野口内科 BLOG

  鹿児島市武岡に開業して42年の野口内科です。
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潰瘍

201007252223199784.gif胃酸分泌抑制薬の一つで PPI (proton pump inhibitor)と呼ばれる薬について、日本では使用期限が厳しく設定されていることを以前このブログで嘆いたことがありました。( → こちら )

しかし7月23日、PPI の一種ランソプラゾールが「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の目的で使えるようになりました。
低用量アスピリンを服用している限り、潰瘍の再発予防目的で期間の制限なく継続して使えるわけです。
ピロリ菌除菌の適応拡大に続いて、消化器分野においての朗報です。

起こる確率は高くないものの、アスピリンに起因する消化管出血は簡単に止めることができないため、酸分泌抑制薬が併用可となる時が待ち望まれていました。
処方する方も飲む方も低用量という言葉に妙な安堵を感じるかも知れませんが、アスピリンの抗血小板作用は強力ですから是非 PPI を合わせて飲んで下さい。

kyi9ersi.gif昨日はあるディスカッションに参加してきました。消化性潰瘍の治療に関するのもです。

ピロリ菌と並んで解熱鎮痛薬 (NSAIDs) が潰瘍の原因になることが知られています。
しかし、臨床をやっていく上で一つ大きな問題があるのです。そのあたりを話題にしたものでした。

NSAIDs と潰瘍治療薬である酸分泌抑制薬を一緒に使うことはまかりならぬ、と保険診療上の制約があるのです。
「NSAIDs は潰瘍の原因となる薬剤だ。それをそのまま続けて一方で潰瘍を治そうというのはどういうことか。また、なってもいないうちから潰瘍にならないようにと予防的に投与するのはいかがなものか」という考え方なのでしょう。
これは例えて言うなら、強い陽射しの中、日傘やサングラスをして外出したら非難の集中砲火を浴びてしまった、といった感じにはなりはしないでしょうか。

NSAIDs と酸分泌抑制薬を併用するのは諸外国ではごく当たり前に行われていることなのです。
痛みをコントロールし続けなければ日常生活を送れない患者さんが現実にいらっしゃいます。
潰瘍が出来たらその間だけ NSAIDs の中断を余儀なくされる、というのは是非とも避けたいことなのですが。

今、消化器の分野の医師は世界的にみても歪んだ日本のこの状況を打破すべく、ガイドラインを作成したり、いろいろな臨床データを取り揃えることに努力しています。
正しい医療が当たり前に行うことができる日もきっと近いうちに来ることでしょう。


            □ 関連記事  薬で大腸がんの予防 !?ピロリ菌の二次除菌


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