くて今では否定されているようなことを知らずに書いてしまうこともあります。
とある専門学校にて臨時で内科学を教えた時、使用していた教科書の消化器の分野に誤った記載があちこちにあってびっくりしたものでした。

また、デトックスだ、腸内洗浄だと称して浣腸器具が売られていますが、浣腸を繰り返していると浣腸のような強い刺激でないと便が出なくなってしまいます。
無意味なことはやめましょう。( 参考 http://www.supplerank.com/health_care/onai_contents/01.html )


この「宿便について考える」というシリーズ、数回で終わらす予定だったのに、今回で九回目。
書き始めて半年に及んでしまいましたが、いよいよ次で「宿便」とは何かに迫ってみたいと思います。
宿便の正体にたどり着くヒントは初回に紹介した
 ③ ある漢方薬の効能及び効果の欄に宿便の文字を見つけるに至り・・・
にあったのです。

  << 宿便について考える 第八回 >>

♦♦ IBS と CRH
2009080318114210261.gif
前回、CRH ( Corticotropin Releasing Hormone ) という物質が過敏性腸症候群 ( Irritabel Bowel Syndrome ; IBS ) に大きく関わっていることを述べました。
このCRHを注射することで腸の動きが活発になり IBS と同じ状態を作ることが出来ます。
面白いのは IBSの患者に CRH を投与すると普通の人よりも過剰に大腸運動が活発になるという点です。
また、CRH の働きを抑える薬を投与すると症状が緩和することは確かめられていますが、実用化には至っていません。

♦♦ IBS とセロトニン

CRH と並んで注目されている物質がセロトニン
食べ物が入ってきた刺激で腸の壁にある細胞からこのセロトニンという物質が出ます。
これが神経を刺激し、その場所より口側の腸の筋肉を縮め、肛門側の筋肉は緩めるという運動に繋がります。
また、腸から脳に痛みを伝える働きにもセロトニンが関与しています。
IBS の患者さんはストレスによりセロトニンが過剰に分泌され普通の人よりも強い腸の運動が誘発されますし、少しの刺激でも腹痛を感じやすい状態になっていることがわかってきています。

♦♦ 感染の後に起こる IBS

注意したいのは IBS をストレスによる疾患と片づけられない点があることです。
というのも感染性腸炎の後に IBS になってしまう方がいるからです。
先日もこれまで便通異常が全くなかった30代女性で、腸炎を患った後に下痢が慢性的に持続している方を診ましたが、腸の粘膜の炎症が IBS のトリガーになっている可能性も言われています。

♦♦ IBS の治療薬

これまで様々な薬物が IBS に使われてきましたが、最近セロトニンの働きを邪魔する薬が発売されました。
初めての IBS に効く薬剤という触れ込みなのですが、「男性の下痢型 IBS」と用途が限られますし、効果があるのが約半数に留まります。

私がこの IBS という疾患に興味を抱いたのは研修医の頃であることは以前にも書きましたが、その時からずっとメインに使っている薬があります。
桂枝加芍薬湯という漢方薬です。
この薬は男女の区別や下痢型・便秘型・混合型の区別なく使え、7~ 8割方の患者さんに有効である手応えを感じています。
この漢方薬を高く評価している IBS 専門の先生も結構いらっしゃいます。

男女により治療薬が異なるのも IBS の面白い点ですが、女性の便秘型 IBS に対する薬は米国において使われ始めており、近いうちに日本でも使えるようになると思います。
ただ、普通の便秘だと思って市販の下剤を大量に使っている IBS 便秘型の女性が案外多いように感じます。
前回も述べましたように腹痛を伴うことと、コロコロ便があるならば IBS である可能性が高いので一度相談してください。
最近も市販の下剤を通常の何倍も使って排便をコントロールしていた女性が桂枝加芍薬湯だけでかなり症状が改善した例を経験しています。

また、ペパーミントオイルに大腸の収縮を抑える働きがあり、IBS に有効である可能性があります。
米国ではペパーミントオイルのサプリメントがあるようですが、確実に効果があるかどうかは知りません。

  << 宿便について考える 第七回 >>


♦♦ 普通の便秘と便秘型 IBSの違い

IBS.gif前回の続きです。
通常の便秘と便秘型の過敏性腸症候群 ( Irritabel Bowel Syndrome ; IBS )、どのように違うのでしょうか。
IBSは一言で表すと「腹痛を伴う便通異常」であること、これは前回も記しましたが、これが大事なポイントです。

普通の便秘の方はほとんど腹痛を自覚することがなく、便の形もソーセージ状であることが多いのです。
対して便秘型 IBS においては腹痛を伴うことと兎糞状と呼ばれるコロコロした便、Bristol 便状スケールで言うと 1型、これが多いのです。

私は、便秘を主訴に外来に来られる患者さんには必ず腹痛の有無と便の性状を聞いています。
そうするとご自身でも普通の便秘と思っておられる中に結構この便秘型 IBSが潜んでいることがわかります。
特に比較的若い女性にこの便秘型 IBS が多い傾向にあります。
男性には下痢型 IBS が多く、IBS は性差医療の点からも注目されている疾患でもあります。

♦♦ 大腸の働きと便の性状

さて、このシリーズ第三回でも書きましたが、大腸の主たる役割は食べかすから水分を吸収することにあります。
液状である上行結腸の内容物が直腸に向かううちに水分を吸い上げられて固形化し、通常ならば Bristol 便状スケール 3型ないし4型の便となるわけです。
水分の吸収が不十分だと下痢となり、吸収しすぎるとカチカチの便になります。
腸の粘膜に炎症がなく水分吸収の効率が一定であるとしますと、腸内を内容物が通過する速度によって出てくる便に水分が多いのか少ないのかが決まってきます。
すなわち大腸の動き ( 蠕動 ) が亢進して内容物の通過時間が短いと十分に水分が吸収されず下痢になるということです。

♦♦ ストレスと IBS

IBSではストレスがかかると症状が出現しやすいのですが、実はストレスによって脳の視床下部という所から CRH ( Corticotropin Releasing Hormone ) という物質が放出されることで腸の動きが活発になります。
強い蠕動運動が誘発されると下痢になり、内容物のスムーズな流れを妨げる運動が誘発されると便秘になるのです。
言葉で伝えようとすると難しい用語が次々に出てきて申し訳ないので、大腸の正常の動きと便秘型及び下痢型 IBS における大腸の動きについて解説した優れたアニメーションを紹介しておきます。
英語なのですが動きをみるだけでも勉強になりますので是非参考にして下さい。

Johns Hopkins Medicine のアニメーションはこちら

このアニメのホームページのように、海外の医療関係のサイトには感心させられるものが多数あります。
見習っていきたいものです。

さらに続きます。

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