野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して41年の野口内科です。
  医療・健康に関する情報はもちろん、近隣の話題、音楽・本のことなどを綴ってまいります。

    診療時間 午前  9:00〜13:00
         午後 14:30〜18:30
    休診   日曜・祝日・木曜午後
    電話   099−281−7515
    住所   鹿児島市武岡二丁目28−4
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拒食症

 ◆ 診療所ライブラリー 123 ◆


あいうえお
医者になりたての頃に拒食症過食症の入院患者を受け持ったことがあります。
連日、時間をたっぷりかけていろんな話をしたのは貴重な経験です。
ニコニコしているかと思えば、突然不機嫌になって何も話してくれないこともあるなど、向き合うことに困難を感じることもありました。
接することを通じて、頑固な性格と家族を含めた対人関係が大きく影を落とす疾患だなというのを実感しました。

今回紹介する「摂食障害あいうえお辞典」は、他のどんな本とも似ていない独特な構成をしています。
摂食障害の解説は一切なく、見開きでひとつひとつの言葉を解説している点はまさに辞書。
摂食障害の方の症状や言葉・行動などを一つ一つ集めてあいうえお順に並べ、その裏に隠れている心理状態を簡潔に解説しているのです。
様々な形で発せられる誤解されがちなシグナルから、本当の心の声を理解するヒントになると思います。
その気持ちに寄り添うことができたら、悪循環から脱する力になるかも知れません。
また、摂食障害に限らず、心の不安定な思春期や反抗期の子どもの心理を理解する手助けにもなるのではないかと思います。
何でこんなこと言うのかな、という時にひもとくとこの本から見えてくる世界があります。

  → 摂食障害あいうえお辞典

 ◆ 診療所ライブラリー 109 ◆


世界一優しい
「発達障害」「ひきこもり」「対人恐怖」「摂食障害」・・・という順で書かれていたり、噛み砕いたとてもやさしい文章で読みやすく工夫されたりしているのは、元々が中学生向けの本として出されたからでしょう。
それでいて内容はしっかりしていますので、成人の方にもお勧めできる一冊「世界一やさしい精神科の本」。

この分野がカバーする疾患は原因がはっきりせず、治療法も確立されたものはないのだけれど、そんな未開拓な分野だからこそ面白いのだ、という意味のことが前書きに記されています。
同じ疾患でも国によって特徴があったり、時代と共に流行り廃りがあったりするのも精神科領域の疾患の特徴です。
拒食症を例にとると、以前は成熟拒否型が多かったけれど、最近はダイエット型が増えて命に関わるレベルの患者をあまりみなくなったという話。
女性の社会的地位の変化などに目を向けた明快な分析には感心し切りです。

家族や周囲の環境などだけでなく
文化的な側面も考え、人の多様性を重んじながら精神疾患患者を治す糸口を探っていく仕事も本当に面白い。
そう思わせるなかなかの名著です。

  → 世界一やさしい精神科の本

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