野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

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心窩部

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「野口内科 BLOG」を始めて5年を越え、これまで書いた記事も800近くになってきました。
これまでは検索サイトで過去の記事も比較的容易にヒットしていました。
しかしPotika 閉鎖に伴い昨年末にブログの引っ越しを余儀なくされてから検索できなくなってしまったものが相当数に上ります。
ブログの移転をした経験が過去にあったのである程度は予想していたのですが、アクセス数が大幅に落ち込んでしまっている状態です。
多くの方に参考にしていただいていたのに埋もれてしまっては申し訳ないので、過去の記事を振り返って紹介してみる企画をお届けしようと思います。


4c238bc0.gif初回はこれまで最もアクセスが多かった記事。
それは2008年6月に書いた「みぞおちに硬いしこりが・・・」 です。
Googleにて「みぞおち」「しこり」というキーワードで 検索するとかなり上位にヒットしていたのでアクセスが多かったものと思います。
この中で紹介したように誰にでもある剣状突起をしこりと勘違いして不安に思い、外来を訪れる方が後を絶たないので書いたものです。
5回にわたってお届けした心窩部にまつわる話」は、これを一番書きたくて作ったような連載でもあります。
その効果があってか、最近は同じような訴えをされる方がめっきり減ったように思います。 

potika.gif
「野口内科 BLOG」がこの Potika でお世話になるようになってちょうど1年になりました。

ブログを引っ越しした理由はいろいろあるのですが、この Potika は鹿児島に密着したブログポータルということで武岡の話題なども綴る私のブログ内容に適ったもので、使い勝手も概ね満足しています。
ただ、最近サーバーが若干重たいのが気になりますので、この点は改善をお願いしますね。

最近はどういうわけか 2年前に書いた「みぞおちに硬いしこりが・・・」をよく見ていただいているようです。
過去の記事でも疾患に絡んだものには今でもたくさんのアクセスを頂いています。
一般の多くの方に難しい医学を分かりやすく解説していくことはこのブログの理念の一つでもあります。
宿便について考える」「心窩部にまつわる話題」など、年に一度テーマを決めて消化器分野のことを書いてきましたが、今年もぼちぼち新しいお題をお届けしようかなと思っています。

rww7yidy.gif《 心窩部にまつわる話 5 》 


「みぞおちに、硬いしこりがあるんです。癌じゃないでしょうか ?」

診察室の椅子に座るなり、心窩部を指さしながら心配そうな顔でそう訴えて来られた方。
お話をしっかり聞いた上で診察をさせていただきます。

「これですか ?」
「そうです。ほら何か硬いのがあるでしょう」

触診で、しこりだと訴えのある場所を確認して私はにっこり。

「私の同じところを触ってみてください」
「あれっ !? ありますね固いのが」
「これは誰にでもあるものなんですよ」
「えーっ、そうなんだ」

しこりの正体は剣状突起
図の赤く塗った部分がそれにあたり、誰にでもあるのです。

今まで何例あったでしょうか、このような訴えで来院される方がたまにいらっしゃいます。
ということは、これから先も同じような心配をされて病院に足を運ぶ方がいらっしゃるかも知れません。
自分の体のことでありながら、知らないことって多いですよね。
図を参考にして、剣状突起に該当しそうにないしこりであれば病院へ行って診察を受けて下さい。


なお、剣状突起は生まれた時は軟骨ですが、加齢とともに徐々に骨化してきます。
外傷や妊娠で、剣状突起が突出してきて痛みを生じることがあります。
また、サーフィンなどで硬い物の上に腹ばいになる刺激によっても痛みが出ることがあるようです。




nxsm_x7v.gif《 心窩部にまつわる話 2 》


我々は、患者さんの訴えをあれこれ聞き取りながら、病気が何であるかを絞り込んでいきます。
上手に聞き出すことで、疾患を8割方診断できるとも言われています。
そして、症状から疑った疾患を元にして必要な検査を行い、結果に応じて治療法を選択していきます。

心窩部に症状があって、患者さんが胃が悪いのだと思い込んで病院に来られても、我々は即、胃に病気があると疑うわけにはいきません。
もちろん、胃の疾患である場合が多いのですが、他の疾患でも心窩部に痛みが出ることがあるからです。
心筋梗塞で心窩部に痛みがくることがありますし、急性虫垂炎や胆石症、尿路結石、子宮付属器炎などで心窩部痛を初発症状とすることもあります。

このように、痛みの原因となっている場所とは異なる部位に痛みがでることを「関連痛」と呼んでいます。
なぜこのようなことが起こるかは、はっきりしたことはわかっていません。
現時点で最も有力な説を簡潔に言うと、脳の勘違いということになるでしょうか。
皮膚や内臓に分布する末梢神経の情報が脊髄に伝えられますが、圧倒的に皮膚からの情報が多いので、脊髄に入ってきた情報を脳が誤認識するから、と考えられています。

強い心窩部痛があるのに調べても何も見つからないことがあります。
この場合、安倍元首相もかかった (!?) という機能性ディスペプシアである可能性があります。
最も新しい Rome III という国際的診断基準では、機能性ディスペプシアは「食後愁訴症候群」と「心窩部痛症候群」に大別されます。
心窩部痛があるのに調べても何もない場合に、このRome III の診断基準を満たせば、心窩部痛症候群ということになります。
治療は投薬が主体となりますが、一定した治療法はありません。
何度か薬を変えてみてようやく症状が落ち着く場合もあります。
これまでの経験上、柴胡桂枝湯という漢方薬が劇的に効くことが多いですから、一度試してみる価値があると思います。
中には症状が改善せずに病院をころころ替わる方もいらっしゃいますが、内服薬だけに頼るのではなく、食事や日常のストレスなど生活習慣を見直すことも必要になってくる場合があります。


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