野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して42年の野口内科です。
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大腸憩室症

≪ 過去記事ウォッチング 11 ≫


憩室
2年ほど前に書いた「大腸憩室からの出血」という記事に、近ごろアクセスが多くなっています。
心臓病や脳血管疾患の再発予防などで血液をサラサラにして固まりにくくする薬の処方が格段に増えてきていて、それに伴い大腸憩室からの出血も増えているということを取り上げたものでした。
内視鏡医にとって大腸憩室からの出血への対応は本当に難渋します。


大腸憩室は、日本人においては上行結腸など右側結腸に多く、欧米人はS状結腸に多いとされていますが、近年は日本人でもS状結腸での発生が増えていると言われています。
神戸時代にはS状結腸の憩室の症例がそこそこあり、憩室が大きすぎて腸の内腔と区別がつきづらく内視鏡挿入に難渋するケースも決して珍しいことではありませんでした。
ところが、鹿児島ではあまり見かけることがありません。
S状結腸の憩室の成因の一つに欧米的な食事が挙げられていますので、神戸と鹿児島の食文化の相違が影響しているのでしょうね。
憩室があってもほとんどの方は問題なく過ごせますが、炎症や出血がまれながらあります。
大腸を日々観察しながら、鹿児島の皆さんの食生活が劣化しないことを願わずにはいられません。 

≪ 過去記事ウォッチング 7 ≫


それほどアクセスが多いわけではないのですが、大腸憩室というキーワードでコンスタントに見ていただいているのが、宿便について考えるというテーマの中で書いた「大腸憩室症について」です。
ここで使った写真は、1枚でいろんなことが説明できるので大変重宝しています。
写真を再掲しますが、黄色いA・B・Cの意味については「大腸憩室症について」で説明してあります。

大腸憩室この記事についてちょっと補足説明をしておきます。

まず、この大腸憩室症の発生頻度なんですが、日本消化器病学会のHPでは10人に1人くらいとしています。
しかし、時代とともに増加傾向にあり、90年代のデータで17.5%、70歳代以上に限ると21.1%とするものもあります。
正確なデータを取っていませんけど、私が実際に大腸内視鏡で観察する印象では 4~5人に一人はあるように思いますが、論文を重視して記事の中で「5、6人に一人位の割合で見つかり」という表現をしました。

以前テレビを観ていたら、タレントを兼ねる女医さんが「腹圧のかかるような仕事も大腸憩室の原因」と言っていました。
でも、私自身そのような報告は読んだことがありませんし、科学的には証明されていないと思います。
実験的にも明らかなのは、低繊維食です。
そして、腸の内圧上昇が可能性として考えられているのですが、腹圧かけたからといって腸の内圧が上がってしまうわけではありません。
繊維質の多い食事で大腸憩室症が改善するという報告があることは紹介済みですが、何せ1977年と40年以上前の報告です。
それを後追いする論文が私の調べる範囲では見つからないのが気になるところではあります。

さて、「大腸憩室」と「大腸憩室症」という用語は厳密には区別して使用されるものなのですが、このことは医者でも理解している人は少ないです。
どのような違いかというと、憩室が一つだけなら「大腸憩室」で複数あると「大腸憩室症」になるのです。
恐らく、英語で単数だと diverticulum、複数で diverticula と語尾が変化するのを訳し分けたのではないかと思います。

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